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國場ゆうこのバストはその後もすくすくと成長を続けた。
すぐに3桁の大台に乗ったかと思うと、その年の冬には105センチにまで達
していた。
そして真壁からいよいよ彼女の肥育を開始すると連絡がきた。彼は綿密な肥育
プランを俺に送ってきてくれたが、それらに何の落ち度も見当たらず、俺から
アドバイスできることもほとんどなかった。
肥育が始まり、彼女にカロリーをアップした肥育食が与えられ始めた。
生徒は朝と晩は学生寮、昼は学園の食堂で食事を摂るが、肥育期間中の生徒の
ために肥育食というのが準備されている。これらは効率よく脂肪がとれるよう
に工夫されており、女性が好むチーズやバター、生クリームをたっぷり使った
り、脂身を多い肉をハンバーグにして酸味のある味付けでさっぱりさせるなど
考えられている。また、軽食にケーキなどのスイーツを用意することもある。
とはいえ、急激に太らせるのは良くなく、効率的に脂肪を胸に集めるにはまず
月に1kg程度の増量が良いとされる。そして、三ヶ月ほど様子を見たうえで
さらにカロリーを増やすか減らすかを判断していく。
俺の元には一ヶ月ごとに國場ゆうこのバストサイズや体重などのデータが送付
されてきた。
それには月に3センチのハイペースで順調に育成が進んでいることが示されて
いた。
俺はあるタイミングで彼女に会いたいと考えていた。
順調に成長を続ける彼女のバストを生で確かめたかったからだ。しかし、仕事
が立て込み、ようやく峯山を訪問できたのは四月に入ってからだった。
*
「失礼します。」
応接室の扉が開き、入ってきたのは國場ゆうこだった。
「こんにちは、香川先生。」
「國場さん」
全体的に少しふっくらしたためか去年に比べると大人の色香のようなものが漂
い始めていた。大きく胸元が膨らんでいるのは確認するまでもなかった。
「おかげさまでここまで大きくなりました。」
そう言って彼女は自分の胸の上半分に小さな手のひらを当てた。
「聞いているよ。111センチあるんだって?」
「それは先月の数字です。今日測ったら114センチありました。」
肥育を開始して3ヶ月、彼女の胸は9センチも大きくなった。もうクラスでも
上位に入るほど立派になっている。
「すごいね。國場さんは肥育に適正があるようだね。」
「でもおかげで少し太っちゃって。胸以外もヤバいんですよ。」
「まあ、期間中は仕方ないよ。さあ、脱いでくれるかい?」
制服を脱ぐと純白のブラジャーがお目見えした。
急な成長にブラが追いついてないらしくカップから柔肉がはみ出し気味になっ
ているのがわかる。後ろ手でホックを外すとブラの拘束が解かれ、大きなバス
トがぷるんとカップからこぼれ出す。
でかい。しかし、なんて綺麗なんだ。これだけ大きくなってもまだ完全に重力
に逆らっている。
(ふにょん)
去年は十分に弾力があったバストは適度に脂肪をまとい、弾力を保ちつつも柔
らかく変化している。最初に出会ったとき真っ平らだったのが、ここまで大き
く成長したのは感慨深い。
(ぽよん、ぽよん)
「國場さんももう二年生か、早いものだな。」
國場ゆうこのバストを触診しながら発達具合を確かめていく。乳腺の発達は十
分すぎるほどで適度な張りを保っている。
「はい。最初に先生にお会いしてから三年になりますね。」
(むにょん)
彼女のしおらしい態度が可愛らしい。三年間という月日は子供っぽかった少女
をいつの間にか美しい女性に変えていた。
い、いかん。情が移ってしまったのだろうか。冷静になれ、相手は俺の半分ほ
どの歳しかない小娘なんだぞ。
「これまでよりここに来る機会が増えそうなんだ。また診てあげるからね。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
國場ゆうこは服を着て応接室から出て行ったが、去り際に見せた少し寂しげで
物憂げな表情が気になった。しかし、胸の成長は文句のないくらいの順調ぶり
であり、この調子なら何も心配することはないと自分に言い聞かせたのだっ
た。
*
國場ゆうこの胸は順調に成長を続けると思われたが、数ヶ月経ってそのペース
に陰りが見えてきた。月3センチだったペースが2センチに落ち、それが1.
5センチと低下していた。
肥育6カ月目に120センチに達したもののこのままではZ超えはおろか、予
測値の135センチすらも難しい。
真壁らのチームは原因を探るべく様々な解析を行ったがこれといった答えは見
つからず、与えるカロリーの量や運動量を変化させたり、マッサージの方法を
変更したり試行錯誤を繰り返したが無駄に終わっていた。
そして結局はこの俺に助けを求めることになった。俺は過密なスケジュールの
合間を見つけて再び峯山へとやってきた。
黒塗りの車を降りると学園の正面玄関には北前まりかが出迎えに来ていた。
相変わらず立派な胸の膨らみは眩しかった。
「やあ」
「お疲れ様です。香川先生。」
彼女と並んで歩くとスーツに内包された大きなバストがゆさっゆさっと揺れる
のが目の端に移る。巨大だ。果たして國場ゆうこの胸は彼女より大きくなるの
だろうか。俺は今から、応接室で待っている國場と会って成長のペースが落ち
た謎を解き、適切な処置をとらなくてはならなかった。
*
応接室では不安な顔をした彼女が宙を見つめながら待っていた。
俺の姿を認めると彼女の顔が花が咲いたように急に明るくなった。
「せんせい!」
「やあ。國場さん。元気かな?」
北前まりかは私は失礼しますと言って応接室を出て去っていった。
俺の診察の邪魔になると考えたのだろう。
「どうだい?調子は。」
「そうですね。あまり良くないかもです。」
胸の膨らみはまた一段と大きくなり、窮屈な制服を突き上げている。調子が良
くないと言いつつも周りに自慢できるほどの立派なバストだ。
トップ121、アンダー70、Qカップが現在の彼女のサイズだった。
「どうしたのかな?何か悩みでもある?」
「そうですね……」
何か悩みがありそうだった。
「私の胸、肥育が始まってすっごく大きくなったんです。最初はとても嬉し
かったんです。友達もよかったねって喜んでくれて。でも……。大きくなるに
つれて皆がしゃべってくれなくなったんです。」
「國場さんのことを良く思ってないってこと?」
「たぶん。私がベスト8に入ってしまったからなんです。私たちは校内選抜会
に向けてまずクラスで8人が選ばれるんです。それに選ばれたくてみんな育乳
を頑張ってるんですけど、私みたいなのが急に大きくなって割り込んできたか
ら……はぁ。」
高校2年生では大半の女子が肥育を終え、成長期も終わりを迎えている。
その中で出遅れていた彼女が爆発的なスピードで成長し、上位に昇っていくの
をクラスメートは脅威に感じているのだろう。
「みんなライバルってわけか。」
「そうなの。仲の良かった友達までよそよそしい感じで。」
なるほど。対人関係のストレスだな。今まで仲の良かった友達にまで冷たくさ
れるなんて辛いだろうな。しかし、こればかりは俺では何ともできんな。まっ
たく、女の世界ってのはややこしいからな。
「冷たい言い方かも知れないけれど、キミの胸が大きくなってキミから離れて
いく友達は本当の友達じゃないぜ。キミの方から無視してやればいいんだ。」
「は、はい。でも……」
「キミの胸はまだまだ大きくなるんだ。やがてクラスで一番になるよ。そうな
ればもっと孤独になる。でも、トップになるということはそういうことなん
だ。それに……キミは独りじゃない。この僕がついているからね。」
「先生……」
彼女の目にはじんわりと涙が浮かんでいた。
よっぽど負担に感じていたのだろう。俺は指で彼女の目の端から流れ落ちる涙
を拭ってやった。
彼女の顔が上がり俺の顔を見上げる。自然と顔が近づき、俺の唇が彼女のぷっ
くりとした柔らかい唇にを押し当たった。
後で思えば、彼女になぜキスなんてしたんだろうと思う。でも、このときはそ
うするしか彼女を立ち直らせる方法はないと思ったのだ。
「さあ、泣かないで。服を脱いで胸を見せてごらん。」
國場ゆうこは夢見がちに俺を見ながら俺の言うとおり服を脱ぎ胸を露わにした。
ボリュームを増した胸の存在感と重量感はものすごく、しかし、まだいくらで
も膨らみそうな張りを蓄えていた。
(むにゅうううううう)
両手をめり込ませると柔らかい乳肉に指がずぶずぶと埋まっていく。持ち上げ
るとずっしりと重い。
俺は丁寧に時間をかけて乳腺を刺激し、胸の成長を促すマッサージを施した。
マッサージを受ける彼女は完全にリラックスし、心を解き放しているようだった。
(むにゅん、むにゅん)
シミひとつない白い乳房は適度な弾力を有しながらもねっとりと俺の手のひら
に吸い付いてくる。その感触は心地よくいつまでも触っていたいと思ってしま
う。彼女は上気して頬をピンク色に染めながら、目を閉じて俺にされるがまま
になっている。
(あっ… はぁっ……)
俺が指に力をいれると時々彼女から可愛らしい声が漏れ、それが部屋に響い
た。俺はこれが施術であると自分に言い聞かせ自制心を保つのがやっとのこと
だった。
*
國場ゆうこはスランプから抜け出し、再び右肩上りの成長を始めていた。
食欲は戻り、顔も明るさを取り戻していた。クラスメートから冷たくされても
意に介さなくなった。
肥育はすでに9ヶ月を経過し、バストは128センチ。クラスではナンバーワ
ンのサイズとなっていた。
肥育期間はあと少し。この期間にあとどれだけ大きくできるかが勝負となる。
今のペースで大きくなり続けても予測値では136センチ。肥育期間がさらに
あと1〜2ヵ月伸びれば140センチ台も見えてくるが、しかし、真壁は肥育
期間の延長は難しいという結論を出していた。
「やはり國場ゆうこの肥育期間は計12ヶ月で終わりになります。先ほど説明
したデータの通り、これ以上を望むのは無茶というものです。」
他のメンバーが真壁の見解に口を挟む。2ヶ月までの延長であれば乳房の形を
損なうことなく肥育が可能という意見だったが、真壁がすぐさま論理的な説明
で彼の案を却下した。
かつての北前まりかが肥育期間14ヶ月という峯山の最長記録を保持していた
が、大方のスタッフは希望的観測で同じ期間は可能だろうと考えていた。しか
し、真壁は彼の豊富な経験からそれは甘い考えだと切って捨てたのだった。
「しかし、残り3ヶ月の間に何とかすることは可能かもしれません。」
スタッフ全員が真壁の顔を見つめた。彼らはそんな妙案があるわけがないと
思っていた。
「画面を見て下さい。これは國場ゆうこの女性ホルモン値の推移です。いずれ
も全く問題なく正常範囲です。しかし、一つだけ気になる点があります。女性
が恋愛をすると高まる女性ホルモンのエストロゲンが、彼女に限ってはやや低
いのです。言うなれば、恋愛に対してストレスを感じています。」
恋愛に対してのストレスとはどういうことだろうと他のスタッフたちも口々に
意見を突き合わせている。
「彼女は成就できない恋愛を抱えて悩んでいるようです。一言でいえば片思
い。もし、これが解消されればホルモン値は一気に跳ね上がる。」
真壁の意見にスタッフたちの意見が飛び交う。
「我々が生徒の恋愛にまで口出しするんですか?それはやりすぎだと思いま
す。」
「そうですよ。一体どうやって指導するんですか?」
「誰に片思いしてるというんです?この女学園の中で。もしかしてクラスメイ
ト?」
真壁は一同を見渡して意味ありげに彼らを見つめた。
「対象は女性ではないよ。私は高島トモア君から聞いたのですが……ある男性
に恋をしているそうです。」
「その想い人に協力してもらい、彼女のホルモン値を大きく上昇させようとい
うのですね?」
「そうだ。そしてその男性とは……我々のよく知っているあるお方だ。」
真壁はそれ以上何も言わなかった。彼の頭の中では既に綿密な計画が練られて
いるのであった。