全日本ビッグバスト選手権 その22

黍野 井戸(物語および挿し絵)・鈴木やまは(物語および挿し絵) 作
Copyright 2012 by Ido Kibino (story and picture)
Copyright 2012 by Suzukiyamaha (story and pictures)

 フルッタ・ペザンテ中央棟の南側。ホテル自慢の壮麗たるイタリア式庭園の小径を大小ふたつの影が直走る。
大きいほうの影の主は、水着と呼ぶにはあまりに水着らしからぬ露出度の高いブラを身に着けた少女。小さいほ
うは濃紺の衣を纏った柴犬とおぼしき黒毛の小型犬。
 一人と一匹は、色とりどりに咲き誇るバラには目もくれず、円形に並んだ十二基の噴水が描き出す美々しい幾
何学模様に目を奪われることもなく、中央棟から伸びるビスタを切り裂くようにして庭園を横切っていく。無論、
噴水の中央に堂々として立つ、この庭園のシンボルともいえる女神アルテミスの像すらも一顧だにしない。いか
にも多産の女神らしい豊穣たる乳房を惜しげもなく晒したその姿は、庭園を訪れる誰しもの目を惹きつけて止ま
ないだけの魅力を放っているはずなのだが。
 いや、しかし、少女がその涼しげな眼差しを、慈愛あふるる女神の豊乳に向けなかった理由もまた明らかだっ
た。なぜなら、その想像の産物たる神の乳房よりも、いま現実にそこに存在する少女の乳房のほうがずっと豊か
に実っていたのだから。
 両腕を飛行機の翼のように左右に広げ前傾姿勢で駆ける少女の上半身にぶら下がるは丸々と肥った白き肉塊。
細身の体躯には、まったくもって似つかわしくない139センチ、Yカップのあまりに巨大なおっぱいであった。
 ブラに包まれた……いや、そう表現するのはふさわしくないだろう。少女がその身に着けた褐色のブラカ
ップは、包むという品詞を使って表現するにはあまりにサイズが小さすぎた。もちろん、その見るからに柔らか
そうな大質量の肉と比べて相対的に、という意味で。
 少女が着けているのは二つに割ったヤシの実を麻紐でつなぎブラカップに仕立てた、いわゆるココナッツブラ
だった。光沢のある硬いカップの直径は15センチ足らず。通常ならばその内側に乳房を収めることは十分に可
能なサイズではあろう。が、しかし、少女の乳房は、間違っても通常とは言えぬ、それどころか異常と言っても
まったく差し支えのない大ボリュームなのだ。これではその柔肉すべてをカップに仕舞い切ることなど到底でき
ようはずもない。その様子はもはや、ブラを“着けて”いるというよりは、ブラを乳房の先端に“付けて”いる
といった具合である。カップはせいぜいニプレス程度の役割しか果たしていなかった。そのうえヤシの実に押し
潰され奔放にこぼれ落ちた乳房には、ピンと張りつめた麻紐がきつく食い込み、その柔軟な肉はぐにゅりと変形。
麻紐をくわえ込んだ乳房は、三味線糸で絞られた糸切餅のごとく、いくつかの塊に分割されてしまっていた。
 少女が地面を蹴るたびに、数個に分かたれし巨大な肉餅は滑やかな表面を波打たせ、くんずほぐれつ、ただの
一秒たりとも同じ形に留まることなく盛大に揺れ動く。肉にうずもれたブラカップは上下左右に翻弄され、いま
にもその中身が飛び出してしまいそうなほどである。
 それでも少女は走る。濡羽色のミディアムヘアと、丈の短い腰蓑を風になびかせ、真剣そのものといった表情
で駆ける。胸元で揺れる重量感たっぷりの大荷物をものともしない俊敏な動作で、立ち入り禁止の花壇に踏み込
み、生垣を跳び越え、樹林を擦り抜ける。そして、
「よし、ここにしよう、影千代」
 少女は言って、その長い二本の足を止める。影千代と呼ばれた黒犬もその短い四本足をピタリと止めた。
 お揃いの赤い首輪をその首に巻いた一人と一匹。彼女らが立ったのは庭園の端。段丘状になったホテルの敷地
の最も高い位置であり、そして周囲からは完全に死角に当たる場所だった。
「ここからならよく見える。敵方も、まさか背後から観察されているとは思うまい」
 高みから眼下を見下ろし、少女が言う。その視線の先にあるのは、いままさに全日本ビッグバスト選手権、第
1競技4回戦の行われている屋外プールだった。
「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。ふふ、諜報活動は我ら忍びの十八番だ」
 少女がその凛とした表情に不敵な笑みが浮かべつつ言う。
 そう、この少女、犬飼一子は甲賀の流れを汲む忍者の末裔、そして彼女もまた、全日本ビッグバスト選手権の
参加者のひとりであった。
「必ずや勝利を手にし御屋形様に吉報をお届けするぞ。ふふ、甲賀犬飼家復興の日も近いぞ影千代!」
 一子が握りこぶしを振り上げながら力強く言い放った。しかしその足元にちょこんと座った忍犬・影千代は大
口を開け、はあはあと喘ぐばかりである。
「どうした影千代。飯の時間ならまだだぞ」
 自身の胸に据えられた影千代の視線に気づいた一子が、緊張感のない配下をたしなめる。一子の深い胸の谷間
には、忍具やら財布やらビーフジャーキーやらがぎゅうぎゅうと押し込められているのだった。
「まったく、仕様のないやつめ」
 一子は上から目線でぼやきながら、影千代の視線を遮るように両手を使って胸元を隠した。もっとも両腕を目
一杯使ったところで乳房のごくごく一部しか隠せやしなかったが。しかしそれでも影千代は自分のおねだりが却
下されたことを悟ったようで、クンとひとつ情けない声を上げると、そのままがっくりとうなだれてしまった。
日々、忍犬として成長しつつある影千代も、一子にしてみたらまだまだ格下。幼いころより主君に遣える忍者と
して、そして犬を操り共に闘う犬飼家の一族として育ってきた一子にとって、こうした順位付けは至極当然のも
のであった。
「大した使い手はいないようだな」
 地面に片膝をつき、個性豊かな水着に詰め込まれた数十個の爆乳が鎮座する敵陣を眺めつつ一子が呟いた。相
手の力量を正しく測る、これもまた忍者に必要な能力のひとつである。もっとも、プールサイドにたたずむ少女
たちが警戒すべきツワモノでないと判断するのは忍者でなくとも容易であろう。その驚異的なバストを別にすれ
ば、みな平穏な日常を送るごく普通の少女たちなのだ。ただし、数人の例外こそいたものの。
「まあ、油断は禁物だがな」
 そんな例外の存在を本能的に悟ったのか、一子は、ぼそりとひとりごち立ち上がった。量感あふるる乳房が弾
み、その柔々とした肉を震わせる。と、その直後、一子の眉根が狭まった。
「むっ……」
 広大な面積を誇る白い柔肌を押しのけるようにして、ブラカップの縁から、存在感たっぷりの淡い桃色が食み
出していることに気がついたのだ。
「くっ……」ほんの少し頬を赤らめつつ、グラデーションのかかった桃色の輪っかの縁をぐにぐにとカップ
に押し込める一子。「まったく、なにゆえ私が、こんな破廉恥な水着を着なければならないだっ」
 一子が愚痴るのも当然だった。
 滋賀県代表。忍者の家系。どう考えてみても、ヤシの実ブラなどという南国風の衣装には縁もゆかりもないは
ずだった。いや、じっさいのところ、この悩殺的な衣装は沖縄県代表に支給されるべき水着だったのだ。では、
なぜ、一子のもとに、このトロピカルな水着が届けられてしまったのか?
 編集部のミスなのか、はたまた、さるお嬢様による極秘プロジェクトのあおりを食ったゆえなのか。ただひと
つ確実に言えることは――
「まったく、ツイていない」
 一子が不満げに漏らした通りだった。
 端なくも貧乏くじを引かされたことに顔を曇らせつつ、くるりと踵を返す一子。と、そのとたん、一子の体が
ぐらりと揺らいだ。何気なく踏み出した右足が草むらに捨てられていた空き缶の上に乗っかっていたのだ。
「くおっ!」
 思わず声を上げる一子。とはいえ、そこは忍者のはしくれ。大きく体勢は崩したものの、さすがの身のこなし
でバランスをとり、大股開きという少々品のない恰好になりつつも、どうにか転倒することなく踏ん張った。
 が、「ふう」と息をついたのもつかの間、今度は一子の左足が別の何かを踏んづけた。ずるり、と左足が滑り、
見えない誰かに足を刈られたかのように、一子の体が宙に浮く。一子の口から「きゃっ!」といかにも女の子ら
しい悲鳴が漏れたときにはもう、その体は空中で天地が逆転、そのままなすすべなく、まさに一人バックドロッ
プといった様態で後頭部から真っさかさま……無様、草むらに転覆した。
 そして、ものの見事に転んだくノ一の後を追うように、宙を舞ったのは黄色い物体。一子に踏みつけ蹴り上げ
られたバナナの皮だった。宙高く放り上げられた生ゴミは、放物線を描きつつ、その身をくねらせ落下する。そ
うして一子の豊満な乳房の上に軟着陸して、ぺちゃっと情けない音を上げた。
 そう、確かに一子はツイていなかった。それも今日に限ったことではない。まさに、犬も歩けば棒に当たる。
何かをしようとするたびに、小さな不幸に見舞われる。一子は生まれついての不運体質だったのだ。
 こうして、常にポロリの危険が付きまとう、競技をするうえではあまりに不利なヤシの実ブラをあてがわれて
しまったのも、まさに踏んだり蹴ったりゴミに足をとられて、すっ転んでしまったのも、そんな一子の体質が招
いた、小さな不幸のひとつひとつなのだった。
 そんな運の悪いご主人様にむかって、
“くーん”
 影千代がいかにも心配げな様子で声をかける。しかし、引っ繰り返った一子から返ってきたのは、
「むぐぅ……」
 という言葉にならないうめき声。それもそのはず。地面に転がった一子の格好は、なんともはしたない、まん
ぐり返しのポーズ。胸元に向かってなだれ落ちた乳房に、顔は埋まり、ひとりパフパフ状態。その軟乳に口をふ
さがれては、意味ある言葉を発せようはずもなかった。
「むっ、むぐぐっ……」
 体勢を戻そうと、もぞもぞと体を動かす一子。ぱかっとW型に足の広がった下半身が左右に揺れる。腰蓑がま
くれ上がったせいで丸出しになった白いもっこふんどしが木々の間から差し込む初夏の陽光に照らされた。本当
ならば、このヤシの実ブラは黄緑色のビキニパンツとセットになっているはずなのだが、これもまた一子の不運
体質が災いしたようで、彼女のもとにパンツが届くことはなかったらしい。もっとも、だからといって耐水性な
どないに等しい極薄生地のふんどしを身に着け勝負に挑む一子も一子ではあったが。
「ぷはあっ!」ようやく身を起こした一子が、水面から顔を出した海女さんのように息を継いだ。
「くっ、誰だ、こんなところにゴミを捨てたのは!」
 胸に貼りついたバナナの皮をはたき落とし、一子は誰に言うでもなく抗議の声を上げる。それから地面に転が
っていた憎き空き缶をむんずとつかむと、ぶるんと乳房を踊らせて、力任せに投げ捨てた。
 と、いったい、なにをどうすればこうなるのだろうか。
“カン! コン! カン!”木の幹に当たり、鋭い金属音を上げつつ、木々の間でバウンドを繰り返す空き缶。
そして周囲に鳴り響く“カコーン!”という、ししおどしを思わせる乾いた音。その瞬間、
「はぅん……っ!」
 一子の口から、なんとも艶めいた声がこぼれた。
 跳ね回った空き缶が、最後の締めとばかりに衝突したのは、なんと一子の着けたヤシの実ブラだった。
 撞木に突かれた梵鐘のように振動するブラカップ。その器にみっちりと充満した敏感な桃色に、そのバイブレ
ーションがダイレクトに伝わった。
「はぁぁん……くっ、くぅっ……!」
 半開きになった唇からちょっぴり甘い吐息をもらしつつ、震えるカップを鎮めるように両手でもって押さえつ
ける一子。
「こっ……この不埒者っ!」
 思わぬ刺激にあられもない声を上げてしまった自分を棚にあげ、一子が頬を赤らめつつ地面に落ちた空き缶に
むかって悪態をつく。それから、あらためて空き缶をわしづかみにすると、今度ばかりは慎重に、木々の間を通
すようにして生垣の向こう目がけて放り投げた。
 すると……、
“わん!!!”
 突如、黒い塊が脱兎のごとく駆け出した。むろん、その正体が兎ではなく犬であることは言うまでもない。
「なっ、影千代っ! 追わんでいい、こらっ!」
 とっさに一子が叫んだものの、能天気な忍犬は、これを何かの遊びと勘違いしたのだろう。ご主人さまの指示
を聞き流し、空き缶を追って一目散、草むらのむこうに消えてしまった。
「くうぅ、愚か者め……」
 間の抜けた相棒に顔をしかめる一子。すぐさま赤い首輪にぶら下げた鈍色のホイッスルを取り上げる。一子が
肌身離さず持ち歩く、金属製の犬笛である。
 一子は、その小さな笛を素早く口にくわえると、頬をふくらませながら思い切り吹き鳴らした。が、周囲に笛
の音らしき音は響かない。それも当然、犬笛から発せられる音の周波数は2万ヘルツ超、人間の可聴域を大きく
上回るレベルのものなのだ。
 しかし本来なら犬猫などにしか聞き取ることのできないその超音波を、人間でありながら巧みに聞き分ける者
たちがいた。そう犬飼家の一族である。一子もまた、犬笛から発せられる音の周波数を細かく使い分け、忍犬に
指示を与える術をその身につけているのだった。
 たとえば、一子がある周波数で犬笛を吹けば、それは食事の合図。呼ばれた影千代は、ヨダレを垂らしてやっ
てくる。さらに別のある周波数で吹けば、それは戦闘準備の合図。ふだんはのんびり屋の影千代も、このときば
かりはきりりと引き締まった表情で主人のもとに馳せ参ず。
 そして、いまこのとき一子が吹いた犬笛の指示は、至極単純な“戻れ”の合図。……のはずだったのだが、
「ん……?」
 犬笛から発せられた音を聞き、怪訝な表情を見せる一子。その顔が、どういうわけか見る見るうちに赤く染ま
る。
「んぁっ……」一子が妙に色気のある声を上げ、慌てて口に咥えていた犬笛を外す。「くぅぅ、しまった、
間違えた……!」
 どこかくすぐったそうに体をもじもじと揺すりながら、一子は、笛の管をスライドさせ、目当ての周波数を発
生させることのできるよう、その長さを調節する。しかし、なかなかうまくいかなかった。普通ならば一瞬で済
む、慣れた作業のはずなのだが。
「ああぁっ、もうっ……」
 一子はじれったそうに言うと、ほどよく脂肪の乗った太ももをぎゅっと閉じつつ腰を引き、影千代の走り去っ
た方向にちらりと視線をやる。
 その影千代に間違って与えてしまった合図は“おやつの時間”だった。傍から見れば、決して慌てふためくよ
うなミスでもなく、ましてや身悶えするような理由などなさそうに思えるのだが……。
「……よしっ」
 ようやく笛の調整を終えた一子がひと声上げる。そして、大きく息を吸い込み、走り去った影千代に新たな指
示を与えるべく、いままさに犬笛を吹き鳴らそうとしたその瞬間、
“わおんっ!”
 生い茂る草をかき分けるようにして、件の粗忽な忍犬が勢いよく飛び出した。はあはあと息も荒く、おいしい
おやつを期待して、まさにこれぞパブロフの犬といった具合にヨダレをダラダラ、影千代は一子にむかって猛ダ
ッシュで走り寄る。
「こっ、こら、待てっ! さっきの合図は間違いだっ!」
 一子が叫ぶが、影千代の走るスピードは止まらない。興奮した忍犬は、走る勢いそのままにぴょんと大きくジ
ャンプをすると、一子の胸の谷間に飛び込むようにして、その毛むくじゃらの身体を突進させた。
 一人と一匹が、もんどりうって地面に倒れこむ。
“がふ、がふ、ばふう!”
 一子のバストが作り出す深い峡谷に鼻面を差し込み、まるでそこに潜り込もうとでもするかのように体を震わ
せる影千代。あおむけに倒れた一子の胸板の上で、やや扁平に潰れたふたつの肉塊と黒犬のおしくらまんじゅう
がはじまった。
「こっ、こら馬鹿っ……あぁん、やっ、やめんかぁっ!」
 身をよじらせ、うったえる一子。のし餅のように上半身に広がった柔らかな乳房は、たっぷんたぷん、淫靡な
ダンスでも踊るように休むことなくその身を震わせている。いっぽう影千代は、冷たく濡れた鼻の頭で乳房を押
しやり、ねっとりとした舌でベロベロベロベロ、その柔肉をこれでもかとなめ回しはじめた。 
「まっ、はぁん……待て影千代っ! あぁっんんっ、まっ、待てと言ってるぅ……あぁん……だろうにぃっ!」
 身悶えしつつ圧しかかる影千代を押しやろうとする一子。ぐにぐにと押し合い圧し合いする乳房の間から、唐
草模様のがま口がこぼれ落ちる。ヨダレに塗れてテカついたその白い肉の隙間からは、影千代のおやつであるビ
ーフジャーキーの入った巾着も顔をのぞかせた。
 しかし、影千代はその袋には目も向けない。それもそのはず。犬笛の合図による“おやつの時間”に影千代が
貰えるのはまったく別のおやつなのだ。ジャーキーでも牛の骨でもビスケットでもない影千代の大好物。それは、
牛乳から分離されたクリームに含まれる脂肪分を練り固めて作った食用油脂、簡単に言えば……いや、房術
とは無縁の女忍者のプライドに免じてこれ以上詳細を語るのは止めておこう。ひとこと、犬笛を吹いた一子の様
子がおかしかったのもまたパブロフの犬そのものであった、とだけ言っておくことにする。
「ひぁっ、もっもう、いいかげんにせんかっ! あんんっ……いっ、いまはぁ、こんなことをぉぉ……
あふぅっ、してっ、している場合ではないのだぁぁぁっ!」
 一子がいまにも外れそうなヤシの実ブラを両手で押さえながら声を張り上げる。しかし、一子の乳房をまさぐ
るのに夢中の影千代に止まる気配は微塵もない。
 そして、
「やっ、やめ……はぁぁぁん! そっ、そこは……だめっ、あっあっはぁぁっ……こっこのぉ
……おろかものぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!!」
 庭園の片隅に、ほんのりと桃色がかった一子の叫び声が響き渡った。
 それと同じころ、水上乳相撲4回戦真っ只中の屋外プールもまた、ひときわ大きな歓声に包まれていた。

滋賀代表
犬飼 一子(いぬかい・いちこ)
16歳
身長 164cm
バスト 139cm(Yカップ)
ウエスト 61cm
ヒップ 89cm
支給水着 ヤシの実ブラと腰蓑
特徴 忍者の末裔。「犬も歩けば棒に当たる」を地で行く不運体質。相棒は忍犬の影千代

黍野 井戸さん作

「だめじゃないか影千代、一子ちゃんにそんなことしちゃ。」
一子の乳房をまさぐるの影千代をひょいと抱くほっそりとした手、今度は影千代はその腕の主の顔をぺろぺろと舐める。
「あはははははは!くすぐったいであります!よせってば!!」
影千代に舐められ、攻められ、弄ばれ上気した一子はぜえぜえあえぎながらも影千代を抱いた女性をなんとか正視した。
「はあはあ…あっ…ありがとうございます。葉倉さん。」
「いや〜いいであります。本官の方がお姉さんなんでありますし、しかも警察官なんだから困った人を助けるのは当然でありま
す。それよりも”まお”って呼んで下さいであります!あはっ!こら!影千代!!」
一子を助けたのは、葉倉まおという19歳の犬飼一子のルームメイト、つまりビッグバスト選手権の選手で一子と共に
”コミックバルーン”属する赤組で実は宮崎県警に勤める婦警さんである。
「いやあ、さっき本官が故郷に向かって黄昏れてた場所でなんだか奇妙な声が聞こえてきたので見てみれば、
なんと一子ちゃん、人助けこそが本官の生き甲斐にして使命!!礼などいらないですよ。」
「はあ、それはどうも…」
といいつつ一子はこのルームメイト葉倉まおを警察官のくせに戦闘力もみじんも無い緊張感0の”抜けた人物”と
みなしていた。確かに優秀なくの一である一子から見ればその通りである。だが、神や読者の視点から見れば…。
葉倉まおが故郷宮崎を有名にするため上司に命令されビッグバスト選手権に応募し、選手に選ばれ、宮崎からの道中
ハイジャック騒ぎがあるわ、爆弾魔騒ぎがあるわでなにかと騒がしつつ「フルッタ・ペザンテ」のホテルの一室に
着いたのが一週間前のことである。
「いや〜いろいろあったけどやっと着いた〜。超すご〜ぉぉぉぉい豪華な部屋ぁ!!夢みたい!!署長〜!!
葉倉巡査ただ今到着致しました〜!!」
と、元気に無駄報告をしつつ部屋を若い娘らしく物色していると二つベットが並んでいるのを見た。
「ベット、二つ確認!!一つは本官!もう一つはまだ見ぬルームメイトのものと思われます。なおベッド上に段ボール!恐らく
これはBB選手権執行部から支給された水着が中に入っていると思われます。む、その段ボールに紙が貼り付けられその紙に何か
書いてあります。印刷された字で『葉倉 まお、専用水着』視認!!この段ボールは本官のものであると推察されます!!」
などと一人芝居を演じた。早くそういう現場に出たいらしいが現実の彼女は本署でただのお茶くみである。
やはり若い娘らしく箱の中身が気になるのでいそいそと段ボール上部に貼られた紙をひっぺがし箱の中身の水着を見ようとすると、
カモメの鳴き声が…その声の先を見ると美しい青い空とビーチ、一瞬にしてまおは上気し窓を開ける。すると心地よい風が
部屋を駆け抜けた。その瞬間である。まおがひっぺがした紙があっという間に風にひるがえり、まおの隣のベッドの上の段ボールに
貼られた紙に書かれた『犬飼 一子専用水着』と書かれた紙の上にぺたりと1ミリの隙もなく貼り付いた。と、そこへ一子が
部屋に入ってきた。
「あ、もしかして私と同じルームメイトのコ!?よろしくあります!!葉倉まお19歳!!こう見えても本官おまわりさん
であります!!あっ犬も一緒でありますね!!わんわん!!」
と初対面のものでも警戒心無く打ち解ける性格のまおであった。が、忍者の一子はまおと仲良くやろうという気は無く、
その相手に対しては戦闘力と耐久力しか興味が無い。一子は相手の筋肉のつき具合、挙動、雰囲気でおおよその戦闘力が解る。
一瞬にして下した分析の結果は
「無能者、戦闘力ゼロ!!秒殺!!」
という診断が下された。警察官の現場になんとしても就きたいと願うまおが知れば酷な診断である。ただしそれは”求道者”が
見た視点である。神と読者の視点から見れば全く変わる。
「わあ!!大きいでありますねぇ!!さすが選手!!16歳でYカップって聞いてたけど本当でありますか!?私の方が3つ上であります
けどカップ9コも下!!ねぇねぇ!!」
と興味深々で聞いてくるが一子にとっては迷惑でしか無い。まおの気を逸らそうと他の話題を振る。
「あのう…。それよりベッドの上にあるものはなんです??大会委から支給された水着だろうとは思うけど!?」
「あっそうであります!!それを開けて本官の大会用水着を見るつもりでありました。」
と、箱に書かれた「葉倉 まお、専用水着」と書かれた紙をひっぺがし箱の中身の水着を見ようとする。ご存じであろうその箱、
実は一子の水着が入った箱である。まおはさっき一子が入ってくるまでに自分の箱を開けようと紙をひっぺがした事などとうに
忘れている。箱の中の水着は柿渋色のスリングショットの水着であった。
「うわ〜大胆でありますね〜。」
と、まおと一子もその水着に視線が行っているときである。何気にまおがはがした紙、『犬飼 一子専用水着』と書かれた
紙の上に『葉倉 まお、専用水着』と書かれた紙が宙を舞い今度は先ほど一人でまおが開けようとした今は何も貼られて
いない箱の上にぺたりと貼り付いてしまった。そしてその箱がご主人様のものだと判断した影千代がその紙をはがそうとした。
すると上の紙だけするりと取れ、影千代は今度は『葉倉 まお、専用水着』と書かれた紙が体にまとわりついてしまい悪戦苦闘している。
「こら私の箱をいたずらするな影千代。」
と、あまりの自然さに一子は異変に気づかない。仮にまおが悪意を持ってすり替えたなら優れたくの一である一子は即座に
見破ったであろうが…ともかくもまおに支給された水着は箱が一子に支給されたものになってしまったのであった。
「さて私の水着は…」

後は言うまでも無い。
実はまおに支給されるべき『ヤシの実ブラ水着』は本来沖縄県代表に支給されるべき水着だったのだ。ではなぜ、まおのもとに、
その水着が届けられてしまったのか?編集部のミスなのか、はたまた、さるお嬢様による極秘プロジェクトのあおりを食った
ゆえなのか。ただひとつ確実に言えることは――

一子まったくツイていない。

という事である。バルーン編集部木根氏が作り上げた沖縄代表用水着は急遽同じ南国イメージのある宮崎代表水着へと変更を遂げた。
そして宮崎代表、葉倉 まお専用水着としてそのPカップのサイズに合わせて作られたものを一子が着用しているので当然着用状況は
タイトではちきれんばかりである。一方まおが着ている一子用スリングショットの水着は一子とまおのサイズは20センチ以上も
違うのでぶかぶかになるはずである、が、首と腰で調整が可能なので結ぶ段階において丁度一子の胸の部分を覆う布が来るので
結果大きめのリボンが首の後ろと腰に付いているように見えて見栄えが良いい。だが甲賀忍服の代表的な柿渋色の水着に一子も
「おや?」
とも思ったが、まおに支給されたものと見て間違いないように思えてしまう程に似合っていたので、一子は気づく事無く結局
『ヤシの実ブラ水着』を着せられる羽目になったのだ…。

もうお解りであろうか。葉倉まおは『本人も周りも気づかないうちにトラブルを創造』するトラブルメーカーであった。
この支給箱入れ替わり事件などほんの箸休め程度にもならないトラブルである。彼女が宮崎県マンゴー署に着任するや
謎の爆発事件や暴動事件が頻発しているのである。神や読者の視点から見れば全て彼女が原因であるが周りも本人も
まるで気がつかない上彼女は傷一つ追わないのだ。もし読者が彼女と『吊り橋』でなどで遭遇すれば死を覚悟した方が良いかもしれない…。
宮崎からの道中ハイジャック騒ぎと爆弾魔騒ぎも元は彼女が原因の騒ぎであった。今回の話BB選手権22の冒頭で犬飼一子がつまずいた
空き缶とバナナの皮、これも葉倉まおが景色が良いからと一人軽めの朝食をこの庭園で『故郷に向かって黄昏れ』つつ摂り最後に
その皮や空き缶を捨てようと思ってうろうろゴミ箱を探してた時に影千代がとことこ散歩してたのを見てその場でしばらくまおは影千代と
じゃれあっていたのだ。当然遊び終わって放置された空き缶とバナナの皮に『優秀ならざぬ葉倉まお』が気づくはずはない、
忘れてその場を一時後にしていたのだ。

全ての元凶

葉倉まおはそんな女の子であった。

宮崎代表
葉倉 まお(はくら・まお)
19歳
身長 152cm
バスト 118cm(Qカップ)
ウエスト 53cm
ヒップ 93cm
支給水着 柿渋色の甲賀忍者用スリングショット水着
特徴 天然のトラブル創造主

鈴木やまはさん作

「一子ちゃんはそんなに胸が大きくて大人しいんだからさぞ男どもに狙われてんるのでありましょうねぇ。影千代、一子ちゃんを守るのは
あなたの仕事でありますよ。」
とまおに諭されて影千代はしゅんとする。この陽気で打ち解けやすいまおを影千代は大好きであった。
「まあ大会の間は警官である本官が一子ちゃんを警護するでありますから何の心配もなく遊ぶでありますよ!ねえ一子ちゃん。」
「はあ。」
と、お互い大きな胸をしていて、しかも明らかに戦闘力皆無のまおにハイスペックな戦闘力を誇る一子を『守ってやる』と言われて
内心鼻で笑うしかない。
「よおし!!影千代!!本官が一子ちゃんと離れていても一子ちゃんを守れるように特訓であります!!それこの空き缶を取ってくるであります!!」
と、空き缶を投げるまお。大好きなまおと遊べると思うと影千代は勇躍して空き缶に向かう、
「やれやれ…」
一子はまおのやることを呆然と眺めつつその場に腰をおろした。
「あんな失態をまお殿に見せるとはなんたる不覚!!しかも本来ならむしろ私の方がまお殿を守らねばならぬのに!!戦力にもならぬ
女性に気を遣われるとは甲賀忍者最強のくの一と言われた私が!!御屋形様に知れたらなんと申し開きをするっ!!」
と、自己批判を繰り返していた。ちなみに一子はまおと話すときは普通の現代の口語調で話す。古めかしい武士のような言葉はあくまで
甲賀衆や自問自答する時だけである。忍びであることを悟られてはならぬ、優秀な忍者と自負する一子には当たり前の事だがその優秀たる
自分がなんと不様な姿を他人にさらすとは!!などと一子が深く恥じ入ってる間にまおと影千代の『特訓』は何やら怪しい方向へ
進み始めていた。読者なら解るであろう、『トラブル創造主、葉倉まお』の行動は誠に危なっかしい、これが映画であれば
『オイオイまおちゃん止めておけって!!』
っていう絵面になりつつある。本来なら一子はその状況になる遥か前からまおを止めて
いただろう、が、深く恥じ入っていた一子はそれに気づかず、気づく頃には一子自身も危険な状況になりつつあった…
一子まったくツイていない。

五分後…
「ちょっちょっと!!まおさん!!何でこんな状況に!!」
「解らないであります!!何もしてないのに!なんでこうなったんでありますか!?あああああん!!」
一子が気がつくとなんと縄でお互いの体が縛り付けられていた。しかもまおに背中を預ける形で一子はまおにM字開脚させられている
様相となっていた…。
『こんな事態に陥るとは!!まさか!!いや間違いない!!会場の女たちの中に凄腕の手練れがいる!!誰だ!?』
と、何やら真剣な面もちで他人に見られたらお嫁に行けないような格好になってしまっている一子。優秀であるはずの自分に
ここまでの事が出来るのは同じ忍者、しかもくの一しか居ないと思っている。その証拠に本来なら甲賀忍びとして当然縄抜け、
縄切りの術をマスターしているハズの彼女が身動き一つ出来ないよう力が出せないよう要所を知り尽くした縛り方をされて
いたのだ!!それがトラブルメーカー葉倉まおによる偶然の産物とは誰が思うであろう!!もっとも”その凄腕の手練れ”は
自分が犯人であるとも気づかず一緒に縛られているが…もしまおに少しでも一子を陥れる気があれば深く恥って自分の世界に
没頭していたとしても一子は難なく逆にまおを懲らしめていただろう、まおにその気がまるでないだけに全く気づけなかったのだ!!
一子まったくツイていない。
そして危険な状況を作り上げたのが”敵”だと信じ込んでいる…
『あの三重代表、群竹詩乃!!会場で出会って伊賀の名門群竹家と名字が同じでまさかと思ったが物陰に隠れて恥ずかしがって
話そうとはしなかったただの引っ込み思案で伊賀忍者のような水着にさせられていると言っていたがアレは擬態だ!!
おのれ!!まお殿まで巻き込むとはなんと卑怯なやつだ!!この挑戦状!!しかと受け取ったぞ!!』
と、もの凄く誤解して凛とした表情で復讐を誓う犬飼一子、お間抜けにも”真犯人”はすぐ後ろにいて、そしてその現在の姿は
まことあられもない。
「大丈夫であります!!一子ちゃん!!必ず本官が一子ちゃんだけでも救いますから!!」
と、災いの元凶がよせば良いのに行動しようとする。
「ええとこの縄を…わっ!!何!!」
「はあああああああんっ!!」
縄がどういう状況で動いたのか?外れかかった椰子の実ブラが外れ、まおの口にたわわな一子のYカップの乳頭が入ってしまった。
「ちゅうちゅう…ひょ…ひょめんでありましゅ一子ちゃん…ちゅうちゅう」
「ちょはっ…あああああん!!まっまおさん!!吸わないでっ!!くふぅうううううんんんっ!!」
「あぅひょめん!!何となく気持ちよすぎて…一子ちゃんのおっぱいすごく良い〜ぃ…んあっ!!そんなばやいじゃにゃかった!!
この縄をこうして…」
と、今度はまおの右手が一子の秘所に入る
「そっ、そこは……だめっ、あっあっはぁぁっひゃやあああん!!」
見た感じをそのまま言えば、まおは一子の躰をもてあそぶかのような感じである。
「あくっ!!!きゅううううううんっ!!んはあっ!!」
『なっなんて恥ずかしい声を出すの!!少し前に影千代に舐められたりしたから感じやすくなってる!!
あっその影千代はっ!!助けに来ぬかっ!!』
と、辺りを見渡すと影千代、まおにさんざん遊んでもらい疲れて寝てしまっている。本来ならその状況に忍犬である彼なら必ずや一子
を助けるであろうが、状況に悪意も敵意も無いことを知り安心しきって動こうとはしない!腹を出し舌をたらしてぐうぐう寝ている。
『バカ犬めっ!!ああああああああんっ!!』
一子まったくツイていない。
「ちょはっ!!まおさん動くの止めていただけませんこもままじゃっ!!あああああん!!指を動かさないでぇえええっ!!!」
「んひゃあ〜ぁぁぁぁ…一子ちゃんのおっぱいを舐めてたら頭がぽやゃ〜んとなって来たであります。んちゅうちゅう。」
「んっうくうううううううん!!」
まおにその気はない、一子は最近甲賀の里で”蠱惑の妖水”を飲んだのだ、容姿端麗なくの一としてそれは必須の”修行”であったが、
まさかこのタイミングで…まおは一子の躰から発する怪しげな幻惑にあっさり負け一子の躰を貪ろうとしていた。さすがの不運体質も
ここまで来ると喜劇としか言いようがない。
「んくううっ!!やっ止めて下さいっ!!まおさん!!うくっうううっ!!ひゅうあうんっ!!はっ恥ずかしい!!かっ感じちゃうっ!!
もう許してくださぁああいい!!ぐすっ!!ふぇええええええん!!」

鈴木やまはさん作

一子はトップクラスのくの一としてのプライドをかなぐり捨て、泣きながらまおに懇願している。
「んんんんんっ!!一子ちゃんの体ゃ〜もの凄くきもちぃいいいい〜〜。んあっいけない助けなくっちゃ〜」
と、今度はどういうわけか縄に絡んでいた空き缶が一子の股間に当たり秘肉を押し拡げようとし始めた。
「んあああああああああっ!!ダメぇっ!!いっいくらなんでもそれだけは!!空き缶が”初めての相手”だなんてぇっ!!」
一子は悶え狂った!!当然である、だって以前『初めてはまだ見ぬけど大切な方』などと甲賀の里でのたもうて…
女の子なんです一子ちゃん。
『貞操を守るか!?、まお殿に忍者と知られるか!?…………ええええええええいっ!!貞操っ!!』
「甲賀忍法!!傀儡の術!!」
忍術には言霊が宿り、それを発することによってその術が始動するのだ!後ろ手に縛られてはいるが指がまおの体に接していた、
その指に念を送りまおの体を操作し始めた、時間がない!!空き缶は一子の処女を奪おうとしている。まおは一子の体を持ち上げて
立ち歩き始めた。まおにこんな体力は無い、全ては術の力である。そのまま赤組控え室に向かおうとする。恥ずかしいが控え室にいる
誰かに助けを請うしか無い。それに騒ぎに気づいたホテルのスタッフの声がする!!こんな場面を”奪われた状態”を衆人環視に
見せつけるようになったらもはや腹を切るしかない。と、そこへ先ほどのバナナの皮を思い切りまおは踏みつけてしまった。
バランスを崩し庭園の噴水に一目散。噴水の尖ったオブジェに縄が掛かる、少しタイミングが狂えば二人とも串刺しになるような感じの
危なそうなオブジェであったがトラブルの際、葉倉まおは傷一つ追わないのだ、それが上手く作用しスパリと縄が切れ
ほころびがほつれたように二人は綺麗に離れた、とその瞬間
「ばっしゃ〜ん!!」
と、激しい水しぶきとともに二人は噴水に落っこちた。
「はあっ…はあはあ…だっ大丈夫でありますか一子ちゃん!!」
水を浴びて我に帰る葉倉まお、一子は傍らで呆然として仰向けに水に浮いていた。Yカップの胸を露わにして…。ホテルのスタッフが
駆け寄ろうとするのをまおは制した。男にこの一子の姿を見せるわけにはいかぬ!!すぐにバスローブを持ってくるよう指示を出した。
葉倉まおらしからぬ良い仕事ぶり…
「良かった!!大丈夫でありますね!!一子ちゃん!!いやあ本官にあんな力があろうとは!いやあ火事場の馬鹿力ってやつですね!!」
まおはどうやら一子に操作されていた事に気づいていない、一子が忍者とは露見していないのであった。
「いやあさすがに本官は骨の髄まで警察官!!必ずや事件現場に立つでありますよ〜!!どうしたの!?一子ちゃん!?」
呆然とまおを見つめる一子。先ほどまで事態、不幸体質から影千代に弄ばれたり、”敵”に遭遇してまおに弄ばれたり、空き缶に貞操を
奪われそうになる危機…いろいろな事が短時間で連発しさすがの手練れのくの一、一子も感情がとうとう爆発した。
「ふぐっ!!ぐうううっ!!ふえええええええええええん!!まおさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!わああああああああああん!!」
と歴戦の勇者が”戦闘力ゼロ”に抱きつき全くはばかることなくその胸の中で号泣しはじめた。
「一子ちゃん…怖かったんだね、よしよし…」
とその恐怖を与えた張本人がそれと知らずに優しく一子の頭を撫でてやる。
「あああああっ…一子ちゃんってほんともの凄く可愛いっ!!こんなに儚げで美しい女の子は本官が必ず守らねば!!」
まおは改めて決意した。以後このトラブルメーカーは一子の傍を離れようとはしなかった。
かくして”不運体質”に”天然のトラブル創造主”というコンビがここに成立した。

一子まったくツイていない。