11
春が来て國場ゆうこは高校三年生になった。
鬼門の一ヶ月を何とか乗り越え、ダイエットは四ヶ月目へと入っていた。
見た目には大きく変わらないが、彼女曰く、すっごく痩せたそうである。
心配していたバストの痩せは今のところ見られていない。しかし、油断は禁物
だった。
「香川せんせい!」
週末になると俺は彼女と会った。峯山駅の近くで待ち合わせ車で俺のマンショ
ンへ連れていった。峯山学園の寮は規則が緩く、簡単な外出届を出すだけで彼
女は外泊することができた。
二人きりになると彼女は俺の胸に飛び込んでくる。巨大な胸が俺の体にぶつか
り反動に耐えなくてはならなかった。
「会いたかったよ。」
「私もです。」
そう言って抱き合い濃厚なキスをする。胸を触るとそこには依然として巨大で
張りのある柔らかい膨らみがある。
マンションでは誰の目も気にすることなく愛し合うことができる。服を脱がせ
てブラを取り、巨大で重い彼女のバストを思う存分堪能できる。ただし、一つ
だけ暗黙のルールがあった。彼女はいずれ巫女になる女性。処女を奪うことだ
けはまかりならなかった。
夏が過ぎ、彼女のダイエットは順調に進み、顔は引き締まり、豊かだった腰回
りも少し脂肪が落ちて女性らしいくびれのラインが形成され始めていた。ヒッ
プのサイズも一回り小さくなった。至って順調に減量が進んでいた。
依然として俺が気になるのはバストの減少のことだった。身体が引き締まるの
はいいが、それに応じて多少なりとも胸が縮んでいくのは仕方のないことだっ
た。しかし、俺の心配に反して依然として彼女の胸は豊かなままで、萎んだ
り、垂れてきたりはしていないのであった。
不思議なことだ。こんなことがありえるのだろうか?
俺は彼女の胸をできるだけ維持しようと何度も育乳マッサージを続けた。乳腺
を刺激すればそれを守るために脂肪が集まってくる。ダイエットによる縮乳を
少しは食い止められるのではないかという俺の考えが功を奏しているのかもし
れない。
*
秋も深まった頃、とうとう彼女の運命を決める学内の選考会の日がやってきた。
峯山学園の生徒にとって峯山神社の巫女になることは誰もが想い描く憧れであ
り大きな目標であった。そしてそのために三年生の秋に行われる学内選考会は
非常に重要なイベントだった。まず各クラスで巨乳順に8名の生徒が選抜さ
れ、6クラスで計48名が選考会の出場メンバーとなる。三年生の平均がJ〜
Kカップと言われているが、もちろんその平均を超えた生徒たちから選抜され
る。最近では少なくともO〜Pカップを超えていないとクラスで8人に入るの
は難しいそうである。
出場者48名の平均バストサイズは118.5センチ。これは3年前の選考会
のときに比べて約4センチも大きくなっているそうで、学園の育乳教育がます
ます進化を続けていることを物語っている。
俺は3年前にこの選考会に招かれて以来、毎年同じように来賓として巫女候補
の誕生を見守っている。若さあふれる生徒たちの発育十分な乳房を眺めるのは
自分の仕事を抜きにして楽しいことであった。しかし、今年の選考会は意味合
いが違ってくる。なぜなら手塩にかけて育てた國場ゆうこが出場するからだっ
た。
例年のように学園の理事長の挨拶が終わるとステージに48名の生徒が登場す
る。彼女たちは橙色のマントを羽織っており、一組の生徒から名前を呼ばれた
順に前に進み出てマントを取り、ステージの中央まで歩いていく。そして、ビ
キニを脱いで胸を露わにしてからその場でくるりと一周回ってから元の位置へ
と戻っていくのだ。審査員はその間に一人ずつを審査する。
「1組の奥山ありすさん!」
「はいっ!」
選考がスタートした。
最初に名前を呼ばれた生徒が前に進み出て橙色のマントを取ると白いビキニに
こぼれんばかりの大きなバストがお目見えする。大きな胸をゆさゆさと揺らし
ながら彼女はステージの中央で立ち止まる。
「1組の奥山ありすです。身長は157センチ、バストはトップ126セン
チ、アンダー68センチのTカップです。」
女生徒はサイズを告げると手を後ろに回してビキニの紐を引っ張って解き、胸
を露わにする。ビキニの拘束がなくなっても乳房は垂れ下がることはなく素晴
らしいフォルムを保っている。乳輪はバストの大きさに相応で、乳首はピンク
色でかわいらしく小指の先くらいの大きさである。彼女はその場で一周回る
と、胸をはだけたままで元の位置まで戻っていく。続いて次の生徒の名前が呼
ばれ同じように審査が進んでいく。
國場ゆうこのクラスは5組であり、終盤の登場となる。ステージに並んで立つ
生徒たちのマントの膨らみを見比べると明らかに彼女だけ一回り大きいのがわ
かる。彼女は特に緊張した様子もなくたまに俺と目が合うとにっこりと微笑み
を返す余裕があった。
逆に俺の方が緊張していたのかもしれない。我が子を見守るような気持ちで彼
女のことを応援していたからなのだろう。
改めて会場を見渡すと審査員席には真壁隆盛の姿があった。彼も学園の育乳指
導員のトップとして選考に加わっていた。もちろん、國場ゆうこを見守る目は
俺と同じなのだろう。来賓席には俺のほかに数名の要人が席を連ねている。毎
年顔を合わせる彼らとは世間話をする程度の知り合いになっていた。
一人、また一人と審査が進み、3組、4組が終わりとうとう彼女の番が回って
きた。ステージ上の彼女の顔色は変わっていないが、俺の心臓の鼓動はドキド
キと早まっている。気負わずに普段通りに振る舞ってくれれば彼女なら何も問
題なく巫女候補に選ばれるだろう。それは分かっているが、何か大きな失敗を
してしまわないかとやきもきしてしまう。
「5組、國場ゆうこさん!」
「はいっ!」
いよいよ彼女の番だ。
彼女は他の生徒と同じように一歩前に進み出て橙色のマントをとった。すると
超弩級の巨大バストが周囲の目に曝される。
「うおおおおっ!」
「で、でかい!!」
「な、なんだあれは!?」
審査員、来賓、関係者たちから大きなどよめきが起こる。今までの生徒たちと
は明らかにレベルの異なる巨乳が目の前で揺れる。白いビキニがビーチボール
よりもまだ一回り大きい二つの乳房を被っているのだが、乳房の中央付近を覆
い隠すのがやっとで上下左右から柔らかそうな乳肉がこぼれている。ビキニの
紐も柔らかい胸に完全にめり込んでしまっている。
彼女がステージの端から中央に向かって歩くと、その大きな胸が盛大にゆっさ
ゆっさと揺れる。観客たち全員の視線は彼女の胸に集まっていた。
「5組の國場ゆうこです。身長は160センチ、バストはトップ152セン
チ、アンダー70センチ。カップは5Zです。」
会場は再び大きなどよめきに包まれた。
俺の左右に座る来賓たちの驚きの声が聞こえる。
「ひゃ、152だとぉ!?」
「5Zなんてサイズ、聞いたことがないぞ!!」
「むほおっ、なんと豊満な娘じゃ!」
正面を向くと彼女の胸は自分のウエストのラインを隠してしまうほどに大き
く、胴から横に大きくはみ出している。どよめきはしばらく収まらなかった
が、ようやく静まってきたころに彼女は背中に両手を回してビキニの紐を引い
た。
白のビキニがはらりと落ちて彼女の生乳が披露される。ビキニの紐を解いても
胸の位置は変わっておらず、この大きさ・重さの割に胸のかたちは全く崩れて
いない。理想的な美しいフォルムを保っている。
「わおっ!」
「し、信じられん。」
「なんて美しいんだろう……」
彼女はその場でくるりと回ると巨大な乳房に隠れていた美しい腰のラインが見
え、続いて形の良いヒップが見えた。女神のようだ……俺は心の中でそう呟い
た。肥育が終わってからの11ヶ月で彼女は計画的な減量を成功させ、ショー
ツにぽっこりと乗っていたお腹と脇腹に取りついた余分な脂肪を見事に消し去
り、美しいくびれのラインを獲得していた。ボリュームを増しすぎたヒップも
ある程度の肉量は残しながらも丸く女性らしいものに変化させていたのだっ
た。
これだけ痩せれば普通、乳房のボリュームも相応に縮小してしまうところだ
が、彼女の場合、奇跡的にトップバストの減少はみられなかった。それどころ
かアンダーバストが細くなった結果、カップサイズは肥育終了後の2Zから5
Zと3サイズも大きくなっていたのだ。
彼女の健気な努力が結実した結果であったが、俺の緻密で念入りなバストマッ
サージが乳房の形とボリュームを保つのに大きな貢献をしたことは言うまでも
なかった。
審査の結果、國場ゆうこは2位に10センチ以上の大差をつけてトップとなっ
た。当然、本戦である巫女選びの峯山学園代表として選出されることとなった
のである。
冬に行われる本線においてもおそらく彼女の敵となる生徒はいないだろう。
学内選考会には来賓のほかに地元のメディアの取材チームも入っていた。
峯山神社の巫女をほぼ独占状態にしている峯山学園の生徒の動向は世間の注目
度も高いらしく選考会で選ばれるとインタビューがあったり、新聞、ネットに
ニュースが出たりする。
國場ゆうこも選考会終了後にインタビューを受けていた。何をしゃべったのだ
ろうかと気になったが、後の新聞記事で俺は知ることになった。
『峯山学園選考会 今年はなんと152センチの國場ゆうこさん。
毎年2月に開催される峯山神社の乳巫女選びに向け、巫女の多くを輩出する
峯山学園では11月某日、恒例の学内選考会が行われた。見事トップで選ばれ
たのは本学園の三年生、國場ゆうこさん(18)。バストサイズはなんと
152センチ、ブラジャーのカップは5Zという規格外の巨乳の持ち主だ。
育乳に力を入れることで有名な峯山学園だが彼女ほどのサイズは学園始まって
以来だという。國場さんの将来の夢は自分も育乳に携わる仕事について色んな
人のバストアップを手助けすることだという。(峯山新聞)』
後日、峯山新聞以外にも数社から取材の依頼があったそうである。日本一バス
トの大きい女子高生としてテレビに出てほしいというオファーもあったらし
い。これは学園側が断ったそうだが、ネット上でも騒がれ國場ゆうこはちょっ
とした有名人となってしまったようだった。俺としては少し複雑な気分だっ
た。あまりに有名になってしまえば二人で自由に会うことができなくなってし
まうかもしれないからだ。
國場ゆうこが学内選考会でトップになり、ちょっと有名になってからも俺たち
は毎週末に必ず会った。彼女は人目など気にせずに俺と会いたいと言っていた
し、本戦である巫女選びに備えてバストマッサージは続ける必要があったから
だ。
幸いしばらくするとメディアからの問い合わせも下火になった。世間というも
のはそういうものだ。しかし、彼女がまた巫女に選ばれたらこれ以上に大騒ぎ
になるのだろうと想像すると少し嫌な気分になった。
*
いよいよ峯山神社の巫女選びの当日。
各地から書類選考で選ばれた候補者が峯山神社へと集まってきていた。いずれ
もバストに自身のある高校3年の女生徒たちで、概ねトップとアンダーの差が
40センチ以上(Mカップ以上)が足切りラインと言われている。学園の学内
選考会で選ばれた7名は軽くこの条件をクリアしていた。
当日の朝、北前まりかはかつて自分が巫女を務めていた峯山神社の前でその7
名を待っていた。彼女の役目は候補者たちを受け付けに連れていき、選考会の
様子を見守ることだ。そして選考の速報をいち早く学園の関係者に伝えること
だった。
一人、また一人と候補者が集合場所にやってきた。
いずれの生徒も峯山学園の制服姿で、その制服の前をこれでもかと言わんばか
りに張り出している。
「いち、に、さん、し、ご、ろく・・・」
集合時間が近づき、彼女は生徒の数を確認する。
「あれ?まだ一人来ていないわ。」
手元の名簿を確認し、集まっている生徒の点呼をとる。
「来ていないのは・・・國場ゆうこさん」
國場ゆうこは集合時間を過ぎても現れなかった。
北前まりかは焦り始めた。彼女の携帯電話に連絡してみたが、繋がらなかった。
高島トモアに連絡を取り状況を伝える。締め切り時間が迫っているので一先ず
6名の生徒を連れて受付を済ませ、まだもう一人来るので待ってほしいと申し
入れた。
しかし、國場ゆうこはいつまで経っても現れなかった。
高島トモアも彼女の携帯に電話をかけたが繋がらなかった。電源が入っていな
いか、電波の届かない場所にいるらしかった。
「何てこと!?こんな大事な日に。」
高島トモアは寮や実家など方々手を尽くして彼女を探した。もちろん俺のとこ
ろにも直ぐに電話がかかってきた。俺のところにもやってきてない。
まさか怖くなって逃げ出したのだろうか?昨晩、彼女と話したときはいよいよ
本番が迫りドキドキしていると言っていたのだ。逃げ出すような素振りはな
かった。
何かの事件に巻き込まれたのか?それともライバルの妨害か?俺はいろいろと
考えを巡らせた。居てもたってもいられなかった。
俺も彼女の電話に掛けてみたが、電源が切れているようで繋がらなかった。
(一体どこへ行ったんだ!?)
俺は彼女を探すためにマンションを飛び出した。
高島トモアと連絡を取りながら國場ゆうこが行きそうなところを順番に探して
回った。峯山市、隣の豊丘市、心当たりのあるところは全部回った。しかし、
どこにも彼女は見つからなかった。
もう夕方だった。神社の巫女選びはとっくに終わっていた。
ふと俺は朝から何も食べておらず、ポケットには小銭程度しか入っていないこ
とに気がついた。
(くそっ!一旦、出直しだ。)
俺は体制を立て直すべく自分のマンションへ戻ることにした。
マンションのエントランスの前で、一人の女性が座り込んでいるのが見えた。
見慣れた峯山学園の制服であった。
「國場さん・・・」
夕暮れが迫る中、彼女は花壇の縁に腰かけて俯き加減に地面を見ていた。
駆け寄ってきた俺の姿に気づいて顔を上にあげた。
「探したよ。いつからここで待ってたんだい?」
「先生………。ごめんなさい、私……」
俺はすぐ学園に電話を入れて國場ゆうこが見つかったと連絡した。
寒空の下で長時間待っていた彼女は寒さで震えていた。理由を聞く前に俺はま
ずマンションの部屋へと連れて上がった。
ソファーに座らせて温かいスープを飲ませると彼女は少し落ち着いたようだった。
俺は彼女が口を開くのを待った。
「峯山神社の巫女になることは全ての女の子達の憧れでした。私も初等部の頃
からずっと巫女になることに憧れていました。でも、胸が大きくならなくて夢
を諦めかけていました。そんなときに先生と出会いました。お陰で学園で一番
にまでなることができました。すっごく、すっごく感謝しています。
でも………」
俺は彼女の言葉の続きを待った。
「いつからか、私の中で巫女になることへの想いは薄れていたのです。それで
も、先生たち、学園のスタッフの方の期待に答えなきゃという一心で今まで育
乳を頑張ってきました……。巫女になれば三年の間、香川先生とは今みたいに
自由に会えなくなります。そんなのは今の私には淋しすぎて耐えられませ
ん……」
俺は泣いてしゃくりあげながら話す彼女の肩を静かに抱き寄せた。
「國場さん・・・僕だってそうだよ。キミと会えないくらいなら死んだほうが
ましだ。今朝、キミが居なくなったと聞いて、そして、キミを探しながらも
ずっとそう思っていたんだ。僕の傍にいてどこにも行かないで欲しい。」
「先生………」
「結婚しよう。ずっと二人一緒にいよう。」
「はい。よろしくお願いします。」
その後、俺たちは長いキスをした。そして彼女の冷えた体を抱き寄せて温め
た。
*
彼女の卒業を待って、俺たちは婚約をした。式は近いうちに挙げる予定だ。
驚いたのは峯山学園のスタッフと世間の人たちだった。
形としては、國場ゆうこが育乳師の俺に恋をして、巫女になるよりも俺を選ん
だということになっていた。確かにそれが事実なのだが女学園にありがちな先
生と生徒の恋愛と同じように扱われている感があった。
俺に対する批判的な意見もあったようだが、貧乳の女生徒を学園トップの巨乳
にまで育て上げた腕利きの育乳師として評価を得ているようだった。
もちろん俺一人の成果ではなく、真壁隆盛や優秀なスタッフたちの力があって
こそのことであったが。
巫女選びについては、エースの國場ゆうこが不在であったものの、見事に学園
の生徒たちが選ばれるという結果になった。また峯山学園の名前を世に知らし
めることとなり、学園としても國場ゆうこの一件は特に取り上げなかった。
*
今まで一人住まいだった俺のマンションに彼女が越してきていた。
クリニックから帰ってくると部屋は明るく暖かく、食事の準備も整っているの
が嬉しかった。
「先生、おかえりなさ〜い!」
大きな胸をぽよんぽよんと揺らしながら玄関で出迎えてくれる彼女。
エプロンの左右から白いニットに包まれた柔らかそうな胸の膨らみがはみ出し
ている。
玄関先でキスをしながら彼女の豊満なバストに触れるのが俺の日課になった。
彼女は時々、俺のクリニックで受付を手伝いながら、自らも育乳師になる勉強
を始めていた。自分のように胸で悩んでいた女性のバストアップを手助けして
あげたいのだという。
完