「ねえ、何がどうなってるのよ!?」
「今は説明している時間が無い。急がないと手遅れになってしまう」
立ち上がった美里の目と鼻の先で、自身を震わせて語り掛ける乳房だけの存在。
『それ』に口なんかなかったが、美里は『それ』が心に直接話し掛けていることに気がついた。
「手遅れって!? 柔華が!?」
「そうだ。君はあの人を助けたいのだろう? 君にはそのための力がある」
「で、でもどうやって!? 私にそんな力なんか無いわ!」
もう、口に出す前に考えただけで『それ』に伝わっているようだ。
「急げ! 私は君の味方だ。悪いようにはしないと約束する。私の指示に従うのだ」
四の五の言っている余裕はなかった。ただ柔華を助けたいと思った。
「わ、わかった! もう覚悟を決めたわ。どうすればいいの?」
『それ』は自身を揺らして言った。
「膨乳だ!!」
「え……?」
柔華の現状が頭の中によぎる。
「……そんなこと、できるわけないじゃない! 柔華だって今あんなことになっているのよ!?」
「膨乳したいと思う強い思い。それが君の力だ。そしてそれだけで君は奴らと戦える」
「膨乳したいと思う強い思い……」
それはこれまでずっと美里が憧れていたこと。
「思い出すんだ。君が夢見てきたことを」
何度も何度も思ってきた。膨乳したいって。
その思いだけなら誰にだって負けない。
「……わかったわ。私、膨乳するわ」
迷いなんてなかった。歪んだ膨乳によって満たされた恐怖を打ち払うのは、夢が現実になる。それだけで十分だった。
「よし。膨乳するには、君の胸に私を受け入れて、『膨乳したい』と強く念じればいい」
「胸に?」
「そして君の膨乳願望が激しいほど、強くて大きい存在になれる。さあ早く!」
「それでいいのね? さあ、私の胸にいらっしゃい!」
「ああ。行くぞ!」
腕を大きく広げた美里の胸に飛び込んだ『それ』は、柔華のときと同じように衣服を透過して、胸の中にもぐりこんでいく。
「き、来たっ!」
平らな胸に押し付けるように、『それ』がめり込み、柔らかくなっていく感覚が胸に広がる。
グニュっと押し込まれ美里の乳房と重なりその中に溶け合う。
混じり合った『それ』は美里の胸に完全に融合した。
すると胸に光が収束し、輝き始めた。
「これが私の力……」
強い膨乳願望が、神々しい白き光を放っている。
輝きが点滅を始め、もぞもぞと蠢く胸。
そして加速し、小さな胸が必死にその身を震わす。
ついに、長年繰り返してきた妄想が現実になるときが来た。
妄想の中で使っていた膨乳開始の掛け声も、今なら高らかに叫べると思った。
その掛け声は……。
「ビィィィィィッ! ギガンティィィィィックゥッ!!!!」
――――――BE GIGANTIC――――――
頭を隠すように交差して上げた両腕を振り下ろし、その勢いで輝く胸を突き出した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
膨乳願望を一気に開放する美里。
――もっと速く!
――もっと大きく!!
――もっと気持ちよく!!!
加速し続け、高速点滅しながら高速振動する美里の胸。
そして目がくらむほどの一瞬の閃光が胸から弾けた。
「んんぅぅぅ……きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
その直後、上半身の衣服が一瞬で爆裂し、乳房が勢いよくミサイルのように一気に飛び出した。
まさしくおっぱいの爆発。質量と体積が爆発的な膨張を起こしていた。
一直線に足元が見れるほど良好な視界は瞬きをした後には、密着している二つの肌色の塊に完全に覆われていた。
そのあまりの急激な膨張の反動で、後ろに倒れそうになったのを踏ん張ると、空を向いた乳がボォンと膨れ上がった。
ズドドドドドドドドッ!!!
ものの数秒で背丈より乳房の方が高くそびえ立つ。
妄想によって培われてきた想像力と強すぎるほどの膨乳願望がこの急激な膨乳を可能にしていた。
そして勢いは衰えず柔華が膨乳した超々乳ほどの大きさまで一気に膨らんだ。
あまりに急すぎる膨乳の余熱が水蒸気となり、乳全体から蒸気が立ち上っている。
しかし止まらず巨大な乳房の中が熱くなり、グニグニ押し合って、グワングワンと振り回される。
超々乳が内側から輝きだすと、
「あっ あうっ あぁぁっ!」
何回もボンッ、ボンッと一回りずつ大きくなっていった。
「んんぅ、あああああぁあんっ!!」
そしてトドメの一発と言わんばかりに力強くボォォォンッ!!! と勢いよく膨らんで膨乳は止まった。
乳房から噴き出す蒸気。
美里の視界は肌色一色で、それすら感覚でしかわからなかった。
「んっ……こ、これ本当に私? おっぱい以外に何も見えないわ」
地面から見上げるほどの超々乳がブルッブルッと震えていた。
――――――続く
次回予告!
本当に膨乳してしまった私!
待ってて柔華! 私のおっぱいで今助けるから!
『私、膨乳します!』
次回、「バキューム・インフレーション」に
ビー・ギガンティック!