育乳学園U

ブラン 作
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夏休みの峯山学園はひっそりと静かだった。
夏休みだからといって教師は生徒と同じだけの休みがあるわけではない。教育の研修や次学期のための準備、高校3年生の場合は職業体験などがあり出勤日もかなりある。ただ、一般的な会社員に比べれば休みは長い方だと言っていいだろう。
職業体験というのは卒業後、就職を考えている生徒に実際の職場を体験してもらういわゆるインターンのことで、教師が直接出向くことはないが申し込みや調整などでサポートする必要がある。
峯山の3年生のうち大学や専門学校への進学を考えている生徒はどちらかというと少数派で、卒業して就職する子が実は多い。巨乳が尊ばれる社会であるからここの卒業生はとても人気があり、様々な企業から求人が出されてくるのである。彼女たちが希望を出せばほぼ無条件で内定するといった羨ましい状況だ。
卒業後の進路としての一番人気は峯山神社の巫女であることは間違いない。神社の巫女として三年間の務めを果たすとその後はアイドル、モデル、タレントなど芸能の道へ向かう者もいれば、秘書・広報グループの松岡さんのように学園の顔として活躍するような人もいる。ただし、年間にたった3名という狭き門となっている。
それ以外の進路としてメジャーなのは峯山グループの関連企業で受付や広報、秘書、総務などだったり、ホテルやリゾート施設のスタッフとして採用されたりするケースだ。その次に一般企業、さらには官公庁などへの就職である。
その他には進学して教師になるものや、医師、薬剤師、看護師、保育士、介護士になったケースもある。

職員室の風景はいつもと変わらないが、生徒が休みなため穏やかに時間が流れている。ただ、夏休み中も図書館やプール、フィットネスセンターは開放しているためときどき遠くから生徒たちの笑い声や喋り声が聞こえてくる。
その声を聞いて僕は槙野さんはどうしているだろうかと気になった。夏休みは数日帰省するが基本的に寮で過ごすらしいことは聞いていたが、さすがに女子寮まで様子を見に行くわけにはいかない。
ただ、檜原先生によると特に問題はないらしく友達と元気に過ごしていたとのことだった。

「胸の痛みはまだ続いているようですが、病気じゃないってわかったんでそんなに気にならなくなったそうです。病は気からっていいますもんねー。」

真壁先生のアドバイス通り槙野奈々の減量は中断し、寮での食事はカロリーを抑えた減量食からたんぱく質を多めにした成長食へ切り替えている。

「Zカップのブラがキツくなってるらしくて夏休み明けの測定が楽しみだと言ってました。」

自分のバストが再成長していると知り前向きに育乳に取り組んでくれれば秋の校内選考に食い込める可能性もあるんじゃないかと思う。



夏休み中にどうしても行っておきたい場所があった。
豊乳祈願の社(やしろ)として名高い峯山神社である。あえて説明の必要はないかもしれないが、この地に昔からあった小さな社を、事業家であり峯山学園の創設者である峯山一郎が多額の寄付をして大きく造り変えたことは有名だ。
神社には豊乳の神が祀られており全国から祈願に訪れる人が絶えないが、この神社の最も有名な行事が毎年2月に行われる"乳巫女選び"である。これも峯山一郎が始めた行事で全国から豊かなバストを持つ17、18歳の女性を募り、その中から最も素晴らしい3名を巫女に選ぶのだ。
一昔前ならZカップもあれば確実に選ばれたが、近年は育乳技術の進化が進み昨年選ばられた巫女はなんと5Z、7Z、8Zだったという。
これらの巫女もほぼ峯山学園の生徒が独占するのが通例だったが、最近は峯山の姉妹校の生徒からも選ばれるようになっている。
峯山神社は男一人で参るのは少し気恥ずかしいこともあり僕は檜原先生を誘って行くことにした。
彼女の返事はもちろんオッケーで、車も出してくれることになった。

(ガチャッ…)

観光バスが何台も止められる広大な駐車場に車を止め、僕と檜原先生は神社の方へ歩いた。
参道の両側には土産物屋や飲食店などが立ち並びどこか有名な観光地のようである。
午前中ということもあってまだ人は少ない方ということだが神社に向かう人の流れができていた。
進んでいくと神社の大きな鳥居が見え、近づくとそれはさらに巨大であることがわかった。

「初詣のときはもうここから並んでましたよ。」

鳥居の下から本殿を見るとかなり遠くにあるように見える。檜原さんは初詣で毎年ここに来るそうだがいつも1時間ほど並ぶという。
鳥居をくぐってすぐのところに大きなパネルがあり神社の由来やこれまでの歴史が書かれていた。その隣には案内図があり、社や社務所の場所やトイレ、駅へのアクセスなどが説明されていた。

「この豊乳泉っていうのは?」

「それですね。この泉で身体を洗うと巨乳に育つって言い伝えがあるんですよー。でも、混雑しすぎて危ないからってかなり昔に入れなくなってるんです。代わりに柄杓で水を掬って女児の足にかけるようになりました。じゃあ、まずそっちの方から行きましょうかー」

正面の通りから脇に入り泉の方へと進む。玉砂利を踏み締める心地よい音を聞きながら歩いているとすぐにその泉に着いた。
こぢんまりした日本庭園にある池くらいの広さの泉で、水は澄んでいて美しい。泉の底から水が湧いているそうである。泉の一角からはその清らかな水が一筋の沢になって流れ出ておりその沢の水を柄杓で掬うのだそうだ。数人の子供連れが沢のほとりに集まっていた。

「きゃっ!冷たいっ!」

「やめて〜」

足に水を掛けられた女の子が楽しそうにはしゃぐ。それを見て水をかけられまいと逃げ回る子供もいる。
和やかな光景を見ながら僕と檜原さんはその横を通り過ぎた。

「ついでに牛岩の方にも行きましょう。」

「うしいわ?」

「はい。その名の通り牛の形をした岩のことです。背中を撫でると母乳の出がよくなるという言い伝えがあるんですよ。」

泉からしばらく歩くと円形になった広場の中央に大きな岩があるのが見えた。
牛が寝そべっている姿に似ているということらしいが、そう言われればそう見えるかなという程度のものだ。

「これが?」

「ええ」

数人の女性が牛岩の前に列を作り、順番に牛の背にあたる部分をさすっていた。

「檜原さんは撫でなくていいの?」

「私まだ必要じゃないです!」

檜原さんの3Zバストで母乳プレイなんてどうかな…などとよからぬ想像をしてしまったが、子供を産んでない女性には母乳が出るご利益は無いはずである。
牛岩を離れて再び中央の大きな通りへと戻る。
正面には大きな拝殿があり行列ができている。その奥に神様を祀る本殿が見える。右手側には社務所があり礼拝を済ませた人がそこでお札やお守りなどを授かろうと集まっている。
僕らも拝殿の列に並んでお参りをする。

「ラッキー!今日はかなり空いてますね。」

「これで空いてる方なのか…」

順番が来るまで辺りの様子を見回していたが、本殿では祈祷が行われており、宮司が白い紙のついた棒を参拝者に向かって振っているのが見えた。宮司の後ろには巫女が控えており玉串を載せた盆を持っている。

(あれが乳巫女か!)

人が邪魔で胸の膨らみ具合はよく見えないが噂の巫女を見られてテンションが高まった。
社務所の方に目を移すとそこにも乳巫女が2人いてお札やお守りを授ける仕事をしている。肩より下が隠れていて胸のサイズまでは確認できないものの顔はよく見えた。
しばらくしてようやく順番が回ってきて檜原さんと並んでお参りを済ませた。

「何をお願いしたんですか?」

「学園のみんなが健康ですくすく成長するようにと」

「さすが平野先生ですね!わたしは個人的なお願い事をしちゃいました…」

「どんなお願い?」

「それはちょっと恥ずかしくて言えません…」

僕は小さい頃からこういうお参りでは個人的なことより大勢のことを願う方がいいと教えられていたのでその教えに従っただけだった。
お守りをもらいに社務所へと足を向ける。人だかりができていてここでも並ぶ必要があった。
掲示板があり、そこにこの神社に勤める巫女さんの紹介が写真付きで大きく貼られていた。
巫女は毎年3名選ばれてその任期は3年のため、神社には9名の巫女がいるわけになるがこの9名が紹介されている。アイドル的な存在になっている彼女たちを目当てにやってくる参拝客もいるくらいなのでそのための配慮のようだ。
それぞれの巫女について、顔写真と名前、生年月日、出身地が書かれてあったが、残念ながらバストサイズや出身高校までは記載されていなかった。
だが、檜原さんはどの子が峯山学園出身でこの子は姉妹校だということをよく知っていた。カップサイズについてもしっかり記憶しているようである。その情報をまとめると以下のようになる。

三年次
 池田美雪  峯山学園 5Z
 西浦遥   峯山学園 6Z
 渡辺ひかる 南陽峯山 6Z
二年次
 河野まりな 峯山学園 6Z
 高瀬莉奈  峯山北斗 5Z
 滝本美佐  峯山学園 7Z
一年次
 浜崎まゆ  峯山学園 7Z 
 浅倉奈緒  峯山学園 8Z
 深田愛   南陽峯山 5Z

巫女は単にバストサイズだけで選ばれるわけではないが、ここ3年でみると5Z以上の争いになっていることは明らかである。
また、南陽峯山や峯山北斗といった姉妹校の生徒からも選ばれるようになっている。

「南陽峯山って檜原先生の出身校ですよね?」

「はい。最近、本家に負けない勢いで伸びて来てますねー。次も南陽から選ばれて欲しいです。一年次の深田愛ちゃんっておっぱいが大きいだけでなく、めちゃくちゃ可愛いんですよー、ワタシの推しなんです!今日は出てないみたいですけどね。」

「日替わりで出てくる巫女さんが変わるんだ?」

「ええ。バイトのシフトみたいな感じですね。今日は本殿で宮司の補佐をやってるのが二年の滝本さん、社務所の2人は三年の池田さんと一年の浅倉さんのようです。」

「なるほど。3名とも我が校出身か。」

「確かにそうですね!右側のお守りを授けているのが浅倉さんで、左のご朱印の受付が池田さんです。浅倉さんなんて歴代の巫女で最大の8Zですからね!」

それは是非お目にかかっておくべきと思い、何かお守りを授かることにした。僕が豊乳祈願はおかしいので交通安全のお守りでももらうことにする。
しばらく並んで待っていると列が前に進んでようやく浅倉さんの首元より下が見えた。

(おおっ…)

その女の子は少し童顔気味だが整った顔立ちで黒髪を後ろでひとつに束ねており神聖な場所に相応しい清楚な雰囲気を漂わせているが、それとは対照的に白い巫女衣装の前を大きく膨らませているのが噂の8Zのバストだ。
檜原さんの3Zでも他の参拝者の注目を集めてしまうほどだが、8Zのインパクトはそれを大きく上回っている。杉崎先生の7Zと比較しても明らかに大きい。
大きなバストは荷重を軽減するために特別にあつらえられた乳置き台と呼ばれる台の上にどっかりと鎮座していた。
交通安全のお守りを手に取って彼女に渡し、代金を納めた。

「よくお参りくださいました。」

にこやかなスマイルと共に彼女は紙の袋に入れてそれを手渡してくれた。その時に前屈みになり胸がぎゅっと台に押しつけられるのが印象的だった。



帰りに参道にあった土産物屋にも少し立ち寄ってみようということになった。参道の脇にはさまざまな店が立ち並んでいて朝通ったときよりも賑やかになっていた。
僕と檜原先生はそれらのうちの一件の土産物屋の中に入った。

「峯山高原クッキーに峯山ロール、峯山神社まんじゅう、峯山餅・・・何でもあるんだな」

「これ見てください、牛岩チョコレート。岩の形にそっくりでしょう?」

「Tシャツなんかもたくさんあるね。峯山神社… 豊乳祈願… 池田美雪…? 西浦遥…?」

「巫女さんの名前です。すぐにグッズ化されちゃいますからねー」

「許可は取ってんのかなぁ?」

「こっちには、先生ほら」

檜原さんが指差すところを見ると先ほど巫女が着ていたのとそっくりな衣装が並んでいた。

「巫女服!?レプリカだな」

「結構売れるらしいですよ。コスプレとか流行ってますからね… 」

「こっちにはフィギュアもある」

ガラスケースの中には巫女さんのフィギュアが並べられていた。値札を見るとどれもかなり高額だった。

「これは…!」

「トレーディング・カードですね。9人分がセットになってますよ。」

乳巫女9人分のカードが入っているようだ。カードには巫女の写真とプロフィールが載っていて、名前、生年月日、出身地、趣味・特技、身長、バストサイズ、カップが記載されている。
一年毎にこれが発売されるらしいが、昔のカードになると高額で取り引きされることもあるらしい。

「買っとくか…」

僕はそれをレジに持っていって購入した。
檜原さんにはどの峯山出身の巫女を覚えるのにちょうどいいと言ったが、本当のところは彼女たちの身長やバストサイズ、カップまで載ってるのがいいなと思ったからだ。