その後も僕があきなの家を訪ねるときは少女の姿で行くことになってしまった。
彼女の姪っ子という設定はなかなか上手くいって、誰もまさかその少女がハラダ・ノブヒコだとは夢にも思わない。
僕の方もその姿で過ごすことにすっかり慣れてしまった。
子供の身長では何かと不便なことが多いので家にいるときは20歳の姿で過ごした。
スーパーやコンビニに買い物に出かけるときはやはり成人女性の姿の方が便利だった。
"常時トランス機能"を利用するようになり昼も夜もアイガールの姿でいるので男の姿に戻ることはほぼなくなってしまった。
この機能は睡眠時もトランスが維持されるので都度、トランスをオン・オフする必要がないのだ。
この機能のお陰で僕は常時、ハラダ・ハルカの姿で過ごすようになったのだが、ある日これが原因でトラブルが起きてしまった。
その日もいつものように夜12時頃にベッドに入った。僕はだいたい寝付きが良い方で電灯を消すと数分で眠りにつくことができた。
僕は夢をほとんど見ない。見ているのかもしれないが朝起きたときにはほぼ覚えていなかった。
ときどき何らかの夢をみた記憶の断片が途切れ途切れに残っているくらいだった。
しかしその夜、珍しく僕ははっきりとした夢を見たのだった。
*
「ようやく二人きりになれたね」
目の前には紺碧の海と白い砂浜が広がっており、僕とあきな以外は誰もいなかった。
南国の瀟洒なホテルのプライベート・ビーチ。ビーチパラソルの日陰に敷かれたタオルの上に僕は寝そべっていた。
あきなの声に顔を上げるとそこにいたのは12歳のはるかだった。
「ノブくんに付いてきてよかったわ。こんな超一流ホテル、普通じゃ泊まれないもの」
はるかの顔をしているが声は確かにあきなの声だ。僕はここにいるのに何故はるかが目の前にいるのか、変だと思ったが何故か声にならなかった。
はるかには声のほかにいつもと違うところがあった。それは、"胸がものすごく大きい"ということだった。
「どこ見てるの!さっきから胸ばっかり!そんなに気になるのかしら?」
はるかのオレンジ色のビキニからは巨大な乳房が今にも溢れださんばかりになっていた。子供のボディにはアンバランス過ぎる乳房はスイカ模様のビーチボールを思わせる。
「だいたいね…ノブくんが変な想像するからこんなに大きくなっちゃうんでしょ?この見た目でメートルオーバーなんてあり得ないわよ」
あきなの声のはるかは僕を非難しているが、反対に豊かな柔肉を見せつけるように迫ってきた。
(ずしっ…)
巨大なバストがたおやかに歪みながら僕の股間の上におろされた。ハーフパンツの下で勃起し始めていたペニスが乳房の重みを受けて一気に硬さを増した。
「うふふ…すごい反応。108センチPカップにぎゅうぎゅうされるのがそんなにいいの?」
(むにゅん…むにゅん…)
彼女は乳房で圧力をかけながら左右に揺さぶって刺激を与えてくる。
「ノブくんって変態だよね。おっぱいが大きければ大きいほど興奮するんでしょ??」
(ぼむんっ!!)
はるかのバストが目の前で大きく膨れ上がった。乳肉が水着を押しのけるようにせり出してくる。
(ギチッ…)
「すごいでしょ?これならZカップを超えてるわよ?」
大きさを増した2つのボールはビキニ
からこぼれ、バストトップが露わになってしまっている。
「いやん、ポロリしちゃってる。でもいいわよね?誰も見てないし。ノブくんはまだこれじゃ満足できないんでしょう?もっと大きくしてあげるからもういいってところでストップって言ってね!」
彼女はそういうと巨大なバストをさらに大きくし始めた。
本当に理由がわからない…これは僕の意思なのか?それともアイガールが意思を持っているのだろうか?もしくは、あきながアイガールに意思を吹き込んでいるのだろうか?
(むくむくむく・・・)
はるかの両乳がさらに膨れあがってゆく。僕の下腹部は乳房で埋まり、その重みがぐいぐいと締め付けてくる。
(むくむくむくむくむく・・・)
下腹部に乗り切らなくなった胸が左右にはみ出しながら腹の上にも乗っかってきた。
「おもーい!わたし、もう起き上がれなくなっちゃった。ノブくんは大丈夫?」
(むくむくむくむくむくむくむく・・・)
巨大化する柔肉が僕の胸にまでのしかかってきていた。
バストはバランスボールを凌ぐ大きさになっている。さすがにもうかなりの重圧で、これ以上大きくなると息ができなくなりそうだった。
もういい、ストップ、と叫ぼうとしたが喉が詰まって声にならなかった。
それでも何とか思い切り喉から空気を絞り出してみたが無駄な努力だった。
(むくむくむくむくむくむくむくむくむく・・・)
(んぐっ…)
「ノブくんの体がわたしのおっぱいで埋まっちゃった。ねえ?まだ大きくして欲しいの?」
(むくむくむくむくむくむくむくむくむく・・・)
何度も"もういい"と叫ぼうとしたが彼女には届かなかった。
柔らかい乳房に顔を塞がれ、間もなく呼吸ができなくなりそうだった。
手足をジタバタさせても巨大な乳房が鎮座しておりどうにもならない。僕はとうとう観念して乳房に押し潰されるがままになった。
膨らんでゆく乳房に窒息させられるなんて比較的幸せな死に方なのかも知れない、そう思ったとき…僕は突然、夢から目覚めたのだった。
「ゆ、夢か…」
ここは南国のビーチではなく自宅のベッドの上だということがはっきりと自覚できた。
ただ、体が思うように動かず、息苦しさも収まっていなかった。
「くっ、苦しい・・・」
体全体が何かに押さえつけられていた。僕はすぐにそれが"とんでもなく大きな乳房"であることを悟った。
「まずい…」
巨大化した僕の乳房は寝室一杯の大きさに大きくなり自分の体や部屋の壁や天井をぎゅうぎゅうに締め付けていた。
「もういい!ストップ!」
ストップを叫んでみたものの成長は止まらない。このままでは壁や天井を突き破り、僕は乳房に押し潰されてしまうだろう。
そのとき咄嗟に僕は少女の微乳を頭に思い描いた。
(ピタッ・・・)
膨乳は止まり、辺りは静かさに包まれた。
そして今度は緩やかに収縮を始めた。乳房は巨大な気球の空気が抜けていくように徐々に縮んでいった。
それに伴って重圧が少しずつ緩和され、やがて体が動かせるようになった。
(シュウウウウウウ・・・)
胸の谷間にわずかな空間があったため窒息せずに済んだが、そうでなければ今頃どうなっていたのかわからない。
常時トランス機能とフリー調節機能を両方とも有効にしたことから起きたトラブルだということがわかった。
常時トランスによって就寝中もアイガールの転移状態となっていたが、夢で見た巨大な乳房がフリー調節によって現実となってしまったのだ。
しかも、体に強い負荷が加わるとトランスが解除されるはずなのだが、僕のトランスレベルが高いために多少の負荷では解除されず、あやうく窒息するところまで追い込まれてしまったのだ。
「ふぅ。朝から冷汗かいたな…」
後日、アイデアル・ドール社から連絡があり、睡眠中にフリー調節機能が発動して家具や家屋が破壊されるトラブルが多発したためプログラムの修正が行われたということである。