【O】幼馴染 Growing Up
「夏休みにね。お隣りのまりちゃんが帰って来るんだって」
食卓で母親がニコニコしながら僕と父親に向かって言った。
勿体ぶった言い方をするので母にとっては大きなニュースだったようで、僕らも当然驚くだろうと言わんばかりだった。
「へーえ、しばらく振りだなぁ」
父親はぼそりと呟いた。
まりちゃんというのはウチの隣の家に住んでいた子で僕の3歳下である。3年前に父親の仕事の都合で家族でアメリカに引っ越ししてしまったが、それまではお互いの家を自由に行き来するほど仲の良いご近所さんだった。
引っ越ししてからも母親同士はよく連絡を取りあっていて、空き家の世話もうちの母親が進んでやっている。家というものは住んでいないと傷みやすいらしく、時々、空気を入れ替えた方がいいらしい。また、海外からは面倒になる火災保険の更新なども母が面倒をみてあげている。
「でね。戻ってきて空き家で一人暮らしは淋しいでしょうから、ウチに泊まってもらうことにしたわよ?」
「あ、ああ。いいんじゃないか?部屋もあるし」
「リュウはどう?」
「えっ、まあ、別にいいけど」
まりこの両親は旅行好きで、留守にするときはまりこをよくウチに預けて出掛けていた。
僕も向こうの家に泊まったことはあるが、でもまりこが泊まりにきた回数の方が圧倒的に多い。
母においてはまるで自分の娘が帰ってくるくらいの勢いで楽しみにしているようだ。
「久しぶりに腕によりをかけてディナーを作らなきゃ。部屋も掃除して、新しいシーツも買っておかなくちゃね。」
*
約1ヶ月後。まりこがやってくる当日、母は車で空港まで彼女を迎えに行ってきた。
3年振りに帰ってきた彼女…
「りゅうにぃ!久しぶり〜!」
車から姿を見せたのは僕の記憶の中にあった彼女ではなかった。
背は僕の母よりも高くなっていて、幼かった顔の面影は薄れて大人の女性のように見えた。そして一番驚いたのは……胸の膨らみだった。
まな板のように全くと言ってよいほと膨らみのなかった胸元が大きく盛り上がり、Tシャツの英語のロゴを左右に引き伸ばしていた。
彼女は両手を広げて僕に駆け寄ってくると思い切りハグをした。
(ボフッ・・・ぎゅううぅ)
いきなりのアメリカ方式の挨拶に戸惑ってしまった。彼女が付けているフレグランスの良い香りが僕を包んだ。そして、小玉スイカ2つ分ほどの膨らみも僕の胸の辺りに押しつけられていた。
「りゅうにい、背が伸びたね。すごく会いたかったんだよ!」
「ひ、久しぶりだね。3年ぶりだもんな」
抱擁が終わると僕はトランクを彼女が使う二階の部屋に持っていった。
リビングに戻ると母とまりこが何やら楽しげに喋っていた。
母親は父が帰ってくる時間に合わせてディナーの準備に取り掛かった。まりこも手伝うと言ったが、長旅で疲れているだろうからゆっくり寛ぐようにと母に言われていた。
だが、彼女は近所を散歩したいと言い出したので僕がそれに付き合うことになった。
昔よく遊びにいってた公園まで話をしながら2人で歩いた。
彼女の大きな胸は歩くだけで小刻みにユサユサと揺れた。
彼女は小学校を卒業したタイミングでアメリカに渡り、中学の3年間を過ごしてこの春に高校生になったところだ。
その3年の間に何があったと言うのだろう?どちらかと言えば華奢で痩せていた身体がムチムチと肉感を増し、胸だけではなく腰からヒップに続くカーブも女性らしくなっていた。女の子の成長というのはこうも急激なものなのか?
単なる幼馴染と思っていた彼女を女性として妙に意識している自分がいることに気づいた。
「ねえ、りゅう兄… あの約束、覚えてるよね?」
彼女が不意に僕に向かって言った。
(約束?なんか約束してたっけかな?)
「ああ。もちろん。」
(借りっぱなしにしてたゲーム機のことかな?戻ってきたら返すって言ってた。やべえ、どこ行ったっけ?探さないと…)
家に帰ると父親が帰って来ていて、ディナーの準備が半分くらい進んでいた。僕が母親を手伝っている間、まりこと父親は再会を喜び合い仲良く話をしていた。
準備ができて、まりこを囲んでのディナーパーティーが始まった。
「日本食が恋しいかもしれないと思って今日は和食にしたわよ〜」
「わぁ、すごぉい!向こうでは新鮮な魚があまり売ってなくてお刺身とかお寿司はすっごく久しぶりなんです〜」
テーブルには寿司、天ぷら、刺身、ステーキなど豪華な食事が並んでおり、まりこは目を輝かせてどれを皿に取ろうかと悩んでいた。
両親はビール、後の2人はジュースで乾杯しパーティは幕を開けた。
アメリカでの生活や両親のこと、どこに出掛けたとか、どんな出来事があったとか会話は尽きなかった。
「向こうじゃ日本人の女性って人気あるそうじゃない?まりちゃんくらい美人だったらモテて仕方ないんじゃないの?」
「やだ。おばさんったら!全然そんなんじゃないですから!」
「でも、今日はびっくりしたわよー。空港で最初、まりちゃんってわからなかったわ。まさかこんなに大人になってるなんてね。」
幼かったまりこが大人びていて驚いたのは全員同じだった。
「そうだよな〜。ちっちゃくて、ずっとリュウの後ろにくっついていたイメージだったからなー」
「将来、絶対にりゅう兄のお嫁さんになる!って言ってたもんねー!?」
「やだぁ!2人とも恥ずかしいからやめてくださ〜い!」
確かにまりこはそんなこと言ってよな。
僕がクラスメイトの女の子と喋ってたらすごく嫉妬してたこともあったし。
(もしかして、約束って?・・・そんなわけないよな…)
食事が終わり僕は自分の部屋に戻って昔のゲーム機を探すことにした。
ゲーム機は押し入れの中の段ボール箱にきちんとしまってあった。
「ふぅ… あった」
(コン、コン)
「はい?」
僕がノックの音に返事すると扉が開いて現れたのはまりこだった。
「お邪魔していい?」
「う、うん。…あ!これ、借りてたゲーム」
「わぁ!これまだ持っててくれたんだ?動くのかな?」
「最近、立ち上げてないからな。後で電源入れてみるよ」
「りゅうにいの部屋、久しぶりだぁ。全然変わってないね〜」
「まあな」
6畳しかない狭い部屋にまりこと2人という状況に僕は少し緊張していた。
見違えるほど綺麗になった彼女、そして、驚くほど大きく成長したバストをどうしても意識してしまう。
しばらく沈黙が続いた後、まりこが小声で囁いた。
「ねえ?気になるんでしょ?わたしのコレ」
そう言って彼女は両腕で大きな胸を抱えるようにして僕に見せた。Tシャツの胸がグッと中央に寄せられて一段と大きさが強調された。
「えっ、いや…」
「だってさっきから見てるもん。てゆうか、公園に行ってたときも、ご飯食べてたときもずっと…」
「ずっとじゃない」
「そんなに気になる?」
「まぁ、一応、男だからな」
「ふふん、知ってるよ。りゅう兄はおっぱいがすっごく大きな女の子が好きなんだもんね〜。昔、見ちゃったんだこの部屋で、りゅう兄のエッチな本。」
「・・・・」
「だから、私もおっぱいを大きくしようと思って色々試してたのよ?そうしたら、ほーら、こんなに育っちゃった… どれくらい大きくなったか知りたい?」
「う、うん…」
「私の学校の友達にはアメリカ人もメキシコ人もいてみんなすっごくスタイルがいいの。でもね…胸は私が一番大きいのよ?」
「まりこが…一番?」
「そうなの。驚いた?りゅうにぃのために毎日せっせと育乳に励んだんだぞっ!」
「いくつあるの?」
つい聞いてしまったが、まりこは嫌な顔をしなかった。
「さあ?いくつかな?当ててみる?」
「そうだな……95?」
「ブッブー。それだと中2のときのサイズくらいかな〜」
「じゃあ、100?」
「ざんね〜ん!もっと上で〜す!」
「110?」
「ブーーッ!スリーアウト!正解はひゃくじゅう・・・ろく。でした!」
「116ってマジかよ。…カップは?」
「それも気になっちゃうんだ?いいわよ。116、ひく、70は?」
「46」
「トップとアンダーの差が46センチ。さて、何カップ?」
「えっと・・・」
「正解は・・・Oカップでした。どう?すごい?」
「すごい」
現役の女子高生がOカップなんて聞いたことがない。しかも彼女はまだ一年生だ。
「よかった〜。大きくなり過ぎてりゅうにぃが引かれないか心配だったんだけど安心した〜」
「重くない?」
「重いよ〜。肩も凝るし、走ると邪魔だし…どれくらい重いか待ってみる?」
彼女は2つの膨らみを下から手で持ち上げてタプタプと上下に揺らした。
「いいの?」
「ブ〜、ダメ〜!お触りは禁止で〜す!」
「なんだよー!」
「ねぇ、りゅう兄。来年には家族でこっちに帰ってくる予定なの。だから、それまではお預けねっ!まだまだ育乳してもっと大きくしておくから他の女の子にいったら絶対ダメだよ!」
付き合っているわけでもないのに僕は他の女の子に浮気をしないと約束させられてしまった。もしかして、この約束をすることが今回の帰国の目的だったのだろうか?
それにしても一年後、まりこのバストはどこまで育っているのだろうか…
END