私、膨乳します!(リメイク版) 第16話「膨乳よ永遠に(その4)」

原作・シリーズ構成 baku
演出・脚本 ハリナ
Copyright 2017 by baku and Harina All rights reserved.

 とくんとくんとリズムを刻んでいる。それは気持ちよさを感じる覚えのある感覚。
 忘れるわけがない。全身に刻み込んでるおっぱいの音だ。

 「あ……」

 振動に揺さぶられて美里は目を覚ました。
 むっちりと胸が膨らんでいる感覚で、自分が今おっぱいの上にいるということは分かった。
 目の前には天井があり、広くは感じない。おっぱいがぎゅうっと壁に押し詰められていることは感じる。
 なんとなく見覚えがあるような。
 とりあえずリバースギガンティックで元の体型に戻る。

 「…っと」

 床に着いたところで美里は思い出した。ここはバスタリアンマザーの戦いの前で膨乳したショッピングモールの多目的トイレであること。膨乳していたため自分は今全裸なこと。
 
 「……そういえばカメラってないわよね」

 今更気が付いても遅いが辺りを見渡す。

 「なかった。よかったわ」

 ぱっと見た感じ設置されていなかったからよかったがもしあった場合、全裸になったり胸が膨らむ異常な光景が録画されていることになる。
 それよりも気になったのは真横にあった乳の山。

 「……柔華よね」

 横に倒れていた、というか膨らんでいたのは超乳の柔華だった。
 おそらく仰向けで潰されている。二つの山の間から脛から先だけがちょろっと出ていた。
 ほぼ膨乳生命体である二人は窒息とは無縁だが、息苦しさを感じているようだ。

 「ふう。相変わらずね。柔華! 起きなさい!」

 美里は超乳をゆさゆさと揺らした。

 「……んんっ」
 
 もぞもぞと本体が動いてるようだ。しかし、
 
 ブリュリュリュリュ!!!

 起きるより先に胸が膨らみ始めた。超々乳となってどんどん乳に満たされていく空間。
 このままではトイレを破壊しかねない。それどころかショッピングセンターに丸い大穴を開けてしまう。

 「ビーギガンティック! チェンジ! フル・ブレスト・モード!」

 一気に超乳となった美里は乳房だけへと変態し、胸の中の技を開放させた。
 それは膨乳願望をコントロールする美里の新技。

 『ブレスト・ダイブ!』

 自身を柔華の超々乳にぶつけると、ぐにゃりと歪みおっぱいの中に飛び込んだ。
 そこは柔華の精神空間。イメージのみの感覚。

 『さあ、柔華の膨乳願望を抑えるわよ』

 暴走していたバスタリアンマザーよりずっと簡単だ。
 溢れる膨乳願望を抑えるイメージ。すると膨らむおっぱいがその通りに形を変えた。
 ムニュと揉む様に抑え込んで超々乳を小さくする。
 
 「ん……んぅ……」 

 うなされている柔華の胸は見る見るうちに平らになった。

 『成功ね。まったくこれじゃバスタリアンと変わりないじゃない。本当の敵は身内かしら』
 
 そこでこの新たな能力をあまり試していないことに気が付いた。
 膨乳願望のコントロールが出来るなら、小さくするだけじゃなく反対に膨らませることが出来るのでは。
 ほぼ初めての上、特訓もしていない。まだまだ未知の力と言っていい。

 『膨乳願望を開放したらどうなるのかしら。……まあ少しぐらい』

 膨乳願望を柔華に注ぎ込んだ。すると瞬く間に柔華に満ちていく。

 「あ……ん」

 『あ、これヤバイ』

 ボンッ! 

 柔華の胸は爆発的に膨らんだ。
 一瞬で止めたため、何とか壁を壊さずにすんだが、それはもう凄まじい勢いだった。
 異常ともいえる膨乳願望の持ち主の柔華ゆえの反応だろうか。

 『まだまだ特訓が必要ね。それにしても柔華は全く恐ろしいわ。とりあえず膨乳願望を抜き取っておきましょう』

 再び膨乳願望を最小限まで減らすと、おっぱいは急に小さくなり膨らみは消えた。

 『さ、分離しましょ』

 柔華の胸が爆乳レベルまで膨らんだかと思うと、その間から脚が飛び出した。
 地面に着いた足を軸にして腰が、胴が、肩が現れた。手を出し地面について、水面から顔を上げるように胸の中から引っこ抜く。
 柔華の上に重なるようにノーマルモードに戻った美里。
 そして膨らんでいた柔華の胸は美里の胸となってちぎれるように離れた。

 「んっ。他人の胸から生まれるのって、なかなかいいわぁ」

 ぐっと背伸びをして、ゆさゆさと爆乳を揺らす。

 「ほら柔華! 起きなさい! 柔華ってば!」

 今度こそ起こそうと柔華を揺らす。膨乳願望は今や最弱。勝手に膨乳することは無いはずだ。

 「んんぅ」

 「柔華?」

 しかし息を漏らしたかと思えば、

 「むぐっ!?」

 いきなり胸が膨れ上がり、美里を突き上げた。 

 「ううん。膨乳……さいこぅ!」

 超乳まで膨らんだ乳につぶされたまま寝言を呟く。
 こいつの膨乳願望はどうなっているのか。しかも起きやしない。

 「……起きなさいってば!」

 堪忍袋の緒が切れた美里は思いっきりその乳を蹴っ飛ばした。

 「はぅ!?」

 ぶるぶると振り子のように弾んだ乳房。 
 流石の衝撃に柔華も起きたようで超乳のままボヨンと器用に起き上がった。

 「……やっと起きたわね」

 「なあに……みりぃ?」

 まだ寝ぼけているのか超乳をクッションにして寝ようとする。

 「起きなさい。……あんた、もしかしていっつも寝膨乳なんてやってないでしょうね?」

 「うーん。あんまり覚えてないけど。気持ちいい夢を見たと思ったら膨乳してたことはあったわ」

 「……」

 沈黙する美里。いつか家がなくなってるんじゃないだろうか。

 「この快感馬鹿!」

 「膨乳馬鹿に言われたくない!」

 攻める美里。反撃する柔華。
 しかし気がついたら二人は笑い合っていた。
 鞄にしまっていた服に着替えた二人。

 「で、私たちはどうしてここにいるのかしら」

 「そういえば……なんでかしら」

 「私達、マザーと戦って……宇宙まで行ってなんだか物凄い大きさに膨乳してた気がするけど」

 記憶を辿る。ぼんやりとは思い出せる、しかしあまり思い出せない。特に究極超乳神となった後だ。
 しかし、戦ったという事実は確かにある。胸に記憶は残っている。グレート超乳神Zのアクセス権。ブレストダイブや、ブレストディメンジョンなども使用可能だ。
 あの後人類はどうなったのか。そもそも地球がどうなったのか。疑問は絶えない。

 「うーん、私はとにかく気持ちよかったとしか」

 それにしても能天気な柔華。

 「はあ、こんなのと合体したのが間違いだったかしら……」

 「ひどーい。私と合体したから超乳神になれたのに! うれしいんでしょ!?」

 「それは……そうだけど……」

 その時、空間からブルンと揺れて現れたビーネ。

 「あ、ビーネ。どこ行ってたの」

 そのまま、ビーネが神妙な口調で話し始めた

 『……君たちに話さなければならないことがある』

 「なに? 改まって」

 珍しそうに柔華が返した。

 『今の状況のことだ』

 「そうそう、それよビーネ。私達も知りたかったの」

 『ああ、説明しよう』

 プルンとビーネは揺れ、冷静に話を続けた。

 『君たちはバスタリアンと戦い、そして勝った……この世界のバスタリアンの反応はなくなった。それは事実だ』

 「それはよかった」
 
 ほっと美里は安堵する。バスタリアンバスターズの目的は達成されたのだ。

 『君たちの膨乳願望は宇宙を巻き込んで膨乳した。新しい宇宙を誕生させるほどにな』

 「ううん? そんな気もするけど。スケールが大きすぎて実感わかないし、あんまり覚えてないわ」

 『当然だな。君達は毎日寝る瞬間というものは覚えているか? 気がついたら寝ている。人間の認識はそういったものだろう。同じように永遠に近い時空の中でのその瞬間というのは、君たちが覚えていないほどに果てしないものだったのだ』

 「よくわかんないけど、私たちが膨乳したからどうなったの?」

 『我々が膨乳したことで谷間異次元の中で新たな宇宙が出来上がり、乳房となった我々の宇宙と入れ替わったんだ。君たちが着ている……その衣服というものを表裏を入れ替えるようにな。そして新しい宇宙で君たちや融合した者たちの記憶や情報から新たな地球が再現された』

 「うーん?」

 ほどんど理解できていないのか柔華は首をかしげる。むしろその時の膨乳していた快感を思い出そうとしていた。

 「……人類と融合した私たちが、地球のセーブデータみたいなものになったってことでいいのかしら。よくわかんないわ」
 
 『つまり、どのような経緯であれバスタリアンマザーを倒した直後の世界だということだ』

 「正直私達がここにいて、地球がバスタリアンから救えたなら何だっていいわ」

 「そうよ美里。思い出よりも私は新しい快感を求めてるの」

 『だが問題がある』

 「問題? バスタリアンは全て倒したのよね」

 『君たちが異次元に膨乳願望を繋げ膨乳した結果、その異次元に膨乳エネルギーの逆流が確認されている。あれほどの膨乳エネルギーの一部が異次元に送られれば、膨乳願望が暴走して膨乳生命体が現れる可能性がある」

 「そんな!」

 「私たちのせいってこと?」

 『いや君たちのせいではない。遅かれ早かれこうなることは間違いなかった。バスタリアンマザーを君たちが対峙しなければ、近いうちに膨乳願望を求めて異世界へ進行していただろう』

 「そうなんだ……」

 しかしそう言われても複雑な心境だ。バスタリアンバスターズの自分がバスタリアンと同じようなことしていると指摘されればショックも無理はないだろう。

 『まだ日も浅い。そこまで発生はしていないはずだ。この世界からバスタリアンが消滅した今、私は暴走が広がるのを防ぐため別の世界へ行かねばならない』

 「そんな。行っちゃうのビーネ!?」

 『ああ、君たちと別れるのは辛い……だが、これも使命なのだ……』

 ビーネは膨乳の力を与えてくれたかけがえのない仲間だ。別れなど考えてもいなかった。

 「……私も行く!」

 「美里!?」

 「私たちがバスタリアンを発生させたなら私たちが倒すのが道理じゃない! 私も連れてって」

 『……実は、まだこの世界の膨乳反応が残っているのだ』

 「え? でもバスタリアンは」

 『潜んでいたバスタリアンは全滅した。しかし微かな反応がする。バスタリアンとは違うが、なにか感じるのだ。もしそれが暴れ出した場合止められるのは君達しかいない。だからこの世界に残って見守っていてほしい』

 「だけど」

 美里は沈黙する。本当に自分のやるべきこと、今それが何なのかはっきりとしなかったからだ。

 『君たちは十分すぎるほど戦った。見せてもらったよ膨乳願望の可能性を。今度は私の番だ。といっても君たちと会う前に戻っただけだがな』

 「……わかったわ。新しい敵なら、それから人々を守るのがバスタリアンバスターズの使命よ」

 ビーネの決断を無碍にすることは出来ない。美里は自分のできることからやっていこうと考えた。

 「ところでビーネ」

 柔華がプルンと胸を揺らして会話に割り込んだ。

 「いなくなったら私達の膨乳ってどうなるの? 気持ちよくなれないのは問題よビーネ」

 『柔華らしいな。安心してくれ。君たちはもはや人間の形をした膨乳生命体そのものだ。膨乳に関して困ることは無いだろう。」

 「へぇ。もう私達人外ってこと。そういわれるとなんだか変な気分よね。まあ本望だけど」

 「やっぱ美里って大概よね」

 「うるさいわ。快感欲しさに膨乳生命体になったくせに」

 お互いの爆乳を押し付け合って口論する二人。乳と乳が押し競饅頭のようにせめぎあっている。

 『やはり君たちはお似合いのコンビだ』

 だがそんなビーネの一言に自然と顔は緩む。

 「えへへ。そうかなぁ。そんな私たちがいればこの世界も安心よね」

 「柔華の言う通りよ。だから異世界のことは任せたわ。行って。新しい世界へ」

 『……わかった』

 本意ではなさそうだが、ビーネはうなづいた。

 「使いこなすには私たちレベルの膨乳願望が必要になるわね」

 『確かにそこは心配だが。この力に見合う膨乳願望の持つ戦士がいればいいのだが。下手に力を開放させれば発狂してしまうかもしれないな』

 身体を揺らしふふふと笑うビーネ。

 『次に行く世界は、ここから近い次元である魔力がある世界だ』

 「魔力? じゃあ、次ビーネに会うときは、魔法が使える記憶をお土産にしてくれるってことね」

 「魔法……それもいいわね」 

 『……では私は行く。短い間だったがありがとう』

 「お礼を言うのは私達よ。夢を叶えてもらって……お礼なんか一生でも言い足りないわ……」

 いざ別れとなると目に涙が浮かんできた。

 「本当に……いっちゃうの? ねぇビーネ」

 『ああ、これが使命だ』

 引き留めるなんて非常に女々しいなと、自分でも思った。

 「また……会えるわよね?」

 『ああ、また会えるさ……バスタリアンバスターズの約束だ。……さらばだ』

 ブルンと揺れ、ビーネは歪んだ空間の中に消えていった。
 トイレの中に残された二人。

 「……行っちゃったね」

 物寂しそうにつぶやく柔華。

 「……うん」

 「これからどうしようか」

 目を擦り、顔を上げた美里は気持ちを切り替えたかのようにブルルと胸を揺らす。

 「……もちろん、いつまたバスタリアンが現れても私たちだけで戦えるように特訓するのよ!」

 「そうね二人で特訓よ! そうした方が気持ちがいいわ!」

 「でも……もう一人」
 
 「もう一人?」

 柔華はきょとんと顔をしかめる。

 「とっておきの新人がいるわ」

 ばるんと乳を膨らませた美里はにやりと笑った。


エピローグへ続く