コンプレックス少女

ブラン 作
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体育の授業のあと、仲良し三人組が更衣室で着替えている。
「ねぇ、あやのの胸ってさぁ。また大きくなったんじゃない?」
「え、ええっ。そんなことないと思うけど。」
親友のなつきに指摘され、京極あやのは困惑の表情を浮かべている。
昔は他の子と同じように膨らみの少ない胸に悩んでいたが、中学3年生頃
からむくむくと急成長を始め、今ではグラビアアイドルよりも大きいのでは
ないかと噂されるほどの巨乳に成長していた。
「そのブラ、夏休みに買ったって言ってたやつだよね?カップが浮きぎみで
少しきつそうになってない?」
「う、うん。実は・・・」
「Hカップブラともたった3ヶ月でお別れか・・・。まったく、あやのの胸の
成長は留まるところしらないわね・・・」

佐竹なつきはその隣で着替えている大友はるかに目をやった。
「な、なに見てんのよ!ああっ、それに比べてはるかの胸はいつまで経って
もペタンコのままねって言いたい訳?」
「ち、違うわよ。はるか。考えすぎだって。」
「私だって、あやののように大きくなりたいと思っていろいろ努力してるわ
よ・・・」
大友はるかの胸にはわずかな膨らみしかなく、本当はAカップで十分なのだ
が、少しでも大きく見せようと、いつもパットが多めに入ったBカップを着け
ている。胸とは対照的に著しい成長のあとが認められるのは下半身だった。
窮屈なMサイズのショートパンツに大きなヒップを無理やり押し込むので、
あやのの胸と同様にこちらも男子生徒たちの注目を集めることになっていた。
「でも大きくなったのは胸じゃなくてお尻だったって?」
「このぉ!!一番気にしてるところを!」
「い、いいじゃない。外国人男性には受けるっていうじゃない?これからの
国際社会で大活躍かもよ。」
「ひどーい!アナタなんか、見た目も頭も子供なんだから、きっとオタクな
人たちからしか相手にされないわよ!」
「なにー!!」
佐竹なつきはクラスで一番背が低く、顔も童顔なので制服を着ていなければ
高校生には見えない。大抵は小学生に間違えられている。(ただし、見た目
に反して胸は大きく、プロポーションも抜群なので、これもはるかの癇にさ
わるところであった。)
日々様々なトラブルが起こるのはなつきの天真爛漫な性格によるところが大
きかった。この程度のもめ事も彼女たちには日常茶飯事のことだ。

「ちょ、ちょっとやめなさいよ!もうすぐ休み時間終わっちゃうわよ!」
勝負が泥仕合の様相を呈してきたところで京極あやのが制止に入り、なつき
にげんこつを落とそうとするはるかを羽交い締めにした。
「へーい。あやののばかでっかい乳を背中に押しつけられたら急にテンショ
ンが下がったわ・・・」
「こ、こらっ。私だって気にしてるんだから・・・。人にはじろじろ見られ
るし、走ると揺れてものすごく痛いし、歩くだけで揺れるし、肩こりはひど
いし、足元は見えなくてつまずくし・・・ブラは高くてデザインはないし、
かわいい服なんかぜんぜん着られないし・・・・」
「おっと、いつもの愚痴が始まったから次の授業に向かいますか。」
「そうしましょう。そうしましょう。」

END