千々山村役場 地域振興課

ブラン 作
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新聞や雑誌、テレビなどのメディアも千々山村を取り上げ、山深い神秘の村、
古き良き日本の原風景、深い山々が育む名水、美人の湯として名高い温泉、そ
して、村の女性の大きなおっぱいが特集されるようになった。メディアの対応
はもっぱら仁科さんの観光課の仕事であり、課の人員を増員しても手が回らな
いという忙しさに見舞われている。

「もう、だいたいね〜、中山くんが村をPRしすぎたからこんなことになるの
よ!限度というものがあるでしょ!」

村が栄えて誰からも感謝されるのに仁科さんだけは忙しくなったのは俺のせい
で残業はしないといけないし、休日も出てこないといけないと恨まれている。

「もう、やーめた!私、来週一杯有給取るからね!中山くん、あとよろし
くっ!」

(あ、切れた)

しばらく休みなしで働いていた仁科さんのネジが飛んでしまい一週間の休みを
取ると言い出した。誰よりも頑張って働いていた彼女に休みを取るなとは上司
も言えなかったようでやりかけの仕事を放り出して彼女はバカンスへと出かけ
てしまったのだった。
今週の土曜日にテレビの取材が入っており、もともとは仁科さんが対応するこ
とになっていたのだが、同じ課の若い子では対応ができないということで、な
んと俺が代わりをやることになってしまった。
その仕事とはTVタレントが村を歩きながら名所を巡ったり、名物を食べたり
する企画だということだ。その中で村役所を訪れて村のことを聞くという場面
があり、仁科さんの代わりに俺が出演するというのだ。

「俺じゃ絵がもたないと思いますよ。」

テレビ的には美人の仁科さんの方がいいに決まっている。でも彼女がいないと
なるとどうしようもなかった。

「心配しなくて大丈夫です。今回、村を訪れるのはあのタレントの桜木ミリア
ですよ。彼女一人で高視聴率間違いなしですから。」

そう説明するのは制作会社のスタッフだった。
桜木ミリア。芸能に疎い俺でも名前は聞いたことがあった。今売り出し中の女
性タレントであどけなさの残るフェイスに抜群のスタイル。18歳でモデルと
してデビューして注目を浴びると、グラビア界に殴り込みあっさりとトップの
座を奪ってしまった。モデルとグラビアの仕事もこなしつつ、テレビにも出演
し、飛ぶ鳥を落とす勢いでレギュラーを増やしている。現在、19歳になった
ところだが週に番組を10本以上抱える売れっ子となっているそうだ。
俺はカメラを撮るのは好きだが、カメラに映るのは苦手で気が進まなかった
が、村のPRだし仁科さんから指名されたということで受けるしかなかった。
テレビの撮影隊が役場を訪れるのはほんの10分間ほどだ。台本通りやり過ご
せばいいだけだ。俺はそう自分に言い聞かせた。

*

「は〜い!!テレビの前のみなさ〜ん!!なんと、私はちち?ちぢやまむら?
……というところに来ていま〜す!!見てくださいこの山、山、山!!私、
すっごい大自然に囲まれちゃってま〜す!!」
(すっごいド……田舎。ここに来るまでにどんだけ時間かかるのよ……。)←心の声

桜木ミリアはカメラに顔を近づけて満面の笑顔を視聴者に見せた。自分のかわ
いい顔が一番かわいく映る角度を彼女は完ぺきに心得ているのだ。実際にほと
んどの男はこの笑顔にイチコロで落とされてしまう。
最初は女性誌のモデルでデビューしたが、その大きな胸にも注目が集まり雑誌
のグラビアを飾ると爆発的に人気が出てしまった。プロフィールによると彼女
の公称バストサイズは93センチとされている。しかし、これはモデルでデ
ビューした際にイメージを損なわないようにとかなり控えめに設定された数字
であり、実のところは100センチぴったりの爆乳を有していた。グラビアな
どでは、“ミリアの1000ミリ砲”と呼称が付けられている。
今日の彼女の衣装はいわゆる山ガールスタイル、ポップな絵柄のついたカラフ
ルなパーカーにイエローのパンツスタイルである。絵柄のせいで胸の膨らみが
目立ちにくいものの大きな胸の盛り上がりがいやらしくない程度に強調されて
いた。
彼女はカメラに駆け寄るときに、わざと少し胸が揺れるようにした。本意では
ないがどうやっても少し揺れてしまうという風にだった。

「ちぢやまむらは、おいしいお水で有名なんですよぉ。それから、温泉。美人
の湯って言われてるらしいんです。そのほかにももっと一杯すばらしいところ
やおいしいモノがあるらしいので今日はそれを探しに行きたいと思いま〜
す!!」
(うふっ。テレビの前のみんなはもうミリアちゃんの魅力に参っちゃったか
な?今日は私の魅力でもっとたくさんの視聴者さんをノックアウトしちゃうん
だから。)

桜木ミリアはスタッフから手渡されたペットボトルの“千々山の天然水”をぐ
いっと一口飲んだ。

「っああ〜っ!!おいし〜い!!都会のお水と全然ちがうのね!!」
(ほんとはお水の味なんてこれっぽっちもわかんないんだけどね……)

彼女が飲むと本当においしそうに見える。リアクションも抜群にうまいことも
彼女がCMやバラエティー番組にも引っ張りだこになっている理由だった。

「えっ?なになに?スタッフさん。この水にはほーきょうこうかがあるんです
か?ほーきょうって?? えっ、胸が大きくなるの?? やだぁ!!わたしの
胸、これ以上大きくならなくていいんですよ〜!!」

そう言って彼女は小さな二つの手で自分の胸の膨らみを押さえる仕草をした。
小学生の高学年からぐんぐんと成長を始めた胸は、中学に入っても勢いは止ま
らず、高校3年生になってようやく成長が収まったもののバストサイズは3
桁、100センチに到達し彼女を悩ませていた。芸能活動を始めた当初は胸を
さらしで抑えてできるだけ目立たないようにしていたが、事務所がうっかり水
着の仕事を入れてしまい彼女の爆乳ぶりが世間にばれてしまうことになった。
それからは方針を変更してグラビアなどの仕事もするようになったが、コンプ
レックスだった大きな胸が自分の武器になることを知り、今ではそれに自信と
誇りを感じるようにまでなっていた。完ぺきなルックスに100センチ、
Jカップのバストは理想的な形と弾力を兼ね備えており、まさに完璧と言える
ものであった。

「千々山村の女の人は胸が大きいことで有名なんだそうです。みんなこのお水
で育つからだって噂ですよ〜」
(そんなことあるわけないよね〜。ミリアより立派な胸の人がいたらお目にか
かってみたいものだわ……)

オープニングを撮り終えたところで、撮影隊の一行はロケ車に乗り込んだ。
次は人の集まる場所に行き村の見どころを村人に聴いて回るシーンを撮りにい
くのだった。

ロケ隊は千々山小学校の近くへとやってきた。
村に一つしかない小学校は全校生徒が約60名ほどしかおらず、隣に中学校が
併設されている。休日のため学校は休みでがらんとしていたが、周囲で遊ぶ男
の子たちのグループがいた。彼らはどうやら中学生の集まりのようだった。

「こんにちは〜!!桜木ミリアで〜す!みんなは何してるのかな〜?」

突然のテレビクルーの一団と美少女の登場に男の子たちは驚き歓声を上げた。

「おおおー!!桜木ミリアだ!」
「か、かわいい・・・」
「本物がこんな村にくるわけないよ。」

携帯ゲーム機に興じていた男の子たちが手を止めて呆然と彼女を見上げた。
さすがに千々山村が超のつく田舎であるとは言えテレビやインターネットの情
報は入ってくる。そのため、子供たちでも桜木ミリアの名前を知らないものは
いなかった。

「正真正銘!本物の桜木ミリアで〜す!びっくりしちゃったかな?ねえ、ね
え、お姉さんはちぢやまむらの面白いところを探して旅をしているの。どこか
いいところ知らないかな??」
(もう、みんなリアクション薄いな〜)

千々山村の子供は引っ込み思案の子が多く皆黙っていたが、一人の男の子が口
を開いた。

「都会の人から見ていいところってあんまりないと思います。」

「そんなこと言わないでよ〜。どんなところでもいいから言ってみて!例え
ば、お休みの日にはどこに行ったりするのかな??」
(もう、ノリの悪い子供ね〜)

「時々、家族でショッピングセンターかしのに行きます。」

「へーえ、ショッピングセンターがあるんだ!それは超貴重な情報だわ。」
(もちろん知ってたけどね〜)

ミリアたちは男の子たちと分かれてもう少し人探しをすることにした。
少し歩くときれいな川に出た。千々山村は水で綺麗なことで有名な村、当然、
川の水も透き通っていてまるでガラスが張ってあるかのように川底が見える。

「すっごーーーいっ!!川の水、すっごくキレイだよ!!お魚が泳ぐのが見え
てる!ほら!」
(うわ〜、本当にキレイだわ〜)

ミリアは美しい河原の風景にテンションを爆発させた。心の底からきれいだと
思ったようで興奮が冷めやらない。スタッフの一人が河原で遊ぶ女の子の集団
を見つけてミリアに言った。

「あっ!!あんなところに子供たちがいるわ!ちょっと行ってみましょう!!」

テレビクルーの一団は車道から河川敷に降りる階段を見つけて、女の子たちの
集団の方へと進んでいった。
河原で遊んでいた女の子たちは小学生のグループだった。

「こんにちは〜!!桜木ミリアで〜す!みんなは何してるのかな〜?」

女の子たちもまさか有名人がこんな村に来るとは思っておらずびっくりして大
きな歓声を上げた。

「きゃあああー!!みんな!桜木ミリアよ!」
「ほ、ほんとうなの??」
「わぁ〜、超かわいい・・・」

女の子たちは学校指定のスクール水着を着て、手に網とバケツを持って何かを
採っているようだった。

「本物の桜木ミリアですよ〜!びっくりしちゃったかな?ねえ、ねえ、みんな
は何を採っているの?」

「沢ガニとか川エビです。お母さんから採ってきてって頼まれるんです。」

「へーえ、採ってどうするの?」

「食べます。唐揚げとかフライにして。」

インタビューに答えてくれた女の子は6年生のようで、胸のゼッケンに『6−
1 尾崎』と書かれている。そしてその胸元は大人顔負けほど豊かに膨らんで
いた。

「すご〜い!晩御飯のおかずを自分たちで探しているのね?とっても自然が豊
かな村なのね〜」
(この子、けっこう巨乳よね。Cか、Dくらいあるかも?)

よく見ると高学年の子はみなその子には及ばないまでも豊かな胸の膨らみを見
せている。桜木ミリアは千々山の女性は胸が大きいと言う噂を思い出した。

「千々山村の女の子は胸が大きいって言うよね?やっぱりこういう自然豊かな
ところで育つからなのかな〜?」

「ミリアちゃんも胸、大きいほうですよね?」

「私も小学生のとき尾崎さんと同じくらいあったわよ。男の子に見られてとっ
てもイヤだったけど・・・」

ミリアは体育で走るときや水泳の時間に男子が集まってきて胸を見られた嫌な
思い出を思い出した。

「私なんかまだ普通くらいだよ。鹿谷さんの方が大きいわ。」

そう言って彼女は少し離れた川の深いところにいた鹿谷さんを大声で呼んだ。
彼女は少し離れて魚獲りをしていたが、夢中になっていたのでミリアたちの登
場に気が付かなかったらしい。

「えっ?なに?桜木ミリア??やっばい、まじなの??」

そう言いながら鹿谷さんと呼ばれた女の子は走って皆の方に向かってきた。
他の女の子たちから比べると背が高く、スクール水着の前はとびぬけて大きく
膨らんでいた。
彼女が走るのに合わせてその大きな膨らみが上下左右に大きく揺れるのだった。

(ぶるん、ぶるるん、ぶるるん・・・)

彼女は何でもっと早くに行ってくれなかったのかと皆に文句を言いながら、
ミリアに握手をしてもらった。

(な、なんなの、この子?)

ミリアは握手をしながら目が点になっていた。150センチ足らずの身長にグ
ラビアアイドルでも真っ青になるほどの豊満な膨らみを持っているのだ。しか
も彼女はまだ6年生である。『6−1 鹿谷』と書かれたスクール水着の生地
はかわいそうなくらい引き伸ばされていた。

「学校で一番はこの鹿谷さんよ。たしか、Gカップだったよね?」

「ううん。この間、一つ大きくなったから今、Hカップよ。」

「うっそ〜、また大きくなっちゃったの?」

そう言って尾崎さんは鹿谷さんの胸の膨らみを指でぐいぐいと押した。

「ちょっとやめてよ〜!」

桜木ミリアは千々山村の子の発育の良さに驚きながら河原を後にした。
なお、スタッフのミスで彼女たちにお勧め場所をインタビューするのを忘れて
いたため、今の場面はほとんどカットとなってしまったのであった。



休日の昼下がりに俺は役場の駐車場の木陰で撮影隊がやって来るのを待ってい
た。
段取りでは、タレントの女の子が千々山村の名所を訪ねて歩き回っているとた
またま役場の前を通りかかって尋ねてくるということになっており、休日なの
だがたまたま出勤していた俺がその相手をするのだ。
しかし、撮影がやってくることは役場の人には知れ渡っており、有名人見たさ
に大勢の職員が集まっていた。テレビに映ると不自然なのでスタッフが彼らを
目立たない場所へと誘導していった。

「あっ!千々山村役場だって!誰かいないかしら??」

カメラと音声マイク、大勢のスタッフを引き連れて桜木ミリアはやってきた。
人気ナンバーワンの美少女タレントという触れ込みどおり、田舎の風景が
ちょっと馴染まない美しい女の子だった。その澄んだ大きな瞳で見つめられる
とどんな男でもどぎまぎとしてしまう。

「こんにちは〜!役場の方ですかぁ?」

「あ、はい。そうです・・・えっ、も、もしかして!桜木ミリアちゃん!?」

俺は台本通り“突然現れた桜木ミリアに驚く”という場面をこなした。カット
されるんじゃないかとひやひやしたがどうやらオッケーをもらえたようだっ
た。

「いま、千々山村のいいところを訪ねてまわっているんです!役場の人だった
らお勧めの場所とか知ってますよね??」

「あー、それならねー。千々山湧水池がお勧めだよ。千々山村の名水は全国的
にも有名でね。ペットボトルでも売られているくらいなんだよ。えっ、もう
行ってきたって??そうだな、じゃあ・・・」

我ながら案外と役者の才能があるんじゃないかと思うほどすらすらとセリフを
流した。彼女といくつかの掛け合いの末、千々山駅の駅舎を見に行った後、
千々山温泉に向かうということで話がまとまることになる。
桜木ミリアもよどみなく台本通りにセリフをこなし、俺が詰まりそうになると
助け舟を出してくれるので、見た目がかわいいだけでなく機転がきくし、嫌味
もないので彼女の人気が出るのがわかる気がした。