序
二十一世紀、人類は豊かさを求めて大量生産、大量消費の社会を作ってきた。
確かに物質的には豊かになり誰もが幸せな生活を送れる社会が実現したかのよ
うに見えた。
しかし、その実際は終わりなき生存競争、淘汰の社会、富の偏在化、貧富の差
の拡大をもたらすこととなった。人は次第に物質的な豊かさよりも精神的な安
定、安らぎを求めるようになっていった。
その中で、“巨乳”が社会に与える影響について多くの研究結果が報告される
ようになった。“巨乳”は人に癒し効果を与え、ストレスの軽減、疲労回復に
有効に働くという科学的根拠が多く示されるようになった。また、巨乳女性は
周囲の男性の労働生産性を大きく向上させ、経済の成長を高めることも例証さ
れた。
“巨乳”は社会的なムーブメントにとどまらず、国家レベルの思想の変革の域
にまで昇華した。
大きな胸の女性がもてはやされ、小さな胸の女性は大きくしようと様々な育乳
法を試みるようになった。娘が生まれると親は“巨乳”に育てようと幼いころ
からの育乳が取り入れられるようになった。
実に様々な育乳法が提案された。スピリチュアルなものから実践的なものまで
まさに玉石混交であった。中には効果が疑わしいものも多く、詐欺まがいのも
のもあった。
そこで政府はあまたある育乳法を体系化し、国家資格とすることでそれらの混
乱を収め、認められた“育乳師”だけが施術、指導できるようにした。
このような育乳制度の設立やその後の改革もあり、育乳法は確立され女性のバ
ストは大きく成長を遂げることとなった。21世紀初頭に成人女性で平均C
カップと言われていたバストは、現在はGカップとなっている。