しかし、おそるおそる電話を取った向こうからは、予想に反して気落ちした声が聞こえてきた。
「もしもし、利佳子? 今、大丈夫」
「うん、いいよ。どうしたの? 声暗いけど」
「うん……」明美はなんか話しづらそうだった。「あの、話があってさ…。今、もう利佳子の家の前に来てるんだけど…これから行っていい?」
どうやらミルクを抱え込んで来たのではなさそうなので、ほっとして返事を返した。
「構わないけど、明美、どうしたの? なんか元気ないじゃない」
「うん。行けばわかるから。じゃあ、行くね」
電話を切って、1分もしないうちに玄関のチャイムが鳴った。本当に家のすぐそばで電話をしていたらしい。
ドアを開けると、明美は夜目にも沈み込んでいるのが分かるほどの姿で立っていた。
しかし利佳子の目は無意識のうちに素早く胸の辺りをチェックしていた。いつもと同じ、まっ平らな胸だった。
(あーん、残念)ふと心に浮かんだ言葉を飲み込んで、利佳子は話しかけた。
「どうしたの、明美? こんな時間に」
「利佳子ぉ…」
やっとそれだけ声が出た、そんな感じで後が続かなそうだった。
「ま、とにかく上がって」
引きずるように自分の部屋にひっぱりこみ、しばらく落ち着かせた。
「どうしたの、一体…」
「だめなの。私…」
「え?何が」
「いくら牛乳飲んでも胸が大きくならないの。それに…もともと私牛乳好きじゃなかったし…。きのうはあんなにおいしかったのに、今日あれから飲もうとしても以前とおんなじで全然口に入っていかないし…。無理矢理飲み込んでも気持ち悪くなるばっかりで、肝心の胸はまっ平らなまんまだし…」
どうやら利佳子が明美のミルクをぜんぶ飲み干してしまったら、例の効果が消えてしまったらしい。なんか悪いことしちゃったな…。
「せっかくまた利佳子に私のミルク、飲んでもらおうと思ったのに…」
かわいい…。なんか明美をぎゅっとだきしめたくなっちゃった。
「それで利佳子にお願いなんだけど…。やっぱりきのう飲ませてもらった、あの牛乳じゃなきゃだめみたいなの。一生のお願い、また、あの胸の大きくなる牛乳のませて! でないと、私…」
利佳子はそこで部屋中に転がっている牛乳瓶を思い出してハッとした。やばい! さっき一本残らず飲んじゃった。どうしよう。まさかここでこれから搾るって訳にもいかないし…。
利佳子の目線を追ったのか、それまでほとんど外に目を向けていなかった明美もほぼ同時に部屋の様子に気がついた。女の子の部屋に、大瓶の牛乳瓶が何十本も転がっていれば…ふつう変に思うよね。
「利佳子…これ、まさか、全部…」
利佳子も言い訳しようがなく、認めざるを得なかった。
「うん。悪い…。全部飲んじゃった」
「そういえば利佳子、学校の時よりまた胸が大きくなってる…。ひどい! 私には一本も残してくれなかったの!」
明美は明らかにパニックを起こしかけていた。大声を出されても困るから、利佳子はとっさに止めに入った。
「明美、落ち着いて」ええい、ままよ。言っちゃえ。「瓶には入っていないけど、まだまだたくさんあるから」そして自分の大きな胸を両手で持ち上げた。「ここに」
明美は意味が分からないといった風にきょとんとしていた。「ここって…?」
「明美、黙っててごめんね。あれって、牛乳じゃないの」胸の中でたまりにたまっていたミルクが、そのわずかな刺激だけでじくじくとあふれ始めていた。「私が出したミルクだったの。ごめんなさい。私が明美のミルクぜんぶ飲んじゃったからいけないのね。おわびに…飲んでいいよ」
利佳子はそう言って右のおっぱいを明美の前にさしだした。あふれ出たミルクのにおいが明美の鼻をくすぐる。
「ああ、このにおい…。そうよ、これよ、これ。利佳子の…だったのね! 飲んでいいの…?」
「いいわ。明美になら」
その言葉を聞くやいなや、明美は一刻も我慢できないと言った風に差し出された乳首に吸い付いた。
「!」
その途端、破裂寸前にまで張り詰めていた乳首から、ミルクが一気にほとばしり、利佳子の身体全体を今まで経験したことのない快感が貫き、思わず声にならない叫びをあげた。
(ああ…気持ち…いい!。ミルクを直接吸われるのがこんなに気持ちいいものだったなんて…。自分で搾るのとは全然違う。明美も、こんな経験をしたのね。だからあんなに…)
ちゅうちゅうとすごい勢いでミルクが吸われていくうちに、あれほどまでに張り詰めていたおっぱいがすーっと楽になっていくのが手に取るようにわかった。だけどもいつまでも片方のおっぱいだけを吸われるのはかえってきつくなってきた。吸われる方は少し楽になったけども、もう一方は依然ミルクではちきれそうになったままなのだ。片方が楽になった分、痛いほど張っているもう片方がますます張ってくるようにすら感じられて、我慢しきれなくなってきた。右を吸われる刺激で、左の乳首からもポタポタとミルクがあふれ出始めていた。
「明美…ちゃん、お願い。もう片方も吸って…」
利佳子は振り絞るように言うと、それまで遮二無二吸っていた明美も、もう一方から垂れ落ちるミルクに気がついた。
「あ、ごめん、利佳子ちゃん。気がつかなくって」
そう言って右の乳首から口を離す。ああ、その瞬間、利佳子はせつなくなった。こっちだってミルクはまだまだたくさん詰まってるのに…。
しかし次の瞬間、左の乳首を吸われたことによって再び強烈な快感にとらわれた。
(ああっ…。明美ちゃんが夢中になるのも分かるわ。これなら、私だって…)
咥えられた乳首からは勢いよくびゅうびゅうとミルクが噴き出して行くのが自分でも分かった。そのたびに、例えようのない気持ちよさが大きな胸に響きわたって、身体に力が入らなくなってきた。
(もう…立って…らんない……)
しかしその時、快感がいきなり途絶えた。
あまりに突然だったので、利佳子は何事が起こったのかちょっとの間把握できなったぐらいだ。
「ああ…利佳子ちゃんのミルク、すごくおいしい…。それにいくらでも出てきて…。もういっぱい、ごちそうさま」
え? もう? だってまだ吸い始めたばっかじゃない。確かにさっきみたいに張り詰めた感じはおさまってきたけど、まだまだミルクは中にどっさり詰まってるのに…
「明美ちゃん、もういいの? 遠慮しなくっていいのに」
「ううん。もおいい。もう胸がパンパンで、入らないよぉ」
見ると、明美の胸は確かに先ほどとうって変わってふくらんでいた。昼間、利佳子に吸われる前ほどではないにしても、1メートルは大きく超えているだろう。それこそスイカを2つ抱えているような感じの胸だった。
それに対して利佳子の胸は…さほど小さくなったようには見えない。
(どういうこと…?)
明美は、入ってきたときとはうって変わって明るくなっていた。
「利佳子っ。ほんとにおいしかったよ。ありがとう。しばらくしたら。きっとまた牛乳がおいしく飲めるようになるんだろうね。そしたらまた、おっぱいにミルクをたっぷり貯めこむからさぁ。また…お願いねっ!」
そう言うと、また利佳子の返事を待たずに風のように去っていった。
「明美ぃ…」
利佳子はなんか気が抜けた感じで床にへたりこんでいた。いきなり中断されたショックがまだ尾を引いていた。明美ひどい、わたしはまだまだ出したりないよぉ。もっともっと飲んでほしかったのにぃ…。
でも、少し時間がたつと、胸の張りがさっきよりだいぶ楽になっていることに気がついた。さして小さくなったとは思えないけど、先ほどまでの破裂寸前!って感じの切迫感はうそのように消えている。
「それでもそれなりにたくさん出したのかな。明美の胸、あんなに膨らんでたし…。けどわたしの胸がほとんど変わらないってどういうこと?」
おそらく…2人のミルク貯蔵量にそれだけ大きな差ができてしまったということだろう。3メートルを超えた利佳子の胸の容積は、立体で考えれば1メートル台の時とはサイズ以上の、それこそ何倍もの開きがある。だからこそ少しぐらいミルクを出しても大きさはそれほど変わらないのだろう。
「けど…なんかそれだけじゃないような気がするんだよね。なんか胸の中でミルクが圧縮されてるっていうか、どんどん濃くなっていってるような気が…」
今まで飲んだミルクが全部(搾ったりした分を差し引いても)胸の中に収まっているとすると、とてもじゃないけどこれぐらいの大きさじゃ済まないような気がしてしょうがなかった。それに思い返すと、私ここ数日でいったい何リットルのミルクを飲んでる? 100リットル? 200リットル?
ううん、そんなもんじゃ済まないような気がする。絞って出したと言ったって、そのほとんどは結局また自分で飲んじゃったんだし…。それを思うと、いくら大きいったってこのおっぱいの中にその全部のミルクが入りきるとは思えない。
「でも…入っちゃってるんだよね」
利佳子は念を押すようにつぶやき、さらに確かめるかのように両手で片方のおっぱいを持ち上げ、そのずっしりとした重みを手に感じた。
「重い…けど立って歩けないほどじゃあないわ」
立ち上がって部屋の中をぐるぐる歩き回る。支えられてない巨大なおっぱいが、足を踏み出すたびにぶるんぶるんと上下左右に盛大にゆれまくり、バランスをとるのが大変だったけど、少し歩くうちにコツがつかめてきた。
「服さえなんとかすれば、どうにか出歩けそうね。でも…やっぱりブラジャー欲しいなぁ。どうしよう…」
今日、帰る時に胸に巻いていた白布をもう一度手にとってみた。確認してみると、心配したとおり何ヶ所かやぶけちゃっているけども、あまり大きなものではなかった。これならまだ使えそう。
明日、起きたらまた巻いてみよう。おそらくなんとかなるだろう…。
そう…明日。今日はいろいろあってなんだかもう疲れちゃった。あとは明日にして、もう寝ちゃお…。
そう思ってベッドに仰向けに倒れこんだ。
「んげ」
2つのおっぱいが一気に胴体の上にのしかかり、利佳子の身体を押しつぶしそうになった。見上げると、おっぱいは寝ててもまったく型くずれることなくそびえ立ち、それこそ巨大な山のようだった。視線のはるか上の方におっぱいの先が見える。
「んもう、やっぱり重いよ! いったい何十キロあるのよ、この胸は」
なんとか重心をずらして、身体を横に向ける。今度は2つのおっぱいが布団の上にかすかな地響きを立てながら雪崩落ちた。巨大な鏡餅が2つ重なり合ったような図だったけど、さっきよりははるかに楽だった。
「いったいいつからこんなことになったんだっけ…」
利佳子は半覚醒のとろとろした頭の中で、ここ数日に起こったさまざまな事を何とはなしに思い起こしていた。そうしていくうちに、何かが1本の線につながっていくような気がしたのだが、それがはっきりとした像を形作る前に、静かに眠りに落ちて言った…。
(なんかわたしの身体、すごいことになってるような気がする…。これからどうなっちゃうの?)
そして、ちょうど同じ頃、夜遅くまで開いている近所のスーパーで…。
「これ、全部ください!」
手に持てるだけの買い物籠のすべてに牛乳パックを山盛りにしてレジに向かう明美の姿があった。
「全部…ですか?」
店員の「いいのかな?」と訝った顔を尻目に、明美の目は早くしてと物語っていた。
実を言うと明美がこのレジに並ぶのは今晩だけで3回目だった。いずれも手に持ちきれないほどの牛乳を抱え込んでいた。おかげで、ずらりと各種メーカーの牛乳パックが並んでいた棚は、すべてすっからかんになっていた。
そして…店員がさらに驚いていたのは、1回目より2回目、2回目より3回目と、回を追うごとに明美の胸が巨大になっていたことだった。どうやらサイズの合わない、だいぶだぶついたブラウスを着ているようだが、それが今では胸のあたりだけは生地がぱんぱんにふくらんで、ボタンもほとんど止められていないにも関わらず、今にも爆発寸前!という感じになっていた。
明美はじれったくってしょうがない、という風に叫んだ。
「早くぅ!」
続く