ブレストコントローラー

ハリナ 作
Copyright 2013 by Harina All rights reserved.

 朝日が差し込み、輝く光のような闇から目を覚ますと、いつもと違う天井が目に映る。

 お風呂に入ってその後何があったのか、思い出せない。

 ぼーっと考えていると、確かな違和感を感じる。

 在るはずの物が無い違和感。

 布団の中でその違和感がある場所――胸に手を当てる。

 大きかったおっぱいが無い。山も、谷間も。

(そうだ……胸が、大きくなって……)

 カナはおっぱいがはちきれんばかりに大きくなったことを思い出した。

 大きすぎるのは勘弁だが、小さいと何だか物寂しさを感じる。

(はっ! だめだめ! これが普通なんだから!)

 胸が大きいことに違和感を感じていたのに、今や小さいことに違和感を感じてしまっている自分に驚いた。

 着ている服がサイズが合わず、ぶかぶかしていた。特に胸の辺りが。

 とりあえず胸が元に戻ったことにほっと安心するが、昨日のことを思い出すと胸の底から激しい羞恥心が湧きあがり、体、そして胸が火照りだす。しかし湧き上がるものは羞恥心だけではなかった。

 確かに感じたことのある感覚も一緒に溢れだそうとしていた。

「ふぇ? な、なに!?」

 胸の鼓動を抑えることができない。震える胸が止まらない。

「は、あああんぁ……ま、またぁぁぁ!? ん……んぁああああッッ!!!」

 焼き付くような激しさで爆発してしまいそうな力と、それを押さえつけようとする力に胸全体が悶え始める。

 胸の中で激しい力がゴワゴワと蠢く。そしてじんじんと疼くおっぱいにエクスタシーにも似た何かを感じてしまう。

 さっきまで気絶していたカナにはその正体がわからなくなっていた。

「ひゃ!?」

 胸全体に閃光が走ったと思うと、もはや爆弾そのものである胸の導火線に火がついた。

 迫るタイムリミットと共に溢れ出る膨張感が強くなる。

「いや! だめぇぇ!!」

 中から揉まれているような慣れない感覚を押さえ込むことができず、カナの意思という導火線は燃え尽き、おっぱいは爆発した。

「はぅぅッッッッッッ!?!?!?!?」

 その瞬間、胸に物凄い快感が駆け巡る。

 胸を膨らます力と胸を押さえ込む力。その拮抗していた二つの力のバランスが狂い、おっぱいに膨張するエネルギーが溢れだす。

 グラウンドのような平坦で小さな胸が、寝間着の胸元にあるボタンをブチブチッと全て跳ね飛ばし、服を押しのけ一気に膨らむ。

 爆発して、胸が膨らむ快感がカナを襲った。

 布団がグンッと胸の膨張で勢いよく持ち上がる。

 それはまさしく、『ふとんが(おっぱいで)ふっとんだ』という状態だった。だからどうしたという話なのだが。

 その尋常ではないおっぱいは直径1mは軽く超えていた。つまりバスト3M以上あるということだ。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁん……」

 溢れ出したエクスタシーに、自然と口から声が漏れてしまう。

 胸がとても重い。おっぱいに押し潰され、体を動かすことさえままならない。

 胸に支配された意識の中で、箪笥に乗られたらこんな感じかな、とカナは思った。しかし箪笥に乗られたことなどないので、結局はよく分からなかったが。

 おっぱいが膨らむことが、内心凄く気持ちいいと考えている自分が怖かった。

 膨らむ途中で強制的に電源を切られたせいでバグが生じ、カナは感情が高ぶると胸が大きくなる特殊体質になってしまったのだ。

 今回は羞恥心がトリガーとなり、激しい膨張を引き起こしたのである。

 胸に押し潰された腕を動かそうとすると、膨らんで触覚に敏感になった胸が飛び上がるようにビクンと疼く。そして激しい快感と共にさらに大きくなった。

 動かしただけで膨らむのなら、強い衝撃を与えたら――と考えただけでゾッとした。

 動いちゃダメだと思ったカナは、目を閉じてゆっくりと心を落ち着かせる。

 どれだけ時間がたっただろうか、気がつくと胸は小さくなっていた。それでも頭に残る焦燥感から常態には戻らず、Jカップほどはあったが。

 赤裸な胸をブルンと揺らして立ち上がり、部屋を出る。自分の家じゃない、しかしどこかで見たことがある。

 ここはそう遠くないところにある祖父の家だった。




 カナの大きい胸のせいで気まずい空気の中、祖父祖母を含めた家族で朝食を取る。

 寝ている間に病院に診せに行ったそうだが、カナの胸には何の異常も無かったらしい。

 母親にバターが塗られたトーストを渡された。昨日は全然食べていなかったのもあり、サクサクと食べ進める。

 しかしトーストの屑がぽろぽろと胸に落ちて、膨らんだばっかりの胸が敏感に反応し気持ち悪かった。

 その間何度も胸が膨らもうとしたが、何とか押さえ込んだ。

 朝食を済ませ、制服に着替える。

 カナの小さなブラウスを強引に引き伸ばし、ボタンを閉める。そのためボタンとボタンの間に隙間が開いてしまい、乳白い胸が垣間見える。

 その胸もグイッと締め付けられ、乳同士で擦り付け合い競り合い、息苦しい。

 ブレザーにその大きな胸は収まらず、ブラウスが胸元から飛び出していた。その上大きい胸にブラのサイズが合わず、ノーブラで登校する羽目になった。

「うぅ……きついし、スースーするぅ」

 隙間から見える乳をばいんばいん揺らして家を出る。

 自転車にまたがり、学校に向けて走らせる。
 胸の隙間から冷たい風が谷間を通り抜け、その冷えた感覚におっぱいはモゾモゾと揺れ動いた。



 昇降口まで来るが、昨日の乳事件の事もあり、緊張してしまう。

「!? はぁぁん!」

 するとその緊張が引き金となり、胸が快感と共に膨らんでしまった。合わせて、張られたブラウスも膨らむように無理やり引き伸ばされる。

 おっぱいが、締め付けるブラウスに食い込んでいく。

 ブラウスが、大きくなった胸にギチギチ悲鳴をあげている。

 ただでさえ広がっているボタンホールがさらに広がるのに伴い、ボタンとボタンの隙間も開いていく。ボタンがいつ千切れ飛んでもおかしくなかった。その上ブラウスに締め付けられ胸がきつい。

 ブラウスの中で所狭しに暴れようと圧迫されているおっぱいが、せめぎ合い押しつぶし合い、谷間にかかる圧力がさらに強くなる。

 その内側からも外側からもかかる圧力で、おっぱいもブラウスも限界に達していた。

 慌てて深呼吸し、心を落ち着かせる。

 はちきれそうな爆乳を揺らし、赤面しながら教室に入るカナ。

 ダイチがいる席から右隣にある自分の席に向かう。

 足が交差するたびに、たわわなおっぱいがゆさゆさと揺れる。

「ぉ、おはよぅ……」

 席に座り顔を赤らめながら、ダイチにぎこちない挨拶をした。

 大きな胸で話しかけることが恥ずかしかった。その恥ずかしさで、胸がモゾモゾと震え始める。

(んぁ……む、胸がぁ……)

 喘ぐような苦悶の表情を浮かべそうになるが、引きつった顔で誤魔化した。

「あ、お、おはよう……」

 ダイチも罪悪感からか、つられてぎこちない挨拶を返す。

 昨日の大膨乳を知らないダイチは、やっぱり迷惑をかけたかな、と昨日の大事件のことを考えると、とんでもなく軽いであろう罪悪感を感じていた。

 しかし元の大きさに戻すためコントローラーを使えば、更なる大惨事を引き起こしかねないと使用するのを躊躇っていた。

 ぎこちない沈黙の空気を感じたダイチが顔を下にむけると、二つの山が視界に入る。

 つい顔がにやけてしまうダイチを見て、やかんが沸騰したように頭から煙を出し、カナの顔が真っ赤に染まる。

 まさに顔から火が出る思いだ。だがそれは顔だけでなく、同時に胸からも火が出るような感覚が込み上げる。

 おっぱいは、さすられるようなムズムズとした擽ったさにブルブルと震え、内側からかき回されるような刺激にモゾモゾと蠢く。

(ひゃ!? だめっ……このままじゃ……ひゃん! だ、だめぇ!!)

 しかし時既に遅く、おっぱいはカナの意思を無視して激しく膨らんだ。

「ひゃああああッッ!!!」

 大きくなる胸は膨らむ快感を感じさせながら、強引に閉められたボタンを銃弾のように何個も弾き飛ばす。

 ブラウスからまるで砲弾のように勢いよく飛び出したおっぱいが膨らみながら、重々しく揺れ弾む。

「もぅダイチ君! 胸、見ないでよぉぉ!」

 真っ赤に染まったカナは、さらにぐんぐん大きくなるおっぱいを、腕で抱えるように隠しながら叫んだ。