コンプレックス少女

ブラン 作
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はるかは鏡に写った平らな胸に大きなため息をついた。
「はぁ・・・、どうしてこんなに苦労してるのに大きくならないんだろ。」
大友はるかは学内で一番と噂されるほどの美少女であり、成績も常にトッ
プ3に入るほど優等生であった。そんな彼女の大きな悩みは、高校生にな
っても一向に成長する様子のない小さな胸だった。近頃は胸を大きくする
ためのバストマッサージに取り組んでいたがそれも効果はなく、高価な
サプリメントに小遣いの大半を費やしていた。
バストマッサージが終わって、風呂から上がるといつものサプリメント
を水と一緒に飲み込んだ。そのとき、食卓の上に小さな荷物が乗っている
のに気がついた。
「もしかして、例のものかも?」
送り主も確認せず包みを空けると、中から出てきたのはバストマックス
DXと書かれた薬品だった。
「やっと届いた!このクリームを毎日寝る前に胸に塗り込めば、ぐんぐん
と成長して、早ければ2ヶ月でAカップがCカップかぁ・・・」

***
次の朝、目が覚めたとき、身体が重くいつもと何かが違うと感じた。
「なんだか胸が苦しい・・・。ま、まさか!?」
彼女は両胸に手を当てると昨日まではなかったやわらかい膨らみを感じた。
「う、うっそーお!む、胸がおおきくなってる!!」
彼女は身体を起こして、胸元を見下ろすと、パジャマがパンパンに張り
つめているのがわかった。第二ボタンは既に弾け飛んで無くなっており、
他のボタンも今にもボタンが弾けそうになっている。
「す、すごい。E、いえ、Fカップくらいになってるわ。」
彼女は両手で乳房をすくい上げるようにして持ち上げでずっしりとした重
みを確かめたり、グラビアアイドルのように両腕で胸を寄せて谷間を作っ
たりしてみた。
「いけない!学校に行く時間!!」
チェストの引き出しからBカップのブラを取り出したが、当然のことながら
ホックが止まるはずもなかった。
「やだぁ、やっぱりこれじゃあぜんぜん入んないわ。」

教室に入るとはるかの姿にクラスメイトは騒然となった。
「うおおぉ、なんじゃありゃあ?」
「はるか様がグラビアアイドル並みの巨乳に?」
「いくらなんでも偽物だろ」

早速、佐竹なつきがはるかに近寄ってきた。
「はるか!ちょっとなんなのよその胸?」
はるかは朝起きたら急に大きくなってたと説明したが、当然信じてはもら
えなかった。
「うそばっかり、一日でそんなに大きくなるわけないじゃない?なにが
入ってるの?」
そう言って、なつきは両手ではるかの胸を正面から鷲づかみにした。
「うそ・・・、本物みたいにやわらかいじゃない・・・」
はるかはなつきの手を払いのけたが、急に胸に違和感を覚えた。
(むくむくっ)
「うそっ!!また胸が大きくなってる!」
制服の胸の膨らみが目に見えて大きくなり、みるみるうちに二つのメロン
くらいの大きさになった。
(ぷちんっ!)
もともと窮屈だったブラウスのボタンがあっけなく弾け飛んでしまった。
クラス内はさらに騒然となった。
「見たか?いまの?」
「はるか様の胸が!」
「京極よりでかくなったんじゃねぇか?」

このままの格好では授業が受けられないということで、はるかはなつきと
あやのの二人に付き添われて保健室に向かった。保健室はあいにく先生が
不在だったのであやのが先生を呼びに行くことになった。
「しかし、ものすごい胸ね。明らかにあやのよりも一回り大きいわ。」
なつきはすばしっこくはるかの後ろに廻ると、両手で大きくなった胸を
下からぐいと持ち上げた。
「きゃあ!なつき、何するのよ!」
「あやのの胸は張りがあって水風船みたいだけど、はるかのは柔らかくて
マシュマロのようね。」
(むくむくむくっ)
「ま、また大きくなってる!?」
胸はスイカほどのサイズまで膨んだ。
「お願い、もう大きくならないで!」
しかし、その願いも虚しく目に見えて成長は進んでいた。
なつきは自分ではどうしてよいか分からず、先生とあやのを探しに保健
室を飛び出していった。

はるかは両手を胸の前で組み合わせ、これ以上胸が大きくならないように
抱え込むようにした。しかし、次第に組んでいた腕も圧力に耐えられなく
なった。ベッドの上は二つの乳房が占拠し、重みに耐えかねてきしきしと
音をたてた。
(むくむくむくむくっ)
胸はベッドからも溢れ出し、スピードを速めながらどんどんと大きくな
った。巨大な乳房がものをなぎ倒しながら保健室中一杯になろうとして
いる。
「はるかー!大丈夫!?」
保健室の扉を叩く音と、扉の外からみんなの声が聞こえる。しかし、巨大
な乳房が扉を押さえつけていて誰も入って来られない。目の前は二つの乳
房で次第に視界が塞がれてきて、行き場をうしなった乳房に圧迫され、
徐々に呼吸が困難になってきた。
「だ、誰かたすけて・・・苦しい。」

***
「はっ!・・・・夢かぁ。」
はるかは巨大化した自分のバストに窒息させられるところで目が覚めた。
慌てて胸に手をあてて確認したが、いつもと変わらず平らな胸のままだ
った。
「はは、うれしいような悲しいような・・・」

END