Float World

橙 作
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『無くした物』探しを始めようとした矢先、三人の前に一人の少女が現れた
「あれ、ラウルセン!」
「げっ・・・」
少女の顔を見たラウルセンは、あからさまに嫌な顔をした
「何よ、そんな顔しなくたっていいじゃない」
そう言いながら少女はラウルセンに近づいていく
「お前が出て来るといつもろくなことが無いんだよな・・・」
「・・・ラウルセン・・・この人・・・誰?」
話について行けないヴァッセルが聞く
「あ、初めまして。ラウルセンの幼馴染のセーレンセンです」
「へぇ・・・幼馴染・・・・・・なかなかかわいい人じゃないか。なあ?」
ヴァッセルがラウルセンをからかって言う
「冗談だろ・・・」
セーレンセンは、長い金髪が美しく、顔も結構かわいかった。ただ、欠点があるとすればただ一つ、胸がまっ平らだった
「ラウルセンはさ、こんな所で何やってんの?」
アンヘルの顔をじっと見た後、後ずさりしながらセーレンセンが言った
「まさか・・・こんなちっちゃな女の子にまで手を伸ばし始めたんじゃ・・・」
「んな訳ねーだろ!」
「あはは、冗談に決まってるでしょ」
ヴァッセルから目的を聞くと、セーレンセンが訊ねた
「ねえ、私も行っていい?」
「は?」
突然そのような事を言われて驚くラウルセン
「ねえ、行っていいでしょ?」
「駄目に決まってるだろ!他人の迷惑も考えないで!」
「俺は別にいいけど?」
ヴァッセルに同調するようにアンヘルも頷く
「ほーら、ね」
「お前ら・・・」
恨めしそうな目をして、ラウルセンが言った

「ところでさ・・・俺たち、どこに向かってるわけ?」
鬱蒼とした森に入ってはじめて、ラウルセンが聞いた
「よくわからん。アンヘルが指示してくれるだけだから」
「あっそ・・・」
そうこうしている内に、4人はT字路に出た
「なあ、今度はどっちだ?」
アンヘルは真っ直ぐ前方を指差した
「・・・・・・」
三人は硬直する
「・・・じゃあ、道をかき分けていこうか!」
「断る」
セーレンセンの提案はラウルセンによって一瞬で却下された
「・・・しょうがない。遠回りにならないことを祈りつつ・・・左だ」
「根拠は?」
「無い!」
ヴァッセルの言い方があまりにもあっさりしていたので、ラウルセンは文句を言う気も失せてしまった

「洞窟だ」
それでも何とか進んでいると、遂に何やら怪しい場所を見つけた
アンヘルの指はこの中を指している
「・・・やっぱり、入るの?」
ラウルセンが柄にも無く怯える
「・・・あれ?もしかして、怖いの?」
セーレンセンが待ってましたとばかりにからかう
「ば・・・バカ!そんな訳・・・」
「ほら、行くぞ」
ヴァッセルを先頭に四人が洞窟を進んでいくと、行き止まりに出た
「・・・ここで終わりか?」
「何も無いじゃん」
奥のほうを見ると、壁の一部が緑色に発光している
アンヘルは、それに向かって手を出した
すると、いきなりその壁が強烈な光を発し始めた
「な、何だ!?」
まばゆい光の中、ヴァッセルは驚くべきものを見た
アンヘルの体が、どんどん成長しているのだ
足は長くなり、すらっとした手も伸び、そして・・・
一番の変化が現れた場所は、胸だった
「お・・・おい・・・これって・・・」
ムクムク・・・ムクムク・・・
アンヘルの胸は、三人が見ている前でどんどん膨らんでいった
「す・・・凄いわ・・・」
三人があっけに取られている間に、光は終息し、アンヘルの膨乳も止まった
改めてよく見ると、アンヘルの胸は今や、片手では包みきれないくらいに膨らんでいる
アンヘルは胸を抑えていたが、顔は無表情のままだった
「・・・でかっ・・・」
アンヘルは体全体が成長して、見た目は14歳位になっている
それでもやはり、この胸は不自然だ
(結構でかいな・・・もしや、本当にあの夢が現実になるのでは・・・)
ラウルセンは、一人興奮していた
アンヘルが三人の元に歩いてくる間にも、彼女の胸は上下にたぷんたぷん揺れている
そして、『帰らないの?』という目で三人を見た
「・・・いや、帰るよ・・・帰るけどさ・・・」

ようやく街に戻った三人は、まず家が近いセーレンセンと分かれた
「なあ・・・結構いい人そうじゃないか?あの人」
「バカ言えよ・・・あんな奴のどこが・・・」
「でも、お前も心底嫌ってるようには見えなかったぞ?」
ヴァッセルに指摘され、ラウルセンは黙ってしまった
「・・・どうなんだよ、実際」
「うるさいな・・・関係ないだろ!」
そう言うと、ラウルセンは一気に走り去ってしまった
「・・・素直じゃないな・・・」

「あー、疲れた・・・」
家に着いたヴァッセルは、いきなりベッドに倒れこんだ
あの洞窟まで往復するのに、丸一日かかったのだ
「なあ・・・あといくつあるんだ?その『無くした物』ってのは」
アンヘルは、指で『2』の数字を作った
「全部、今日と同じ位遠いのか?」
アンヘルは、首を横に振った
「そうか・・・」
ヴァッセルは、安心してベッドに突っ伏した
そのとき、ヴァッセルの頭に何かがバサッとかかった
「・・・何だぁ?」
取って見てみると、それはアンヘルの服だった
「・・・・・・ん!?」
振り向くと、そこには全裸のアンヘルが立っていた
先ほど大きくなったばかりの胸が露になっている
先端にある乳首は小さく、かわいらしいものだった
「お・・・おい、お前・・・」
見ると、太ももの辺りの肉付きがよくなっている
成長したのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、やはり結構色っぽくなっていた
「そう言えばさ・・・お前は、何でこういきなり成長したわけ?」
アンヘルに訊ねても、明確な答えは返ってこなかった
「・・・ま、いいけどさ。別に」
そう言ってから、ヴァッセルはさらに別の質問をした
「・・・なんで、全裸になるの?」
返ってきた答えは『あついから』だった
それだけ書いて、アンヘルは、さっさとヴァッセルの隣に寝転んだ
(・・・どうもよくわかんないんだよな・・・)
疲れたので、二人はそのまま眠りについてしまった

続く