ちちのーと

ブラン 作
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まなみはしばらく引きこもりのような生活を送っていた。
ネットで注文した服はすぐに届いた。しかし、それを着て外に出る気にはなれ
なかった。大きな胸は彼女の体に負担をかけ、肩こりや筋肉痛、腰痛を引き起
こすからだ。Kカップのブラは窮屈だったが何とか収めることはできた。しか
し、乳房が持ち上げられ一層胸が大きくなったかのように見えた。
インターネットのお陰で生活に必要なものは何でも手に入った。そのため一切
外へ出ずに生活することは可能だった。その代わりに、貯金がすごい勢いで
減っていっていることは心配の種だった。彼女はアルバイトを辞めてしまって
から収入がない状態が続いている。何か仕事をしてお金を稼がないといけない
と思いつつもこの重い胸を抱えて働くのかと思うと気が進まなかった。ルナが
現れたら胸を元通り小さくしてもらおう。そう思ってルナが現れるのを待って
いたが、彼女はなかなか姿を現してくれなかった。

もう一つ心配なことがあった。
テレビのニュースでは時々、無差別大量縮乳事件(世間ではこう呼ばれてい
た)を取り上げていた。1万人以上の女性が胸を失うという奇怪な事件をメ
ディアは当初盛んに報道していたのだが、結局原因がわからず、未解決事件と
して終息しかけていた。
しかし、ある日のテレビの特集でまなみが住む地方都市でも数カ月前に縮乳事
件があったことがわかるとまた報道が活発になった。それを受けて警察も動か
ざるを得ず、先日の縮乳事件とその市の事件の関連性を調査し始めることと
なった。
もちろんその地方都市の事件というのは以前にまなみが起こしたものであり、
被害者は300人程度と伝えられていた。
こうなるとますます外を出歩くのを避けなくてはならなかった。なぜなら以前
のまなみを知る人が巨大に急成長した彼女のバストを見ればとても驚くだろう
し、大量縮乳事件との関連性を疑われることも考えられるからだ。

ある日、まなみを呼ぶルナの声が聞こえた。
彼女は重い胸を抱えながらマンションの屋上へと向かった。
待ち望んでいた乳神ルナがやってきたのだ。
ルナは気球のような大きな胸を上空に浮かべていた。その胸は以前よりもいっ
そう大きくなっているように見えた。

「ルナ。やっと会えたわね。」

「ごめんなさ〜い。超乳神に即位してからとても忙しくなっちゃって、なかな
か人間界に来ることができなかったの。」

「久しぶりにみたらルナの胸、なんか大きくなってない?」

「わかる?乳神が人間からムネを吸い取るとその一部が超乳神へ納乳される
の。だから私は何もしなくても乳神たちが吸い取ったムネでどんどん大きく
なっていくのよ。」

「のうにゅう?」

「ええ。上納乳とも言われるわ。何せ超乳神は全ての乳神の上に立つ存在なの
よ。即位したときより胸囲は5mほど大きくなったかしら。」

まなみはルナほど大きい胸になった自分を思い浮かべようとしたが現実離れし
すぎていて想像ができなかった。

「ふうん。でもそんなことよりもお願いがあるの。私のこの胸……小さくして
欲しいんだけど。」

「なぜ?」

「肩こりや背中や腰の痛みがひどいのよ。重いし、かさ張って邪魔だし、人か
らじろじろ見られるし。」

まなみは胸を両手で持ち上げながらルナに不満を言った。

「超乳神からのおすそ分けを要らないだなんて罰が当たるわよ。それなら貴女
にいい提案があるわ・・・貴女、乳神になってみない?」

「ええっ?乳神に?」

「超乳神の能力のひとつ。人間を乳神に任命することができるのよ。乳神にな
ればその胸の重みから解放されるわ。それに自由に人間界と乳神界を行き来で
きるようになる。」

「い、いやよ。この世のものじゃなくなるんでしょう。とにかくいや!それよ
りこの胸を何とかして!」

まなみはヒステリックになりルナへ大声で言った。

「仕方ないわね・・・少し待ちなさい。」

ルナがそう言うと上空から小さなリンゴのような物体がゆっくりと舞い降りて
きた。以前にルナからもらったあのお菓子だ。しかし、色は赤ではなく今回は
青いものだった。

「青いお菓子。これを食べれば胸が元に戻るのね?」

まなみは宙に浮いた菓子を受け取るとそのまま口に入れた。そしてそれをもぐ
もぐとかみ砕いた。甘酸っぱい味が広がり爽やかな香りが辺りを包んだ。

「!」

さっそく身体が熱を持ってきた。その熱はやがて体の中央、胸に集まってゆ
く。

「うっ!く、くるしい……」

(むくむく)

「えっ!?ムネが……」

縮むはずと思っていた胸が逆に容積を増していく。

(むくむくむくむく)

「ちょ、ちょっと、ルナ!話がちがうじゃない!」

十分に余裕のあったシャツはすぐに窮屈になり生地をパツパツに張り出させて
いる。

(ビリッ!)

「い、いやあーっ!!」

増えていく乳肉の圧力に耐えかねて服は縫い目から裂け始める。

(ビリビリビリビリビリーーーーッ!!!)

「きゃああっ!!」

(ぶるるるるるるんっ!!)

シャツの囲いを突破した乳房は前に飛び出し、さらに勢いよく容積を増してい
く。

(むくむくむくむくむくむくむくむくむく・・・)

もともとバレーボールほどあったまなみの乳房はバスケットボールを超え、
バランスボールほどのサイズに変化してそれでもなお胸は大きくなり続けてい
る。

(むくむくむくむくむくむくむくむくむくむくむく・・・)

まなみはとうとう大きな胸を支えきれなくなり地面にへたり込んでしまった。
バランスボールより一回り、いや二回りほど大きくなってようやく乳の成長は
止まった。

「ルナ!ちょっと何とかしてぇ!重くて動けない!」

「ふふふ。おすそ分け・・・第二弾よ。超乳神は自分の乳を好きに分け与える
ことができるの。これも新しい能力なのよ。」

まなみは巨大な胸を持ち上げようとするが自分の力ではどうにもならなかっ
た。

「胸囲は3メートルを超えたかしら?それじゃもう起き上がることもできない
わね。これで諦めがついたでしょう?さあ、貴女は乳神になる運命なのよ。」

人間離れした巨大な乳。その乳房は片方だけでも100kg以上の重さになっ
ている。もう自分で乳房を動かすことさえできなかった。

*

まなみはルナと契約を結んだ。
乳神になってみると身体は軽いし、自由に空を飛べ、自在に姿を消すことがで
きた。

(ぷるるん、ぽよん、ぷるるん・・・)

意外に快適だった。巨大な乳房はプカプカと浮いて身体への負担は全くなく、
悩まされていた肩こりや体の痛みも消え去っていた。

そして、彼女はルナから新たな名前を与えられた。
“まなみ”から一字を削り、乳神“マナ”となり新たな人生を歩むことになった。
また、新しいちちのーとも彼女に与えられた。

*

見知らぬ若い女性が道を歩いている。ふと公園の方に目を向けると誰もいない
ベンチの上にノートが置かれているのに気づく。女は立ち止まり、少し考えて
からベンチの方へ歩いた。

「子供の忘れものね?」

女性はファンシーな絵柄のノートを拾い上げて手に取った。

「ちちのーと??変な名前のノートね。」



乳神ルナのバストサイズ:88.4m→93.2m
まなみのバストサイズ:103cm→324cm


END