甘い誘惑

ブラン 作
Copyright 2014 by Buran All rights reserved.

街を歩いていて自然と人々の視線を集めるほどの美人。篠原ゆり子はそういう女性に分類
されるだろう。背は高く、印象的な大きな目と整った顔立ちから育ちのよいお嬢様という
印象も受ける。手足は細く、肌は透き通るように白い。
高校時代には新体操でインターハイに出場し、その美しい容姿のお陰で新聞のスポーツ欄
に写真が載ったこともあったし、それが縁でファッション雑誌のモデルも勤めたことがあ
る。大学生になってからもその美貌はますます磨きがかかっているようであった。

一見、非の打ち所がないように見える彼女にも小さからぬ悩みがあった。
「はぁ、また増えてる・・・」
彼女は体重計の数字を見てため息をついた。
高校時代、毎日激しい新体操の練習を続けていたため、体重が増えるという悩みを経験し
たことはなかった。しかし、高3の秋に引退してからというもの少しずつ体重が増え始め、
47kgだった体重は50kgをオーバーするようになっていた。
それを気にして最近、フィットネスクラブ通いを始めたのだった。

「おっす、ゆり子、久しぶりね!」
フィットネスクラブでゆり子がルームランナーでランニングをしているときに友人のサヤ
が近づいてきた。サヤは高校時代からの親友である。
ゆり子はルームランナーの速度を落とし、右手のタオルで汗を拭った。
「試験は?終わったの?」
「うーん、一応ね。一科目やばくて、ひょっとしたら追試かもしれない。ゆり子のように
きちんと授業出ておけばよかったわ。まぁ、後の祭りですけど・・・。それはそうと、ゆ
り子ってさぁ?・・・最近、ムネ大きくなったんじゃない?」
「えっ・・・」
「だって、そのウエア。明らかにきつそうよ〜。」
高校時代から使っているフィットネス用のウエアは身体にぴったりとフィットし、一回り
大きくなった胸が布地を押し上げ、胸のかたちをくっきりと浮かび上がらせている。
「う、うん。最近、ちょっと太っちゃって・・・」

ゆり子の高校の新体操部は激しい練習と徹底的な健康管理で有名だった。食事のカロリー
コントロールもされているため食欲旺盛な娘達でも常に理想体型を保っていられるように
なっていた。逆に今はその反動でこれまで自由に食べられなかったおいしいものを好きな
だけ食べるようになり体重増加を抑えるのに苦労するようになっていたのだ。

「高校時代は私より小さかったのに。ここまで立派になるなんて・・・」
適度に膨らみ均整のとれた美乳はたっぷりと脂肪を蓄え、今では巨乳と呼んでも差し支え
ないほどの大きさに育っている。
「胸だけだったらいいんだけど・・・。ここもかなりやばいのよ。」
そういってゆり子は手でウエストの辺りをつまんだ。ウエストから腰回りかけても柔らか
い肉で覆われ女性らしい優美なボディーラインを描いている。
「それくらいの方が健康的でいいって。ゆり子はわたしより身長もあるし、標準よりだい
ぶ痩せてる方よ。」
以前のゆり子には不健康で少し冷たい印象があったが、今では健康的で少しやわらかい印
象に変わってきており、それがさらに美しくなったと言われる所以であった。

「ダメ、ダメ!少し体重落とさないと、お気に入りのワンピースやデニムがきつくて入ら
なくなっちゃったんだから・・・。」
そう言うとゆり子は再びルームランナーの速度を上げて走り始めた。
豊かな胸がぷるん、ぷるんと小刻みに揺れ、窮屈なショートパンツからはみ出しそうな尻
肉がぷりんと弾んでいる。
「そう・・・残念ね。今日帰りにホテルのケーキバイキングに誘おうかって思ってたんだ
けどヤメとくわ・・・。半額の招待券があるんだけどなぁ。」
「ええっ!ちょ、ちょっとまってよぉー。」

ゆり子とサヤは帰りに甘いスイーツを食べて帰ることが日常になっていた。ゆり子の体重
が増え始めたのは運動量の減少だけでなく大好きな甘い物でのカロリー摂取が大きな要因
であるのは明らかであった。