「ヒナ!これ見て!」
「何ですか? エミー?」
土曜日。昼の12時丁度、自室でヒナは留学生であるエミーのスマホを覗く。
画面はSNSのとある投稿。そこにはヒナ自身の写真が写っていた。
胸に手を当て、物寂しそうにしてる写真。
「今流れてきたんだけど、これってヒナだよね」
「え、多分そう……ですね」
まさか盗撮? ちょっと恐怖がこみ上げてくる。
しかも心当たりがある。
つい最近、帰宅中に隣に歩く友達の彩綾の豊満な胸に憧れと劣等感を抱いていた。まさにそんな時を切り抜いた画像。
一体誰が。そう思ったとき。
「ヒナ。これ、1いいねで1センチ胸が膨らむ貧乳女子だって」
投稿されたメッセージには1いいねで1センチ胸が膨らむ貧乳女子、トップ65センチ。期限は12時間。と添えられていた。
「なんですかこれ……流石に馬鹿にするのも……ひゃう!?」
その時ピロンといいねのカウンターが増えた。
瞬間的にヒナの小柄なアンダー60センチ、トップ65センチの平らな胸がモゾモゾと蠢く。
「な、なんですか!? ひぅ!!」
いいねの数は少しずつ増えていく。
その度、ヒナの胸は悶えるように内側から押され出される。
「もしかして、ヒナ……」
「は、はうぅぅぅぅ!!」
そう、ヒナの胸はその通り膨らみ始めたのだ。
瞬く間に10いいね。ヒナの胸は70センチに到達。小さなブラぎゅうぎゅうに押し込まれたAカップ。
「お、おっぱいが、膨らんでます!!本当におっぱいが!」
「ヒナ!」
悶えるヒナにエミーはどうすることもできない。更に拡散される投稿。
いいねの数は雪崩のように増えていく。
50、60、70……。
「これって、いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
つまり、一気に70センチ……既に膨らんだ分を引いてあと60センチはふくらむということだ。
一気に迫り出したおっぱい。小さな膨らみなんて目じゃないほどのおっぱいに成長する。
ブリュリュリュリュリュリュ!!
その一瞬で80センチ、Eカップ。ブラはブチンと引きちぎれ吹き飛ぶ。
さらに90センチ、Iカップ。
100センチの大台、Mカップ。
110センチ、Qカップ。
120センチ、Uカップ。
そして130センチ、Yカップ。
だった10秒足らずで特大ビーチボール級おっぱいへと成長を遂げた。しかし、そのいいねは止まるはずは無かった。
ドンドン、ドンドン、拡散されている。
エミーの手の平に握られた端末の中には、「かわいい」「支援」「ちょっと待て1センチはデカすぎるだろ」好き放題コメントが書き込まれている
80……90…….100……
ボイン!ボイン!
そう聞こえるぐらいたわわに弾み、大きく膨らんでいくおっぱい。
その成長スピードは果てしなく凄まじい。ガンガンと前に向かって迫り出し、ついにはその重みでバランスが取れずに胸から倒れる。
既に160センチおっぱい。頭なんかより遥かに大きい。
そもそもいいねで1センチは大きすぎないだろうか。そんな考えが膨らむ胸の快感に支配されているヒナの頭によぎった。
「ひゃうううううううううううううっ!!!!」
瞬く間に200いいねに到達。
「はい、馬鹿」「膨らむな膨らむな」「300センチとかキモいだけだろ」
既に批判的なコメントが飛び交うながらも、面白いもの見たさの勢いは止まることはない。
ドリュリュリュリュリュリュ!!!
凄まじい快感の中、激しく膨らんでいく胸。
そのスピードは止まることを知らない。
身体よりも大きくなり、さらにたった数分で300いいね。つまり、
「ひゃ、ふにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
365センチ。
まるで波打つように膨らむそれは、バランスボールよりも大きなサイズになった。
「あわわわわ」
膨らんでいく胸に、エミーは本当にどうしようもない。
常に膨らみ続ける胸を尻目に、しばらく経って400いいね。更に450いいね。
これで500センチの大台を超えた。片方でベット二つ分ほどの大きなおっぱい。ヒナ自身自分の柔らかなおっぱいに沈んでおり、部屋は最早そのヒナの胸で占領されている。
エミーの居場所なんてなく、外に出ざるを得ない。
いいねの数は見るたびに少しずつ増えていき、600いいね。そして700いいね。
「ああああああああっ!!!」
部屋を覆い尽くし、あふれていくおっぱい。この辺りで、部屋の体積は殆ど胸が占めていた。
もはやヒナには何も見えない。ただただ胸が膨らんでいく未知の快感と、その感触がドンドン広がっているくすぐったさが交わっているだけだった。
そしてしばらく経ったのだろう。
1000いいねに達していた。おっぱいは1065センチ。つまり10メートル65センチ。
部屋中いっぱいになり、壁や天井にぶち当たる。窮屈に締め付けられる特大乳房。それでもなお膨らみ続ける。
この時点でヒナは殆ど声を上げることは出来ず、ただひたすら胸の快感に悶えるしかなかった。
メキメキと壁は悲鳴を上げ、ミシミシと天井から埃が落ちる。窓ガラスはバリンと割れ、そこから溢れ出るように肌色の乳肉がぎゅむっと飛び出す。
1100……1200……1300いいねの数は増えている。
ぎゅうぎゅうに部屋の中に押し込まれたおっぱいはまだまだ膨らむ。
2000いいね。2065センチになるはずのおっぱい。
ついに部屋の壁は穴を開けるように崩壊を始める。大きくなり続ける乳房はもはや津波となって、家を押しつぶす。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!
3000いいねに到達。
二階は殆ど乳房に埋もれ、押し潰されている。谷間の中に飲み込まれる家の残骸はメキメキと音を立てて潰されて、その漆黒の谷の中へと消えていく。
3065センチ。30メートル級のおっぱい。
既に数時間が経っているにも関わらず、膨らんでいるヒナにとっては時間の感覚など既に分からなくなっている。その果てしない快感のみが今のヒナの全てだった。
4000いいね。そして4500いいね。
拡大を続けるおっぱいは家全体を飲み込んでいく。敷地内を埋め尽くすような肌色の塊。
そして5000いいね。
5065センチ。50メートルのおっぱいとなったヒナ。その乳肉に引きずり込まれ、もう動くことすらできない。
かつて二階建てだった筈の家を完全に押しつぶし、巨大な肌色の山がそびえ立つ。
周りからサイレンの音が聞こえる。
警察でしょうか……それとも救急車?
最早外部の反応に判断する事も出来ず、巨大な塊の中心で意識を失った。
そしてその永遠とも言える12時間が過ぎた。
集まったいいねの数はその時点で6.4万のいいね。即ち、ヒナの胸は64065センチ。
スカイツリーに匹敵する640メートルの超巨大おっぱいがそこにはそびえ立っていた。
「うみゅ〜?」
寝ぼけたような声を上げ、目を覚ましたヒナ。
なんだか胸あたりの感覚がおかしくなっている。なんだか、広い?遠い?不思議な感覚。
「なんですか〜これ。あ、むにむに〜」
あまりの大きさに感覚が麻痺しているのか、自分の胸だとも気づかずにそれを揉む。
「それにしてもいい天気ですね〜日向ぼっこ〜zzz」
自分が外にいることに疑問も持たず、太陽から注がれるある種の心地よさに呑気に再び眠りに落ちるヒナ。
人類はその巨大な物体に恐怖し、それが自らSNSでいいねを押したことによって膨らんだ物体であるのに気づくのに当分の時間がかかった。