育乳学園

ブラン 作
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次の日は俺の講義はなく、逆にある人から教えを乞うことになっていた。
峯山学園の肥育のスペシャリスト、真壁隆盛という男だ。彼はもともと学園の
教師であったが、その腕を買われ専門の育乳指導員となった。
繰り返しになるが、峯山では中学から高校にかけて各生徒に通常六ヶ月くらい
の肥育期間を設け、カロリーの高い食事を与えて胸を大きく育てる。肥育には
個人の適性があるのに加え、開始するタイミングや期間、期間中のバストケ
ア、終了後の調整など様々なノウハウがある。しかも成長期の女の子となると
体型のコントロールはかなり難しいと聞いている。今回俺はこの男から肥育に
ついて学ぼうというのだ。

真壁は四十を少し過ぎ、やせ形で背が高く、頭に少し白髪が混じったいかにも
研究者っぽい風貌の男だった。俺は彼の研究室のソファーに腰かけ、壁に張ら
れた峯山一郎の写真やホワイトボードに書かれた何やら難解な数式を眺めてい
た。

「まさか香川先生とお話ができるなんて光栄です。」

「いいえ、とんでもない。今日は私が真壁先生の生徒です。どうかお手柔らか
に頼みます。」

「先生だなんて、やめてください。恐れ多いですよ。」

男があまりに恐縮するので先生はやめて真壁さんと呼ぶことにした。
彼は俺の峯山での講義には毎回出席しているようで、お世辞なのかもしれない
が、その内容に大変感銘を受けたと話してくれた。
彼は白い壁をスクリーン替わりにしてPCのデスクトップ画面を映し出してデ
ジタルファイルを開いた。肥育に関する教育資料である。彼は基本的なところ
から順を追って説明を始めた。

「肥育においてはいかに脂肪を胸に蓄積させるかが肝心ですが、人の身体とい
うのは胸以外のパーツに脂肪がついてしまいがちになります。一般にはウエス
ト回り、下腹部、太ももが最も付きやすく、アンダーバスト周り、背中、二の
腕にも付いてくる。簡単には胸に集まるものではないのです。それをいかに胸
に集めるかというのがポイントになってきます。」

真壁は大学の教授のように生徒である俺の反応を確かめながらゆっくりと講義
を始めた。

「ご存じでしょうが、乳腺が発達してくるとそれを守るために脂肪が蓄積され
る。従って、まず乳腺の発達度合が高いことが求められます。いかに育てるか
は香川先生のご専門ですから省略させていただきますが、育てる環境が最も大
事であることは言うまでもありません。しかし、その環境が等しく十分に与え
られた場合に、個人によって差が生じることがある。つまり、持って生まれた
適正のようなものがあるのです。我々はそのような適正をもつ女性は遺伝子に
特定のパターンを持っていることを掴んでいます。」

峯山お得意の遺伝子論が出てきたな。そもそも俺はそれを信用していないが、
彼らの考えを聞いて理解するだけでもしておこうと思った。

「もっとも適正のある者をグループA、ある程度適正がある者をB、そうでな
い一般の者をCとわけて乳腺の発達度を調べた結果を示します。ご覧のように
明らかにグループAの乳腺密度が高いことがわかります。ただ、バストサイズ
との相関は大きくありませんが、サイズが大きい者はグループAである率が高
いのがわかっていただけると思います。」

真壁の説明はわかりやすく、しかも母数も多く信用に値する実験結果となって
いた。最初は小馬鹿にしていた俺だが身を乗り出して画面を見つめ、彼らの研
究成果が本当に正しいのか考えを巡らせた。

「次にもう一つの肥育の適正として、脂肪の胸への蓄積率が高いことが関係す
る。ある一定のカロリーを摂取しても胸につきやすい者もいれば、そうでない
者もいる。この脂肪の付き方にも個人差、生まれ持った適正があるのです。こ
れについても別の遺伝子パターンが関連していることがわかっています。こち
らは蓄積率の低い者を1とし、高い者を5と5段階に層別し、バストサイズと
の関連を調べた結果です。ご覧の通り、あまり相関がみられません。しかし、
先ほどの乳腺発達度のグループA,B,Cに分けて調べてみますとグループA
とBではぞれぞれ高い相関があるのがわかります。」

ううむ。俄かに信じがたいが膨大なデータがその理屈の正しさを裏付けていた。

「すると、乳腺発達度のグループがAで、脂肪蓄積率のランクが5の者が最も
胸が大きくなる素質があるということか。」

「その通りです。ここ数年、選考会で巫女候補に選ばれた者はグループAでラ
ンク3以上、もしくは、グループBでランク4以上の者となっています。これ
は単なる偶然の結果ではありません。」

プロジェクターに映し出された巫女候補たちのリストの右端にA〜C、1〜5
の分類が付けられているが、真壁が説明する通りとなっていた。

「遺伝子のパターンで乳の大きさが決まってしまうとは……これは衝撃的な話
だな。」

「いいえ、そういった者が必ず超巨乳に育つかというとそうではありません。
肥育の開始時期、期間、期間中に与える総カロリー、女性ホルモンの活性度、
基礎代謝などの要素の方がサイズに大きく影響します。パターンが嵌るという
のは潜在的な伸び代があるというだけです。」

確かにグラフのプロットをよく見るとA−4やA−5でもバストサイズがそれ
ほどの数字でもないケースがある。

「学園では全生徒の遺伝子パターンを把握した上で育乳を行っているわけか。」

「そうです。初等部に入った頃に遺伝子検査を行いどのパターンかを把握して
います。ちなみにA−5に分類される女生徒は学年に一人いるかどうかの割合
です。」

「そんなに少ないのか?」

「はい。しかもうまく育つとは限りません。しかし、うまく育てば素晴らしい
乳になります。これまで二人を育てることに成功し、見事にどちらも峯山神社
の巫女になっています。」

疑ってかかっていた遺伝子論だったが、ここまで確固たる実例を出されると信
じざるを得なくなってくる。

「一人は今年巫女になった湊かえでという生徒です。画像をお見せしましょう
か?」

そういって真壁はPCのフォルダを開いて画像をプロジェクターに移した。

「おおっ、この子は・・・」

見覚えがあった。確か俺が学内の選考会に呼ばれたときに選ばれた黒髪の美少
女だ。

「バストはトップ133センチ、アンダー67センチ。カップはW。美しいで
しょう。まるで芸術品のようなバストだと思いませんか?」

「もう一人は3年前の巫女になりますが・・・」

そう言ってプロジェクターに映し出されたのはなんと北前まりかの画像だった。

「北前まりか、トップ138センチ、アンダー73。カップは同じくW。本
日、先生を案内した広報担当の女性です。」

つい先ほどこの子の胸で奉仕を受けていた俺は少し気恥ずかしくなり顔を赤ら
めた。

「北前は脂肪の乗り方が凄く良く、肥育屋にとっては育てがいのある子でし
た。湊は乳腺の発達が抜群で弾力に富んだ乳に育ちました。しかし、我々は大
きな壁にぶつかりました。北前を育てた時の経験から、湊なら北前のサイズを
ゆうに超えられるだろうと考えていたのです。乳腺の発達は抜群、肥育も順調
でした。しかし、後半の伸びがありませんでした。もしかしたらWカップとい
う乳サイズが人間の限界に近いのかもしれません……。
ですが、我々はあきらめていません。峯山一郎が夢見た理想の乳房を育てるま
で我々は立ち止まることはありません。」

「理想の乳房?」

「そうです。文献などから峯山一郎が求めた乳房とはトップとアンダーの差が
75センチ以上・・・つまり、Zカップよりもまだワンサイズ大きい2Zと考
えられています。それに向かって育乳を続けるのが我々の使命なのです。」

2Zだと?Wよりも4サイズも上じゃないか。そんな乳が現実に存在できるの
だろうか。

「香川先生にお願いがあるのです。先生の高度な知識を持って我々を導いてい
ただきたいのです。我々の育乳にはまだまだ足りないところがあると感じてい
ます。」

俺は自分のできることなら全面的に協力すると真壁に約束した。真壁は笑みを
たたえて俺に握手を求めた。

「高等部の一年生にA−5ランクの生徒が一人います。その生徒の育乳につい
て先生から我々に定期的なアドバイスをいただきたいのです。」

「もちろんですよ。」

彼がプロジェクターにその女生徒の画像を映し出した。それは見覚えのある顔
だった。

「國場ゆうこ……彼女がA−5なのか?」

「はい、まさしく。我々が最も期待する希望の女神です。」

*

真壁は俺と國場ゆうこの関わりを全て知っているようだった。
かつて國場ゆうこは一人の育乳指導員に連れられて俺の前まで連れてこられた
のだが、その時の指導員は真壁の部下だったということらしい。
國場は湊の次の期待の星であったため、彼女の育乳には細心の注意を払って綿
密に行われた。しかし、逆にそれが仇となり彼女に過度のストレスを与え、健
全な胸の成長を遅らせる結果となったのだった。
俺の診断で彼女に成長のきっかけを与えたことで今は遅れを取り戻すかのよう
に順調な成長を遂げている。

「香川先生に診ていただいてからは、風船が膨らむかのごとく見事な成長を続
けています。」

真壁はプロジェクターに國場ゆうこのバストサイズの成長履歴を映し出してい
た。
中学二年の四月の測定で77センチしかなかったバストは一年後に88セン
チ、二年後の現在は98センチに達しており、三桁目前というところまで来て
いる。これから肥育が始まれば一体いくつまで伸びるのだろうか。

「女性ホルモンの活性度から考えて、この夏の終わり頃に成長期の中間点を迎
えるでしょう。従って、肥育を開始するのはそれを少し過ぎた時期、冬頃から
でしょうか。」

真壁がPCを叩くと予測値が表示され、肥育開始時を105センチと仮定する
と六ヶ月後には121センチ、十二ヶ月後には135センチと示されている。

「135か……」

「いいえ、香川先生。これはあくまでも過去データからの予測であって必ずし
もそうなるわけではありません。しかし、この数字の通りでは我々が目指すZ
カップ超えを達成することはできないのです。」

「2Zとなると、アンダー70ならトップは145ということになる。135
センチでは10センチも足りない。しかも、この差はとてつもなく大きな壁
だ。このクラスになると乳房の重量も相当になる。それを支える適切な筋肉量
も必要だ。そして下垂の問題だ。だらんと垂れてだらしない乳房になってしま
えば元も子もない。」

「その通りです。我々が目指すのは巨大、かつ、理想的に美しい乳房なのです。」