ブレストジャッカー

ヨネザワ(物語)・ひんぐるみりは(挿し絵) 作
Copyright 2000 by Yonezawa (story)
Copyright 2006 by Hingurumiriha (picture)

 俺、ユウジはひょんな事から、他人の身体(女性限定)に入り込む能力を得てしまった。といっても乗っ取りで勝手に行動できるのではなく、相手の見聞きするものを共有するだけなのだが。
 こういう超能力をSFでは「テレオプティカー」と呼ぶらしいが、俺の能力は単にオプティカル、つまり視覚的な感覚でなく、五感全てを一体化させる様だ。
 そしてもうひとつ、スゴイおまけがある。
 入り込んだ女性のバストを自由に巨大化できるのだ!

 不思議な能力を手に入れた翌日も、高校生である俺はマジメに学校に来ていた。マジメに、次に爆乳化させる女子生徒を選別するのだ。1日の授業をそっちのけで熟考した結果、ついに俺はターゲットを決めた。
 サオリだ。
 背の高く顔も細身のサオリは、学年でも上位陣にランキングされる美少女だ。
 髪は腰近くまで伸びるストレートのロングヘアで、すらっとした背中になびくその黒髪は、後ろ姿に格段の「風味」を与える。
 もちろん脚も長く、スカートにもブルマにも見栄えする脚線美だ。
 そんなサオリの、俺にとり唯一最大の欠点。それがターゲットに選んだ理由だ。
 すなわち、『胸が真っ平ら』な事。

 放課後、図書室からグランドを見下ろす。
 いた。サオリを見つけた。
 陸上部のレギュラーであるサオリは、長距離・短距離ともにこなす天才走者だ。
 ジャージを脱いで半袖短パンになるサオリを見つめる。
 ……相変わらず胸がないよなぁ。
 溜め息をつきながら俺は、ポケットの中の不思議な隕石(これが超能力を与えてくれたのだ)を握り締めて、サオリに意識を集中した。
 気を失い、机に突っ伏す。図書室で居眠りしている様に見える肉体を残して、俺はサオリの精神に「テレオプティカー」した。

 サオリは準備体操をしていた。
 カモシカの様な引き締まった足首を気持ちよくストレッチさせる。俺はその感覚を自分の足の様に感じている。
 スタートラインに立ち、腰を落とす。今日は短距離走、100mを練習するのだ。
 しゃがんでも膝と胸が接触しない。さすが洗濯板だ。
 パン!
 号砲と同時にサオリはダッシュした。
 おおぉぉー!
 は、速いぞ。こんなに猛スピードなのか。
 確かに自分の足で(とはいってもサオリの足だが)走っているはずなのに、流れる光景と顔に当たる風は、自転車に乗っている時の様だ。あっという間にゴールを駆け抜ける。
 いつもサオリはこんな感覚で走っていたのか!
 別の世界を覗いた驚きに、俺は感動していた。
 ……あ。胸の事を忘れていた。

 気を取り直して、2度目のダッシュに挑む。今度はスピードに驚く事はなかった。俺は意識を胸に集中し、サオリが爆乳化した姿を想像した。
 その途端、本物のサオリの胸も膨らみ出し、一気に爆乳となる。
 シャツ一杯に成長するサオリのバスト。
 初めて見た時から、何とか大きくさせてあげたいと同情してしまう程の貧乳が、ついに解決したのだ。
 と思った瞬間、サオリはバランスを崩した。
 全力疾走中だった細身の体に、突然の膨乳は耐えられなかったのだ。跳ね上がるバストに振り回され、サオリはコースに身を投げ出した。
「きゃっ!」
 グランドに倒れると同時に足首に激痛が走る。サオリの感じた痛みを俺も共有した。
「いたっ!」
 足を押さえてうずくまるサオリ。俺の集中が途切れたので、既にバストは元に戻っている。全ては一瞬の事で、爆乳化したとはサオリ自身も周りの部員も気づかないだろう。
 スポーツブラが上にずれてしまったのだが、それを気にする余裕はなかった。足首の痛みは激しく、サオリは立つ事もできないのだ。
 必死に痛みに耐えるサオリ。同じ痛みを感じる俺は、サオリがしばらく走れないと分かってしまった。
 なんて事をしてしまったんだ!

 そうだ、これも超能力でどうにかできないか?
 俺は懸命にサオリの足首に意識を集中した。すると足首が別の視点で見えてきた。まるで顕微鏡を見ている様だ。
 骨、筋肉、腱。それを取り巻く血管、神経。さらに個々の細胞が識別できる。細胞の中では細胞質におおわれて核や無数の小体があり、DNAが複雑な環を作り、ミトコンドリアがエネルギーを作り出す。
 そんな光景を見ながら、俺は足首が治るのを念じた。それに応える様に、細胞が活発に活動しだしたではないか。治癒能力が全開に機能し、切れた筋細胞を除去再生し、血管壁を修復し、さらに炎症を沈め痛みを抑えていく。
 俺はサオリの捻挫を治療したのだ。サオリは立ち上がり、部活の仲間や先生に大丈夫だと伝えている。やれやれ、うまくいった。
 反省しながら俺はサオリの肉体を離れた。

 サオリを怪我させて得た貴重な教訓、『全力疾走中のいきなりの爆乳化は危険』をふまえて、計画を練り直した。
 もちろんサオリの膨乳化はあきらめていない。
 あのAAカップを爆乳にするのだけは、しっかりやっておかねば、この能力を持った意味がないではないか。巨乳マニアの意地にかけて俺は決心した。
 次の日曜日。
 地元新聞社主催のマラソン大会。短距離スプリンターだけでなく、長距離ランナーとしても有望なサオリは、これに参加していた。既にレースは始まっている。
 俺はサオリの肉体に一体化した。目前を先導車が行く。
 トップを走っているのだ。しかも精神が一体化しているのに息苦しさがほとんど感じない。スゴイ心肺機能だな。
 驚きながら再び俺は、サオリのバストをゆっくりと膨乳化させた。

 平らな胸が少し膨らみ、スポーツブラ(別につけなくてもいいんじゃないか?)に軽く食い込む。
 サオリは走りながら、むずがゆそうに胸元をこすった。
 ブラがずれると圧迫がなくなる。俺はさらに膨乳化を想像した。
「な、何?」
 サオリは思わず声を漏らした。胸に手をやると、俺の手も柔らかい膨らみを感じる。
 揉むかな、と思ったらすぐに手を離して、走りに集中しだした。おいおい、それだけかよ。
 まぁ、今はせいぜいCカップだからな。もっと大きくするぞ。
 俺は一気にサオリのバストをふた回りは巨大化させた。
「ひっ!」
 俺とサオリは同時に痛みにうめいた。
 胸がゆれる!
 高校生の平均基準を越えた巨乳が、マラソンの走りでゆれているのだ。
 ブラジャーで押さえ付けられていないと、こんなに跳ねるのか。
 結構早い走りのピッチに合わせて、上下にゆれる。付け根の部分がちぎれそうで痛むのだ。
 思わず立ち止まろうと思ったが、この肉体はサオリの物。サオリは走り続けていた。こういう状況でも走るなんて、どういう神経をしてるんだ?
 痛みは全然落ちつかない。
 そうか、短距離走でなくても巨乳が走るのは大変なんだ。覚えておこう。

 しばらくは痛みに耐えていたが、どうにも我慢できない。
 バストを元に戻そうかと考えた時、サオリは両腕で左右からバストを挟んでゆれを止めた。
 脇を締めて腕の振りを最小限にすると、ちぎれそうなゆれは収まった。
 器用に走っていくなぁ。よし、もっと大きくするぞ。
 俺は、貧乳サオリを、外人にもそうそうは見付からないサイズに膨らました。
 前に突き出した双球は、前腕だけではとても押さえ切れず、再び跳ね回りだした。
 多少余裕のあったシャツの中はパンパンに膨らみ、ゼッケンの左右の数字を踊らせる。
 沿道の観客の驚く顔が目に入る。
 マラソンランナーにはあまりに不似合いな大きさだから当然か。
「ママ〜、ブルンブルンってなってるよ〜」
 サオリの顔が真っ赤になるのを感じる。やれやれ、子供は正直だね。
 ついにサオリは服の中に手を突っ込んだ。上にずれたスポーツブラを戻して、このバストを押さえようというのだ。
 しかし、それは無理だ。洗濯板の胸に形式的に着けていただけの、カップとも呼べないただの下着に、今のサオリの爆乳が収まるはずがない。
 服の下でモゾモゾ手を動かすだけで、ブラは下がらなかった。
 それにしても、まだ走りを止めないのか?

「痛いよう」
 とうとうサオリは自分の胸を手でつかんだ。上下に跳ねるのを直接、手で押さえる。
 ちぎれそうな痛みからやっと解放され、フワフワなバストを押さえ付ける感触を俺は楽しめた。このまま最後まで走ってくれるかな。
 もはやなりふり構わない対応に、観衆は目を見張る。
 はた目には、おっぱいを揉みながら走っていく様に見えるんだろうな。
 そうまでして走り続けるのか?
 俺はもっとサオリを爆乳にした。
「ま、まだ大きくなる?」
 それに合わせてサオリの両手も押さえ付けに力が入り、指が深々とめり込む事になった。なんて柔らかいんだろう。
 ゼッケンは既にヒモが切れてしまって、裏向きになって腹の下で垂れている。
 シャツの脇からは入り切らなくなったバストがこぼれ出てくる。
 ハミ乳ってやつだ。
 服の肩部分を左右に引っ張って中に戻そうとするが、体積の絶対量が大きすぎるのではみ出さないわけがない。

 走る体のゆれに同調させる様に、つかんだ胸を上下に振って、何とか跳ね回りを相殺するサオリ。
 その指先が不思議な突起に触れた。
 乳首だ。
 バストサイズに合う様な大きな乳首を、俺は想像していた。
 触ればすぐに分かるものだが、確認せずにはいられないのか、走りながらそれを親指でグリグリと動かすサオリ。
 なぜ胸が大きくなったのか好奇心が働き、マラソンの最中でもついいじってしまったのだ。
 硬く隆起を増す乳首。
 あわてて手を離した時は既に遅く、乳首は勃起し尽くしていた。
 サオリがうつむいて胸元を確かめるのを、視覚を共有する俺も見た。
 ブラははずれかけ、ゼッケンも取れてしまい、ただでさえ薄手のシャツはパンパンに張って布地が伸びている。
 大きな乳首はシャツからボッチリと出て、色素が透けて見える。
 布に擦れる刺激で萎縮する事なく硬さを保ち続け、何とか隠そうとしても、ゆれる爆乳のせいで指の間からこぼれるばかり。
 うっかりするとコントロールを離れた巨大バストが、眼前で暴れだす。
 沿道の観客は底知れない程の人数で、数十、数百の視線が入れ替わり爆乳ランナーを見つめる。
 サオリは泣き出しそうだった。
「誰かぁ、小さくしてぇ!」

 ゴールのテープを切ったのは、巨大バストの先端だった。優勝だ。
 あの露骨なおっぱい押さえ走りで、サオリは最後まで走り抜いていた。それだけではない。タイムはサオリの自己記録を更新もしていた。
 膨らんだバストを少しでも早く隠したい。この一心が驚異的なスピードを生み出したのだ。
 リタイアしても良かったものを、そうしなかったサオリの、走りにかける陸上部魂に感動しながら、俺はサオリの胸を元の真っ平らに戻した。
 表彰台に立つサオリを賞状を持った主催者はじろじろ見た。バストの大きさが全く別人になっていたから、疑ったのは当然だろう。
 ところでこの優勝の報は新聞に掲載されたが、実はこの大会は地元テレビも中継していたりする。
 録画されたビデオを見て俺は満足だった。
 終始、先頭を走り続けたサオリの姿が、2時間以上、延々と映されている。
 絶望的な表情のサオリが、バストを振り乱しながら後続をひき離していく。
 ノーブラの爆乳をゆれを、しばしばカメラが堂々とズームアップした。乳首の勃起もはっきり見える。よく中継中止にならなかったものだ。
 次第に大きくなりバストを恥ずかしながらも、走り続ける『爆乳マラソン』の記録は、俺の宝物の一つとなった。
 何度もビデオを見返して俺は確信した。俺の能力は「テレオプティカー」なんてつまらないものじゃない。
 俺は「ブレストジャッカー」なのだ!

続く