アイデアル・ドール ING

ブラン 作
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昨日は外出から戻った後、昼寝をしてしまったが、起きてから余った時間内でまたアイガールになって過ごしたので合計4時間ほどトランスしたことになった。シンクロレートも順調に上がっているようだった。


『3月○日のトランスレポート

なまえ:はるか
トランスタイム:3時間55分
シンクロレート:45.3%(+3.4%)
シンクロレベル:1

アイガールに色んな体験をさせてさらに同調性を高めましょう。
レベルアップまでもう少しです、頑張ってください!
外出は2時間以内に控えるようにお願いします。

本日のトランス可能タイム 5時間』


レポートによると、もう少しでレベルが上がるようだった。ショールームの柏木さんは約1週間ほどで体型変化などの機能が使えるようになると言っていたが、おそらくレベルアップを果たすことでそうなるのだろう。
トランス可能時間と外出時間がそれぞれ1時間ずつ増えていたので、今日はまた違うところへ行ってみようと思った。
デパートかショッピングモールで服を買い足したいのと下着ももう少し種類が欲しい。長い間外食もしていないので、どこかで食事をしたい。
今は何でもネットで買える時代だが服は試着して買いたい派である。下着についてももう少ししっくりくるものがあれば買いたい。
アイガールに転移し、一通りの準備を済ませてマンションを後にした。
近くの地下鉄の駅から電車に10分ほど乗って大型のショッピングモールへと向かう。昨日よりも気温が上がるということなので、スカートは膝より上の少し短めのものにしてみた。地上から吹き込む強い風にスカートを捲り上げられないように注意が必要だった。
階段やエスカレーターでは下から覗かれるんじゃないかと不安になる女の子の気持ちも分かった。
平日のショッピングモールはがらんとしていて店員が暇そうに立っていた。
僕は予め目を付けてきた二十歳くらいの女の子に人気のファッションブランドの店に入ることにした。

「いらっしゃいませー」

二十代後半のモデルのように美しいスタッフが出迎えてくれる。僕はしばらく店内の洋服を見回っていたが、そのうちまた声をかけてきた。

「こちらは春夏の新作となっておりまして、とても良く出ているんですー。どういった感じのをお探しですかー?」

もともと僕は服に興味はない方でファッションセンスも皆無に近いのだが、アイガールにはおしゃれで可愛い服を着せてあげたいと思う。
店員が薦める服もなかなか良さそうだった。

「とくに決めてるものはないんですけど…」

僕の声は凛とした美しい声で、自ら聴き惚れてしまいそうなくらいだ。

「私が着ているこのワンピースなんかも今、すごい人気なんですよー。よろしかったらご試着もできますのでおっしゃってくださいね。」

「じゃあ。試着させてもらいます。」

僕は店員から服を受け取り試着室でそれに着替えた。
服のサイズは7号(S)だが少し余裕が感じられる。腰が細く絞られているお陰で一層スタイルがよく見える。

「すっごくお似合いですー。もしかして、モデルさんか何かやられてるんですかー?スタイルもよくって羨ましいですー。」

褒められるのが多少こそばゆく感じるが悪い気はしない。実際に鏡に写った姿はキュンとしてしまうくらいに可愛い。

「上からジャケットを羽織ってもいいですし、薄手のニットのカーディガンなんかを合わせても大丈夫だと思いますー。」

「じゃあ、これを。」

「ありがとうございます!」

僕は勧められるままにそのワンピースとジャケットを買い、さらにスカートも一着購入した。

次に向かったのはランジェリー・ショップだ。様々なデザイン、色とりどり
の下着たちが所狭しと並べられた男子禁制の秘密の花園である。
ブラジャーはカップ順に陳列されており、最も目立つ場所にC、Dカップが置かれている。どうやらこの辺りが売れ筋なのだろう。A、Bカップはそれに比べると品揃えは少なくやや目立たない場所に置かれている。
E、Fカップはメインの棚の裏側となっており、迫力があるものの種類は少し限られている。その脇にはGカップがほんの少しだけ並べられていたが、大きいサイズはデザインが選べないと言われるのがわかる。
Dカップのかわいいと思うブラをいくつか手に取っていると店員が声をかけてきた。

「いらっしゃいませ〜。ご試着されますか〜?」

店員は三十歳くらいの女性で背は高くスラリとした美人だ。にこやかな笑顔で僕に話しかけながら試着室を案内してくれた。
シャツを脱いで、背中のホックを外してブラを取る。そして、新しいブラのカップを乳房に当てて装着してみる。
ブラはホワイトの生地に薄いブルーでローズが描かれており、縁をレースで飾られている。

「どんな感じですか〜?まぁ!よくお似合いです〜」

店員が狭い試着室に入ってきたので僕はドキドキとした。

「ちょっと失礼しますね〜。」

そう言うと彼女はブラのカップに手を差し入れて僕の胸をグッと持ち上げた。

(あっ…ちょっと、大胆だな…)

店員は左右とも同じようにして胸のポジションを調整すると谷間がよりくっきりと目立つようになった。

「もしかしたらアンダーは一つ上の方が楽でいいかも知れませんね〜。ちょっとサイズを測らせてもらいますね〜。」

店員は僕のブラを外すとポケットからメジャーを取り出して胴に回した。

「アンダーは…67。トップはえーっと…84ですので、D65でもいいのですがブランドによっては少しキツかったりしますから、アンダー70も試してみてください。」

そう言って差し出されたサイズのブラを着けてみると締め付けられる感じは全くなかった。

「アンダーが少しゆるいのでホックを奥でとめましたがどんな感じですか?」

「ぴったりです。ぜんぜん苦しくないです。」

結局、僕は洗い替え用も併せてブラを2枚買い、それとセットのショーツも一緒に購入した。下着のフィッターさんの偉大さを実感する機会となった。
代金はハラダ・ハルカという名義の家族カードを作っていたのでそれで支払いをした。

新しい洋服と下着を買い僕は気分も上々で昼食を摂るために飲食店に入った。
お昼時ということもありどの店も混んでいたが、若い女性が行きそうなオシャレなカフェを選んで中に入った。紙袋を置いて、パスタにサラダとスープがついたランチセットを注文した。
若い男性の店員は大学生のアルバイトだろうか、僕のことが気になるようでチラチラとこちらを見るのがわかった。やはり、美人は注目される。まぁ、好意的な視線だから良いんだけど。
運ばれてきたパスタはいつもの僕なら量が少な過ぎると感じたが、アイガールにとっては丁度の量で残さず食べるのがやっとだった。

「ふぅ…胃の容量まで女の子仕様になってるんだな…」

久しぶりの外食に満足して、僕は支払いを済ませて店を出た。美味しかったのでまた来てもいいと思った。
さて、そろそろ家に帰ろう。外出可能の2時間はあっという間に過ぎてしまった。
明日また可能時間が増えたら今度はどこに出かけようかとそんなことを考えながら自宅へと戻るのだった。



このように僕は一般の女性になりきって自由に街に出かけるのを楽しむようになった。誰も僕をハラダ・ノブヒコだと気づく人はいない。
あえて不自由な点をあげるとすれば、アイガールが美人すぎて男女問わず注目を浴びてしまうことくらいだった。
アイガールには普通の見た目のバージョンもあるということだったが、そちらを購入する人の気持ちもわかる気がした。
ただ、僕としては大いにアイガールが気に入り、"はるか"として生活するのが楽しくてしょうがなくなってしまった。
同調性を示すシンクロ・レートも日ごとに上昇し、転移をしはじめて5日目には48.9%、6日目には52.3%、7日目には55.8%となった。そして、とうとうシンクロ・レベルが1から2へとレベルアップを果たしたのだった。