美容室のお姉さん 7

ブラン 作
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ローカル線に揺られ僕はお姉さんの家へと向かっていた。
家庭教師の最初の日。娘さんとの初顔合わせとなる。
一応、初回は顔合わせをして簡単な面談だけにするつもりだが、彼女が拒否反
応を示せばこの話はなかったことになる。逆に僕が面談されるような感じだ。

駅にはお姉さんが車で迎えに来てくれていた。カジュアルな服装のお姉さんが
眩しく映る。
車の中は無言だった。なんだかお姉さんも少し緊張しているようだった。
家に到着し、僕はリビングに通されお姉さんが娘を呼びにいく。二階から二人
が降りてくる音が聞こえた。
お姉さんが陰に隠れている娘を僕に紹介した。

「娘のさやかです……。」

さやかと呼ばれた女の子は無表情な顔をこちらに向けた。
か、かわいい…。とびっきりの美少女じゃないか!?そ、それに……。
お姉さんと横並びに立っている娘は一目みただけでそれがとんでもない爆乳で
あることがわかる。
ど、どわぁ、む、胸が…………でかい。
本当に中学生なのだろうか?僕は目を疑った。髪はボブショートでくりっと大
きな黒い瞳によく合っている。お姉さんとはあまり似ておらずまたタイプの違
う美女だった。背丈はお姉さんより頭半分ほど低く150センチの前半くらい
だろう。
だぶっとした花柄のチュニックを着て、紺のデニムを履いている。胸元はどー
んと前に突き出ていてドッジボールが二つ入っているみたいだ。バストサイズ
は軽く3ケタはありそうだ。

「初めまして浜口けいごと言います。今日からさやかさんの家庭教師をさせて
もらいます。よろしくお願いします。」

里中さやかは表情を少しも変えず、顎を1センチくらい下げて会釈をしただけ
だった。
胸の膨らみが気になるところだが、いかん、いかん。相手は中学生だ。ちょっ
とのことで傷つく多感な年ごろなんだ。気を付けろ、俺。胸元には絶対変な視
線を送っちゃだめだ。そうきつく自分を戒めた。

「えーと、あのー。そうだな…。いきなり面談ってのもなんだし。僕の自己紹
介からしようかな…。」

とりあえず緊張感で満ち溢れているこの場を何とかしようと思った。
自分の生まれや育った場所や趣味、今住んでいるところや大学での生活の話な
どを適当に喋る。ときどきお姉さんが声を立てて笑ってくれるが、娘は無反応
でまだかなり緊張しているようだ。目線も少しも合わせてくれない。
たまに話を振ってみるのだが、答えは返ってこない。学校ではどの教科が好き
か聞いてみたのだが下を向いて黙りこんでいる。お姉さんに目で助けを求めて
しまう。

「この子、結構本が好きなのよ。だから国語は得意よね? それから英語と社
会もまあまあできるわね?」

これでは面談になっていない。大体はお姉さんが答えている。
家庭教師で教えるのは数学と理科と聞いていた。それをお姉さんが尋ねても、
娘は特に何の反応もしない。やれやれ、厄介だな。
娘に学校の教科書を見せてもらうようお願いした。授業がどこまで進んでいる
か確認したいからだ。すると、すっと立ち上がって二階に教科書を取りに行っ
た。もしかして帰ってこないんじゃないだろうかと心配したが、果たして目的
のものを抱えて戻ってきた。
教科書を開いてもらい、授業が進んでいるところを教えてもらう。全然喋って
くれないものの特に嫌がっているようすもないようなので少しほっとした。
学校を休みがちと言ってたがどこまでついていけてるのだろう?その辺は追々
確認するとして、僕は次までに少し予習をしてこないといけない。

結局のところ、どうやら僕は娘さんの面談に合格したようだった。
帰りの車の中ではお姉さんもほっとして緊張が解けたようだった。

「今日はどうもありがとう。娘も浜口くんのこと気に入ったみたいだし。来週
からよろしくお願いね。」

気に入った??結局一言も喋らなかったし、ニコリともしてなかったけど。

「は、はい。」

「驚いたでしょう?すごい人見知りで。普段、私と二人ならそうでもないんだ
けど。」

僕は彼女が喋らないことよりその胸の膨らみに驚いたのだけど。
お姉さんには及ばないが、とんでもない爆乳であることは間違いなかった。去
年までランドセルを背負ってたなんて信じられない。

「むね……大きいでしょう?」

「ええ、まあ」

「変な目でみちゃだめよ。」

「み、見ないですよ!まだ子供じゃないですか。」

娘さんは僕より9つも下だ。幸い僕にはロリコンの趣味はない。たぶん。

「私の血を引いちゃったみたいで……。小学校の高学年からどんどん膨らみ始
めて、まだ大きくなってるみたいなの。服や下着がすぐ着られなくなっちゃう
から結構大変なのよ。あら、浜口くんに愚痴をいっちゃったわね。」

車は駅に到着した。駅員が到着する電車に備えて改札口に立つのが見えた。
すぐ電車が来るようだ。
車から降りる前に僕は運転席のお姉さんにキスをした。別れるのが名残惜し
かった。
来週からまた、お姉さんと会えるけれども二人きりのシチュエーションは車の
中だけだ。
これからしばらく僕のフラストレーションは溜まりそうだ。