育乳学園

ブラン 作
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次の日の午前中、俺は高島に案内され峯山学園の中を見学して回った。
まずは学園の創始者である峯山一郎の記念展示室。そこには彼の残した功績
と遺品などが恭しく展示されていた。教育に“育乳”を取り入れることでの
先駆者であり、我が国の巨乳化政策にも大きな影響をもたらした偉人である。
俺は彼の残した著作をいくつか読んだことがあり、彼の理論の幾つかに感銘
を受け多くを評価していた。俺は彼女の説明を受けながら展示物やパネルを
ゆっくり時間をかけて見回った。
次に学内を視察した。学園は初等部、中等部、高等部の3つに分かれており、
いずれも女生徒のみである。
その初等部。普通の小学校と何ら変わる様子はない。校舎の前には広々とした
運動場があり、体育の授業が行われている。

「峯山では一年生から育乳教育を取り入れています。乳房が膨らむ前から育
乳の重要性を生徒たちに教えるのです。バストのマッサージ法を教えて習慣
化させます。発育が始まる時期には個人差があり早い子で四年生ごろですが、
それよりも前に教え込んでおくのです。」

先生の指示通りに並んで列を作っている児童は低学年だろう、当然、胸は全
く膨らんでいない。俺は見学をしながら高島トモアから学園の教育理念と実
践法について説明を受けた。

「ご存じと思いますが、バストの生育には規則正しい生活習慣、ストレスの
ない環境、成長ホルモンの働きが重要です。ここでは勉学よりもこれらを重
視するカリキュラムが組まれています。健全な成長には適度な運動も必要で
す。しかし、成長してきたバストにとって激しい揺れは禁物ですので高学年
からは球技や陸上競技は禁止し、器械体操やストレッチ、水泳など胸に負担
の少ない運動に切り替えます。」

小学生からバストケアに力を入れていることに俺は感心した。昨日、道です
れ違った女生徒たちは明らかに平均以上の胸の膨らみをしていたことから成
果はあるのだろうと思った。

「こちらが職員室です。」

部屋に通されると教員たちが一斉に俺の方を見て頭を下げた。今日、俺がこ
こに来ると事前に知らされているのだろう。教員たちから尊敬の眼差しを一
手に受ける。
教員の男女比率はおよそ2:8で圧倒的に女性の方が多い。しかも、その誰
もがかなりの巨乳である。
高島トモアによると、生徒たちに大きな胸への憧れを持たせるのも大切なこ
とであり、そのために女性教員の採用基準はバスト100センチ以上と決め
られているということだった。しかし、その大半は100を裕に超えている
ように見える。中には高島を上回っていそうな教員も何人かいた。

中等部。すれ違う女生徒の胸の膨らみが気になってしまう。明らかに先ほど
とは違い、よく育っている。俺は軽い興奮を抑えながら案内役の彼女の後を
ついて行く。

「通常の学校教育ではテスト、テスト、受験、受験。そのようにして生徒を
精神的に追い込んでストレスを与えています。ストレスは胸の成長には大敵
です。ここでは定期テストはなく、補助教員が個別に生徒のレベルチェック
を行います。エスカレーター式に高等部へ進みますので深夜まで受験勉強を
することもありません。夜更かしは成長ホルモンの分泌を妨げる悪因ですか
ら絶対に避けなくてはなりません。
ある一定の緊張感は必要ですが、生徒に余計なストレスをできるだけ与えな
いように考えています。
中等部から生徒たちは寮に入って生活をします。そこで規則正しい生活を実
践し、バランスの良い食事を摂らせます。寮といってもプライベートは守ら
れていますし、厳しすぎる規則はありません。」

俺は参観日の親になった気分で教室の後ろから授業を眺めた。
後ろからなので生徒の胸の膨らみはよく確認できなかったが、代わりに国語
の先生の巨大な胸の膨らみをしっかり見ることができた。時々、胸が邪魔で
授業用のモニターが見えなくなるのが難点だが生徒は気にしていないようだ
った。

「こちらは中等部が使うプールです。」

水泳はバランスよく筋力をアップさせるとともに、胸のかたちを保つ上で重
要な胸筋を鍛える効果があるため積極的に体育の授業に取り入れられている。
水の浮力で胸の重さが軽減されクーパー靭帯を損傷させる恐れがないことも
大きな利点だ。そのため、年中使えるように屋根が開閉式の全天候型プール
になっている。さすがは資金の潤沢な私立学園だと思った。
ちょうど二年生が授業を行っているということでプールには二十数名の生徒
がいた。

(俺にロリコンの趣味はないが、スク水の胸の膨らみをチェックさせてもら
おう。)

高島トモアによれば中学二年生で平均E〜Fカップくらい、成長の早い子な
らIカップくらいの子もいるということだ。中二でIとは末恐ろしい。
そこまでの胸の子は見当たらなかったが、それでも中学生には十分すぎる巨
乳が大半を占めている。成長途上のバストが水着の紺色の生地を押し上げて
窮屈そうに張り出させており、大きなバストの膨らみと生徒たちのまだあど
けない顔とのギャップでつい変な気分になってしまう。体育の先生は男性だ
ったがこれを毎日見せつけられるのはきついだろう。

高等部。中等部であのレベルなら高等部はどうなってしまうんだ?いやが応
にも期待が高まる。
二人の生徒と廊下をすれ違う。女生徒はにこやかに会釈をしながら静かに通
り過ぎていく。
やはり中等部とは比べものにならないくらい乳が膨らんでいる。歩くだけで
ユサユサと揺れるほどだから相当の大きさだ。二人とも何カップあるんだ?

「高校3年生で平均J〜Kカップくらいですが、あの子たちはもう少しあり
そうですね。
大きくなってきますと形をキープしていくことも重要になります。高等部で
は月に一度、バストの精密測定を行ってそれに合うブラジャーを着けさせま
す。大きくなるほど既製品ではフィットしにくくなりますので、オーダーメ
イドで作ることになります。ちなみに教員や私のようなスタッフもオーダー
メイド品を作ってもらえます。」

高島トモアのブラジャーもきっとそうなのだろう。その巨大な胸を収めるブ
ラが既製品であるわけがない。俺は彼女の前に突き出した大きな膨らみをま
じまじと見つめてしまった。

廊下から教室を覗くと生徒たちが授業を受けているのが見えた。

(で、でかい)

平均J〜Kカップの子たちが机を並べて授業を受けている光景は荘厳だった。
ほとんどの子が大きな胸を机にどっしりと載せている。
大半の生徒は3桁に到達しており、中には120センチ、130センチクラ
スの超巨乳もいるということだった。

「高等部の机は胸を載せられるように中等部よりもかなり広めになっている
んですよ。」

高島トモアは俺があっけにとられる様子を見て少し得意になっているようだ
った。俺も正直ここまでとは思っていなかったのだ。
生徒たちを見て思ったのが、いずれの生徒もポッチャリとはいかないが、健
康的でそこそこふくよかなのである。痩せている生徒はほとんどいない。

「峯山では中学から高校にかけて一定期間“肥育”を行います。バストの成
長期は4〜5年間程度。その間、成長ホルモンの指令を受け、乳腺がどんど
ん発達していきます。それに合わせて乳腺を守るために脂肪組織も発達しま
す。胸にたっぷりを脂肪を蓄えさせるのが肥育で、成長期の後半付近に設定
します。」

これは育乳ではベーシックな考え方である。胸以外の身体の成長が不十分な発
育前半に脂肪を蓄えてしまうと胸を支える土台が伴わず発育後半の成長が期待
できなくなる。そのため発育前半にはできるだけ乳腺の組織を発達させておい
て、後半に脂肪をたっぷりのせるのがティーン世代の育乳セオリーなのだ。

「肥育期間は個人ごとに設定されます。早い子は中学2年で行う場合もあり
ますが、ほとんどは高校1年の場合が多いです。人によりますが半年程度、
大幅にカロリーをアップした食事を与え、運動量を制限します。脂肪をでき
るだけ胸に集めるようにケアもしっかり行います。かなりの体重増加があり
ますから、肥育期間後は食事制限をして、胸を落とさないようゆっくりスリ
ムダウンさせます。肥育の効果には個人差がありますが、平均で4カップ程
度のサイズアップが望めます。」

なるほど、少しふくよかな生徒たちは肥育期間中のようだ。
この理論をこのような大規模に現場で実践しているということに俺は大きく
感銘を覚えたのだった。

*
次の日の午前中は当初のスケジュールには何も入っていなかったのだが、い
くつかの相談事を受けて欲しいと学園に招かれていた。育乳に関する困りご
とということだがどういった内容なのだろう。何も聞かされていない俺は手
持無沙汰で指示された応接室で待っていた。

扉が開いて高島トモアが入ってきた。
そしてその後に女性が二人。一人は高島より少し年が上であり、もう一人は
中学生くらいの女の子だった。
俺は高島から説明を受けた。何でもこの女の子はこの学園の中等部の二年生
なのだが、胸の発育が一向に始まらないというのだ。年上の女性は彼女のク
ラスの育乳指導員だということだった。(育乳指導員とは教員とは異なり女
生徒の育乳を専門に受け持つ指導員のことだ。)
女の子はおどおどした表情で俺の方を見た。確かに峯山の生徒らしからぬ平
らな胸である。しかし、発育が遅い方なのだろうそれほど気にすることはな
いと言ってやろうと考えた。

「初めまして。二年二組の國場ゆうこと言います。」

先生に促されて女の子は俺に挨拶をした。おかっぱ頭でまだ色気のかけらも
ないが、しかし、整った顔立ちのかなりの美少女である。
ふうむ。どうしたものか、俺は少し思案した。
この子は自分の小さな胸を恥ずかしく思いながらも育乳師の俺ならきっと何
とかしてくれると勇気を振り絞ってここに来ているのだろう。その思いは買
ってやらないとな。
本格的に育乳カウンセリングをする場合、クライアントとの会話が重要にな
る。会話から足りないもの欠けているものを感じ取り、何が必要なのかを見
極めていくのだ。
まず俺は高島トモアと年上の女性に部屋から出て行ってもらい、女の子と二
人になることにした。二人が出ていくと女の子の顔が少しだけ和らいだこと
を俺は見逃さなかった。

「初めまして、育乳師の香川です。ゆうこさんは中学二年生なんですね。私
の経験と感ではゆうこさんのバストはこれからどんどん大きくなりますよ。」

「ほ、ほんとうですか?? で、でも、私・・・」

俺はしばらく彼女と雑談をした。学校生活や今、興味があること、好きな本
や音楽のことなど。彼女は俺が育乳師だということで心を許し、何でもあり
ていに話をしてくれた。
一番の悩みはやはり胸が成長しないことで、クラスメイトと比べても明らか
に自分が小さいし、先生からも不思議な目で見られる。最近は学校に行くの
が憂鬱で、夜もあまり眠れないそうだ。俺は会話の中で育乳自体が彼女の大
きなプレッシャーになっているという事を感じ取った。
周囲が巨乳ばかりのこの学園では彼女のような貧乳は非常に肩身が狭いのだ
ろう。しかも、学校が教えてくれる育乳法を行っても大きくならないのは自
分に何か問題があると考えてしまうのが普通だろう。指導員からも指導した
とおりにしているのかとうるさく言われているようだった。

「胸を見せてくれるかな?」

國場ゆうこは一瞬戸惑いを見せたが、ブレザースタイルの制服のリボンをほ
どいて、シャツのボタンを上から外し始めた。着けているのは白いスポーツ
ブラだ。乳頭部がわずかに隆起しているのがわかる。彼女はブラをめくり上
げて俺にまだ平らな胸を見せた。

乳頭はピンク色でぷっくり膨らんでおり、乳房のふくらみは全く見当たらな
い。未発達な少女の胸だ。発育は始まっていてもおかしくなさそうである。
それを押し留めているものは過大なストレスだろう。成長ホルモンのバラン
スを崩し、肌も少し荒れているのがわかる。寝不足らしきことを言っていた
のも納得がいく。

「少し我慢してください。」

俺はそういうと二つの手の手のひらを彼女の胸に当てた。彼女がびくっと体
を震わせたのが分かった。これから乳房が形成されるであろう領域を触れる
か触れないかのやさしい力でなぞっていく。時々、軽く押さえてみて乳腺の
発達具合を確かめる。
少し時間をかけて真面目に施術を行うふりをする。これは彼女に心理的な効
果を与えるためだ。

「うん。よし、これで大丈夫だ。」

彼女は何をされたのだろうと不思議な顔をしていた。
それから俺は鞄からプラスチックの小さな薬瓶を出して、一粒の錠剤を彼女
の手のひらに載せた。

「飲んでごらん。うちのクリニックで出している胸の成長を促す薬さ。かみ
砕いて飲み込むんだ。」

彼女は俺に言われた通り錠剤を口に入れてそれを飲み込んだ。

「心配しなくていい、これで君のバストはぐんぐん大きくなる。でも、いくつ
か約束して欲しい。まず、いま飲んでいるサプリメントはもう飲まないこと。
過剰な摂取は逆にホルモンのバランスを崩してしまうんだ。そして、学校で
教わったマッサージは毎日すること。それから、夜更かしはせず夜9時には
ベッドに入ること。胸の成長に働くホルモンは夜寝ている間に分泌されるん
だ。これら3つを守るだけでいい。できるかな?」

「は、はい!わかりました、先生。」

國場ゆうことその指導員が帰って行ったあと、高島トモアは不思議そうな表
情で俺に尋ねた。

「先生はあの子に何をしたんですか?先生に診てもらう前と後で全然表情が
違いました。なんていうかとても明るく晴れやかになったというか……」

「まぁ、大したことはしてないよ。おまじないのようなものさ。」

そう言って俺はただのビタミン剤の小瓶を宙に放り上げて掴んだ。キャッチし
たときのパチンという音が応接室に響いた。

「あの子の胸、どうなんですか?」

「なあに、皆より少し発育が遅いだけさ。ストレスさえ取り除けば今に大き
くなるよ。育乳自体が大きなプレッシャーになっていたみたいだからね。そ
れから変にサプリメントなどを摂らせるのはよくない。ホルモンバランスを
崩してしまっている。」

「それがあの短時間の診察でわかってしまうなんて、さすがです。」

「俺は少し手助けしただけで、後はあの子次第さ。」

「いえ。あの子、國場ゆうこは実はかなり期待された生徒なのです。遺伝子
検査の結果から、校内で随一の巨乳遺伝子を持つ逸材ということがわかって
いました。それで、きっと周囲が過度な期待をかけすぎたのでしょう。」

「ふん。遺伝説か、俺は信じんがな。」

バストの大きさは親から子へと遺伝するという学説がある。過去から多くの
議論、研究がなされたが未だに決定的な結論に至っていない。俺はこの学説
を支持していない。遺伝の影響はごくわずかで、それよりも育つ環境にはる
かに大きく左右されると考えている。
それに対して、峯山学園では遺伝説を支持しているようだ。生徒全員の遺伝
子検査を行い、遺伝子パターンの解析から遺伝説を証明しようとも考えてい
るようだ。
優れた遺伝子パターンとやらを持つ彼女の胸が膨らまないのは学園として問
題なのだろう。

*
午後は俺が峯山学園の教員や育乳指導員たちの前で講演を行うことになって
いた。俺が学園を訪問していることは公表されておらず、学園のスタッフた
ちだけに連絡されている。もし、生徒たちに一級育乳師が来ていることが知
れればかなりの大騒ぎになってしまうからだ。
育乳の一般論から始まり、俺が考え出した理論などを経験や実例を交えて語
った。途中、多くの質問が飛び出して議論は白熱した。講演は想定以上の盛
り上がりをみせ、俺としても峯山の一流の教員たちと議論を戦わすことがで
きて大変有意義な時間を過ごせた。
このようにして、俺の峯山での初めての仕事は終わった。
これをきっかけに学園とさらに深く関わっていくことになるとはこの時には
全く考えていなかった。