助手さんの災難

ハリナ 作
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 ティーカップの中には温かい紅茶が湯気を立てていました。

 私はカップを手に取り、豊かな香りを堪能しながら、ゆっくりと口につけます。

 するとストレートなダージリンの風味が口の中に広がりました。

 うん。おいしいです。手間を掛けて入れた甲斐がありますね。

 今回のはいつにも増しておいしい気がします。今日はいいことあるかもしれません。

 自分の分を含めた三つのカップをお盆に載せて、隣の部屋に持って行きます。

「お茶入れてきましたよー」


「む、ありがとう助手君」


 ドアを開いた私を迎えたのは、ボインなおっぱい――ではなく福山さん。

 すらっと伸びた足に、スレンダーなボディ。何よりも並みのメロンより大きい胸。

 着ている白衣とは対照的な黒髪。いつ見ても吸い込まれそうです。

 白衣の下には谷間を見せるようにV字の穴が開いたTシャツ。別の意味で吸い込まれそうです。

 しかも胸の下で腕を組んでいるので、寄せ上げられて大きなおっぱいはさらに強調されております。

 胸の小さな私にとってそんな大きな胸を見せられるのは、嫌がらせに近いのですが。

 なぜ着ているか聞いてみたことがあります。すると「蒸れるのは嫌だからな」と一言。何を言っているのでしょうか。


「気が利くわねー」


「いえいえ。お茶を入れるのは趣味ですから」


 机の上にお盆を置く私に声をかけたのは、ボインなおっぱい――ではなく志村さん。

 そのスタイルも然ることながら、一際目をひくのは福山さんよりさらに大きな胸。まさにスイカです。存在感ありまくりです。

 よほど自信があるのでしょうか、胸元が見せ付けるように逆三角形に大きく開いています。

 しかもこっちは完全に故意犯です。自慢でしょうか。

 うわー、谷間に流れ落ちる汗がいやらしいです。

 仕事とはいえ、ここに来るだけでどうしてこんなにも惨めな気持ちにさせてくれるのでしょう。

 志村さんが動くだけで、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた胸の谷間が擦り付けあってばいんっと揺れます。

 ゆさゆさと大きく揺れる胸が嫌でも目に入り、げんなりとした気分になってしまいますよ。

 こちらは二の腕で押し上げ、胸が自然に強調されていました。

 手で下から包み込むように持ち上げられたおっぱいをブルンと揺らし、
「おい、その胸は流石に破廉恥だぞ」と福山さん。

 いやいや、あなたも大して変わらないでしょう。


「でもあなたもおっきな胸しているでしょう?」


「限度を知れ、限度を。む、何をするか」


 福山さんの胸を鷲づかみにし、もみくちゃにする志村さん。

 女性の胸が好き、という性癖がなければいい人なのに。

 そんなおっぱい星人志村さんは、
「やわらかーい」とか言いながら、福山さんの胸をもみもみとまさぐっています。

 ここからは福山さんのおっぱいが指の間からむにむにとはみ出しているのが見えました。

 指に合わせて形を素直に変える福山さんの胸は志村さんが言うとおり、とても柔らかそうでした。

「ふふん、そうだろう。何たって私だからな」

 揉まれながらも胸を張る福山さん。なんですかこの人たち。


「もぅ。反応が無くてつまんないよー」


「おっぱいを触られたぐらいでそううろたえはせんよ」


 こんなお二人ですがけっこう凄い科学者だったりします。けっこう凄い発明とかしています。

 そして先ほどから呼ばれているとおりに助手をやっているのが私です。

 科学者としては尊敬しています。しかし人間性は尊敬することができません。あと胸も。


「それでどうなんですか? 今回の」


 大きな胸を見せ付けられるのも不愉快なので、まだ胸を揉まれている福山さんに発明品について聞いてみることにしましょう。


「ああ、今回のは昔作った物の改良に近いから簡単だったよ」


「昔作ったって……何をですか?」


「ああ、助手君は知らないのだったか。奥のほうにあるあれだよ」


 助手をするようになったのはつい最近なので、あれと言われてもさっぱりわかりません。

 ともかくその【あれ】とやらが気になったので、部屋の奥まで探しに行くことにしました。


「もうそろそろやめてくれないか」


 福山さんはまだ胸を揉まれているようです。


「大きくてやわらかいんだものー」


 声だけでわかるぐらいに二人はイチャイチャしていますね。イライラします。


「それに助手さんは小さいしー」


 ……悪かったですね。胸が小さくて。今度お茶に下剤でも混ぜましょうか。


 後ろから聞こえる声はともかく、部屋の奥の物置と化しているスペースにそれはあったのです。

 四角い機械。まるで自動販売機でした。

 何らかのスイッチなどがあったりしますが大体は似ています。

 しかし違和感が一点。その側面からは長いチューブが伸びていることです。

 チューブの先端は二つに枝分かれし、その先にサッカーボールが入りそうなお椀形のノズルが二つ。


「なんでしょうか、これ」


 正体不明の機械に理解ができず、思わずつぶやいてしまいました。


「まぁ、身体に生命維持のためのエネルギーを送り込む機械だった。失敗作だがな」


 きゃぁ!? ……福山さん、何時の間に後ろに。


「だったってことは改良したんですか?」


「いや、志村君が勝手にね」


 何をしたのでしょうか。


「わたしのおっぱいさーん、じゃなくて福山さーんどこー?」


 ……何しに来たかと思ったら逃げてきたのですか。

「ではさらばだ。とぅ!」


 一指し指と中指を伸ばして敬礼のようなポーズを取った後、部屋の窓を開け、膝を抱え回転しながら勢いよく飛び出して行きました。

 あの……ここ三階ですヨ。

 はぁ。福山さんにはまったくついていけません。

 私はそばにあった機械で体を支え、溜息をついてしまいました。

 しかし私の呆れる顔は、すぐに驚く顔に変化することになるのでした。


「へ?」


 機械がガタガタと音を立て、振動し始めたのです。

 なにかスイッチでも押してしまったのでしょうか!?


「きゃ!」


 ノズルが飛びつき胸に吸い付きました。

 チューブをぐいぐい引っ張りますが、胸から離れる気配はありません。

 胸に固定されているようで、びくともしないのです。


「はぅっ」


 な、なんなんですか!? ノズルが震えて……胸が掃除機で吸われているような……ふあああ!


「ふ、あああああああああああ」


 無意識に声が……な、何? この感覚は……まるで私の胸が、膨らんで……ああぁん!

 装置の、胸の振動が激しく! 服も伸びて引っ張られる!

 駄目! む、胸が! 大きく……ッ!


「どうしたのだ!」


 ふくやまさん……なんで天井から……ああんっ!

 と、とめてください。


「どうしたのー?」


 しむらさん……でも、助け……ふあ!

 胸から、胸があふれ出して……やん、ダメ! ノズルの中で、暴れないで!

 膨らんで! 揺れて! いやぁぁ!


「何これ? 叩けば止まるのかな」


 な、なにを……。

『error! error!』

 なにが……。


「!? ふぁ、はうううううう!!」


 胸が痺れるぅ! ふぁ! お、おおきくうう!!

 ノズルの内面にぃ……胸が、当たって、きつういぃ。

 んんぁぁ、ま、まだ膨らむのですか!?

 と、とまってぇぇ。いやぁ、ノズルが胸を締め付けて……はぁぁぁん!

 胸が、きついです……あぁぁん。

 今、ノズルからピシって聞こえたような。

 もう……押し出る胸と、締め付けられる胸が、き、気持ちいい!

「も……もっとぉ」

 ち、違います! いや……でも駄目、おっぱいが……爆発するううううううううう!

 装置が煙を吹き上げた瞬間、ノズルのロックが解除されたようで、締め付けられていた私のおっぱいは開放されました。

 同時にびりっと嫌な音がしましたが、気に留めることはできませんでした。

 その開放された巨大なおっぱいはノズルを勢いよく弾き飛ばし、ブルンブルン飛び跳ねています。


「なんですかー!? これ!」


 物凄く大きくなった胸。とても重いです。

 しかも凄く揺れています。そりゃもうぐわんぐわんと。

 揺れる――というよりは私から飛び出そうと暴れているようでした。


「と、とめてくださいー!」


 勝手に暴れる胸が止まりません。

 眼下に広がる胸はバスケットボール並はある志村さんの胸よりも明らかに大きいです。

 そんな非現実的にぶるんぶるん揺れている大きなおっぱいの感覚に困惑し、恐怖さえ覚えてしまいます。

 こんなに大きくなっても嬉しくはありません。何より付け根が痛いです。


「ふむ。ビーチボールバレーができそうだな。いや、もっと大きいか。胸を使ってエクササイズが――」


「大きさなんてどうでもいいです!」


「さすがの私でもその美しさには嫉妬してしまうぞ?」


「しなくていいです! 元に戻してください!」


「乳首も乳輪も変化は皆無か。 察するに乳腺も発達してな――」


「聞いてますか!? せめて胸を止めてください!」


「ああ、勝手に動き回る胸。心ひかれるな」


 人智を超えて揺れる胸に興味津々で、聞いてくれない福山さん。

 少しの動作でも激しく揺れてしまう私の胸。何もしなくても今勝手に暴れているので大して関係ありませんが。

 止まる事無く跳ね回る胸に、何か横から痛い視線を感じるのですが。

 ……あの、志村さん? 獲物を狩る目で見つめるのはやめてくれませんか。


「助手さんのおっぱいおおきーい! えい!」


「ふにゃああ!」


 やっぱり!

 揺れ弾む胸を押さえつけられました。

 その大きすぎるおっぱいを掴みきれずに、指が私の胸に沈んでいきました。

 大きすぎて指から溢れた私の柔らかいおっぱいが、押さえつけられてもなお暴れようともがいています。

 それでも志村さんは手を大きく動かして私のバランスボール大になった胸を揉んでいきます。


「やわらかーい」


 初めて味わう、柔らかく大きな胸を揉まれる感覚。

 そしてその指の動きにあわせ、ぐにぐに形を変えていく私のおっぱい。

 とても弾力があるということが揉まれる胸を通してわかります。

 やだ……何だか気持ちいい。

 だ、だめです。そんなこと!

 揉みしだかれ、握り締められました。強い手の拘束に胸がはちきれそう。

 それでももちもちと弾力があるように感じるおっぱいが手を押し返そうとしているようです。

 さらに鷲掴みにされた胸が不規則に動かされていきます。

 ただでさえ暴れているおっぱいが上下左右激しく動かされ、擦り合ったり離されたりしてちぎれそうです。

 ふぁ……押し合いせめぎ合い擦り付け合う胸が、やっぱり気持ちいいです……。

 は! なんてこと考えて。

 意識が飛んでいた瞬間、おっぱいが開放され再び暴れだしたかと思うと、手に挟みこまれて胸と胸が勢いよく激突しました。


「きゃあああ!!」


 もにゅんという柔らかい音が胸の中に響き、その衝撃で胸が激しい快感を感じ、悶えることしかできませんでした。

 そして手に挟みこまれた胸はぐにんと縦に大きく変形するのです。

 さらに指がわきわきと動き、私のたっぷり詰め込まれた胸が心地よさを感じながら揉み込まれていきます。

 手が動くたびに私の胸に押さえられない快感が広がっていくのでした。


「もみもみぃー」


「きゃぁ! や、やめてください……」


 常日頃から胸が小さいことがコンプレックスでしたが、このような形で大きくなったのはいいことといえるのでしょうか?