4月になり、はるか、あやの、なつきの三人も高校3年生になった。
窓の外の桜を眺めながらため息をついたのは大友はるかだった。
「はぁ、今年は受験の年か。気が重い・・・」
学年でトップ3に入るほどの優等生だが将来には悲観的だ。
「もう、はるかったら心配性ね。あまり先のこと考えてたら暗くなる
わよ!」
根拠なくいつも明るいのは佐竹なつきである。150cm足らずの小柄
な身体に元気を十分にストックしている。
「それより、なんか面白いことないかな?3年になったけど特別変化は
ないよねぇ。」
「面白いことならあるわよ。」
そういって珍しく自分から会話に入り込んできたのは京極あやのだった。
「このクラスにアメリカから留学生がやってくるらしいわよ!もの凄く
美人でしかも優秀だんだって。お母さんがモデルか何かで、お父さんは
会社を経営してるっていうからセレブに違いないわ!」
他のクラスから伝え聞いた情報をあやのは興奮気味に語った。
「その子のお父さんとうちの学園の理事長が友だちらしいのよ。娘が大
きくなったら日本の文化を学ばせたいから預かって欲しいって話になっ
てたんだって。」
セレブと聞いたなつきは早速、対抗意識を燃やし始めた様だった。
「ふーん。天は二物を与えず。そんな娘に限って性格は最悪だったりする
のよ!」
はるかとあやのは顔を見合わせてお互い同じ事を思ったようだった。
「(それはあんたのことでしょ!)」
次の日の朝のホームルームの時間、噂の留学生は担任に連れられて教室に
やってきた。
入ってきたのは170cm以上はある長身の女性で、海外の女優かモデル
かと見まがうほどの美女である。彼女の風貌を目にしてどよめきが起
こった。
「ほんとに私たちと同い年なの?」
「きれい、ハリウッドの女優さんみたい。」
「女の私でも惚れてしまいそうだわ・・・」
さらに目を惹くのは大きく前に突き出した胸の膨らみで、制服のサイズが
合ってないのかボタンが弾けそうになっている。
「一体、何センチあるんだ?あの胸。」
「あの胸、あの尻、やっぱ、外国人は身体のつくりが違うぜ。」
「ありゃ、京極よりもはるかにでかいな。」
男子生徒は彼女の大きく膨らんだ胸元と抜群のスタイルに釘付けとなった。
担任が生徒達のどよめきを収めると、彼女の名前をホワイトボードに書
いた。
「はじめまして。私の名前はカレン・アンダーソンです。アメリカのコネ
チカット州から来ました。」
留学生はその見かけに反して流暢な日本語喋った。年齢ははるか達と同い
年の17歳である。趣味は乗馬。ホテル経営者の父のすすめで日本人の
ホスピタリティ、つまりもてなしの心を学ぶために3ヶ月の間だけ留学
に来たのだそうだ。ホームルームの時間が終わると女生徒達がカレンの
周りを取り囲み質問攻めが始まった。
「えっ、家にプールがあるの?本物のお金持ちだぁ・・・」
「すごおい、乗馬のコースまであるの??」
「お母さんはどんな人なの?え、モデルさん?どうりで美人なはずよね。」
カレンはクラスの中だけでなく校内でも一躍アイドルの座に輝いた。
校内一の美少女と言われた大友はるかもカレンの美貌に惚れて自らファン
になるほどだった。
しかし、クラスで唯一、カレンにライバル心を燃やす女生徒がいた。
佐竹なつきである。
自分よりも遥かに家庭が裕福であることのほかに、その高身長も気にくわ
ないところだった。150cm足らずのなつきが174cmのカレンの隣
に並ぶと大人と子供のように見えた。
はるか達の学校では秋の体育祭・文化祭と並んで春のバレーボール大会が
恒例の大きな行事であった。4月に入ると基本的に体育の授業はバレー
ボールとなり、6月の大会に向けて練習と選手の選抜が始まる。
選抜されたメンバーで男子と女子、それぞれ1チームづつが作られる。
これには体育教師だけでなくクラス担任も加わって入念にメンバーを選ぶ
ほどの力の入れようであった。
佐竹なつきは運動神経が抜群で球技を得意としている。去年はキャプテン
を務め、学年2位の成績を納めている。今年は優勝すべく気合いも十分で
ある。なつきは小柄であるためセッターを務めるが、機敏な動きと、絶妙
のトスさばきで定評があった。
体育の授業では早速先生の目に止まり、早くも選抜メンバー入りを言い
渡された。
今年、なつきの他に注目を浴びたのが留学生のカレンであった。
バレーボールは経験がなく初めてだったが、高い身長と乗馬で鍛えた身体
能力の高さのお陰で強力なスパイクを放つことができた。カレンは授業
のたびにどんどんとコツをつかみ、彼女も選抜メンバーに加えられること
となった。カレンのメンバー入りを喜んだのは男子生徒達だった。
彼女の巨大な胸は少しの動きでぶるんぶるんと揺れ、スパイクを打つとき
に腕を振り上げると体操着が上がってブラジャーが見えそうになるから
だった。
メンバー入りを快く思わなかったのはなつきである。
自分が目立つチャンスをカレンに奪われたかたちとなったためだ。なつき
はカレンにトスを廻さなかったり、難しいボールを上げたりした。二人の
コンビネーションがちぐはぐなためチームとしてもまとまりがなかった。
5月に入り、カレンとなつきのコンビネーションも少しは改善の傾向が
見られた。カレンがなつきの癖を読み取って動けるようになってきた
からだった。なつきとしても頑張り屋のカレンを見るうちにだんだんと
いじわるな気持ちは消え失せていた。
「あの二人、良くなってるわね。」
完全に見学者となったはるかが冷静にチームを分析していた。あやのは
はるかの隣で練習試合の様子を眺めているだけである。
「あんなに飛んだり跳ねたりして、カレン、胸が揺れて痛くないのかなぁ?」
あやのはぼそりとつぶやいた。
あやのは放課後の更衣室にカレンを呼び出していた。
「あやのサン?何ですか用っテ?」
「ねぇ、ちょっとコレ見てくれるかな。」
そういうとあやのはカレンの前で自分の制服のブラウスのボタンを一つ
ずつ外し始めた。
「あ、あやのサン、何を始めるんですカ?」
カレンは戸惑って顔を赤らめている。あやのの胸にはサラシが巻かれて
いた。
「これはサラシといって着物なんかを着るときに胸を抑えるためにつけるものなの。これを巻くと胸の揺れが少なくなって動きやすいわよ。私、
体育の授業のときはよくこれを巻いてくるの。」
「ハイ、ジャバニーズ・カルチャーですね。」
カレンは興味津々で、幅の広い布できっちりと巻かれたあやのの胸元を
見た。
「もしよかったら、使ってないのがあるんだけど。カレン、巻いてみる?」
「ワオ、いいんですか?ぜひ、お願いします。」
カレンが制服のボタンを外すと巨大なブラにつつまれた胸の膨らみが現
れた。背中に手を廻してホックを外しブラを取ると外国人特有の前に
どーんと突き出したロケット型の巨大なバストが露わになった。
「(わぁ、おおきい。)」
あやのは自分より大きいカレンのバストに目が釘付けになった。
「あやのサン、恥ずかしいです。早くそれを巻いてください。」
カレンにサラシの端を押さえてもらいながら、あやのはするするとカレン
の胸にサラシを巻き付け始めた。
「ねぇ、カレンは胸のことで嫌な思いをしたことはないの?」
「たくさんあるわよ。ワタシ、小学生のときから人並み外れて大きかった
から、冷やかされたり、苛められたり。でも、母親からは人と違うことは
すばらしいこと、いずれアナタにとってプラスになると言って励まされ
たの。それであまり気にしないようになったわ。 あやのは?」
「わたしも嫌な思いはたくさんあるわ。でも、カレンのように割り切って
考えられない。胸が大きくていいことなんて特にないし。」
「ふーん、そう?ボーイフレンドには困らないわよ。」
カレンは怪訝な顔をしている。
「えー、それってカレンが美人だからよ!」
サラシが巻き終わると、カレンはその場で大きくジャンプをしてみた。
胸の揺れは小さくなり、飛んでも胸が痛くないと大喜びだ。
「あやのサン。ぜひワタシにもサラシの巻き方を教えてほしいわ。」
「うん、じゃあもう一回やってみようか?」
「それより自分でやってみたいからあやのが練習台になってくれる?」
「ええ、いいわよ。」
あやのは巻いていたサラシをするするとほどいていく、きつかった拘束
が解けあやのの半球状の巨大なバストが露わになった。
「ワオ、大きいですね♪」
「もぅ、そんなこと言って。カレンの方が大きいじゃない!」
「かたちも綺麗で羨ましいわ。サイズはいくつデスカ?」
「ええっ、ひゃ、108くらい。」
あやのは恥ずかし気に小さな声でバストサイズを告白した。高校二年で
3ケタの大台を突入した胸はその後もすくすくと成長を続けており、
三年になった今でも成長は止まっていない。
「ワタシは112センチよ。これだけあると自分に合うブラ探すの大変
デス。」
「そうそう。私も日本製じゃサイズがなくて・・・外国製を買ってる。
でもアンダーが大きかったりしてなかなか合うのが見つからないの。」
「日本人は細いから。あやのサンのアンダーバストはいくつ?」
「68だったかな。」
「ワオ!では、トップとアンダーの差が40もありますネ。私はアンダー
75だから37センチしかない・・・ということは。」
「ええっ、そんなぁ・・・。」
「ブラのカップは私よりあやのサンのほうが一つ大きいみたい。ワタシ、
自分よりムネの大きなひとに出会ったの初めてデス。」
「もう、大きい、大きいって言わないで。私、まだカレンのように自分の
胸を好きになれてないんだから・・・」
カレンはあやのに巻き方を教えてもらい、それ以降、バレーボールでの
動きが格段によくなった。なつきもカレンの動きには舌をまき、抜群の
コンビネーションを発揮するようになった。
大会当日もカレンとなつきのコンビが大活躍し、念願の優勝を勝ち取った
のだった。
3ヶ月の留学期間が終わりカレンは帰国した。
窓の外を眺めながらため息をついたのは佐竹なつきだった
「カレンとうとう帰っちゃったわね。なつき、すごく淋しそうじゃない?
ふふふ。」
「そ、そんなんじゃないんだから!」
最初はカレンを毛嫌いしていたなつきもバレーボールを通じて熱い友情が
芽生えたようだった。それをはるかに指摘されてばつの悪い思いをする
なつきだった。
「あーあ、でも結局何ひとつカレンに勝てなかったわね。美人で成績
優秀、スポーツ万能で教養もあって、それにあの大きい胸。まさに
パーフェクトガールだったわ。ねぇ、あやの?」
「う、うん。」
感傷に浸る二人に、ブラのカップについてはカレンに勝っていたとは
決して言えないあやのだった。
END