自宅の風呂場の脱衣所で京極あやのはバストサイズを測定していた。
「はぁ、やっぱりまた大きくなってる。」
昼間、なつきに指摘されたように胸はまた一回り成長していたようだった。
「最近、肩こりがひどいのもブラが合わなくなったせいかなぁ。
やっぱり、新しいのを買わなきゃだめか・・・。」
次の日、学校にて。
休み時間中、あやのに声をかけてきたのは佐竹なつきだった。
「ねぇ、今週の土曜日、どこか遊びにいかない?はるかを誘ったんだけど
予備校があるから忙しいとか言っちゃって付き合い悪いよね。この前
みたいに8時間耐久カラオケやろうよ〜」
あやのはカラオケが嫌いではないが、なつきと一緒に行くと声がかれるま
で帰してくれないので乗り気ではなかった。土曜日はデパートに下着を買
い物に行こうと考えていたので用事があると言って断った。
「えー、買い物にいくの?じゃぁ、買い物の後でカラオケに決まりね。
てゆうか、そのデパートならワタシがついていってあげる。パパが大株主
だから割引になるし。ワタシも服買いたいと思ってたのよね〜。」
なつきはものすごいお嬢さんで、父親は大きな会社をいくつか経営してい
るって噂は聞いたことがある。一緒に行くとなにかとややこしくなる恐れ
はあったが、割引になるのはありがたかった。下着の値段だって結構馬鹿
にならないのだ。
次の土曜日、
二人が目的のデパートに到着するとなんと支店長が現れ、なつきに挨拶を
した。他の店員たちも深々とお辞儀をしている。
「(な、なによ?この特別扱いは・・・)」
あやのがあっけにとられていると、なつきはお辞儀を横目にすたすたと歩
き始めた。
「ねぇ、先に私の服をみてもいいかな?だいたい買うもの決めてある
んだ。」
なつきはいつも服を買っているらしい店に入ると、次々と服を選んでい
き、7、8着の服を店員に持たせて試着室に入った。10分ほどしたと
ころで、試着室から出てくるとあやのに言った。
「さあ、次いこうよ。」
「え、何も買わないの?」
「もう買ったわよ、あれ全部。あとは家に届けてもらうの。」
下着売り場に来た。すると、さっき勢いでなつきが下着を選び始めた。
「ねぇねぇ、あやの、これカワイクない??きゃー、これってすごく大胆
じゃない!?」
「ちょ、ちょっと私が買いに来たんだからね!」
「わかってるわよ。でも私も買うんだから!」
なつきの担当らしき若い店員が少し離れたところから声をかけた。
「佐竹さま、ご試着なさいますか?」
なつきは気に入った下着たちを両腕いっぱいに抱えて、試着ルームに入っ
ていった。
あやのはようやく一人になり、目的のものを探せることになった。
「(えっと、大きいサイズは・・・)」
彼女がブラジャーを選んでいると店員が声をかけて来て、フィッティン
グをしてもらうことになった。
試着室に入るとまず店員が服の上からサイズを採寸した。高校生には似つ
かわしくない大きな膨らみに店員も驚きを隠せないようだった。
「トップは・・・きゅ、98・・・。アンダーは・・・68ですから、
今のサイズだと少し小さいかもしれませんね。」
試着室のカーテンが閉められると、あやのは服を脱いで、窮屈なブラを外
した。大きな膨らみはブラの拘束がなくなっても奇跡的に美しい形を保っ
ており、肌のきめは細かく貼りがあった。
彼女はいままでと同じHカップのブラを着けてみたが、すぐにきつすぎると
悟った。
「(だめかぁ、かわいいデザインなんだけどなぁ・・・)」
あやのは次にIカップを胸にあて、後ろのホックを止めてみた。
「(やっぱり・・・Iがちょうどみたいだわ・・・)」
店員がフィッティングのために試着室に入ってきた。手をブラのカップの
中に潜りこませカップの下や横に逃げているバストをぐっと引き上げて
カップの中に納めた、そうすると思った以上にカップの上部分からバスト
が溢れ気味になってしまった。
「このブランドの商品は少しカップが浅めなので、ちょっと窮屈かもしれ
ません・・・」
「他のメーカーのものはありませんか?」
「それが・・・このサイズはこれしか取り扱ってないのです。」
「(がーん。そんなぁ・・・)」
外ではなつきが支払いを済ませ、あやのが出てくるのを待っていた。
「あれ?あやの、なんで買わなかったの??気に入ったのがなかった??」
「う、うん。ちょっとね。買おうと思っていたのがなくて・・・ははっ。」
結局、その日あやのは何の収穫もなく、なつきに5時間以上カラオケに付き
合わされて家に帰ってきたのだった。
END