ジョギングの体験項目を終え、合計一週間ほどで多恵子はオプション項目を除
いた全ての項目を終了した。アイデアル・ドール社のウェブサイトにアクセス
して報告もきちんと書き終えた。多恵子の報告は緻密で正確であった。多恵子
はいつの間にかリナに親近感を覚えるようになり、リナの身体でいることを楽
しく思うようになっていた。
朝から晩までコンビニとファーストフードのアルバイトに明け暮れる忙しい生
活を送っている多恵子だったが、少しの時間を見つけてはアイガールへ変身
し、その美しい顔と身体を眺め、服を着せておしゃれを楽しんだりした。
「このまま、北山リナとして生活するのも悪くないな。こんな美人でスタイ
ル抜群だったらバイトの面接も落ちることがないし、正社員にだってきっと採
用されるよね。」
多恵子はそんなことを考えたが、アイデアル・ドール社の規約では写真を撮っ
たり、不特定多数の人前に出ることは避けなくてはいけないことになってい
た。リナの姿で働いたりすることは許されなかった。
彼女はオプション項目について考え始めた。厳しい財政事情から考えて、その
ボーナスの金額はかなり魅力的だったからだ。ランニングと性行為は除外し
て、水泳と連続装用7日間なら実行できそうだと考えていた。子供のころにス
イミングクラブに通っていたことがあり水泳は比較的得意の方だったが、規定
では45分間も泳ぐ必要があり、長年泳いでいない多恵子には自信がなかっ
た。しかし、ガイドをよく読んでみると連続で泳ぎ続ける必要はなく、合計時
間が45分以上になればよいということなのでゆっくりと休みながら泳げばク
リアできそうだと思った。
連続装用7日間を実行するためにはアルバイトを一週間休まなくてはいけな
かったが、事前にシフトを変更してもらって空ければよかった。この辺りはフ
リーターの気軽なところである。
クローゼットの奥から衣装ケースを引き出し、その中から水着を探す。学生時
代に海に行くといって買ったが結局使わなかった水着が一つ見つかった。上下
セパレートタイプの淡いグリーンの水着であり、買ったときは胸のところがか
なり余裕があったのを覚えている。
多恵子はするすると部屋着を脱いでトランス・システムのスイッチを押し、リ
ナへ変身する。そして先ず水着の下を穿いてみた。
「下はなんとか入るわね・・・」
少し窮屈だったが、生地に伸縮性があるお陰でリナのむっちりと大きなヒップ
を何とか納めることができた。問題は上の方である。
「うっ、やっぱり胸がきつい・・・」
彼女はGカップの胸を無理やり小さな水着に押し込む。水着は水風船のように
パンパンに膨らんでしまっているがかろうじて胸を隠せている。
「な、なんとかこれで大丈夫かな?たった45分間のために新しく水着を買う
のももったいないし・・・」
水着を着こんだまま上から服を着て近所のフィットネスクラブへと向かう。節
約のためにあらかじめ1日無料体験というのに申し込んである。
「いらっしゃいませ!!」
多恵子が足を踏み入れるとスタッフ達の元気な声が響き、一斉に彼女の美しい
姿に視線が注がれる。最近ではリナの容姿で人の注目を浴びることにもずいぶ
ん慣れてきていた。
多恵子は受付で無料体験を申し込んだことを申し出て施設や運動器具の使い方
の説明を受けた。その間も男性スタッフからちらちらと熱い視線を感じた。
説明が終わると更衣室でグリーンの水着姿になり、肩からバスタオルを羽織っ
てプールサイドに出た。
「(懐かしいわね。この感じ)」
彼女はずいぶんと久しぶりのプールに胸が高鳴った。
早速、ざぶんと水に入りたいところを思いとどまってストレッチ運動を始め
る。幸いプールに人は少なくじろじろと多恵子を見てくる者もいなかった。
「イッチ、ニ、サン、シ・・・(あれっ、やだ)」
両腕を肩から上に上げて伸びをすると水着がずれあがって下から柔らかそうな
乳肉が見えてしまう。彼女は慌てて水着を下に引っ張って露わになった下乳を
隠した。
「(ふーっ、危ない。気をつけないとムネが出てしまいそう。)」
準備体操を終えて水に入る。さっきのような事件が起こらないように静かに平
泳ぎで泳ぐ。
大きな胸は水に入ると浮力のおかげであまり重さを感じない。しかし、泳ぎ始
めると意外と水の抵抗を大きく受け思ったようなスピードで泳げなかった。ス
トロークに合わせて胸が上下に揺れてしまうのも泳ぎにくい原因の一つだっ
た。
多恵子はゆっくり長い時間をかけて25mのターンをして元の所まで戻ってき
た。あれほど気をつけたのに水着は上にずり上がってしまい下乳が露わになっ
てしまっていた。ポロリの一歩手前である。
「(きゃあ、危ない、危ない。もう少しゆっくり泳がなきゃ・・・)
水着をぐいっと下に引っ張り下乳を隠す。そのとき、多恵子はプールサイドで
男性の監視員が自分を見ているのに気がついた。
「(えっ!やだっ。今の見られてたのかしら?)」
多恵子は顔が真っ赤になるのを隠すかのように2本目を泳ぎ始めた。泳いでい
る間にもさっきの監視員が自分を見ていないかが気になってしまう。ターンを
したときに様子をうかがうとやはりそのスタッフはずっと多恵子に視線を送っ
ている。
「(・・・やだ、またあの感覚)」
多恵子はリナの身体が男性に見つめられると性的に感じてしまうことにそれと
なく気づいていた。そのためできるだけ視線を意識しないようにするのだが逆
にそのことばかりを意識してしまうのだった。2本目を泳ぎ終え、ずれてし
まった水着を下に引っ張る。
「(も、もう見てないわよね・・・?)」
そう考えてさりげなく様子をうかがうとやはりその男は自分の方を見ているの
だった。
「(だめ、そんなに見られたら、む、むねが・・・感じてきちゃう・・・)」
多恵子は胸の疼きを抱えながら1本、また1本と泳ぐ。昔取った杵柄というの
か大した息切れもせずに意外と泳げていることに感心しながらも、どんどんと
大きくなっていく胸の疼きとも必死に戦っていた。
「(ああんっ、だめぇ、もう我慢できない・・・)」
あと半分ほどを残して彼女はプールから上がり更衣室へと戻る。そして水着の
ままシャワールームへ入りきつい水着のブラを上に引き上げてぶるんと大きな
乳房を露出させた。水が滴る豊かな二つの乳房に、上からの照明の光で陰影が
作られる。乳首はすでに硬直し早く刺激を受けたくてうずうずとしている。多
恵子は両手で乳頭部をつまむと身体がびくんと反応し心地よい感覚が走り抜け
る。
「(だめぇ・・・こんなところで・・・)」
頭ではいけないと思いながらも乳首に与える刺激をやめることはできない。さ
らに強い快感を得ようと両手で乳首に捩じりを加えながら引っ張ったり離した
りを繰り返す。
「(ああんっ、き、きもちいいっっ!!)」
ここがフィットネスジムのシャワールームで脱衣所には人が居り、少しも声を
漏らしてはいけないという状況がさらに多恵子の興奮を高めてゆく。女性器は
すでにたっぷりの愛液で満たされており水着をねっとりと濡らしている。水着
の下を膝までずらして下腹部を露出させると陰部からは涎のように愛液が糸を
引いた。片手を下腹部にやり割れ目に指を滑り込ませる。指が小さな肉芽に触
れた瞬間、電撃に打たれたような激しい快感が彼女を貫いた。
「くはっ!」
思わず声が漏れ、シャワールームに響いてしまう。彼女はしまったと思いつつ
も乳房とクリトリスへの刺激をやめることができない。膝の力が抜けてその場
にへたり込んでしまう。
「(あんっ、ああんっ、だめぇ、こんなところでしちゃあ!)」
多恵子はシャワールームの床に座り込み、足を広げて陰部を露出した体勢にな
りながら指で肉芽への刺激を続ける。
「(い、いっちゃう・・・・も、もう、だめええぇっっ!!!)」
とうとう彼女はフィットネスジムのシャワールームの中で絶頂に達してしまっ
たのであった。逝ってしまった後、頭が真っ白になりしばらく呆然としていた
が、しばらくして我に返ると、自分がしてしまったことの恥ずかしさに顔が
真っ赤になった。
彼女は慌てて水着をシャワーで洗って元通りに着るとバスタオルを羽織って
プールサイドへと戻った。幸いにも先ほどの男の監視員は見当たらず、女性の
別の監視員が代わりを務めていた。
多恵子はほっと安心し、気を取り直してプールに入った。
合計時間で45分を泳ぎ切り、彼女はプールから上がってなんとか“水泳”の
体験項目をクリアしたのであった。