森エルフさんの巨乳願望

ブラン 作
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24 冬休み

12月の下旬から1月の中旬までは冬休みとなります。そしてその1月中旬には私立高校の入学試験があります。
冬休みは受験生にとって最終の追い込み時期と言われています。
私は一応、地元の公立高校を受けることにしていて今の成績ならまず大丈夫そうだと先生に言われています。
もちろん受かっても進学することはないと思いますが。

冬休みに入りました。
街はクリスマスの飾り付けで華やかな雰囲気になっています。みのりとショッピングモールに行ったときもそうでしたが、毎年、クリスマスが近づくと街のあちらこちらで飾りつけがなされるそうです。
特に素晴らしいのは夜の光景です。街路樹にはまるで星の光のようにたくさんの小さな電球が取り付けられ様々な色に輝いたり、点滅したりするのです。雪の白さと相まって息を呑むような美しい光景になります。
この小さな電球はLEDというものだそうです。半導体というものから出来ていて少ない電気で光を出せると聞きました。人間のモノを生み出す能力にはまったく驚かされます。
エルフの社会にはクリスマスという習慣がありませんので特にお祝いはしませんが、華やかな雰囲気を味わうのは楽しいものです。

暮も押し迫り、お正月も近づいてきました。
叔父さんの家では新年を迎えるための準備として餅つきをするそうです。
これはエルフの慣習ではなく、叔父さんが人間の行事を真似てやっているだけです。
餅というのは、餅米を蒸してから臼と杵という道具で潰し、団子のように丸めた食べ物で叔父さんが言うにはとても美味しいのだそうです。
エルフは普段、ほとんど米を口にしません。米の育たない地域に暮らしているので稲作は行いませんし、食べ方も知りません。
叔父さんは仕事柄いろんな人と繋がりがあるので餅つきの道具をタダで貰ってきて、餅米も安く分けてもらっているそうです。

「よしよし、うまく蒸しあがったな。」

叔母さんが蒸した餅米を臼の中に入れると叔父さんが杵でグイグイと押して潰してゆきます。

「こうやってある程度潰しておくんだ。それからこうやって・・・」

(ドシンッ、ドシンッ・・・)

叔父さんは杵を餅米に向かって振り下ろしました。何度か叩くと叔母さんが手で餅米に水をつけます。

「エルちゃんもやってみるかい?」

そう言うと叔父さんは私に杵を渡しました。

「えいっ…」

(トンッ・・・)

「もうちょっと腰を落とすんだ」

(ドスンッ、ドスンッ・・・)

「そうそう。うまいぞ」

やっているとだんだんとコツが掴めてきたと思います。慣れてくると楽しくなってきました。

「もうそれくらいでいいだろう。よし、叔父さんに代わっておくれ」

叔父さんはついた餅の形を杵で整えました。そしてそれを手で持ち上げて台の上に載せました。

「さあ、丸めていこう。熱いから気をつけるんだよ」

2人はくっつかないように手に粉をまぶし、突き立ての餅を少しちぎって丸め始めました。私もそれにならいますが熱くてなかなかうまく丸められません。

「あははは。それじゃ、おにぎりだよ!」

「えっ、ちょっと、どうしたらいいんですかー?」

慣れてくるとだんだん丸くできるようになってきましたが、叔父さんと叔母さんの領域には及びません。

「ちょっと味見してみるか…」

叔父さんはお皿に醤油を入れ、それにお餅をつけて口に運びました。

「んぐっ、うまいな。エルちゃんも食べてみるか?」

「はい」

私も丸めたお餅を一つ手に取りました。

(もぐっ…)

モチモチという言葉はお餅から来ているのでしょうか。うどん以上に弾力があり、噛んでいると深い味わいとほのかな甘みを感じます。

「お、美味しいっ!」

「ははは。そうだろ、うまいだろ?叔父さんはこれを食べないと年が変わる気がしないんだな。知り合いと近所に配ってもまだまだ余るからいっぱい食べておくれよ」

お餅はきな粉と砂糖をまぶしたり、餡子をのせて食べたり、焼いて海苔を巻いたりと色んな楽しみ方があるそうです。
お正月にはお雑煮と呼ばれるお汁にも入れるそうです。私はそれらを食べるのが楽しみになってきました。

大晦日には叔父さん、叔母さんと三人で大掃除をしました。新年を迎える前に掃除をするのは人間の習慣だそうです。
家は普段から掃除していますのでほとんどすることはありませんが、お店は棚や倉庫のホコリを拭いて、整理整頓をしました。
夜は年越しそばを食べながらテレビを見るというのが定番の過ごし方のようです。
人間社会には本当にたくさんの行事があって楽しくもありますが、少しせわしないと思いました。
年越しにお蕎麦を食べるのも人間の習慣で、細く長く生きられるようにとの願いが込められているそうです。
そばの実は寒い地方でも採れるので私たちも知っています。実をそのまま茹でて食べたり、粉にしたものをお湯で練りそれを焼いたりします。
人間のように細く切ってうどんのようにして食べるというのは初めてでしたが、弾力があってとても美味しかったです。

年が明けました。テレビでは日本各地で新年を祝う様子が流されていました。神社にはたくさんの人が押し寄せてお参りをしています。
神社というのは日本古来の神様を祀っている社のことで、頭を下げて手を打ってお祈りをするそうです。着物を着た女性たちも映っていました。
色とりどりで華やかな着物は私もいつか着てみたいと思いました。
叔父さんの家では特にお参りには行きません。エルフは森の神に感謝して毎日祈りを捧げますが、新年だからといって特別に何かをするということはありません。

「さあ、お雑煮が出来たわよっ」

叔母さんがお盆にお椀を3つ載せて運んで来ました。中には大根、人参、青菜、それから年末に作ったお餅が入ってます。

「いただきま〜す」

お汁をすすると良い香りが口に広がりました。お箸でお餅を掬うと変形してすごく長く伸びました。お餅は一度焼いてあるので香ばしさがあってとても美味しいのです。
お椀にはお餅が2つ入ってましたが私はそれらをぺろりと食べ、おかわりまでしてしまいました。
お雑煮、焼き餅、きな粉餅、揚げ餅など毎日、たくさん様々なお餅料理を食べました。
叔母さんが料理上手ということもありますが、それらはどれもとても美味しくてついつい食べ過ぎてしまうのでした。