第四話
炎次郎編
「さっきのは一体何だ?」
「ご、ごめんなさぁい・・・」
「娘を思う気持ちは良く分かる・・・だが、あれはやりすぎだ。」
「は、はぁい・・・」
「お前だからよかったものの・・・もし赤の他人なら里の民は黙ってないぞ・・・」
「すみませんでした〜・・・」
私の妻のこまつはとても優しく、面倒見が良いが、あれはやりすぎだ・・・しかし、ヒロキ君は難儀だな・・・好きな女性の目の前だと、
興奮・吐血し、最悪の場合気絶ときてる・・・これが彼の戒めなのかもな・・・
ま、あの二人の仲が元に戻ったから良しとするか・・・
「ヒロキ君は本当に私でもいいの?」
「当たり前やろ?オレは朱雀さん一筋やって。」
「え!?・・・えへへへへへ〜♪私もヒロキ君一筋〜♪」
うむ、これで良かったのだな・・・
ところで・・・
「そういえば、神器の打ち出の小槌は?」
「あ・・・さっきの巨大化でどこかに・・・」
「おいおい・・・」
ひゅー・・・・・・こつん
「あら、今何か頭に・・・」
「お、お父さん!!今のは・・・」
「ぬ!・・・こ、こまつ・・・!」
「あらあら、大変!!身体が大きくなります〜っ!」
何という事だ・・・なくなったと思われた打ち出の小槌がまさか枝に引っ掛かっていたとは・・・このままでは途方にもなくこまつは巨大化し続けるだろう・・・こんな時こそ・・・
「幻界符〜!説明しよう!この札はもう一つの世界、幻の世界を作る事が出来、術者の精神力が切れるまで、その世界を保つ事が出来るのだ!!」
「お父さん、ヒロキ君がまた吐血しちゃったよ〜!」
「ぬ!ならば早速・・・」
私は札を宙に投げると私達は光に包まれ、その場から消えた・・・
ズンッ!!
光が消えると皆開放され、「幻界」へと到着した。
私の妻は巨大化しきったその巨体で尻餅をついた・・・
もしここが私の里だったら・・・どうなっていたか・・・
今のこまつは山よりも巨大だろう・・・
「あらあら・・・ここは・・・あなたが私を助けてくれた思い出の場所・・・」
「うぬ、ここで君は大怪我を負っていて私が治療したのだったな。
巨大な君を・・・」
「はい・・・そして私はあなたに恋をして、あの隠れ里を作った・・・
私のお尻の下のこの場所で・・・」
「ああ、あの時の君も今くらいでかかったな・・・そして、雀が産まれた・・・」
「ええ、何もかも懐かしいです・・・」
「ねえ、ヒロキ君・・・」
「ん〜?何・・・ぐふっ!」
「だ、大丈夫?・・・私も将来あんな身体になるのかな・・・」
「分からないけど、その時はオレも覚悟しとくよ。」
「えへへ、ありがとう。」
こうして親も子供もまたより親密になりましたとさ。
めでたしめでたし・・・