美容室のお姉さん 5

ブラン 作
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それからしばらくの間、僕は熱に浮かされたようにお姉さんのことで頭がいっ
ぱいになった。キスをして胸を触った場面を頭の中で何十回も反芻し、おっぱ
いの感触を思い起こした。そして、もし無理やり服を脱がせていたらどうなっ
ていたかなどと妄想した。

お姉さんからこちらに来ると連絡があったとき、僕は嬉しくて飛び上がりそうになった。
閉めた店のクリーニングやテナント契約のことで近くまで来るので会ってご飯
でも食べませんか?と誘われたのだ。
それと、ちょっと相談があるというのが気になったけど、もちろん僕に断る理
由はなかった。正直なところ、前の日はドキドキとして眠ることができなかった。

土曜日の昼過ぎに駅前で待ち合わせをした。
つばの広い帽子を被ったお姉さんがやってくるのが見えた。
上品な白いブラウスに紺のロングスカートという出で立ちで手にはバックとど
こかのデパートの紙袋を持っている。この前のカジュアルな服装も良かったが、
やはりこういう上品なスタイルの方がよく似合っていると思った。
大きな胸はブラウスを押し上げてパツパツに張り出させている。歩くだけでゆ
さゆさと揺れる胸はどうしても道行く人たちの注目を浴びてしまっている。

「用事は済みました?」

「ええ、終わったわよ。ねぇ、何か食べに行かない?もうお腹ペコペコなの。」

僕は事前に考えていたイタリアンレストランにお姉さんを連れていった。
学生の僕が普通行くような店ではなかったが、ランチならそれほど高くはない。
ウェイターに椅子を引かれて僕たちは向かい合わせのテーブル席に座った。
店にはそれほど客は多くなかったがそれでも大きな胸の膨らみはかなりの注目
を浴びてしまっていた。
お姉さんはそんなことはお構いなしにテーブルの縁に巨大なバストの3分の1
くらいをのしっと載せた。膨らみが柔らかそうにむにゅっと歪み、まるで僕に
向かって差し出されているかのように見えた。
でもあの重さならテーブルに載せたくなるのも仕方がない。この前、胸を下か
ら持ち上げたときの重量感を思い出した。
僕がおっぱいに気を取られているうちにお姉さんはさっさと注文するものを決
めてしまった。僕も適当なランチメニューを注文した。どうせ目の前のものが
気になって料理の味なんてわかるわけがない。
料理がやってくると相当お腹が空いていたのかお姉さんはせっせと口に料理を
運んだ。それとも見かけによらず結構食べる方なのかもしれない。あの大きな
胸を維持するにはそれなりにエネルギーが要りそうだ。

「ふぅ、美味しかったぁ。」

喜んでもらえて僕もうれしくなった。デザートも平らげてコーヒーを残すのみとなった。

「みゆきさん。何か相談があるって言ってませんでしたっけ?」

「ええ、でもここではちょっと…。ねえ、浜口くんの部屋にお邪魔してもいいかな?」

浜口というのは僕のことだ。お姉さんが僕の部屋に来るって??当然、ウエル
カム、大大歓迎だ。もしそういうことになったときを考えて部屋もきちんと片
づけてある。

僕らはレストランを出て歩き出した。
僕、浜口けいごが住んでいるのはよく学生の一人暮らしにありがちなワンルー
ムの部屋だ。5階建ての建物の3階、南向き、角部屋。広くはないがそれなり
に気に入っている。玄関扉を開けると右手にキッチンがあり、左手にユニット
バスがある。部屋には机と本棚、ベッド、小さなテーブルとテレビくらいしかない。

「あら。意外にきれいにしてるのね。」

昨日少し掃除はしたが僕はどちらかというと片づけはできる方でゴミは決めら
れた日に出すし、たまに掃除機もかける。キッチンがきれいなのはほとんど
使っていないからだけど。
お姉さんに椅子を勧めたけど、僕の本棚に並んでいる本やマンガが気になるら
しくタイトルを眺めている。昨日までそこに並んでいたエロDVDはきっちり
クローゼットの中に仕舞ってあり、代わりに大学の教科書を詰めておいた。

「へーえ、難しい本を読むのね。」

「ああ。それは大学で買わされた本でほとんど開いたことないです。」

そういうとお姉さんは笑ってくれた。しばらく本やマンガの話でひとしきり二
人で喋った。

「そうそう。相談したいって言った件なんだけど…。」

「はい。」

「浜口くんにお願いできないかなと思って…。娘の家庭教師を。」

相談と言われて少し身構えていたんだけど、そういう話だったら問題はない。

「家庭教師ですか?今、特にバイトもやってないし。一応できますけど。」

家庭教師なら以前にもやったことはある。しかも中学一年生が相手なら朝飯前だ。

「それがね。娘はちょっと変わっていて…。極度の人見知りなの。特に男の人
が苦手でほとんど話もできないの。実はそれで中学校も休みがちで。」

悩みは相当深そうだった。
そういえば以前、美容室で環境を変えるために田舎に引っ越ししたようなこと
を言っていたけどこの娘さんのために違いない。

「でも、男の人が苦手ならなぜ僕なんですか?」

「誤解しないように聞いて欲しいんだけど。浜口くんなら大丈夫な予感がする
の。娘には大丈夫なタイプとそうでないタイプがあっておそらく浜口くんは大
丈夫な方だと思うのよ。」

大丈夫なタイプ?どちらかというと草食系なところ?よくわからないけどお姉
さんのためならここでひと肌脱ぐしかない。僕はそう心に決めた。

「引き受けますよ。いつから行けばいいんですか?」

「ありがとう。いつでもいいわ。まずは娘と会って欲しいの。頼んでおいて何
なんだけど娘が拒否反応を示さなかったらお願いすることになるわ。」

「わかりました。」

少し変なことになってきたけどお姉さんを助けてあげられるのは僕のほかにいないのだ。

「はぁ。よかった。浜口くんが引き受けてくれて…。安心したらちょっとお腹
が空いてきちゃったな。ねえ、ドーナツがあるんだけどこれ一緒に食べない?」

「あ、じゃあ。お茶淹れますね。」

さっきレストランで結構食べてたと思うのに足りなかったのだろうか?割と自
由な人なんだな?とまた新たな一面を知れて僕は少し嬉しくなった。
ドーナツをぱくついているお姉さんが可愛いと思った。僕より9つも年上なの
にたまに子供のようなところがある。そして、あの巨大なおっぱい…。今、お
姉さんとこの狭い部屋に二人きりなのだ。僕の胸の鼓動はさっきから速くなったままだ。

「浜口くん…。この前はごめんなさいね。」

何のことだろう?一瞬思ったが先日、お姉さんの家での出来事のことを言って
いるのだろう。お姉さんの髪から漂ういい香りとキスの味、おっぱいの触り心
地がよみがえってきた。

「続き……。してもいいわよ。」