乳神様の洞くつ 6

ブラン 作
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【地下六階】
女商人に階段の場所を聞き、六階へとやってきた。
魔物のレベルはあまり変わらない。私は身軽になった体を楽しむように魔物に
挑み、次々と倒していった。倒すたびに胸は少しずつ大きくなる。大きな胸は
バトルコートの前を張り出させるが特に窮屈になるということはなかった。胸
のボリュームが増えても揺れないブラがしっかりホールドしてくれるお陰で戦
闘の邪魔になることもなかった。

「ああっ!みーっつけた!!」

リンダが嬉しそうに声を上げた。
視線の先を見ると洞窟の行き止まりに宝箱があるのが見える。これまでほとん
どの宝箱は誰かに開けられており中は空っぽだったが、見つけたものはまだ誰
にも開けられていないようだった。
宝箱は簡単に開けられるわけではない。
普通はトラップが仕掛けられていることが多く、専門の知識を持ったものでな
ければ痛い目にあってしまう。時には毒矢が飛んで来たり、岩が転がってきた
り、洞窟が落盤して生き埋めになることだってある。手の込んでいるものはト
ラップが何重にも仕掛けられているし、魔法や呪いで防備していることだって
ある。しかし、トラップを破ることに関してリンダは素晴らしい素質を持って
いた。宝箱を見つけると訓練された犬のように注意深く近寄って何かを嗅ぎ取
り、すぐにどんな性質のトラップなのか見破ってしまう。そしてそれをゆっく
りだけど確実に外していく。
リンダの話によるとトラップを外し終わり、宝箱の蓋を開けるときが人生で
もっともドキドキする瞬間らしい。
彼女は宝箱に仕掛けられたいくつかのトラップをするすると外し、宝箱の蓋を
開けた。

「ヤッホー!紫水晶のネックレスだわ。これは高く売れそうね。うふ。」

また別の場所で宝箱を見つける。中には金で装飾された腕輪が入っていた。
私たちは大喜びした。

「やっぱり、この階にはまだ誰もやってきてないわね?」

「トラップに警戒して宝箱を諦めたのかもしれないわね。」

リンダはそれからもいくつか宝箱を見つけアイテムを手に入れた。そろそろ取
り尽したかなと思ったとき、物々しく祭壇に祭られた大きな宝箱を見つけた。
どう考えても妖しい。幾重にもトラップが仕掛けられていそうだ。こういうも
のは諦めるのかと思いきやリンダは破るつもりのようだ。

「よおし!やるわよ!ちょっと時間かかりそうだから、マリアはそこで見張っ
てて。」

私は魔物がやってこないか見張りをしながらリンダがトラップを外すのを見守
る。
近づいて匂いを嗅いだり、小石を投げたりしてトラップの種類を見分けてい
く、大体の見当がつくとそれらを一つずつ外しにかかる。

どれくらい時間が経っただろうか、洞窟の中では時間の感覚があまりないのだ
けどかなりの時間が経ったと思う。リンダがようやく宝箱を開ける寸前になっ
てピタリと手を止め首を振った。

「ダメね。箱を開ければ魔物が召喚される仕掛けになってる……。これはどう
しようもないわ。マリアどうする?」

リンダは疲れた顔を私に向けた。あと一歩というところ。ここで諦めるわけに
はいかない。
私はリンダの目を見てしっかりと首を縦に動かした。

「どんな魔物が飛び出すかわからないわよ。い、いくわよ。」

リンダが恐る恐る宝箱の蓋を開ける。
少し持ち上がったと思った瞬間、周囲に黒い霧が立ち込め始めた。

(シュウウウウウ……)

「な、なに?」

魔物の気配が漂う。
黒い霧は周囲をたっぷり満たした後、少しずつ収まっていった。
薄れゆく霧の中から赤い二つの光が見えた。

「出たわ…」

「な、なにあれ?」

巨大なドラゴンが赤い二つの目で私たちを睨み付けている。
で、でかい。よりによって大物を引くなんて。ドラゴンは低い音で喉をグルグ
ルと鳴らしている。

「炎を吐く気だわ!物陰に隠れて!」

(ゴオオオオオオ・・・)

灼熱の炎が頭の上を通りすぎていく。危うく黒焦げになるところだった。
いくら火に強いバトルコートでもドラゴンの炎には太刀打ちできない。

「マリア!目を閉じて!くらえっ、発光弾!」

リンダは発光弾に火をつけてドラゴンに向かって投げた。一瞬、まばゆい白い
光が辺りを包んだ。

(グロロロロロ・・・)

ドラゴンは光にやられて目をつぶっている。

「マリア!今のうち!」

この隙に攻撃を仕掛けようと思ったが、ドラゴンが大きな口を開き次の炎を吐
き出した。目が見えないのであてずっぽうに吐いたようだ。このままではいず
れ燃やされてしまう。
私はドラゴンが炎を履き終わった瞬間、岩陰から素早く飛び出した。そして、
大きくジャンプし魔物に飛びかかる。ドラゴンの口からまさに次の炎が吐き出
される瞬間だった。

(グサッ!!)

私はありったけの力でドラゴンの脳天に剣を突き立てた。

(グアアアアアア……!!)

洞窟中に響き渡るようなうめき声が鳴り響く。ドラゴンの巨体はその場に崩
れ、冷たい洞窟に横たわる。一撃必殺、私はそのドラゴンを倒したのだった。

「すごいわ、マリア!やったあ!」

これまで何度かダンジョンに潜り、ドラゴンとも何度か戦ったことがあるがこ
れまでで一番大きなドラゴンだった。私は少し得意になった。
胸に変な感覚があるのに気づく。

(むくっ、むくむくむく)

「む、胸が……大きくなるっ」

バトルコートの胸の膨らみが目に見えて大きくなる。

「す、すごい。また大きくなったぁ。」

リンダが驚きのまなざしで私の大きな胸の膨らみを眺めている。
一回り、二回り大きくなって胸の成長は止まった。

「ちょっと大きすぎるわ。もう十分よ。」

「いいなぁ。私にも分けてほしいな。」

リンダに羨ましがられて内心嬉しくなった。こんな胸、見たことがない。
ロブリア国はもちろん、異国でもこれほど大きな胸の女性を探すのは難しいだ
ろう。

「リンダ、宝箱は?」

「忘れてた。ちょっと待って……」

リンダは恐る恐る宝箱を開ける。すると中から美しい剣が姿を見せた。

「きれいな剣…」

「すごいよこれ、電撃の剣よ。」

美しい剣は電気を帯びているようで周囲の空気をピリピリと震わせている。

「電撃の剣?」

「うん。ちょっと剣を振ってみて。」

私はリンダから剣を受け取り、洞窟の壁に向かって大きく振りかぶった。
中くらいの力で剣を振る。剣先にビリビリと電気が走り、その電気が集まって
壁へと飛んでいく。

(ドドーン!!!)

電撃がぶつかったところにはぽっこりと大きな穴が空いた。

「ええっ!なに?今の私が?」

「すごい威力ね。」

その剣は今までの細身の剣とは比べ物にならない攻撃力を持っていた。
特に水系とゾンビ系の魔物には圧倒的な威力があった。
今まで苦労していた魔物たちもこの剣の一振りでほとんど倒すことができるよ
うになった。
もう十分と言っていた胸がまた一回り大きくなるのを感じた。