天使のアメ 前編

ブラン 作
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不景気の波は都心から遠く離れた地方都市のこの街にも押し寄せている。勤
め人はある者は悲壮な表情を浮かべて、ある者はうつむきながら皆急ぎ足で
通りを通り過ぎていく。公園の水飲み場に痩せた老人がうずくまっていても
気付いているのかいないのか誰一人声をかける様子はない。
この街で元気があるのは中学生や高校生くらいだ。といっても少子化のお陰
で昔に比べると数は少ないし、彼らも彼らなりにテストや学習塾や部活に追
われている。老人に気がついても嫌なものを見てしまったとばかりに距離を
取りながら通り過ぎていく。

「ヤッバ!今日も遅刻だわ!」
遅刻はほぼ確定しているものの、精一杯の努力はしようと勢いよく駆けてい
るのは近所の高校に通う女子高生、一条ナナミだった。公園を斜めに横切る
と少しは近道になる。彼女にもうずくまっている老人が全く視界に入ってい
ない。

「がんっ!」
彼女の通学カバンが老人の頭の後頭部にヒットし、老人はそのまま地面に突
っ伏してしまった。
「きゃあああぁっ!ごめんなさい!!」
粗末な衣服をまとった老人は微かにもぞもぞと動いている。
「よかった!生きてた。死んじゃったかと思ったわ・・・。」

少女は老人を助け起こすと丁寧に何度も謝り、その場を去ろうとした。
「お嬢さん、行ってしまう前に何か食べ物を恵んでくれんかのぅ。」
改めて老人を見ると、年齢は70歳を軽く超えているようであり、顔には立派
な白いひげを蓄えている。身につけている衣服はみすぼらしくまるで修行僧
のようだった。
「た、食べ物ったって・・・。お昼用に買っておいたパンくらいならあるけ
ど・・・。」
そういってナナミが通学カバンから包みをだすや否や、老人は素早い動きで
それを奪い取りがつがつと食べ始めた。
「きゃぁー。こら!全部あげるとは言ってないわよ!!」
老人はよほど空腹だったのか、あっと言う間にナナミの昼食を平らげてしま
った。
「まったく、もぅ・・・。飲み物なしでよく一気食いできるわね。」
そう言ってカバンからペットボトルのお茶を取り出すと老人に差し出した。老人はこれも一気にぐいぐいと飲み干してしまった。

「むほんっ。お嬢さん、大変助かったわい。わしはそのぅ、ちいと遠いとこ
ろから来たんでのぅ。道に迷ってしもうて、三日三晩飲まず食わずだったの
じゃ。」
老人はだんだんと血色がよくなり少し精気を取り戻したようだった。
「あの、私、学校があるから行くね!もう、完璧に遅刻してるんだけど。」
そう言って、立ち去ろうとするナナミを老人が引き留めた。

「ちょっと待ちなされ。お礼といっちゃ何だが、お嬢さんにこれをあげよ
う。」
老人は背負っていた袋の中からなにやら道具を取りだした。
「きゃー。お礼くれるの?ラッキー。何だろな?これ、メガネみたいだけ
ど。」
老人が取りだしたのは黒いレンズの入ったどこからどう見ても普通のサング
ラスだった。
「普通のメガネのように見えるが、これは天上界のありがたいアイテムで
な。人の裸が透視できる魔法のグラサンなのじゃ。」
「いるかぁ、こんなもん!だいたいこんなうさんくさい・・・」
ナナミがサングラス越しに老人を見ると服を着ている筈の老人の裸が見えて
いる。
「お、おえーっ。朝から何てもの見せんだ。しかし、何でこんなこと
が・・・」
老人は得意げに肩をそびやかしている。

「ほっ、ほっ。だから言っておるだろう、わしは天界に住まう者。下界の者
はこのようなアイテムは珍しかろう。」
「天界?」
「そうじゃ、天上界、略して天界じゃ。ちょっと地上に用があって来たのだ
が道に迷ってしまって。天界のカネはこちらではつかえんから困っておった
のだ。」
ナナミは改めて老人の風貌を眺めた。背はナナミより少し小柄で白いひげを
生やし、手には杖をもち、いかにも仙人という出で立ちをしている。
「も、もしかしておじいさん、あの有名な○仙人?」
「○仙人ってのではない。人違いじゃ。しかし、仙人というのは当たってお
る。確かお前さんらの呼び方ではそうなんじゃったな。」
「ふーん。じゃぁ、他にも何か変わったものもってるの?」
「うーん、そうじゃな。これはどうじゃ?」

老人が取りだしたのは鮮やかな色の鳥の羽で作られた美しい扇子だった。
「扇子?」
「そうじゃ。扇ぐと一陣の風が巻き起こり。たちどころに女の子のスカート
をめくりあげることができる。いるか?」
「(ボコッ)。いらんわ!なんでそんなエロアイテムばっかなのよ!」
「こらこら、老人の頭をたやすくどつくでない。この扇子は伝説の扇の精巧
なイミテーションでそこそこの価値はあるのだが・・・で、ではこれはどう
じゃ?」

老人は巾着のなかから小さな赤いあめ玉のようなものを取りだした。
「これは天使のアメと呼ばれるアメの中でもピチピチの玉というありがたい
アメ玉じゃ。舐めればどのようなおなごでも忽ちピチピチギャルになること
ができる。そなたの未発達の胸も一人前におなごのようになるじゃろう
て・・・」
「(ボコ、ボコ、ボコッ)。今、そのサングラスで見ただろ!このエロ仙
人!」
「見とらん、見とらん。このサングラスはやましい心で見ようとすると何も
見えんのじゃ。まったく乱暴な娘さんじゃ。」

ナナミは老人からアメを受け取るとすぐにぱくっと口に放り込んだ。しか
し、何もおこらなかった。
「なにも起こらないじゃない!!」
「まあ、そう急くではない。しばらく時間がかかるでのう。そうじゃ、おぬ
しは学校とやらに行くのではなかったのかの?」
「そ、そうだった!こんなことしてる場合じゃなかったわ!」
ナナミは通学カバンを持ち上げ、来たとき同じように勢いよく駆けていっ
た。


学校に着くと、朝のホームルームの時間はとっくに終わり、一時間目の国語
の授業が始まっていた。
「一条!今、何時だと思っとるんだ!?」
「ご、ごめんなさい。実は途中で気分が悪くなって・・・」
大遅刻をすると意外と怒られないものである。それに気分が悪くなったとい
う女生徒に男性教師はあまり強く叱れないものだ。
「早く席に着きなさい。」
席に着いてカバンから教科書を取りだしてノートを開く。息を切らせて走っ
てきたので動悸がなかなか納まらなかった。それどころかその動悸はますま
す激しくなっているように感じる。
「ううっ、気分悪っ。」

「ねぇ、気分が悪いんだったら保健室についていこうか?」
顔を真っ青にしているナナミに声をかけてくれたのは隣の席に座る長野みか
げであった。
「大丈夫よ。もう少ししたら収まると思うから・・・」
そうは言ったものの、胸が締め付けられるような苦しさは一向にましになる
ようすはなかった。
「(脇腹にブラが食い込んで痛い・・・やっぱり保健室に行こ・・・)」
ナナミは先生にやはり気分が悪いから保健室に行くと申し出て、みかげには
一人で大丈夫だからと言って教室を出て行った。
教室を出て廊下の角を曲がると、誰からも見えないところで背中に手を廻し
ブラのホックを外そうとした。しかし、それは固く締まっていて簡単には外
れない。ナナミは外すことを諦め保健室へと向かった。
「先生、胸が苦しくて・・・。」
保健室の折原まゆこ先生はナナミの顔面蒼白な顔にびっくりしながら、ナナ
ミが言う通りにきつく締まったブラジャーのホックを外した。
「(ぷちっ)。ふうー、苦しかった・・・」
ホックを外すと同時に、押さえつけられていた乳肉がぶるんと溢れ出した。
「(う、うそ、なにこれ?胸が大きくなってる・・・)」
鏡に写った姿を見るとバストが急成長し制服を押し上げているのがわかっ
た。
先生はナナミのブラジャーと胸の膨らみを見比べて怪訝な顔をしている。
「一条さん、こんな小さいブラを着けてたら胸が締め付けられて気分が悪く
なるのも当然です。ちゃんと成長に応じてサイズを合わせなきゃ、胸の発育
にもよくないし、形だって崩れかねないわよ。」
そういって、先生はナナミのAカップのブラジャーを投げ返した。さらにポケ
ットからメジャーを取りだした。
「ちょっと測ってあげるから服を上げてくれる?」
ナナミは先生の言われるままにするしかなかった。制服をたくし上げると白
く形の良い二つの乳房が露わになった。鏡に写った自分のバストをみてそれ
がまだ自分のものであることが信じられない。
「えーと・・・トップ86センチ・・・アンダーは68センチ・・・Dカップ
ってところね。一度、下着売り場できちんと測ってもらった方がいいと思う
けど。」
「(うそぉ、10センチ以上も大きくなってる・・・)」

腰回りに手を当てると以前に比べて少し肉付きが良くなっているようであっ
た。ヒップの体積も増したようでショーツが尻に食い込んでいるのがわかっ
た。ナナミは先生に見えないところでスカートのホックを一つ緩めた。
ノーブラの胸は歩いているだけでふるんふるんと揺れ、制服の下に着ている
キャミソールの生地に乳房の先端が擦れてくすぐったかった。


教室に戻ると国語の授業は終わっていて、休み時間になっていた。
親友の長野みかげもナナミの血色が戻っているのを見て安心したようだっ
た。
「ほんとよかったわ。顔が真っ青だったんだもん・・・。あれ?ナナミ、何
か雰囲気変わったような?・・・ってか、これは何なの?」
みかげが指さしたのはナナミの胸元であった。
「何って?」
「ムネよ、ムネ!いつの間にこんなにでっかくなったのよ!この裏切り
者!」
「ええっと、最近、成長期みたいで・・・。さっきもブラが苦しくなっ
て・・・。」
「えーっ!ブラが窮屈で気分が悪くなっただけなの!?心配して損した
ぁ!」
みかげはAカップに満たない平らな胸に悩んでおり、ナナミを同じ悩みをもつ
親友と考えていたのだが、明らかに標準をオーバーしたナナミの胸の膨らみ
をみて愕然としたのであった。ナナミはみかげの羨まし気な様を見て得意げ
になった。
「(あの老人に感謝!やっぱ人助けはするものね!)」