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4日目の朝、胸はまたひと回り大きくなっていました。
(ピピッ)
「トップ120センチ、アンダー67センチ、Rカップですね。」
昨日より18センチも。もう十分に巨乳と呼ばれてもいいほどの大きさです。
ペタンコだった胸が4日でここまでになるなんてちょっとしんじられません。
朝食ではみんなのおっぱいがテーブルの上に載っていました。
「カレンちゃん、いくつだった?」
私がサイズを言うと、アキナは127センチのTカップだと答えました。
彼女の胸が14人の中で一番大きく、少し得意げな様子です。
私は2サイズ差をつけられたことをちょっとだけ悔しく思いました。
先生の診察の時に射乳はありましたか?と質問されました。
まさか、昨晩のことがバレてる?と焦ったのですけど、そうではなく
大体3日目から4日目には射乳が始まるんだそうです。
4日目からの矯正は、ホルモンの活性度を維持しながら乳房にたっぷり脂肪を
蓄えていくのだそうです。この3日で乳腺が急成長を遂げ、乳房がパンパンに
膨れ上がっています。そのため胸はゴムボールのように弾力があります。
ここから脂肪を蓄えていくと少女から大人の乳房へと変化していくそうです。
診察でまた注射を打たれましが、その後はマッサージではありませんでした。
まず、ドリンクが渡されて飲むように言われました。
それは白く濁っていて少しトロリとしています。それを飲み干した後、
ベッドに仰向けになると胸のあちこちにゴムのパッドが取り付けられました。
看護師さんがスイッチを押しました。
「あっ・・・」
胸にピリピリとした刺激が走ります。弱い電気が流されているんだそうです。
それと、超周波振動という音波も流されているということですがそれは特に気になりません。
今日は何種類かのドリンクを飲んで、それに含まれる成分がバストに蓄積される
具合を調べます。人によって違いがあり、もっとも合うものを選んでいくのだそうです。
ドリンクはハイエネルギー・リキッドと言って、胸の成長に必要な成分が全て詰まっています。
ただ飲んだだけでは効果は少なくて、微弱電流と超音波振動で蓄積するようにするんですって。
1時間ほど経って、また次のドリンクが渡されました。
上半身を少し起こしてそれを飲み、またベッドを倒して寝ます。
ドリンクには睡眠剤のようなものも入っていて頭がぼうっとして、うとうととしてきます。
そのあともう一度ドリンクを飲んで電流と超音波をするとお昼になりましたが気だるくて何もする気がおきませんでした。
今日はそれの繰り返しでした。少しずつドリンクの味が違ったり、電気や音波が変化していたようですが基本的には同じでした。
夕方頃になってようやく終わり、夕食までは部屋で休むように言われました。
ベッドから立ち上がろうとした時でした。胸がずっしりと重い感じがしました。
見下ろすと朝とは比べ物にならないほど大きくなっています。
「うっそ!なにこれ、私の胸?」
私は両手で重い乳房を持ち上げてみました。
朝までボールのように弾力があった胸はむにゅんと柔らかくなっているのです。
看護師さんがサイズを測定してくれました。
「トップ144センチ、アンダー67センチ、3Zカップです。」
すっ、スリーゼットだなんて!信じられないよ。
朝、Rカップだったのに何サイズ大きくなっちゃったんでしょう。
Zカップを超えると一般的に超乳と呼ばれるそうですが、私はたった4日にしてその超乳を手に入れたのです。
スポブラを着けようとしたのですがきつくておっぱいが収まりません。
その様子を見て看護師さんが超乳用のものを持って来てくれました。重いので移動するのも大変でした。
部屋でしばらく一息ついた後、夕食を食べに行きました。
みんなの視線が私の胸元に注がれました。
「カ、カレンちゃん?」
「すごーい!すっごく大きくなってる!」
「一体何センチになったの?」
みんなの胸も爆乳と言われるくらいまで大きくなっていましたが、Zカップを超えていたのは私だけでした。
私はリキッドとの相性がとてもいいと先生にも褒められましたし、みんなから羨望の眼差しを受けて得意な気分になりました。
食事が終わってしばらくすると胸が張って痛くなって来ました。
看護師さんに言うと、母乳が溜まって来たので搾乳をしましょうと言われました。
部屋に搾乳機がやってきて、私の左右の胸に透明な樹脂のカップが取り付けられます。スイッチを入れるとブーンと音がして、カップの中の空気が吸われていきます。
それに合わせて私の胸の先から母乳が吹き出し、カップは真っ白になっています。
(ジュワーーーッ!!)
「あふんっ・・・はぁっ・・・」
母乳を吸われていくのは気持ちがいいのです。胸の痛みが和らいでいきなんとも言えないホッとした気分になります。
母乳の勢いはだんだんと弱くなっていき、2リットルの容器の半分を少し超えたくらいで搾乳は終わりました。
搾乳が終わって部屋でゆっくりしていると、マリーさんが訪ねてきました。
マリーさんは私の胸をすごく褒めてくれました。
「カレンさん、素晴らしいバストに育ちましたね。サイズは3Zなんですって?
私が追い抜かれるのも時間の問題だわ。明日は矯正の最終日です。
少し時間がかかると思いますが頑張って下さい。あなたは14人の中でいちばん
リキッドとの相性が良いんですよ?先ほどまで医師たちがあなたの明日の矯正に
ついて話し合っていたんです。」
にこやかに話すマリーさん。マリーさんは美人で頭が良く、胸も大きくて憧れの女性です。
そんな人に褒められて私は明日も頑張ろうという気持ちになりました。
「ところで、矯正が終わった後のことなのですが、カレンさんはどうするか考えていますか?」
私は漠然としか考えていませんでした。
いつかサトーさんと一緒になれたらとは思っていました。
でも、私だけで決めることではないですし、市民権がもらえたら取り敢えず両親としばらくは一緒に住むのもいいのかなと思います。
「まずは市民権を申請する必要があるでしょう。政府の承認が下りるには1ヶ月ほど日数がかかります。
それから、矯正後の健康状態も時々チェックしないといけません。
ですので、私達としてはカレンさんにしばらくこの研究所に留まっていただきたいと思っています。」
市民権がもらえるまではサトーさんに逢いに行けない訳だからマリーさんの言うようにここにいるのはいいかなと思いました。
でも心配なのは、もし、ふらっとサトーさんが小屋を訪ねて来たときのことです。
私がいなくて心配するんじゃないかと思います。
「何か気になることでもありますか?例えば、家に残してきたものが心配だとか、
誰かに連絡を取りたいとか。そう言うことなら言ってもらえば何でも協力しますから。」
「はい・・・連絡を取りたい人はいます。」
「そうなんですね。では、明日の矯正が終わってからその辺の話しはいたしましょう。」
私は少し安心しました。サトーさんに私がここにいることを伝えておけば心配をかけることもないでしょう。
マリーさんが帰った後、私はまたサトーさんのことを考えました。
サトーさんと初めて会った日、水浴びを見られた私は必死でした。
サトーさんが通報すれば私は捕まります。だから、彼に気に入られるためにできる限りのもてなしをしました。
最初はそんな打算がありました。しかし、サトーさんと交わってから私には別の感情が生まれていたのです。
これを恋というのでしょうか?サトーさんが帰ってから私はサトーさんのことしか考えられなくなっていました。
愛しいサトーさん、久し振りに会ったら私の胸を見てどれだけ驚くでしょうか?
前までのつるぺたな胸がZカップを超える超乳になっているんですから。
ベッドの中で私は彼のことを考えながら眠りにつきました。
5日目の朝、目覚めはあまり良くありませんでした。
サトーさんが私を探す夢を見て夜中に目を覚ましたからでした。リアルな夢でした。
サトーさんは私のいない小屋で独りぼっちで私を待っているのです。
私はそこに行こうとするのですが身体が動かなくて行けなかったのです。
夜の間に胸はまた少し大きくなっていました。
(ピピッ)
「トップ152センチ、アンダー67センチ、6Zカップですね。」
朝食を食べるとまた胸が張ってきます。私は看護師さんに言って搾乳をしてもらいました。
その後、先生の診察があり、そしていよいよ最後の矯正となりました。
正直なところ、6Zの胸があればもう十分という気がしていました。
でも、胸は大きければ大きいほど良いって言うし、なんと言っても、マリーさんや
先生たちが私の矯正を親身になって考えてくれているので、ここでもういいです
とはとても言えませんでした。
今日は昨日と同じようにリキッドを飲むんだそうです。
ですが、昨日とは少し様子が違いました。
まず、連れて行かれた部屋がとても大きな部屋なのです。
そして、色々な機械が並んでいて先生方が何人もいらっしゃいます。
部屋の奥に大きなベッドがあってそこに寝るように言われました。
私は言われるままにシャツを脱いでハダカになり、ベッドに仰向けになりました。
胸にいくつかパッドが取り付けられた後、マスクを装着され口にホースを差し込まれました。
ホースからリキッドが流し込まれるようなのです。
太いホースをずっと口に差し込まれるなんてちょっと無理があります。
苦しいと思っていると、突然、マスクからいい香りが漂ってきました。
体がふわふわとした感覚になって苦しさも和らぎ、何も考えられなくなりました。
その後、リキッドが流され始めました。トロッとした冷たい液体が喉を通っていきます。不思議と苦しくはありません。
私の意識は半分寝て、半分起きているような感じです。
先生達の話し声や機械が動く音がすごく遠くの方から聞こえてくるように感じます。
最初はリキッドが流れたり、人が動いたりするのを目で追っていましたが、段々と
まぶたが重くなり起きてられなくなりました。それでも私の意識はごくわずかだけ
働いているようでした。私の胸はどうなっているのでしょうか。
意識して見ようと思えば見れるはずですがそれすらもする気になりません。
どれくらい時間が経っているのかもよく分かりません。寝ているような起きているような変な感覚が続いていました。
「カレン!カレン!僕だよ!大丈夫か?」
突然、サトーさんに呼ばれたような気がしました。ですが、まぶたが重くて
目が開けられません。サトーさんが私を探しているのかもしれません。
「大丈夫だよ」と言おうとしましたが口にホースが差し込まれていて声になりません。そして、またマスクからいい香りがして急に意識が遠くなりました。
私はふわふわと体が浮くような感覚になり、意識がだんだん遠くなっていきました。
5日目の矯正が終わりました。
私はまだふわふわとした地に足が着いていない感じがしています。
口に取り付けられていたマスクとホースはいつの間にか取り外されていました。
マリーさんの声がしました。先生たちと話をしているようです。
いま何時なのかしら?どれくらい時間が経ったのかもわかりません。
私はそおっと目を開けました。
目に入ってきたのは肌色の大きな何かでした。
「なに?ここはどこ?」
「目が覚めましたか。矯正は終わりましたよ、カレンさん。どうですか?今の気分は」
段々とその物体が何なのかがわかってきました。
「おっぱい?これが私のむね?」
「そうです。」
私は言葉を失いました。大きな部屋に小山のような巨大な塊が二つ、私の目の前に
そびえ立っているのです。
「うそ!こんなのって!大きすぎます!」
「素晴らしいですよ。我が研究所での最高記録です。しかも、矯正は途中でストップ
しています。そうでなければこの部屋を潰し、研究所ごと破壊していたかもしれませんからね。
ものすごい成長を見せてくれましたね、今のカレンさんのバストサイズは52メートルもあるんですよ?」
「ご、ごじゅう・・・」
私はあまりのショックで気が遠くなり、そのまま気を失ってしまったのでした。
*
ケン・サトウはベッドの上で目を覚ました。
昨夜、両腕のリストバンドからの電撃で痺れ、意識を失っていたのだ。
全身がだるくて重い。起き上がろうとしたが、両手と両足がベッドに縛りつけられていた。
頭にはヘッドギアをつけられている。
「クソッ!」
「お目覚めのようですね。ケン・サトウさん。残念ながらあなたは危険思想の持ち主
と判定されましたので、不本意ながらこのような処置を取らせて頂いてます。」
「カレン、カレンは!?」
「ご安心下さい。彼女は無事に最後の矯正を終えました。状態もとても安定しています。
ですが、もう会わせることは出来ません。」
「あんな胸にして、彼女をどうするつもりなんだ?」
「どうするって?彼女は一級市民としてこれから幸せに暮らすのですよ。
昨日も言いましたが、大きな胸は人々に安らぎを与えるとともに、溢れて出る母乳は人々にとってとても貴重なものです。
今や彼女は1日に300リットルの母乳を出せるようになったのです。これは乳牛で言うと10頭分の乳量になります。」
「それが目的だったんだな?母乳を絞り取るためにFCを捕らえているんだ!」
「だまりなさい!元々、FCはあってはならない存在だということはお分かりですか!
疎外され、不幸を背負って生きる彼女達に私たちは救いの手を差し伸べているのです。
これはれっきとしたビック・ブラジャーの意向でもあります。」
私はもうマリーに何を言ってもダメだと思った。彼女はこの国のルールに従って自分が正しいと信じることをしているのだ。
私が黙っていると彼女が続けた。
「ケン・サトウさん。あなたの処分が決まりました。
あなたはデカメロン市に帰ります。そして、今まで通り善良な2級市民としての生活に戻るのです。
あなたが帰って来ずに心配している人もいるでしょう。家族や職場の人たちです。ただし、帰る前にちょっとした治療を受けてもらいましょう。
記憶をほんの少し書き換えるだけです。」
「記憶を書き換える!?や、やめろっ!」
何かの機械がブーンと低いうなり声をあげていた。マリーは部下に向かって目配せをした。
(キィーーーン!)
機械が甲高い音をたて、辺りの空気を震わせ始めた。
「ぐっ・・ぐああああーっ!!」
ヘッドギアから強烈な電波が流される。側頭部に激痛が走った。
(ギュイイイイイーーーン!!)
「あががががががががががががががが・・・・・」
頭が割れそうなほどの痛みに耐えかねて私は気を失ってしまった。
*
目を覚ますと私は病室にいた。見知らぬ病院の見知らぬ部屋だった。
集中治療室というところなのだそうか、私の口や鼻、身体の至る所にチューブがつけられていた。
「サトウさん、目を覚まされましたか!?」
目の前には看護師の女性がいて私の顔を覗き込んでいた。私はどうしたのだろう?
とても長い間、夢を見ていたような気がする。
私はマヒラ山から帰る途中、道に迷ってしまって森の中をさまよい歩いていたんだ。
水の流れる沢を見つけ、それに沿って歩いていったら滝にぶつかった。
そして、滝から下を覗こうとした瞬間、私は足を滑らせて崖の下に落ちた。
そこからの記憶は欠落していた。私は誰にどうやって助けられたのだろうか?
どうやってここまで運ばれたのだろうか?すっかり意識を失っていたのだろう、どうやっても思い出せない。
「何も覚えておられないのですか?」
看護師は心配そうに私の顔を覗き込んでいる。ショートヘアが似合う大きな瞳をした女の子だった。
白衣の胸の膨らみが目の前までやってきた。ナカガワさんといい勝負だろうか、看護師に爆乳という組合せは反則だろうと思いながら、彼女に自分が誰かも分かるし、どこで事故にあったかも覚えていると伝えた。
ただ、相当な高さの崖から落ちたはずのにどこもケガをしていないのは不思議だった。
私が爆乳の看護師と話をしていると、病室の扉が開き一人の女性が入ってきた。
「はじめまして。ケン・サトウさんですね?」
その女性は30歳を少し過ぎたくらいの美しい女性で、眼鏡をかけ銀髪の長い髪を後ろで束ねている。
白衣を着ていることからどうやら医者のようであった。
そして、白衣の前はスイカが二つ入っていそうなくらい膨らんでいる。
Zカップを超える超乳クラスだ。
(でっ、デカい・・・)
看護師の女の子も結構なサイズだが、この女性は遥かにそれを上回っている。
このサイズならきっと1級市民なのだろう。全くなんて病院に入院してしまったのか。
「良かったわ。サトウさんは崖から落ちてから長い間、意識不明だったんですよ?」
女は私の顔を見てニッコリと微笑んだ。
「申し遅れましたが、私はマリー・ワタナベと申します。
明日、サトウさんは精密検査を受けてもらって、何も問題がなければすぐにでも退院できますよ。」
私は彼女と看護師が部屋を出て行った後も、何だか心にぽっかり穴が空いたような、
無性に淋しい気分におそわれていた。
私はただぼおっと、病室の天井を眺め続けていた。
END