初めての夏休み

蛭子 作
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 ユミは夏風邪をひいた。運がいいのか悪いのか、ユミの両親は海外へ出張している。一か月は帰って来られないらしい。だから僕がユミの看病をしている。
 ユミの部屋のドアをノックした。「どうぞ。」弱々しいユミの声が聞こえる。
 部屋に入ると、ユミはベッドから起き上がった。ピンク色のパジャマを着ているユミ。しかし、あまりにも胸が大きいので、ボタンを二つ程外している。汗ばんだ胸の谷間が、ユミの呼吸で上下に動いていた。
「薬、買ってきたよ。」
「ごめんね、月野くん。看病を頼んじゃって・・・」
「気にするなよ。僕は一階のリビングにいるから、何かあったら携帯を鳴らして。」
「・・・ありがとう。」
 ユミは頬を赤く染めている。やっぱり、まだ熱が下がらないみたいだな。そう思って、僕は静かにドアを閉めた。
 ユミの家のリビングで、レンタルDVDを見ながらゆったりしていた。もちろん、ユミの両親から許可をもらっている。ユミの風邪が良くなるまで、自由に使ってもらっても構わないと言う事だ。なんだが、こちらが申し訳ない気分になる。そんな事を思いつつ、僕はコンビニで買ったジュースとスナック菓子をつまんでいた。
 突然、携帯の着信音が響き渡った。
「どうした?」とつぶやきながら、僕はユミの部屋のドアを開けた。
「ごめんなさい、なんだか寂しくて・・・つい。」
「そうか。それなら、しばらくここに居るよ。マンガ、借りるよ。」
 僕はユミの部屋の本棚から、少年誌の人気漫画を三冊ほど手に取って床に座り、マンガを開いた。すると、ユミがベッドの上から声をかけた。
「ごめんなさい・・・」
「どうしたんだよ。急に、」
「月野くん、怒らないって約束してくれる?」
「んっ?何の事だ?」
「やっぱり、無理だよね。聞いたら怒るよね。でも、どうしても聞いてほしい事があるの。実はわたし、風邪じゃないの。」
「もう治ったのか?」
「違うの。仮病なの。夏風邪をひいたって言うのは、嘘なの。お父さんもお母さんも、出張でずっと家に帰って来なくて、寂しくて、寂しくて、もし私が病気になったら、月野くんが側に居てくれると思って、つい嘘をついたの。ごめんなさい・・・」
「なんだ、そんな事か。いいよ。僕で良ければ、ユミの両親が帰って来るまで、ずっと家に居てあげるよ。考えてみれば、物騒な話だ。ユミ一人で、留守番なんて危ないからね。ボディーガード代わりにならないかもしれないけれど・・・」
 その瞬間。ユミが僕に思い切り抱きついてきた。「ごめんなさい・・・」ユミは涙を流している。まるで、子供のように泣いている。僕はそんなユミの頭を撫でながら、強く抱き寄せた。ユミは僕の目を見つめる。涙を流すユミの瞳は、何かを訴えていた。僕の胸は大きく高鳴る。
 僕はユミの胸を触った。「あっ・・・」小さな声を出すユミ。まるで、巨大な水風船を掴んでいる感覚だ。大きくて重くて柔らかくて、そして温かい。
「ユミ。今度は、僕が甘えてもいいかな?」
「うん・・・いいよ。」
 ベッドの上で、向い合せに座る僕とユミ。部屋のカーテンを閉めた薄暗い部屋。ユミはピンク色のパジャマのボタンをすべて外した。ブラジャーをしていないのに、ほとんど垂れる事が無く、たわわに実ったスイカを思わせる乳房。白い柔肌に薄く浮かぶ血管。そして、ピンク色の大きい乳輪とかわいらしい乳首。
僕は乳首を指でくすぐった。小さく吐息混じりの声を出すユミ。僕はユミの体を抱き寄せて、ユミの乳首にしゃぶりついた。その瞬間、ユミの全身がビクッと震えた。舌で乳首を弄びながら、僕はユミをベッドに押し倒した。ユミはまるでわが子を抱き寄せる母親のように、僕の体を抱いている。
「ユミ・・・もっと強く抱きしめて・・・」
 言われるまま、ユミは僕を強く抱きしめた。僕の頭はユミのおっぱいに埋もれている。柔らかく、温かい感触。そして胸の奥からトクントクンと心音が響いてくる。温かい、優しい音が響き渡るユミの胸の中で、僕は涙を流していた。

 ・・・幼い頃、僕を胸の中で抱きしめたまま交通事故で他界した母の事を思い出してしまった。あやふやな思い出ではあるが、冷たくなった母の胸の中で、僕は何かを、母の乳房を掴みながら泣くことも無く、何かを求めていた。求め続けていたのだ・・・

「月野くん、泣いているの?」
「ごめん。昔の事を思い出して・・・」
「昔の事?」
「ごめんよ。これ以上、聞かないでくれ。もう夕方だね。晩御飯を作るよ。そうめんでいいかな。」
 僕は涙を手で拭いながらユミの部屋を出て行った。
 今日、僕は生まれて初めて女の子の前で泣いてしまった。
知らなかった。一人で泣くより、誰かに涙を見せる方がとても清々しい気持ちになれると言う事を。

『続く・・・』