入ってきた女は、同性の万由子でさえはっとして見つめてしまうほどの美女であった。
抜群のプロポーションを真紅のボンテージスーツで惜しげも無く披露し、右手には鞭を持っていた。
それを誰に使用するのか明白だ。
後ろの男達も万由子をおびえさせるのには十分過ぎる存在であった。
3人ともそろいの黒覆面で、剥き出しの上半身に付いた筋肉は万由子の体をいとも簡単に八つ裂きにしてしまうのではと思わせる。
下半身は黒のタイツとジャングルブーツを履いていた。
お目覚めのようね。高打万由子警視さん。ここが何処かわかる?
....黒船館?
さすがは、わが組織を内定していたエリート警官ね。
ようこそ黒船館へ、あたしはマキ...黒船館の拷問史よ。
マキは嘲る様にそう言った
万由子は今でも泣き出したい衝動に駆られる自分をおさえ、ありったけの勇気を振りしぼり、相手を睨みつける。
何がようこそよ!
あなた達、こんな事してただで済むと思っているの!
今からでも遅くないから、すぐにわたしを下ろしなさい!
言いながらも。背中から冷や汗が流れるのを感じていたが、気丈にも相手を睨み続けている。
ほう、どうなると言うのかしら?
良いこと、これは逮捕監禁よ!
最高刑は5年!
しかも、そこら辺にある変な道具で、わたしに危害を加えたら、立派な傷害罪になるわ!
そうなったら、最高10年の懲役刑が適用されるのよ!」
あんたが、頭の良いことは十分に分っているけど。状況判断は良くできないみたいね。
万由子が何か反論しようとするのを、マキはにらみつけて、一言
「黙って聞きなさい。」
と静かに言った。
相手の眼力に、万由子の精一杯の勇気は簡単に吹っ飛んでしまった。
そのとき彼女は、自分の敗北を悟った。
もはや、くもの巣に捕らえられた蝶のように相手がなすがままにされるしかないのだ。
あんたは、もはやエリート警官ではないの、単なる囚人。そして、あたしは拷問史。
囚人は人間としての一切の権利を与えられない。さらに、拷問史から聞かれたことには、何もかも包み隠さずに答える義務があるの。無論、囚人からの質問は一切認められないわ。
マキは、万由子が恐怖と絶望で今にも泣き出しそうな表情を楽しみながら。さらに続ける。
それを破った場合、囚人は拷問史に制裁を受ける事になるわ。判ったわね。
万由子は、また反論を試みようとした。
何でよ?
自分では精一杯の意思を込めたつもりだったが、まるで幼児が駄々をこねるような言葉にしかならなかった。
しかし次の瞬間、万由子はマキの言葉の真意を知る。

|