Float World

橙 作
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その夜・・・
ヴァッセルは顔を赤らめながら布団に潜っていた
隣で寝ているのは今日も全裸のアンヘル
はっきり言って、全然寝付けない
すぐ隣にこうも豊かな爆乳が転がっていると思うと、興奮して気が気でないからだ
(ど・・・どうするべきなんだろうか・・・こういうのは・・・)
出会って三日なのに、いきなり襲い掛かるというのも気が引ける
そうした悶々とした考えを持ちながら、眠れぬ夜を過ごしていた、その時だった
むにゅっ・・・
ヴァッセルの背中に何か柔らかいものが当たる
(・・・おい・・・これって・・・)
説明するまでもないだろう
寝返りを打ったアンヘルの爆乳が、ヴァッセルの背中に当たったのだ
(・・・こ・・・コイツは・・・)
何とか自分を保ちながら、アンヘルを反対に向かせるヴァッセル
しかし、しばらくするとまた、こちらに寝返ってくるのだ
(・・・どうしろって言うんだ・・・)
背中に神経を集中させてみると、ある事に気がついた
しっとりと背中が湿っている
(・・・何だ?)
起き上がって背中を触ってみると、やはり少しだが湿っている
ふと、横で寝ているアンヘルの乳首を見てみると・・・
濡れている
ちょびっとだけだが、アンヘルの乳首の先端が濡れている
(・・・どうなってんだ?)
恐る恐るアンヘルの乳首に触れる
その瞬間、アンヘルが体をビクンと動かしたと思うと
ピュッ・・・トロトロ・・・
彼女の乳首から、母乳が流れてきた
(!・・・うわっ、これって・・・)
母乳を出しても、アンヘルが目覚める気配は一向にない
ヴァッセルは、乳を伝って流れている母乳の一部を指ですくって、舐めてみた
予想通り、甘い
(・・・これって・・・母乳じゃん・・・なんで・・・)
ヴァッセルは、もう一度アンヘルを反対に向かせて、これ以上寝返りを打たないよう祈りながら、眠りについた
部屋中に漂う母乳の匂いを意識しないようにしながら・・・
朝になると、アンヘルの母乳は止まっていた
アンヘル自身は、昨夜の事は全く覚えていない、と言うよりもわからないようである
ただ、胸が多少張っているような気はするのだが・・・

『無くした物』探しのために待ち合わせ場所に行ったヴァッセルは、物凄い衝撃を受けた
「おお。遅かったじゃないか」
「あ、おはようございます」
「・・・あ、ああ・・・」
セーレンセンの胸が大きくなっている
それも、尋常な大きさではない
ヴァッセルは、早速ラウルセンにこっそりと事の詳細を問いただした
(・・・知らねえよ。俺が見た時にはもうこうなってたんだから)
(でもよ・・・おかしいだろ?どう見ても)
(気にするな)
「ねえ、二人で何をこそこそ話してるのよ」
セーレンセンが怪しんで二人に話し掛ける
見れば見るほど立派な爆乳だ
「あ・・・いや、なんでもないよ。行こうぜ!」
「お・・・おう!」

そして、四人は遂に、最後のものがあると思われる洞窟にたどり着いた
四人は早速薄暗い中を進んでいく
「・・・おい、誰かいるぞ」
途中、一行の目の前に、一人の女性が立っていた
「・・・あれ、あんた・・・」
その女性は、二日前にヴァッセルとラウルセンが会った、不思議な爆乳女性であった
怒ったような声で女性が言う
「・・・あれほど、関わってはいけないと言ったのに・・・!」
「あれほどって・・・あんた、言うだけ言って勝手に行っちゃったじゃん」
「そうだよ。会って欲しくないんだったら、あんたが止めればいいのに」
「うるさいわね・・・それができない状態だったから、あなたたちに注意したんじゃない!」
いろいろ問題点を指摘され、憤慨した女性が言う
「できない状態って・・・何やってたんだよ」
「・・・もういいわよ。とにかく、今からでも遅くないから、今すぐその子から離れなさい」
女性は、アンヘルを指差して言った
「やだよ。何で今更」
「あなたたちはね、まだこの事態の深刻さがわかっていないのよ!」
「当たり前だろ。殆ど何も聞かされてないんだから」
「・・・いちいちうるさいわね・・・」
女性が悪態をついていると、話についていけていないセーレンセンが聞いた
「・・・ねえ、この人、誰なの?」
「そっか。自己紹介がまだだったわね」
そう言うと、女性は、前髪をさらっと掻き分けて言った
「私はメルベリ。その子とは・・・まあ、いろいろあったのよ」
「大体さぁ、お前、どうして俺たちの邪魔をするわけ?」
「・・・いいわ。じゃあ、初めから説明してあげる」
「断る」
ヴァッセルがそう言うと、4人はすたすたと奥に入っていった
「あっ、ちょっと!待ちなさいよ!」

メルベリを無視して奥に入った四人は、行き止まりの所までたどり着いた・・・・・・が、
そこに、前回、前々回と同じような、発光している壁は無かった
「・・・おかしいな・・・」
「ここで合ってるのか?」
アンヘルも首をかしげる
『さっきまではここだったけど、今はわからない』
「・・・なんだそりゃ?」
その時、ようやく後ろからメルベリが追いついた
「あ、お前さ、何か知らない?」
「何よ、いきなり」
「今まであったような緑色の壁がなくなってるんだけど」
「・・・えっ?どういう事よ、それ!」
メルベリは走って壁まで向かう
「・・・何で?どうして無くなってるのよ!」
「知らねぇよ・・・お前、何かわかんないのか?」
「・・・何かって言われても・・・」
しばらく考え込んだ後、メルベリは一つの事を思い出した
「あ、そういえば・・・一人だけ心当たりが居るわ」
「え?誰だよ、そいつは」
「ヒツルスペルガー・・・あいつなら、できるかもしれない」
「・・・誰?」
「正体はまだよくわかってないけど・・・一つだけ確かなことがあるわ」
メルベリは、アンヘルの爆乳を指差して言った
「あいつはね、人の胸を大きくすることができるのよ」
「・・・む・・・胸を?」
「そうよ。この子だってね、ヒツルスペルガーの被害者なんだから」
「・・・待てよ。被害者って・・・胸が大きくなるんだから、別にいいことじゃないのか?」
「そうじゃないわ。ヒツルスペルガーはね、人の体を遊びの道具としか考えていないのよ」
「遊びの道具?」
「ええ。この子の胸だってね、本当は体の何倍も大きいものなのよ」
そう言われて、皆が一斉にアンヘルの方を向く
「・・・か、体の何倍も・・・」
想像したヴァッセルが少し"引く"
「あれ、じゃあ、私の胸も、もしかしたら・・・」
何かに気がついたセーレンセンが言う
「え?何かあったの?」
「私の胸、昨日いきなり大きくなったんです。むくむくって」
「えっ・・・ちょっと、それって・・・」
「それでですね、その時、紫色の髪をした男の子に会ったんですよ」
「・・・間違いないわ・・・ヒツルスペルガーよ」
「・・・ええっ!?・・・あれが?」
「あなた、運がよかったわね。もしかしたら、今よりも何十倍も胸が大きくなっていたかもしれないわ」
「な、何十倍も・・・」
何十倍も胸が大きくなったところを想像したセーレンセンの顔が青くなる
「まあでも、三日もすれば俺は慣れるだろうけどね」
ラウルセンが巨乳好きっぷりを披露する
どうも、大きければ大きいほどいい、というタイプらしい
そこは自慢になんないだろ、と、ヴァッセルが突っ込む
「とにかく・・・そんなに胸が大きいと困るから、私はこの子自体をいくつかに分けて封印したのよ」
「ふーん・・・それで、小さかったこいつがいきなり大きくなったりしたんだな」
「まあね」
「でもさ、その封印を解きに回ろうとしたのは、他でもない、こいつなんだぜ?」
ラウルセンがアンヘルを指差す
「・・・多分、無意識に自分の体を求めていたのね。結構予想外だったわ」
「ま、何でもいいけどさ、とりあえず、俺たちはこれからどうすればいいんだ?」
「残ったこの子の一部を探さなきゃならないけど・・・難しいわ。そんなのに形なんてないから」
「壁を切り取ってそのまま持っていったんじゃないの?」
「そんな事無理よ。そうすれば、あっという間に消え去ってしまう」
「じゃあ、そのヒツルスペルガーってのを探した方がいいのか?」
「そっちの方が・・・まあ、現実的ね。でも、女の子は気をつけてね、何をされるかわからないから」
セーレンセンが一瞬怯える
「・・・じゃあ・・・そういう方向で、行きますか」
5人は洞窟を出て、一斉にヒツルスペルガーを探しに向かった
その横で、肩ぐらいまで伸びた茶髪の爆乳少女が、胸を揺らしながら、どこかに向かって歩いていた

続く