私の悩み その3

Ecoli 作
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「ただいまー!あ〜疲れたぁ。」
「おかえり、さやか。どう、修学旅行は楽しかった?」
2泊3日の修学旅行から帰ってきた私を、玄関で迎えてくれたのはママでした。私のママは38歳。主婦をやるかたわらで、独身時代に勤めてた会社の非常勤社員もやっています。ママの友達からは、私はママの学生時代にそっくりだと言われますが、娘から見ても美人なママと似ていると思うとちょっぴり嬉しいです。だけど私とママとでは一カ所だけ全然違うところがあります。それは……。

「さやか、ちゃんと旅行中に着たものを洗濯カゴに出しておいてね。いつも言ってるけど、ブラは手洗いしなさいよ。」
「はーい、すぐやりまーす。えーと、洗濯物を出して、と。ブラは……あれ?ママー、洗面台に洗いかけのブラがあるよー?」
「あ、ごめんごめん、さっき洗ってたんだけど、さやかが帰ってきたから中断したのよ。ついでだから洗っておいてちょうだい。」
「はーい、わかったよー。まったくもう、ママのブラは大きいから洗うのもひと苦労だよ。」
そう、ママは私とは正反対の大きな胸の持ち主なんです。ブラのサイズはI75、つまりアンダーバストが75cmでトップバストが105cmということになります。Iカップは日本では市販されてる一番大きなサイズで、小学生のときに使ってた紅白帽を2個つなげたくらいの迫力があるんです。ちなみに私のブラはA75ですが、実はパッドを入れてるのでホントのバストサイズは80cmしかありません。このIカップのブラに包まれたママの胸を見るたびに、「なんで似なかったんだろう」という疑問がこみあげてきます。

「何か言った?下着は女の命なのよ。ちゃんと優しく洗うのよ〜。」
「はいはい、わかってるよ。もう、ママったら下着のこととなると本当に真剣よね。」
ところでママが非常勤をしている会社というのは、実は下着メーカーなんです。ママは独身時代から社内のグラマーサイズ部門に勤めていて、大きな胸をもつ人ならでは視点から商品を開発していたとか。非常勤になった今では、カタログに乗せるためのパーツモデルとしての仕事がメインですが、「撮影に使った下着はもらえるから家計が助かるわ」と言っては最新作をたくさん持って帰ってきます。

「よし、これで全部洗い終わったぁ!」
「ごくろうさま。それじゃそろそろお茶にしましょうか。昨日、ほのかがアルバイト先から持って帰ってきたケーキがあるのよ。」
「え、やったー!何ケーキ?チョコ?それともチーズケーキ?」
「あなたの好きな、生クリームたっぷりのショートケーキよ。」
「ホントに!?あそこのお店のショートケーキ美味しいんだよなぁ。」
お母さんが言った「ほのか」っていうのは、私のお姉ちゃんのことです。お姉ちゃんは私より4つ年上の大学1年生で、ケーキ屋さんでバイトをしています。そこのケーキ屋さんっていうのが生クリームを使わせたら天下逸品で、私もママも大好物なんです。いつもはあんまりショートケーキが余らないんだけど、この日はたまたま余ったから持って帰ってきてくれたみたい。ちなみにお姉ちゃんもママにそっくりで、私とは顔だけ見てもどっちがどっちか分からないくらい似てるって言われます。だけどそのお姉ちゃんも……。

「ただいまー。あれ、さやかはもう帰ってきてるのー?」
玄関のほうから声がして、お姉ちゃんが帰ってきたのが分かりました。少ししてリビングに入ってきたお姉ちゃんの手には、なにやら小さい紙袋が握られています。
「あ、いたいた。おかえりさやか。修学旅行はどうだった?」
「ただいまお姉ちゃん。とっても楽しかったよ!温泉も入ったし!私がいない間なにもなかった?」
「うん、別に変わったことはないかな。そうそう、昨日バイト代が入ったから、ハイ、これさやかにプレゼント。あけてみて。」
お姉ちゃんは手に持っていた紙袋を差し出すと、私に開けるよう促しました。さっそく私が袋を開けると、中からは小さいビンに入った錠剤が出てきました。
「なになに、<あなたの潜在的発育力を呼びさますメロンBB>、お姉ちゃんまた胸の薬買ってきたの?」
「だって、さやかの胸があんまりにも寂しいから……。でもほら、今度のは効きそうでしょ?<潜在的発育力>ってのを見てピンと来たんだ。だってほら、姉の私がコレで、妹のあなたが大きくならないわけがないじゃない。」
そう言いながら、お姉ちゃんは自分の胸を両手でしたからパフパフと何度か持ち上げてみせます。そう、ママのバストはお姉ちゃんにはしっかり遺伝してるんです。それどころか、今の私と同じ中学3年のときにはもうFカップで、高校2年のときにママと同じIカップ、今はママよりも二まわりも大きいKカップの特注ブラを着けています。しかも筋肉質な私とは違って、女っぽい体つきなのもうらやましいです。そのお姉ちゃんはバイト代が入るたびに私のためにバストアップグッズを買ってきてくれるのです。もちろん、結果はこのとおりですが……。

「ありがとうお姉ちゃん、さっそく試してみるよ。えーと、一日1回3錠を牛乳(低脂肪乳は不可)200mlと一緒に飲んでください、か。」
「なんで牛乳なんだろう?」そんな風に考えながらも、とりあえず薬を飲んでみました。ほろ苦い味を牛乳で流し込むと、こんどは姉が昨日持ち帰ってきたショートケーキを頬張りました。私自身はこういうバストアップの薬とかは信じないほうです。でもこの薬を飲んだ時にはなんとなく胸が熱くなるような感じがして、「もしかしたら」っていう期待が心の中に芽生えたんです。夜になり、そんな淡い期待を抱きながら私は布団に入りました。明日から3日間は、修学旅行の振り替えでお休みです。何をしようか、どこに行こうかなんて考えているうちに、旅行疲れなのかあっという間に意識が遠のいていったのでした。

ここまでが4日前までの私の悩みです。