千々山村 その後のはなし

ブラン 作
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望月みどりはワインレッド色のミニを駐車場に停めると、豊臣のオフィスへ上
がる階段を登った。
記念イベントの準備は着々と進んでおり、アプリの開発状況が気になるよう
だ。
望月はオフィスの横の小さな応接室へと通された。

「こんにちは。わざわざお越し頂いてすみませんね。」

「いいえ。で、進捗はいかがですか?」

愛想のない女だな、豊臣は内心思った。彼女はブラジャーの話になると熱っぽ
く語るのだが、それを除くとクールで少しも隙を見せない女性だった。

「とても順調ですよ。今日は望月さんにデモをお見せしようと思ってまして。
写真はもってきてもらえましたか?」

「ええ、データはこれに入っているわ。」

望月はポーチからメモリーカードを取り出してテーブルの上に置いた。

「じゃあ、百聞は一見にしかずって言うからまずやってみましょうか」

「ええ、ぜひお願いします。」

豊臣はスマートホンを一台取り出して彼女に画面を見せた。

「これが、"スマホでオーダーブラ"のアイコンになります。これをタッチし
て・・・アプリを起動します。」

彼女は熱心に画面を見つめている。

「"撮影"を選ぶとカメラに切り替わります。普通ならカメラで撮ってもらうの
ですが、今回は持ってきてもらった画像を使わせてもらいますね。」

豊臣はメモリーカードをスマホに差し込んで本体のメモリにコピーし、アプリ
上でその写真を選択した。
画面にはかなり大きい裸のバストが表示されている。トップとアンダーのサイ
ズを入力して解析ボタンをタッチする。解析中と表示され時計のアイコンがぐ
るぐると回った。
しばらくすると、バストの立体画像が作成された。立体画像からバストの容量
が計算され、正確なカップサイズが表示される。
画面には、

TOP:108cm UNDER:71cm
CUP:L

と出ている。そして、すぐにお勧めブラジャーのサムネイルが並んだ。

「すごい。よく出来ているわ。」

彼女の食いつきの良さに豊臣も安心したようだった。

「インターフェイスはもう少し女性が好むように可愛いくしようと思ってま
す。まだ、ベータ版ですのでちょっと不細工ですが」

「いえ。ここまで出来ているとは思わなかったわ。さすがです。豊臣さんにお
願いして良かった。えーと、ブラを選ぶと装着したときの絵が出るんです
ね。」

お勧めに上がったブラの一つをタッチすると、立体画像の胸にブラが装着され
た。それにより胸が少し中央に寄って持ち上がり、胸のカタチが変化する。
そして、元画像にもブラが合成されている。

「す、すごい。着けるブラによって胸の寄り具合や谷間のでき方が変わるとこ
ろまで再現されてるなんて!」

彼女は頼んでいた以上の出来具合いに驚きが隠せなかった。

「例えばこれを見て下さい。フルカップと3/4カップで胸の盛り上がりが違う
のがわかりますか?それから、ここをタッチすると着ける前後の画像も比較で
きます。あとは、お気に入りに登録したブラを装着した画像でスライドショー
も出来るようにしてあります。」

「すごいわ!完璧だわ」

彼女は興奮しているのか鼻息が少し荒くなっている。豊臣はクライアントに褒
められて嬉しく思った。

「ねえ?もう少しテストをしたいんですけど。」

「いいですよ。」

「私の胸を撮ってもらっていいですか?」

「構いませんよ。えーっと、更衣室を使いますか?」

「いえ。すぐに脱ぐのでここで撮ってください。」

「えっ?」

そういうと彼女はイスを立ち、くるりと豊臣に背中を向けてシャツのボタンを
外し始めた。
慌てる豊臣をよそに、彼女は白いシャツをするすると脱いで、ベージュのキャ
ミソールを捲り上げて頭から脱ぐと、背中のブラジャーのホックに手をかけ
た。
ブラのバンドは相当な太さで、ホックは5段になっている。豊臣はその様子を
見て良いものかどうか戸惑いながらもホックが一つずつ外されていくのを見
守った。
彼女は薄いピンクのブラを外すとシャツをかけたイスの上に重ねて置く。
チャンピオンベルトのようなバンドにドッジボールが入りそうなカップがつい
た特大のブラだ。彼女は上半身裸になって豊臣の方にくるりと向き直った。
巨大な白いハダカのおっぱいが二つ豊臣の目の前にあった。

「前からと横からと斜めから、三枚撮るんですよね?」

彼は今自分の前で起こっている状況が信じられずポカンとしていた。

「えっ、ええ。で、では、しっ、失礼します!!」

狭い応接室でテーブルを挟んですぐの距離に望月さんのハダカの爆乳があるの
だ。見て良いものか困ったが見ないことには写真は撮れない。
豊臣は正面からたゆんと揺れる大きなバストを撮影し、次に横と斜めからも撮
影した。

「ちょっと貸して!」

彼女は豊臣からスマホを奪い取り、画像を選択して、自分のトップとアンダー
の数字を入力して解析ボタンをタッチした。
しばらくすると、

TOP:113cm UNDER:70cm
CUP:N

と表示され、胸の立体画像が表示された。

「すごい!私の胸が3Dになってる!」

彼女はお勧めブラをタッチして画像が変わる様子をみたり、ブラを装着した立
体画像を回転させて色んな角度から見たり、拡大してみたりした。

「うーん、すごい!すごいわ、豊臣さん!」

上半身が裸なことを何とも思っていないのか、彼女は豊臣には目もくれずにス
マホを触っている。
豊臣のどぎまぎする視線に気づいて望月さんはハッと我に返った。

「えっ?あっ!あらっ、私ったら興奮してしまって!だって、夢に描いてたア
プリが出来ているんですもの。あはは。ごめんなさい!お見苦しいところを見
せてしまって。」

そういうと彼女は背中を向けていそいそとブラジャーを着け、元通り服を着た。

「ブラジャーを注文するときは買い物カートに入れて、注文するをタッチ。
そうすると決済画面の方に繋がります。」

「すごいです。お勧めブラの一番に上がってるのが私が今着けているものなん
ですよ。びっくりしました。」

彼女はまだ興奮が冷めやらないようで顔を赤くしたままだった。

「それは望月さんのデータを予めAIが学習して知っているからなんです。
もし未知の誰かの場合、AIはこれまで学習したデータを元に推測してお勧めす
るんです。だから、最初のうちはやや精度が低いですが、段々と賢くなるんで
す。」

望月は豊臣の説明にとても感心し、アプリの出来にも満足して事務所を後にし
た。ワインレッドのミニが軽快なエンジン音を立てて遠ざかっていった。



望月みどりが帰った後も、彼女の"おっぱい"が目に焼き付いて離れなかった。
113cmのNカップ。かくも巨大なバストを生で見たのは俺にとって初めてのこと
だった。望月さんの胸はあれだけの大きさにも関わらずカタチはよく、垂れた
り横に流れたりもしていなかった。キメの細かな白い肌はもっちりとしてそう
で、柔らかさと弾力を兼ね備えていそうだった。乳輪はそれ相応に大きく、乳
首は親指の先ほどあって前に突き出していたが胸とのバランスは取れていると
思った。俺のスマホにはさっき撮った胸の画像が残っている。今日家に帰った
ら一人でゆっくり見てから寝よう、そう思うのだった。

夕方になって、望月さんからメールで連絡があった。アプリの出来に感動した
ということと、インターフェースを少し改善して欲しいところがあるという話
だった。修正自体は簡単なことで1日もあればできそうなことだった。
それから、二ヶ月後の記念イベントにアプリの開発者として俺も出席してもら
えないか?との依頼もあった。人脈を広げる絶好の機会であるのでもちろん出
席させてもらうと返答した。
記念イベントには、アプリの発表会の他にボニータブランドの新作発表会も行
われるということで、関係者席で俺もその模様も見ることになった。