森エルフさんの巨乳願望

ブラン 作
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2 エルは中学3年生

初めての学校の日、私はとても緊張していました。制服に着替え、勉強道具の入った鞄を持ち、叔母さんに付き添われながら学校の門をくぐりました。学校は歩いて15分ほどのところにあります。
私が通うことになるその学校、朝日山中学校は生徒数が270人もいるそうなのですが、規模としては小さい方だと聞いてとても驚きました。
1年から3年までそれぞれ3クラスずつあって、私は14歳なので3年生のクラスに編入することになりました。

「はーい、みんな静かに!!今日からこのクラスに1名、転入生がやってくることになりました。今から紹介しますので、皆さん、温かく迎えましょう!」

私は"先生"と言う人に付いて教室の前までやってきました。そして、先生が合図したら入っていくように言われていました。

(ガラッ・・・)

扉を開ける手が緊張で震えました。教室に足を踏み入れると30人ほどの生徒の目が私に向けられるのを感じました。

(ざわざわざわ・・・)

「わぁ、背が高ーい。モデルさんみたい。」
「すっごい美人。ハーフなのかしら?」
「スタイルいいなー」

口々に話しているのは女の子達の声でしたが、緊張して耳には入ってきませんでした。

「はい。皆さんが反対の立場だったらどうですか?知らない人達の中で1人でいるのは心細いですよね?私語は慎むようにしてください。これから森中さんに自己紹介をしてもらいます。」

先生がそう言うと生徒たちのざわつきは収まりました。いよいよ私の番です。

「こ、こんにちは。森中エルと言います。よろしくお願いします。」

先生が黒板に大きく私の名前を書きました。エルは片仮名でエルです。人間には決してエルフであることがバレてはいけないのに、なぜエルなんて名前をつけたのだろう?と親のセンスを疑います。

「森中さんは、お父さんの仕事の関係でロシアで暮らしていたそうです。今年、一人で日本に帰って来て叔父さんの家から通学するのだそうです。海外が長いせいで漢字の読み書きが少し苦手だそうですので皆さん協力してあげてくださいね。」

先生が説明してくれた通り、私は漢字の読み書きがほとんど出来ません。ひらがな、カタカナは母から教わりましたが、母も漢字はよく知りませんでした。私が読めるのは小学校低学年レベルの簡単な漢字くらいです。
幸いなことに、"まじない"の効果で皆、私が海外に住んでいたと完全に信じています。
ロシアからやって来たというのは全くのウソではありません。私達の祖先はロシアからサハリンを渡って日本にやって来たそうですから。

「では、森中さんの席は後ろに用意していますのでそこに座ってください。」

クラスは私を入れてちょうど30人で、男女それぞれ15人ずつです。机は男女が隣になるように配置されています。
私は会釈をして教壇を下り、教室の後ろの方にある席まで歩いていきました。
ホームルームの時間が終わると、クラスの女の子達に取り囲まれて質問攻めに合いました。

「ロシアには何年いたの?」
「ハーフなの?両親は日本人?」
「どこに住んでいるの?」

ロシアには6歳から今年の初めまで8年間住んでいたことにしました。両親とも日本人だけどロシア人の血が少し入っていると答えました。すると、私の顔立ちが少し外国人ぽく、背が高く、肌が白いことに納得がいったようでした。
初日のデビューはまずまずといったところでしょうか。皆んなが話しかけてくれたお陰で緊張もかなり解けました。