育ちすぎに注意

ブラン 作
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「はあっ・・・もうマジムカつく!」

今日もクラスでチビと馬鹿にされたあやはむしゃくしゃしながら下校してい
た。高校3年なのに彼女の身長は145cmとミニマムサイズ、学年で一番背
が低いだけでなく下級生の中でもおそらく一番低い。見た目もどう見ても高校
生には見えず、中学生に間違えられるのは良い方で小学生と間違えられること
だってある。
彼女自身できるだけ大人っぽく見られるように髪形やメイクを工夫しているも
のの元々顔立ちが童顔なためあまり効果を発揮していなかった。
それでも高校の制服を着ているときはまだマシな方で、私服で出かけるとたい
てい子供に間違えられる。親友のなぎさと一緒に歩くと妹さん?と言われてし
まうのが常だった。

「なぎさのように私も背が高かったらなぁ・・・」

友達のなぎさはは彼女よりも頭一つ分ほど大きく、大人っぽくてスタイルもよ
い。美人で男の子から声を掛けられることも多かった。高校に入ってからすぐ
に彼氏ができて何人かと付き合って、今はサッカー部のキャプテンと付き合っ
ている。
しかも胸がかなり大きく、それが男どもを引き付ける要素にもなっている。
あやには胸の膨らみはほとんどない。低身長、貧乳、童顔ここまで揃っていれ
ばそれなりにニーズはありそうだがいまだに男の子とデートしたこともない。

あやが歩いて公園を通り抜けようとしていたとき、ベンチに座っていた老婆か
ら声を掛けられた。

「これ。娘さん。」

「はい?」

あやは老婆の前で足を止めた。

「大きくなりたいんじゃろ?この指輪をしなさるといい。」

そう言って老婆は手のひらの上に銀色に輝く指輪を載せてあやの方に差し出し
た。

「大きく?えっ?いえ、そんなのもらうわけには」

しかし、老婆はあやの手を無理やり開かせて手に指輪を握らせた。

「ふしぎな力を秘めた指輪じゃよ。前の持ち主が必要なくなったんでな。お前
さんにあげるよ。」

老婆はあやに指輪を渡すと消えたように目の前から姿を消してしまった。あや
はしばらく呆然としていたが指輪を握りしめたまま自宅へと帰っていった。

その夜、あやは自分の部屋で老婆にもらった指輪を眺めていた。何の変哲もな
い銀の指輪で表面はつるりとしているが少しくすぶった感じがある。もしかし
たら銀ではない何かなのかもしれない。あやは指輪を右手の指に嵌めてみたが
特別何も感じなかった。

「こんなので大きくなる訳ないよね?ちょっと効果があるかも?って思った
私、マジでハズいかも。」

あやは指輪を外さなかった。効果などなくても指輪のシンプルなデザインが
ちょっといいなと思ったからだ。ベッドに入って眠りにつこうとしていると
き、ふと指輪が光っているように見えた。窓から入る月明かりに照らされて鈍
く光っていただけだったが、指輪自身が弱く光っているようにも見えた。