ワタナベさんはため息が多い

ブラン 作
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マリー・ワタナベ (Marie Watanabe) 33歳。
国立矯正膨乳研究所の所長を務めるエリート研究者。
エネルギー・リキッド研究の第一人者として数々の功績を残している。
バスト158センチ、7Zカップの超乳を誇る彼女は1級市民の家庭に生まれ、
何一つ不自由なく育ったように思われがちだが実はそうでもない。
これは彼女の幼少期の記録である。



チチ暦 961年 春

マリーが育ったのはデカメロン市の中心から少し離れたところにある見晴らしのよい丘の上で、
1級市民が多く住む地域でした。
科学者の母と技術者の父の間に生まれた彼女は一人っ子だったが甘やかされることはなく、
幼い頃から厳格に育てられました。
母はいわゆる超乳を持つ高貴な女性で自分の家柄と大きな胸には並々ならぬ誇りを持っていました。
マリーにもそれがしっかり受け継がれており、小学校に入る前の遺伝子検査では巨乳遺伝子を持つ
ことが確認されてましたし、そのような選ばれし子たちが集められる特別科への入学も決まっていました。
子供達はライブラリと呼ばれる統合型の教育施設で教育を受けます。
そこは小学校から、中学・高校・大学までが集約された巨大な施設となっています。
マリーが通うのは1級市民が多く通うことで有名なライブラリで高度な教育がなされる
ことで知られていました。小学校は1学年に20クラスあり、1、2年生は男女が同じ
クラスですが、3年生以上は男女別となります。
男子10クラス、女子10クラス、そのうちの1クラスのみが特別科とされ、巨乳遺伝子を持つ女子だけが集められます。
一般的に女子は高学年になると胸が膨らみ始め、中学生で最盛期を迎え、高校になると
成長を終えますが、巨乳遺伝子を持つ特別科の児童は低学年から成長が始まり、
成長速度も普通科の女子より速いのです。そのため、普通科の子が標準から巨乳レベル
に育つのに対して、特別科は爆乳から超乳にまで達します。
カリキュラムも普通科と特別科では異なります。

「はぁ・・・」

小さなマリーは食卓で小さなため息をつきました。
この春で4年生になった彼女だが一つのことが頭を悩ませていました。

「マリー!食卓でため息をつくのはやめなさい!」

母親は元々躾に厳しかったのですが、最近、ため息をついたり時々ぼんやり
としている娘のことを気に病んでいました。

「ごめんない」

銀髪の美少女は両親の前で無意識にため息をついてしまったのを恥ずかしく思いました。
母親も娘が何を悩んでいるかわかっていました。かつて自分も幼い頃はそうだったからでした。

「心配ないって言ってるでしょ?お母さんもそうだったんだから。そのうち急に始まるわ。」

マリーは4年生になっても膨らまない胸元を気にしていました。
普通科の児童ならまだしも、選ばれし特別科で成長が始まっていないのは彼女くらいだったからです。

「う、うん」

親に厳しく育てられたせいか、マリーは大人しい少女であまり自分の感情を表に出さない内向的な子でした。
親や先生が言うことには素直に従うのですが、時々どこか遠くを見ているような、
意識を深いところに潜らせているようなことのある子でした。



チチ暦 961年 夏

マリーはスクールでもあまり喋る方ではありませんでした。
特別科には全部で20人の女子がいましたが、彼女が話をするのはナミという女の子とだけでした。
マリーが内向的で控えめな女の子であったのに対して、ナミはお喋りが好きで友達も
多い社交的な子でした。性格の異なる二人でしたが彼女達はとても仲良くなりました。
マリーは自分の銀色の髪があまり好きではなく、ナミの金髪をいつも羨ましがっていました。
逆にナミの方はありふれた金髪よりもマリーの美しい銀髪の方が遥かに素敵だと言って
彼女を褒めるのでした。
二人の背丈はほぼ同じでしたが、胸の生育では明らかにナミの方が先をいっていました。
3年生から大きくなり始めた胸はすくすくと成長を続けており、クラスでもかなり
大きく目立つほどになっていました。
ナミはマリーのことを気遣って自分からは胸の話題には触れないようにしており、
彼女から聞かれたときだけは喋りました。

「いくつになったの?」

マリーは低く落ち着いた声で彼女に尋ねました。
特別科では月に一度、健康診断がありバストの成育状況が確認されるのです。
あまり他の児童と比較しないように一人ずつ保健室に呼ばれ、測定と診断、アドバイスが行われるのですが、
それでも他のクラスメートのサイズが気になってしまうのは子供なら避けられないところです。

「83。カップはCからDに上げるようにって」

ナミは少し申し訳なさそうに言いました。
マリーは良かったわねと彼女に言って制服のシャツを盛り上げている彼女の膨らみを見つめました。
他のクラスメートもほとんどがCにはなっていて、中にはもうEになった子もいます。

マリーは自分の名前が呼ばれると教室を出て保健室に向かいました。
保健室に入るとカーテンの仕切りの中で着ていたシャツを脱ぎました。
上半身はスポーツブラだけになって順番になるのを椅子に座って待ちます。
診察室では前の児童が診察を受けていて先生の話し声が聞こえました。

(カチャッ)

診察が終わって、扉が開く音がしました。

「次の人、どうぞ」

マリーはカーテンの仕切りから出ると診察室から出てきた女の子とすれ違いました。
彼女の胸もナミと同じくらいの立派な膨らみを見せており、誇らしげに胸を突き出していました。

「マリー・ワタナベさんね。ここに座ってください。」

保健医の先生は白衣を着て椅子に腰掛けていました。
先生もかなりの爆乳でメロン二つ分ほどの膨らみが白衣を押し上げていました。

「よろしくお願いします」

小さいマリーにとってこの時が最も憂うつな時間でした。
丸椅子に座ると自分でブラをめくりあげて先生に胸を診てもらいます。
白いスポブラを下から上げて二つの乳頭を露出させます。無垢な二つの突起はピンク
色でぷっくりと膨らんでおり、先端は前に向かって突き出していました。
乳房というものは形成されておらず、まだ膨らみと呼べるものはないのです。
先生はリモコンのような機械を向けてマリーのバストサイズを計測しました。

(ピピッ)

「68センチ。毎日のマッサージはきちんとしていますか?」

「はい」

「だったら大丈夫。心配はありません。特別科でもワタナベさんのように発達が遅い生徒を
先生は何人も見て来ました。必ず大きくなりますから気にせずに毎日のプログラムをこなすようにして下さい。
ビッグ・ブラジャーはいつもあなたを見守っていますよ。」

「はい」

診察室から出るとマリーは小さな胸を見られないようにして次の生徒とすれ違いました。

もう一つ、マリーを憂うつにするのが体育の授業でした。
体操着を着ると胸の膨らみが目立ちやすく、クラスメートの立派な膨らみを目の当たりにしてしまいます。
胸の大きい子は走ると揺れて痛いらしく、その事で文句を言うのですがマリーには嫌味にしか聞こえませんでした。
授業では運動場で普通科の子たちと一緒になることがあり、特別科は憧れの目で見られ
るのですが、胸の小さなマリーはいつも肩身が狭い思いをするのでした。
最低なのは水泳の授業でした。水着では胸の膨らみはごまかしようもなく、クラスメー
トの立派に育った膨らみにスクール水着の生地がぴったりと貼り付いている様子がどう
しても目に入ってしまうのです。
彼女は人の後ろに隠れて目立たないようにしているしかありませんでした。



チチ暦 961年 秋

マリーはスクールの給食もあまり好きではありませんでした。
家で食べる食事の方がおいしかったし、あまり食欲も湧いてきません。
マリーはたいてい食べ終わるのが最後になってしまうのでした。
特にイヤだったのはデザートに出されるゼリーでした。
無色でちょっと硬め、変な味がするのを人工的な香料でごまかしてありました。

「はぁ・・・」

「ワタナベさん、お残しは許しませんからね!」

おいしくないと思うと喉が通りません。
スプーンで少しずつすくって口に運ぶのですがそれでとても時間がかかってしまいます。
このゼリーには胸の成長に良い成分がたくさん含まれているそうで、全世界のスクールで出されているんだそうです。
スクールでは全女性が胸が大きくなれるようにプログラムが組まれています。
女子クラスには必ず"育乳"という科目があって、胸が膨らむ仕組みから、大きくなる
ための方法・理論などを教わります。胸を育てるためのマッサージ法も授業で教わり
ます。胸の成長には、十分な栄養と睡眠、ストレスのない環境、外からの刺激が必要
です。毎日朝晩、適切な方法でマッサージを行い胸に刺激を与えることはとても重要
なことと教わります。
普通科も特別科もカリキュラムはほとんど同じですが、特別科では個人ごとに胸の発育
に合わせた指導が行われたり、有名なマッサージの先生を呼んできて授業をしたりする
など違った取り組みもなされています。
それにしてもマリーが驚くのはクラスメート達がよく食べることです。
給食をお代わりしたり、休み時間にお菓子を食べたりするのを見かけたりします。

「ナミ、また食べてるの?」

「だって、給食だけじゃ足りないんだもん」

ナミは給食をお代わりしていたはずなのに、その後、購買で買ったクリームパンをデザートがわりに食べていました。

「太るわよ」

「うるさいなぁ。マリーこそ、食べなきゃ大きくなれないわよー」

確かによく食べる子ほど発育の良い子が多いようです。



チチ暦 961年 冬

スクールは冬季休暇に入りました。休みは12月の中旬から1ヶ月間あります。
私の両親も同じように1ヶ月休みます。
前時代では人間はほとんど休みなく働いていたそうです。もちろんお正月休みくらいは
ありましたが、かなり短かったそうです。
休みが長くなったのはコンピュータが発達して人間があまり働かなくても良くなったからです。スクールでそう習いました。
昔のコンピュータは人間が考えたプログラム通りのことしか出来ませんでしたが、今は
進化したAIがほとんど人間の代わりをやってくれます。AIは人間同士が争わないよ
うに、そして、人間が幸福に暮らせるように常に考えてくれています。
私たちはビッグ・ブラジャーに感謝しなくてはなりません。
前時代には宗教というものがたくさんあったそうです。宗教が違うというだけで人々は
争いました。同じ宗教でも宗派というものが違うとまた争ったそうです。
今はもう宗教は禁止されてしまいました。ただ、名残りとして年末にクリスマスという
イベントが残っています。木に飾りをつけて、赤い衣装を着て、三角の帽子をかぶり、
フライドチキンをみんなで食べるのです。
私の家でもクリスマスをします。
普段、地味な服しか着ない両親が真っ赤な衣装を着ているのはとても可笑しいです。
父親はガウンのような服を着て口の周りの白いヒゲをつけます。母親は上下が分かれた
衣装を来ています。スカートは裾がかなり短いものです。母はすごく胸が大きいので上
下の衣装の分かれ目から胸の下部分が見えてしまいます。それがまたとても可笑しいの
です。
前に一度、両親にクリスマスって何?って聞いたことがあります。
でも、二人とも由来が何なのか知らないと言いました。もともと何かの宗教のお祭りだ
ったそうですが、今ではそれを知っている人はいないのだそうです。