千々山村 その後のはなし

ブラン 作
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エピローグ

村に一軒しかない食堂の小上がりで、望月みどりは小中の同級生たちと定例の
飲み会をしていた。
このところ仕事が忙しくて参加できていなかったが、イベントがひと段落して
ようやく参加できるようになった。
メンバーは望月、中野、三枝の三人の女子と、中山、高岡、加藤、林の四人の
男子だ。

「噂は聞いたわよ。イベントは成功だったみたいね。」

そう望月に言ったのはお喋りと噂話が大好きな中野あかりだった。

「おかげさまで。役場の人にもだいぶお世話になったわ。中山くん。」

望月さんは中山にお礼を言う。
千々山村にベンチャー企業などを誘致するプランも彼のいる地域振興課が考え
たことだった。

「いやいや、全部モッチーの熱意があって出来たことだよ。」

中山は役場で地域振興の仕事をしていて様々なアイデアで地域の活性化を進め
てきたが、望月の仕事の熱心さには一目置いていた。

「そんなことないって。あ!そうそう思い出したんだけど。仁科さん、ステー
ジから中山くんに向かってウインクしてたよねー」

「そうだったかな・・・」

中山は思いっきりとぼけた。仁科ふみえがステージ上から手を振りウインクし
たので既に多数の人から冷やかしに会っていた。

「照れるな、照れるな!相変わらずラブラブだねぇ。」
「羨ましいやつだぜ」
「中山のどこがいいんだ?」

どうやら中山と仁科の交際は順調のようだ。中山がやり込められる中、望月さ
んは三枝ひかりに話を振った。

「さえちゃんもモデルで大活躍してくれたよねー」

「ちょっと、大体ね!仁科さんと外国人さんの次がなんで私なのよ?私のスタ
イルの悪さが際立ったじゃない!」

抜群のスタイルを誇る仁科さんとそれに匹敵するロシア人のマリアさん、その
次に登場させられたことに彼女は文句を言いたいらしかった。確かに二人に比
べると背が低く、少しふっくらしたボディの彼女は肩身が狭かったのだろう。

「そ、そんなこと誰も思ってないって。すっごく評判良かったわよ。あ、
ほら、豊臣さんなんて、さえちゃんのことがすごくお気に入りだったみたい。
後日熱く語ってたわよ。」

「豊臣さんって誰?」

「例のアプリを開発してくれたITベンチャーの社長さんよ。」

「ああ、あの人。舞台袖から見えてたけど、ずっと鼻の下伸びてたよねー」

「伸びてた!伸びてた!」

本人は真面目な顔で席に座っていたつもりだが、残念ながら巨乳好きの本性が
顔に出てしまっていたらしい。

「彼、独身らしいけど、さえちゃん、どう?」

「あははは、無理無理〜!」

「そんなに選り好みしてたらお嫁に行き遅れるよ〜」

「うるさいぞ!みどりが言うな!」

現在、フリーなのは望月さんと三枝さんで、特に三枝さんがいじられるのがお
決まりのパターンとなっていた。

「ねえ、ショウくんところはそろそろなの?結婚。」

急に話が戻ってきて中山は戸惑った。

「えっ?いや、それは・・・」

「ふみえさんも30だしな。そろそろ貰わねばならんだろ?」
「式はいつなんだ?」
「今度、ここにふみえさん呼ぼうぜ。」

また、冷やかしが始まった。女子達もそれに乗っかってくる。

「式場は早めに押さえた方がいいわよ。」
「ご両親にはもう挨拶したの?」
「もちろん式には呼んでくれるよね?服買わなきゃ〜」

このようにまた千々山村の夜は更けていくのであった。

END