今日の君と明日を待つ その1

橙 作
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「はあ、はあ、はあ・・・・・・」
街中。一人の男が大通りを全力疾走していた
「待てーっ!リュングベリ!」
その後ろを一人の女が追走している
「大人しく捕まりなさいってば!」
「うっさいなー、もう。ちょっと位いいだろ!」
「よくないっ!」
そんな言い合いをしながら、二人が追いかけっこを続けていると
「うわっ!」
突然強風が吹いてきて、飛んできた新聞が女の顔に被さった
その隙を見て、リュングベリは一目散に逃げていった
「・・・くそっ!」
リュングベリを見失い、怒りがこみ上げてきた彼女は、八つ当たりをするように、新聞を丸めて捨てた
その新聞には、数日前におきた国宝級文化財盗難事件の記事が載っていた
目下、その事件の犯人と思われている男が、似顔絵つきで指名手配されている。その男こそが、リュングベリである
そして彼女は、そのリュングベリを追う刑事、キャンベルだ
金色の長い髪にすらっとした体の美しい女性であるが、その胸もまた、すらっとしすぎていた
つまり、貧乳だ、という事だ

キャンベルを撒いたリュングベリは、誰も居ないような山奥にまで来ていた
空は曇っていて、今にも雨が降りそうだった
「ここまで来れば・・・大丈夫だろ・・・」
疲れ果てたリュングベリは、どこか休める場所を求めて、よろよろと山奥を歩いていた
プツン
「ん・・・」
途中、彼は足元の何か細い糸みたいなものを切ってしまった
「何だ・・・?」
リュングベリが不思議に思っていると
ドスン!
「ぐわっ!」
いきなり上から巨大な丸太が降ってきて、リュングベリは気絶してしまった
しばらくして、一人の女性が、倒れているリュングベリの元にやって来た
見事な爆乳の持ち主で、歩くたびにその大きな胸がぷるぷる揺れる
「あらあら・・・人間が罠にかかっちゃいました」
彼女は、そう言って、リュングベリを近くにある自分の家に持っていった
近くには、見慣れない植物が、花を咲かせていた

雨が降ってきた
リュングベリは、横になって寝かされていた
「・・・・・・はっ!」
気が付いたリュングベリは、とっさにその場から起き上がって逃げようとした、が
ぶにゅ・・・
何か柔らかいものに、顔を挟まれてしまった
「ん〜・・・」
両手でその柔らかいものをどけるリュングベリ
・・・どかそうとするが、指がめり込み、うまくいかない
触っている、というよりも、揉んでいる、という感じだ
指が時々硬いものに当たる。いったい何なのだろうか、これは
顔を離してみて、リュングベリはようやくそれが何であるかに気が付いた
「・・・な・・・何だこりゃ・・・」
その柔らかいものとは、女性の巨大な胸だったのだ
頭全体をすっぽり包み込む胸など到底考えられないが、現にここには在る
そして、リュングベリの目の前には、先程の女性が、気持ちよさそうな顔をして座っていた
「・・・・・・」
胸を揉んでしまった恥ずかしさと、顔を見られてしまった危機感から、リュングベリは急いでこの場から逃げ去ろうとした
しかし、自分の足首とベッドの脚が鎖でつながれており、逃げることはできなかった
「これ・・・あんたがやったの?」
「はい」
女性は、明るく答えた

雨はますます強く降ってきた
「初めまして。私、レジェスと申します」
レジェスは、ふてくされているリュングベリに向かって挨拶をした
「どうでしたか?私の胸は」
レジェスはいきなりとんでもないことを聞いてくる。リュングベリは顔を赤くして下を向いた
「・・・気持ちよかったですか?」
リュングベリは答えない
「・・・・・・気・持・ち・よ・か・っ・た、ですかぁ?」
レジェスは再びリュングベリの顔をその胸で挟みにくる。それにしても立派な胸だ
「・・・ああ、そうだよ、気持ちよかったさ!」
たまらずリュングベリは本音を答える
「そうですか。それはよかった」
それを聞いて、レジェスは元の位置に戻った
「・・・で、俺をどうする気なんだよ?」
今度は逆にリュングベリが質問する
「・・・俺の事を知らない訳じゃないだろ?」
リュングベリは少し俯く
「ええ。・・・この方ですよね」
レジェスは先程の例の新聞を取り出して見せる
「・・・そうだよ」
「安心してください。別に私は、あなたの身柄を引き渡そうとか、そういう考えはありませんから」
その言葉を聞いて、リュングベリは意外そうな顔をした
「・・・え?」
「私はただ、あなたにちょっと興味があるんです」
そういうとレジェスは顔をリュングベリの顔に近づけた
どうしても胸が目に付いてしまう。谷間だって丸見えだ
「窃盗をした時の気分はどうでしたか?」
レジェスの質問に、リュングベリは呆れて答える
「・・・別に・・・どうって言われても、普通だよ・・・」
「盗んだものはどうしたのですか?」
「・・・家に置いてきた」
「見つかっちゃうかもしれませんね」
「・・・まあな」
「自首しないんですか?」
「やだよ。なんか怖そうだし」
そのとき、ドアをノックする音とともに、リュングベリにとって聞き覚えのある、嫌な声がした
「すいません、警察の者ですけど・・・」
「・・・げっ!」
「追手ですか?」
二人は小声で会話する
「そうだよ・・・どっか隠れさせてもらうぞ」
リュングベリは、その辺にあった大きめの箱に隠れた
「・・・どうぞ」
レジェスは、何事も無かったようにキャンベルを迎えた
「あの・・・こんな男、来ませんでしたか?この辺に居るはずなんですが・・・」
キャンベルは例の新聞を見せる
「いえ・・・見ませんでしたけど」
「そうですか・・・ありがとうございました」
そう言って、キャンベルは去っていった
「・・・もういいですよ」
箱の中からリュングベリが出てくる。しかし、ちょっと恥ずかしそうだ
「・・・どうかしましたか?」
「・・・いや・・・ごめん・・・」
箱の中には、ブラジャーやらパンツやら、下着類がたくさん入っていた
「別に、謝ること無いですよ。・・・欲しかったらあげますよ?私使えないですし」
確かに、箱の中のブラジャーは小さく、とてもレジェスの大きい胸をカバーできるとは思えなかった
「えっ・・・いや・・・いいよ」
そうは言ったが、リュングベリはブラジャーの一つをポケットにそっと忍ばせておいた

「うわ・・・」
そのころ、大雨に打たれながらリュングベリを探していたキャンベルは、行き止まりに来てしまった
正確に言うと、この雨で、川を渡る橋が崩れてしまったのである
「・・・引き返し、か」
しかし、この雨では、そのうち風邪を引いてしまいそうだ
「・・・あそこに雨宿りでもさせてもらうかな・・・」
キャンベルは、再びレジェスの家にやってきた
「すいませ〜ん・・・」
「・・・うわっ!」
再びキャンベルの声がしたので、リュングベリは急いでまた箱の中に入った
「は〜い・・・あれ?」
「ちょっと、雨宿りさせて欲しいんですけど・・・」
「・・・・・・ええ、いいですよ」
こうして、三人は一つ屋根の下に集合してしまった

続く