「・・・でだなあ、俺はやっぱり女は巨乳がいいと思うんだよ」
柔らかな日差しの中、二人の男がとんでもない話で盛り上がっている
・・・と言うよりも、盛り上がっているのは片方の男だけで、もう一人の男は完全にしらけている
「・・・おい、聞いてんのか?」
「ああ・・・わかってるよ」
聞かれた男は、うんざりした様子で言った
彼の名はヴァッセル。別に巨乳が嫌いという訳ではないが、毎日同じような話をされたら嫌になる
もっとも、話している方からすれば、同じ話など一度もしていないのだが
「ラウルセン・・・もう帰っていいか?」
「あっ、ちょっと待てよ!」
ヴァッセルがその場から立ち去ろうとすると、二人の目の前に一人の女性が急に現れた
ウエーブがかった水色の長い髪で表情は見えず、その体は透き通りそうなくらい薄く見えた
胸は頭と同じくらい大きく、盛り上がった乳首は服を押し上げている
あまりにもその現れ方が急だったので、二人は驚いて立ち止まった
硬直している二人に対し、その女性は厳しい口調で言った
「・・・いいですか・・・あなたたちの前に、もうすぐ一人の女性が現れます・・・」
「えっ?」
「・・・ですが、その人に関わってはいけません。いいですね、絶対に・・・」
「ちょっと・・・どういう事だよ、おい!」
ヴァッセルが問い詰める前に、その女性は雑踏へと消えてしまった
「・・・何なんだよ、一体」
「・・・・・・あの人、すごい胸大きかったなぁ・・・」
「どこ見てたんだよ、お前」
「どこって・・・胸に決まってるだろうが」
「・・・はっきりと言うなよ」
「おい、待てよ!まだ話は」
あきれた顔をして帰ろうとするヴァッセルの腕をラウルセンが掴む
「離せって、ば!」
ガツン。
ラウルセンの腕を振り解いたヴァッセルの手が、勢いあまって後ろにいた少女の顔に当たる
「あっ」
少女は、そのままその場に倒れ込んでしまった
「お・・・おい!」
「あーあ、何やってんだ、お前・・・」
「何とかしないと・・・よし、お前の家に行くぞ」
「・・・なんで?」
「ここから近いし・・・困った時はお互い様だろ?」
「調子のいい事言いやがって・・・」
強引にラウルセンの家に行ったヴァッセルは、とりあえず、少女をベッドに横にして、その脇に座った
長く青い髪に低い身長。見たところの年齢は11歳位か
はっきり言って、これでは興味の対象とする事すら恐ろしい
する事もないので、ラウルセンが巨乳話を再開しようとした時、少女がムクリと起き上がった
「お、起き上がったぞ」
「おい、大丈夫か!?」
少女は黙ったまま、ベッドから起き上がり歩こうとしたが、足元がおぼつかずに壁にぶつかってしまった
「・・・まだだめらしいな」
「寝てろ。もう少し」
しかし少女は寝ようとせずに、何か手で合図を送っている
「何か書くものが欲しいみたいだな」
「ほら」
ラウルセンが少女に紙とペンを与えると、少女はさらさらと紙に何かを書き始めた
『私はアンヘルと言います。こうして会ったのも何かの縁なので、頼みたい事があるのですが』
「頼み事・・・いきなりそう言われてもなぁ・・・」
突然の事に戸惑う二人
そんな事は気にせずに、アンヘルは続けた
『無くした物を探して欲しいんです』
「だから、いきなりそんな事言われても・・・」
「俺は手伝うぜ」
ヴァッセルの意外な言葉に、ラウルセンは大声で驚いた
「はあ!?お前、どうしたん?」
「いや、だって、裏拳食らわせた手前もあるし・・・」
「言っとくけど、俺は嫌だからな」
「別に手伝えとは言ってないよ・・・じゃあ、行こうか」
ヴァッセルがアンヘルを連れて行こうとすると、アンヘルはまたもふらふらと壁にぶつかってしまった
「俺・・・そんなに強くやったっけ?」
頭を抱えて痛がるアンヘルを見て、ヴァッセルは提案した
「そうだ、今日はここで一晩休んじまえよ」
「お・・・おい!何言ってんだよ!」
ラウルセンが抗議する暇も無く、アンヘルはベッドに潜り込んでしまった
「お前なあ・・・どれだけ人をこき使えば気が済むんだよ」
「いいだろこれ位。お前の下らない話を聞かされた身にもなってみろ」
それだけ言うと、ヴァッセルはさっさと帰ってしまった
「おい・・・待てってば、おい!」
夜になっても、アンヘルはすやすやと寝息を立てて寝ていた
(・・・こう何時間も起きないってのも気持ち悪いな・・・)
ラウルセンも寝ようと思ったが、一つ問題が起きた
ベッドはアンヘルに占領されている。さてどうするか?
答えは簡単。占領したアンヘルが悪い。
よって、ラウルセンは何も躊躇することなく同じベッドに入った
アンヘルがベッドから落ちたらどうするか・・・ほっとけ
夜中・・・ラウルセンは急に目がさめた
なんだか妙にふわふわした感覚がする
(・・・アンヘルは・・・ちゃんと寝てるかな・・・)
何だかんだ言って少しはアンヘルのことを気にしているラウルセン
ふと横を見ると・・・
(・・・・・・!!)
彼の横で寝ていたのは、アンヘルとは全く違った大人の女性だった
しかし、髪の毛や着ている服などは、アンヘルと同じである
もしやこれは、アンヘルの成長した姿だろうか?
(なっ・・・どうなってんだ?)
見れば見るほどアンヘルそっくりだが、体、特に胸などは完璧に大人のそれである
いや、この言い方も正しくないかもしれない
その女性の胸は、昼間の女性と同じくらい大きく、大人とてここまで大きい人間はまあそう簡単には見つからない。二人も見つけてしまった、が
ぷっくりと膨らんだ乳首は服の上からもわかるくらい勃起している
(さ・・・触っても・・・いいかな・・・)
ごくりと唾を飲み込んで、ラウルセンが彼女の乳首にゆっくりと手を伸ばす
そして、もう少しで乳首に触れようかというその時・・・
目が覚めた
窓の外を見れば明るい陽射し
隣を見れば昨日と変わらぬ小さいアンヘル
そう、全ては夢だったのだ
夢とわかってうなだれるラウルセン
(なんて夢だ・・・こんなんだったら見ない方が)
そこまで思って、ラウルセンはふと考えた
(待てよ・・・これは、こいつがあそこまで成長するという夢のお告げか何かではないだろうか・・・)
かなり都合のいい解釈だが、ラウルセンはそう思い込んでしまった
(だとすれば・・・今のうちにこいつと仲良くなっておけば・・・)
ラウルセンの今日の行動が決まった
「何だよ、結局お前も行くのか」
「も・・・文句あるかよ」
朝。『無くした物』探しにいこうとしたヴァッセルは、ちゃっかり横にいたラウルセンを見て呆れた様に言った
「別に、文句は無いけどさ。やる気はあるんだろうな?」
「冗談でこんな事ができるかよ」
こうして、邪な欲望を抱いたものも加えて、無くした物探しは始まった
続く