むかしあるところに心優しい浦島太郎という漁師が住んでいました。
ある日、太郎が浜辺を歩いていると少年たちが海亀を砂の上で引きずっているのを見かけました。
「お前たち、何をしているんだ?カメが可哀想じゃないか?」
少年たちは太郎をキッと睨みつけました。
「俺たちが何をしようと勝手じゃないか?これからこのカメを市場に売りにいくんだ。カメの肉は高く売れるそうだからな!」
太郎は少年たちの行手を阻みました。
「馬鹿なことはよせ!どうせ大した金にはならんだろう」
「うるさい!邪魔だ、どけ!」
太郎と少年たちはもみ合いを始めました。相手は子どもですが人数では負けています。
取っ組み合いのケンカになればどうなるかわかりません。
その時、遠くから女性の声がしました。
「こらぁ!アンタたち!何してんのよ!やめなさい!!」
大声で叫んだのは太郎の妹、華でした。
「アイツ、華じゃないか!?」
「うっせーんだよ!」
「ブース!チービ!貧乳!」
どうやら少年たちと華は顔見知りのようでした。
「むきーっ!今から大人たちを呼んでくるからね!」
華は人を呼ぶために急いで走って行きました。
「クッソォ!アイツ!余計なことを!」
「ヤベェ!逃げろ!」
「覚えてろよ!」
少年たちで海亀を担いで逃げるのは無理だと考え、そのまま打ち捨てて散り散りに逃げていきました。
海亀は少しくたびれていましたが傷などは負ってなさそうでした。
「お兄、今のうちにカメを海に返そう!」
物陰からひょっこりと華が顔を出しました。
「あれ?華、人を呼びに行ったんじゃ?」
「ふふふ。うまくダマせたわ。」
華は機転を利かせて上手く少年たちを追い払ったのでした。
兄妹は協力して海亀を浜に戻しました。
すると…
「ふぅ〜。ほんまエライ目に合いましたわ〜。いや〜、助けてもろてホンマにおおきにですわ〜」
海水に浸かり元気を取り戻した海亀がなんと喋ったのです。
「しゃっ!喋った!カメが??」
「そんなバカな!」
これには二人とも大変驚きました。
「そんなに驚かんでもええですやん、最近のカメは喋るんですわ。しかしまぁ、もうちょっとでカメ鍋にされるとこでしたわ〜。絶滅危惧種ちゅうのを知らんのかいな。とにかく、お二人さんになんかお礼でもさせてもらいたいですわ〜」
「お礼なんていらないわよ。それより、さっさと海に帰らないとまた捕まっちゃうわよ!」
華は海亀にそう忠告しました。しかし、海亀は全く海に戻ろうとはしませんでした。
「いやいや!それではワシの気が済みまへん。なんかお礼させてもらわんと。お嬢はん、欲しいもんとかおまへんのか?」
「いいわよ、そんなの。」
海亀は今度は太郎の方を向いて言いました。
「お兄さんはどないですのん?カメにできることやったら何でもしまっさかい」
「そうだなぁ。あっ!この前、岩場で釣りをしてたときに大事な釣り針を海に落としてしまったんだ。それを探してきてくれないか?」
太郎は人から借りていた大事な釣り針を海の底に落としてしまったことを思い出しました。
「お易い御用ですわ!ほな、いってきます!お嬢はんもその間になんか考えといてくんなはれや!」
(ザバーン!)
そういうと海亀はざぶんと海に潜り、太郎が釣り針を落としたという岩場の方へ泳いで行きました。
太郎たちも岩場に移動して海亀が上がって来るのを待っていました。
(ザバーン!)
「あきまへんわ!何も見つかりまへん!あの辺は潮の流れが複雑やさかいもっと沖の方まで流されたんかもしれまへんわ。」
「そうか… 仕方ないな」
「ワシに任せてくんなはれ!竜神さまなら海の中のことは何でも知ったはります。これから竜宮城に行って聞いてきますわ!」
「竜宮城?」
「はい。竜神様が住むお城ですわ。よろしかったら一緒にいかはりませんか?」
「海の中だろ?私たちには無理だな、呼吸ができない」
「その辺は大丈夫ですわ。しゃぼんを膨らませて空気の玉を作りますさかい。」
「浮力で浮き上がってしまうのでは?」
「潜れますって。潜水艦みたいなもんですわ」
「割れたらどうなる?」
「絶対割れたりしまへん!実績は確かですさかいに!」
「やめておこう」
太郎は意外に慎重派で海亀の誘いに乗りません。
「お兄!わたしはちょっと興味あるな〜。海の中のお城なんてステキ!」
「さっすが!お嬢はん!そりゃあもう世界遺産にならへんのが不思議なくらいファンタジーなお城ですわ!」
反対に華は海の中の世界に興味が湧いたようでしたが、太郎は否定しました。
「大事な妹を危険な海の底なんかにはやれんな。危険すぎる。お前だけが行って釣り針の在処を聞いてくれればいいじゃないか?」
「お兄さん、そんな固いこといわんと!乙姫様もきっと大歓迎なさります。あ、乙姫っちゅうのは竜神様の愛娘でむっちゃくちゃ美人!しかもスタイル抜群!ムッチムチのボインちゃんでっせ!」
「ふむ。考えてみよう」
「お兄!ちょっと!」
すったもんだはありましたが、結局、浦島兄妹は海亀と一緒に竜宮城へ向かうことになりました。
*
二人は海亀の吐き出した不思議な空気の球に包まれて海の中に入りました。球は海亀に導かれて後に付いて進んていきます。
水深が深くなるとだんだんと日の光が弱くなり辺りは真っ暗になりました。
どれくらいの距離を進んだか確かではありませんが、かなり遠く深いところまでやってきたのは確かでした。
突然、前方に明るい灯火が見えました。
「あれが竜宮城?」
近づくに連れて灯火は次第に大きくなりました。城は珊瑚が発するわずかな光で照らされてその形を浮き上がらせていました。
二人はこの世の物とは思えない美しい光景に言葉を失いました。
城に近づくと勝手に城門が開き、二人が乗った空気の玉は吸い込まれるように城の中に導かれました。
城内に入ると空気の玉は割れてしまいましたが、辺りは空気で満たされていて呼吸には問題がありませんでした。
地面に足をつけてもふわふわとしていて浮いているような不思議な感覚でした。
「カメは?」
「どこにいったのだろう?」
玉が場内に吸い込まれた際に二人は海亀の姿を見失ってしまったようです。辺りを見回しても姿が見えませんでした。
目の前には立派な宮殿がそびえています。二人は階段を上がって煌びやかな宮殿に入っていくことにしました。
「ようこそ、竜宮城へ!」
「よくいらっしゃいました!」
美しい衣を纏った女性たちが現れて二人を出迎えました。いずれも天女かと思うほど美しい女たちでした。
「あ、どうも。カメさんに連れられてここまで来たんですが…」
太郎は一人の女性に向かって言いました。
「海亀ですか?ああ、先ほど体調が悪いと言って今は医務室で横たわってますよ。軽い潜水病みたいで。」
「カメが潜水病に??」
「きっとすぐに良くなります。それより、さあ、こちらへ!乙姫様がお待ちかねです!」
太郎は美しい女性に顔が緩みっぱなしになっていました。白い衣の襟元からは豊かな胸の谷間が覗いています。
いずれの女子もたわわに実った果物のように見事な乳房を前に張り出させていました。
「お兄!!」
鼻の下を伸ばした兄を華がたしなめました。
二人は女性たちに囲まれて宮殿の中へと導かれました。豪華な装飾が施され、美しい彫像や陶磁器などが並び、長い廊下を抜けると大きな広間が見えてきました。
広間の奥には乙姫と思しき若い女性が立って二人を出迎えました。
「ようこそ、おいでくださいました。わたくしはオトと申します。皆からは乙姫と呼ばれています。」
(ゆっ…さっ…)
「ど、どうも。はじめまして。」
太郎はまず乙姫の立ち姿に驚きました。
身体はスラリとしていますが明らかに胸の部分だけ大きく前に膨らんでおり腰が隠れるほどになっているのです。
周りの女の子たちも大きな乳房をしていますが、乙姫はさらに大きく一人だけ飛び抜けていました。
(で、でっ…でっか!)
目は切れ長で鼻筋は通り、肌の色は白く、艶のある黒髪は背中まで伸びていました。
(なんと美しい姫なんだろう。しかも胸は特大ときてる。こんな女子は今までに見たことがない…)
太郎は一目見て乙姫を気に入ってしまいました。
「浦島様。ここに来られた理由は聞いております。ですが、残念なことに城の主人の竜神は今留守にしています。帰ってくるまでの間ここでごゆるりとお過ごし下さい。今夜は盛大に歓迎の宴を開きましょう。」
乙姫は女たちに宴の準備に取り掛かるように言いました。そして、太郎と華の二人を客室へと案内し、準備が整うまでゆっくり過ごすように言いました。
部屋で二人になると華は言いました。
「乙姫様って、ホントにすっごい美人よね。しかもあのオッパイ。何を食べればあんなに育つのかしら?」
太郎は妹の方をチラッと見ました。年頃になるのに胸の膨らみがほとんどないことを華は気にしているようでした。
「華も少し分けてもらうといい」
「うっさいわね!」
「もしかしたら何か秘訣とかあるんじゃないか?」
「そうね。他の女の人たちもすごいオッパイだし。後で聞いてみよっと。」
部屋からは海の中の景色が見えました。赤やピンクの美しい珊瑚やイソギンチャク、奇妙なカタチの岩などが配置されてまるで庭園のようでした。
いくら見てても見飽きないくらいでしたが、そろそろ宴の準備が整ったとの連絡があったので二人は出かけることにしました。
案内されてお座敷に向かうとテーブルの上には見たことがない豪華な料理の数々が並べられていました。
「さあさあ、お二人さん。どうぞこちらにお座りください。」
促されるままに太郎は乙姫の隣に、華は正面の席に着きました。
「それでは、太郎さん、華さん。ようこそ竜宮城へいらっしゃいました。今宵は心ばかりの宴をどうか心置きなく楽しんでください。」
乙姫が太郎の盃に酒を注ぎ、それを持ち上げて乾杯をすると宴は始まりました。
酒は今までに飲んだことのない旨い酒で、水のように口当たりがよいのでするすると飲めてしまいます。太郎の大きな盃の酒はすぐに空になってしまいました。
「あらぁ〜、太郎さんったらいい飲みっぷりだこと。男らしいわぁ。」
太郎は乙姫と周りの女子たちに煽てられ、良い気分で酒を飲みました。チラリと横を見ると乙姫の巨大なオッパイがテーブルに乗っかってたわわに歪んでいるのが目に入ってきます。
華はお酒が飲めないので別の飲み物を飲んでいました。両脇に座った女性が取り分けてくれた料理を一口食べるとこれが驚くほど美味なのでした。
「お、美味しい、これ!」
皿が空いてくると女性が料理を追加するためいくら食べても減りません。しかも、新たな料理がどんどん運ばれてくるのです。
しばらくすると女子たちの踊りが始まりました。扇子やリボンを振りながら音楽に合わせて踊ると豊かな胸がぶるんぶるんと揺れました。
肌も露わな女子たちの妖艶な踊りを太郎は手を叩きながら楽しみました。
踊りの後には歌や演奏、そしてまた踊りと出し物はつきませんでした。
宴は深夜になるまで続きました。太郎は酔っ払い、華は食べ過ぎて眠ってしまうといつしか客室へと運ばれていました。
このような宴が三日三晩続きました。
豪華な料理と美味い酒、女子たちの踊りや歌、演奏などで二人は楽しい毎日を過ごしていました。
華は毎日このような接待を受けてしまい何だか申し訳ないなと感じました。
「乙姫様。竜神様はいつ戻ってこられるのでしょうか?」
「さあ?それは娘のわたくしにもわかりません。父の居場所はわたくしも知らないのです。でも、そう遠くないうちに帰ってくるはずですが。」
「そうですか… ところであのカメは何処にいったのですか?」
「竜神を探しに遣わしました。まもなく見つけて戻ってくるでしょう。」
しかし、竜神様はその後も一向に戻って来ませんでした。
そしていつしか竜宮城に来てから10日が過ぎてしまいました。
華はまた乙姫に尋ねました。
「乙姫様。竜神様はまだ戻って来られないのでしょうか?」
「さあ?それは娘のわたくしにもわかりません。でも、そう遠くないうちに帰ってくるはずですが。」
「毎日盛大な宴を開いていただくのがなんだか申し訳なくって…」
「よろしいじゃありませんか?我が家だと思って楽しく過ごしていただいたらいいのです。何か不安なことでもあるのですか?」
「不安ってほどではないんですけど… 毎日、美味しいものを戴きすぎてちょっと太ってしまって…」
華は毎日、朝昼晩と美味しい料理を食べ続けた結果、頬がふっくらとし、お腹がぽっこりと膨らんでしまっているのでした。
「まあ?それくらい太ったうちには入らないと思いますよ」
「乙姫様はどうやってそのスタイルを維持されているのですか?」
乙姫も同じように食べて飲んでを繰り返しているのに、全くスタイルが変化しないのが不思議でした。
「それはあなた達と身体の造りが違うからかもしれんね。そうですね… いいものがあります。少し待っててもらえますか?」
乙姫は女を呼んでなにやら指図をしました。
しばらくすると女が小さな瓶のようなものを大事そうに抱えてやって来ました。
「この宮殿の蔵には世界各地の珍品宝物が保存されているのですが、これはそのうちの一つ"天雪の雫"というものです。」
「あまゆきのしずく?」
「ええ。これを一滴飲めば天女のような美しい姿になれるのです。騙されたと思って舐めてみてくださいな。」
「は、はい」
大丈夫かな?と思いつつ、華は小さな瓶の注ぎ口から垂れてきた水滴を手のひらで受けてそれをぺろりと舐めました。
「いかがですか?」
「そうですね… これと言って特に…」
その時、突然身体に異変が起こりました。
胸の鼓動が急に速くなって苦しくなり華は乙姫の肩に寄りかかりました。
(ううっ・・・くるし・・い・)
華の身体が目に見えて変化をし始めました。
まず、低かった身長がぐぐっと伸びて乙姫と同じくらいの身の丈になりました。腰は細く括れ、代わりにヒップが丸く大きくなり女性らしい曲線を描きます。そして、ほとんど膨らみの無かった胸はぐんぐんと大きくなっていきます。
(むくむくむくむくむくむく・・・)
「やだ。どこまで大きくなるの?」
そして、艶のある黒髪は背中まで伸び、顔は少し大人びて美しい女性に変化していました。
そこへ太郎がやって来ました。
「乙姫、華はどこに行ったか知りませんか?」
「華さんならここに。」
乙姫の隣にいた女性が顔を上げると華だったので太郎は驚きました。
「は、華。どうしたんだ??急に雰囲気が変わったような…」
太郎が驚いたのも無理はありません。子供っぽかった妹が乙姫と肩を並べるほどの美女に変身していたからです。
しかも、胸元は他の女たちのように豊満になっていました。
「お兄、どうかした?」
「あ、いや。何だったかな〜」
太郎は妹の急成長した姿に明らかに戸惑っていました。
*
二人はその後も竜宮城で過ごしました。
竜神はいつになっても戻って来ず、探し物の在処はわからないままでした。
太郎は毎日を乙姫や女たちと楽しく遊んで暮らしていましたが、1ヶ月が経つとその生活もだんだんと退屈になってきました。
「ねぇ、お兄?そろそろ帰ろうよ」
「華、そうだなぁ。景色は素晴らしいし、酒や料理は美味く、女たちは美しい。全く申し分ない生活なのだが、さすがにそろそろ飽きてきた気がするな。」
(ゆっ…さっ…)
華の胸はあれ以来、毎日すくすくと育っていました。そして女たちを抜いてもう既に乙姫の胸に肩を並べるほどの大きさに成長していました。
(ふぅ…重い…)
「じゃあ!わたし。乙姫様にもう帰るって言ってくるね!」
華は大きな胸をゆっさゆっさと揺らしながら乙姫がいる広間へと向かいました。
しばらくすると華が太郎の元に帰ってきました。
「どうだった?」
「乙姫様、すっごく残念そうで悲しそうにしてたよ。でも、わかりましたって。」
「よし!帰る準備だ」
「今日は盛大に送別の宴を開いてくれるそうよ。それで、明日の朝に私たちを浜に送るって」
送別の宴はこれまでになく盛大に行われました。乙姫は宴の間、ずっと塞ぎがちで、二人が帰ってしまうことをとても残念がっていました。
次の日、とうとう二人が帰る日になりました。
「太郎さん、華さん。ほんとうに帰ってしまうのですね… 大変残念ですが、二人のお陰でわたくしも毎日楽しく過ごすことができました。またいつかここに遊びに来てくださいな」
乙姫は力なく笑顔を浮かべながら二人にお別れを言いました。
「太郎さん。竜神は帰らず、失せ物も見つからずに申し訳ありませんでした。代わりにと言っては何ですがこの箱を差し上げます。」
太郎が受け取ったのは見事な装飾が施された美しい小箱でした。太郎は礼を言って着物の懐に仕舞いました。
「その箱は観賞用となっていますので中は決して開けないでくださいね。」
乙姫は最後に空気の球を膨らませて二人を包み込みました。身体がふわりと浮き、球が宙を漂い宮殿の外へと進んで行きました。
太郎と華は別れを言いました。
「お世話になりました」
「さようなら〜!」
乙姫は涙を堪えながら二人に手を振り返していました。
「ほな、さいなら」
*
二人は一ヶ月ぶりに自分たちが生まれ育った浜へと戻って来ました。
「ひと月も留守にしてたんだ。皆、心配してるだろうな」
「早く家に戻りましょうよ!」
楽しい日々はあっという間に過ぎるもので華が帰ると言い出さなければもっと長い間、竜宮城に居着いていたかも知れません。
「それより、乙姫がくれた箱の中身が気になるよな?」
「乙姫様ってそうとう恨めしそうな顔をしてたじゃない?中開けたらドカン!じゃないかしら?」
華はそう言って笑いました。
「確かに、箱を渡されたとき殺気を感じたな… 相当帰って欲しくなかったみたいだった」
「煌びやかな宮殿で何不自由なく暮らしていても、毎日が退屈なのはどうしようもないのかしらね?」
華は箱のことは後にして早く家に帰ろうと太郎に言いました。
するとそこに二人に声を掛けてくる者たちがいました。
「おい!お前、浦島太郎じゃないか!」
ひと月前、カメを市場に売り飛ばそうとしていた少年たちでした。
「何か用か?」
「よくも俺たちを騙してくれたな!あれ以来、居なくなったから探していたんだ!」
少年たちが太郎に近づいてきました。
「あなた達!また悪さしてるんじゃないでしょうね!?」
(ゆっ…さっ…)
華が立ち上がって少年たちに言いました。
「誰だ、アレ?すげぇ美人!」
「は、華なのか?」
「なんて乳してやがるんだ!?」
少年たちは華の美しく成長した姿に驚きました。たった一ヶ月の間に身長は伸びて顔は大人っぽくなり髪も伸びて一瞬誰かわからないくらいです。
しかもその胸元はあり得ないほど巨大に膨らんでいるのです。
(たっ…ぷんっ)
「うふふ。どう驚いた?この前はごめんなさいね!カメさんが可哀想だったから。代わりに、ほら、このステキな箱をあ・げ・る」
華は太郎が持っていた箱をサッと奪い取って少年たちに投げました。
「華!それは乙姫様に貰った大事な箱じゃないか!」
太郎が防ごうとしましたが、箱は少年たちの手に渡りました。
「おおっ!これは見事なシロモノだぜ!ありがとよ、華!」
「観賞用だから、中は絶対に開けちゃダ・メ・よ」
そういうと少年たちは箱を誰が貰うかについて言い争いをしながら二人の前から去って行きました。
太郎と華の二人は家に帰り、その後も幸せに暮したということです。
END