ミルクジャンキー その14

ジグラット 作
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「先生――」
 そこには保健の橋本先生が立っていた。一瞬利佳子は錯乱した。まず思ったのは、大変な所を見られてしまった、というものだった。その次にすべてを明かそうと思っていた先生が自分から来てくれたという、嬉しい勘違い――そういったいくつもの思いが短い時間に次々と現れては交錯していき、何が何だか自分でも分からなくなってしまっていた。
 しかし、先生の顔を見てすべての考えが止まった。違う、いつもの先生じゃない。もちろん顔は同じだけども、その表情が――。何者をも寄せ付けないような凍りついた笑顔。そう、時々一瞬見せていた不思議な表情がそのまま顔の上に貼りついてしまったような、強烈な違和感があった。
「先生…?」
 利佳子はつき動かされるように一歩後ろにさがった。
「どう、そのブラジャーの具合は。藤原さん、本当に腕がいいでしょ。ぴったりのはずよ」その表情のまま、橋本先生はにじり寄ってきた。「けど、残念ながらそれももう終わりみたいね」
「先生…どうしたんですか? まるでいつもと別人みたい…」利佳子は本能的に恐怖を感じ取っていた。今、この先生についていっちゃいけない――。しかし、足が思うように動いてくれなかった。
「わたしが? どうして? いつもと同じよ」しかしその目つきは、なんというか――獲物を狙う猛獣のように怪しい光を放っていた。
「いえ…なんていうか――。こんな事を言うのは本当に失礼なんですけど、いつもはやさしいのに…今は、なんか…怖い――」
「怖い? そんなことないわ。やさしいわよ。今日だって、あなたのためにミルクをたっぷりと用意してあげたのに」
「ミルク!!」悲しいかな、利佳子はその言葉に過剰に反応してしまった。ぐびっと思わずのどが鳴る。
「そう、甘くてとびっきりおいしい極上品よ」先生は辺りに散らばった紙パックを一瞥した「今のあなたじゃ、これっぱかしの量じゃぜんぜん足りないでしょ。だ・か・ら…」
 先生は、一面に散らばった紙パックの山を掻き分けるようにして利佳子のすぐそばまで近寄ってきた。利佳子はまるで催眠術にかかったように動けない。いつしか大きくつき出した胸のすぐそばまで寄ってきた先生の雰囲気に圧倒され、口をぱくぱくさせるだけで声すらでなくなっていた。
(だから何でそんな事を知ってるんですか? 先生!!)
「おとなしくわたしの所にいらっしゃい」
 瞬間、利佳子の意識は途絶えた。先生の右手には、隠し持っていたスタンガンがにぶく光っていた。

 次に利佳子が意識を取り戻した時、まわりは殺風景この上ない景色に覆われていた。あたりに窓ひとつなく、むき出しのコンクリートの壁が無造作に並んでいる。
「ここは…?」
「安心して、こうみえても学校の中よ。もっともこんな部屋見たことないでしょうけどね。先生方も、誰も――」
 先生はくっくっとさもおかしそうに笑った。その笑い声があまりに乾ききってたので利佳子はぞっとして駆け出そうとした。
 その時――足元でじゃりんと金属音が響き、動こうとするそばから何かに足を引っ張られた。思わず視線を下に向けたが…胸に隠れて足元がぜんぜん見えなかった。しかし右足になにやら輪っかのようなものが嵌められているのが感触で分かる。しかも金属音をたどっていくと――どうやらそこから細い鎖が伸びていって、そのまま後ろの壁につながれているのが見て取れた。
「先生――。これは…どういうことなんです?」
「悪いわねぇ。わたしも申し訳ないとは思ってるのよ」しかしどう見ても悪びれてるようには見えない。「けどね、あなたの胸はもうあまりに目立ちすぎてるのよ。わたしとしても実験をこれからもずっと観測し続けていきたいし――。このままじゃあなたも生活大変でしょうからね、仕方ないけどご協力願いたいの」
「実験? 観測? いったい実験ってなんですか? わたしに何の関係が――」
「ふふ。元はと言えば、あなたが望んでいたことなのよ…」
「わたしが…? 何――」
 しばらく沈黙が続いた。その間じっとうつむいたまま顔を見せなかった先生は、顔を上げた途端、まるで顔つきが変わっていた。なんというか、表情というものを意図的にすべて消し去ってしまったようなアルカイックスマイル。そのために、不思議なぐらい印象といたものがおぼろげに感じられる。こんな顔見たこともない――いや、この顔つき、どこかで見たことがある。どこだろう、けっこう最近…。
「どうだい、あの薬は。あなたの心の奥底に潜んでいた望みを、見事叶えてくれたでしょう。フッフッフッ…」
 今までとまるで違う、地の底から静かに響いてくるような声だった――。

「あ、あなたは――!」
 突然、フラッシュバックのように、先週、一度だけ訪れたあの不思議な店の中のひとつひとつが利佳子の脳裏にあざやかに蘇ってきた。あの星や月をかたどった装飾、その奥にいた、不思議なぐらい存在感の希薄なひとりの女性。どうにも印象に残らなかったあの女性店員の顔が、今目の前にいる先生の顔といきなりぴったりと重なり合った。
「そんな…、じゃああの薬をわたしに飲ませたのは――」まるで、あの時飲んだ薬の苦さまで舌の上に蘇ってくるようだった。そう。すべてはあの薬が始まりだった。あれ以来、妙に牛乳が飲みたくなるようになってきて、しかも日を追うごとにどんどんそれが激しくなっていき、それとともに胸がみるみる盛り上がっていって――たった1週間でこんなに大きくなっていったのだ。
 先生はふっとまた顔をうつむけると、次に上げた時は元の顔つきに戻っていた。
「どう、何か不満がある? こんな、誰もが手に入れられないような立派な胸を手に入れられて…。これもあなたが心底望んでいたからこそここまで大きくなれたのよ。感謝こそされ、何の文句もないわよねぇ」
 利佳子はぐっと詰まった。確かに――こんな胸になれたことは本当に嬉しい。感謝したいぐらいだ。けど、だからって…。
「ね、本当にすごいでしょう、わたしが開発した究極の膨乳薬"ミルクジャンキー"の効果は。あなたは栄えあるその被験者第2号に選ばれたのよ」
「ミルク…ジャンキー……?」
 利佳子の目は今までにないほど大きく見開いたまま動かなかった。

「被験者第2号って――それじゃあ第1号ってどうなったんですか」
「あら、あなたの前にいるじゃない」そう言うと先生はいきなり白衣のボタンをはずし始めた。「わたしよ」
 手の動きは白衣だけにとどまらない。次いでブラウスのボタンもひとつひとつはずしていく。そしてブラウスをぱっと左右に開くと、中からぷるんと、よく張りつめた釣鐘型の巨乳がまろび出てきた。
「わたしも、あなたの気持ちがよーく分かるの。自分の胸がまっ平らだった事がずっとコンプレックスになってたから。それのために好きだった男性に振られたこともあったわ。くやしかった。だから――わたしはなんとしてでも胸を大きくしたかったの」
 先生は胸をあらわにしたまま、静かに語り始めた。その口調は決して激せず、淡々としていたが、それゆえに不思議な迫力に満ちていた。
「幸い、大学時代のわたしの専門は生物工学だった。しかしそれだけに飽き足らず、化学や生物学、人体生理学等関連しそうな学問は次々と手当たりしだいに勉強していって、なんとか科学的に胸を大きくする方法はないかと研究を続けたわ。そしてある時偶然、牛乳の中に乳房の組織育成を活性化させる触媒機能があることを発見したの。おそらくちゃんと研究をまとめて論文として発表したらノーベル賞級の大発見をね。けど、わたしはノーベル賞よりもなによりも自分の胸を大きくしたかった。だって、この触媒機能を活性化させて無限に発展させていけば、乳房を理論上いくらでも無制限に大きくすることができるに違いないんだもの。そしてわたしは理論を完成させる前に、実際にそれを飛躍的に促進させる薬を完成させたわ。この"ミルクジャンキー"をね。わたしはためらうことなく、完成直後の薬を自分で飲んだ…。
 でも――この薬の機能を最大限活用させるためには、大量の牛乳が必要だった。しかし貧乏研究員だったわたしにはそれほど牛乳に割けるお金がなかったし、それに――これが決定的だったんだけど、わたしはもう成人していて、すでに成長期は終わっていた。くやしいけど、わたしの胸はどうしてもこれ以上は大きくなってくれなかったの」
 先生はここで一息つき、ブラウスのボタンを止め胸をしまった。
「くやしかった。わたしの薬の効き目はこんなもんじゃないのに。理論には絶対の自信があったわ。これをもし、成長期真っ盛りの女の子に与え、しかも充分な量のミルクを与え続けたとすれば、それはもう、人類の誰もがなしえないような巨大な乳房を形成することができたのに…。
 わたしは自分の胸の成長はひとまずおき、自分の理論の正しさを証明するためにもういちど成長期の子にこの薬を与えて再実験してみる決意した。そのためわたしは資格を偽造し、非常勤の保健医となっていくつもの中学校にもぐり込んで自分の薬を与えるに最適な被験者を捜し歩いたわ。もう何校も何校もね。非常に健康で、急激な膨乳にも耐えられる体力を持っていて、そして、これが一番重要だったんだけど、かつてのわたしのように貧乳で、胸が大きくなりたいと心の底から願っている人を――。身体の成長には、メンタルな面もばかにはできないからね。そしてとうとう、先月赴任したこの学校で、これ以上にない適性を持った女生徒にめぐりあえたの。里見利佳子さん、あなたよ」
 橋本先生は、ぴっと利佳子に向けて指をさした。利佳子はいきなり自分の名前が出てビクッと体を震わせた。なんで…なんでわたしが…。
「後はどうやって薬を飲ませるか、だったわ。最初は保健室にあなたが来た時に、なにかの薬と偽って飲ませようとも思ったんだけど、あなたは健康なだけにほとんど保健室に縁のない生活をしていたので埒が明かなかった。次に給食に混ぜる事も考えたけど――薬の効果が損なわれる危険の方が大きかったのでそれも取りやめ。そして最後に――ふふ、まさか学生時代に一時期凝っていた演劇が、今頃になってこんな風に役に立つなんて思っても見なかったわ。
 けっこう危ない橋だったわよ。あなたがけっこう占いとかそういう方面への興味が強い事は調べてあったから、それらしい店構えを張りぼてで作り、タイミングを計って、あなたの通学路の、人気の最も少ない一角に出したの。時刻はちょうど逢魔が時、怪しい演出は案の定あなたの興味をひき、あなたはふらふらとわたしの店の中に入ってくれた。内心誰か他の人の目に付かないかとひやひやものだったけども、思いのほかうまくいったわ。なにしろ、あなたはわたしの目の前で、"ミルクジャンキー"の原液をまるごと1本飲み干してくれたんだもの…」
 熱に浮かされるように語り続ける橋本先生の話に、利佳子は一瞬のどの渇きも忘れて聞き入ってしまっていた。そんな…あの時から、わたしはずっと先生の掌の上で踊らされていたというの?
「後はもう、わたしは何をする必要もなかった。じわじわとあなたの体の中に沁み込んでいったミルクジャンキーが次第にその効果を発揮していくのをただ見守るだけで――」
 先生は一旦口を閉じると、じーっと利佳子の胸を見つめていた。それはまるで、この1週間の成長の過程を思い出しつつじっと反芻するように――。
「あの薬を服用した後に牛乳を飲むと、最初はそのわずかな量の牛乳に薬が反応して触媒効果を発揮し、乳房が急激に発育し始めるの。飲んだミルクはその成長した乳房の中に蓄積されていくんだけど、成長期の女の子の場合、乳房はその飲んだミルクの量以上に成長していってしまうのよ。すると面白いことに脳にもっとミルクを飲むよう強い信号が伝えられ、一種の飢餓感とも言うべき状態に陥るの。ほかのものをいくら飲んでものどの渇きを癒すことはできない。ただミルクだけを身体は求め続けるのよ。そして耐え切れず飲んだミルクに対しただちに触媒が働き出してもっと乳房が成長する、乳房が大きくなればなるほどよりもっと多量のミルクが必要になり強い信号が脳へと伝えられる――。この連鎖反応を繰り返し続けていけば、ミルクがある限りその子の乳房は理論上無限に大きくなれるはずなのよ!」
 利佳子の息が次第に荒くなってくる。ミルクへの渇望感がまた蘇ってきたのだ。先生の言葉がひとつひとつ頭に染み付いてきて離れない。さっき飲んだ全校生徒分の牛乳が、たった今反応していって、ブラがみち…みち…といやな音を立てている。ああ、今、わたしの胸がまたどんどん成長していってるんだ。そして、おっぱいが、ミルクを欲しがっている――!
「次の日の昼すぎ、あなたがひとり自分から保健室に来た時、わたしがどんなに驚いたか想像できる? 最初は自分のやった事がばれてしまったのかと思ってあわてたわ。けど違った。ミルクジャンキーを投与してからまだ24時間と経っていないのに、あなたの胸は明らかに力強くふくらみ始めていたわ。ほんとうにわたしにも意外なほど急激な変化だった。そしてそれからも、あなたの乳房はわたしの予想をはるかに上回るペースでふくらみ続けてくれた!! ああ、わたしの目に狂いはなかった。あなたは、最高の被験者よ!」

 しかし利佳子の意識は次第に朦朧としていって、最後の方の言葉は耳に入らなかった。胸がどくん、どくん、と言うほどに張りつめてきて、それに伴い、ミルクへの欲求がさらにふくらんでいったのだ。
「胸、きつそうね」橋本先生はまるで今気がついたかのように言い、利佳子のブラウスに手を伸ばした。
「苦しいでしょう、わたしがはずしてあげる」しかし、胸の先にあるボタンに手をかけた途端、ボタンを縫いつけてある糸が限界に達し、ピーンと勢いよく飛んでいった。それが引き金になったかのように、もう充分引き伸ばされていたボタンがピン、ピン、と次々飛んでいった。それとともに胸元が大きく開いていき、純白のブラジャーが顔を出す。
「あらあら」飛んでいったボタンには目もくれず、残ったボタンをひとつひとつはずしてやる。最後のボタンをはずした時、中身がぎゅうぎゅうに押し込められた超特大ブラジャーの全体像が現れた。
「さすがは名人、藤原綾乃の最高傑作ね。こんなになってもなおびくともしないなんて。――でも、これじゃ着けてる方はきつくてたまらないでしょうね。はずしてあげる」ブラウスを脱がすと、背中に回ってホックを外していった。
「あ…」ホックがひとつ、ひとつ外れるたびに胸がどんどんふっと楽になっていった。今まで息もほとんどできないほどに締め付けられてたのだからほっとしたのは事実だが、しかしこのブラジャーをはずされることは、気に入ってただけにつらかった。だって――きのうやっと手に入れたのに、もう2度とつけられないような気がしたのだ。
「どうして――。先生、こんな素敵なブラや制服まで用意してくれたのに――どうして…」
 利佳子はまだ半信半疑だった。いや、それでもまだなんとかして先生を信用したかったのだ。大好きになった先生を…。しかし、それに続く先生の言葉は残酷だった。
「それはね…、あなたが思った以上にわたしの薬に反応してくれたから嬉しくってね、最初で最後のごほうびよ。だってあなた、これからもうずうっと、ブラジャーなんてつけてる暇なんかなくなるんだから…」
「え…!?」
「さあ、あなたももうミルクが飲みたくって飲みたくってしょうがないでしょう。おっぱいもブラから開放されたことだし、向こうだって今か今かと待ちかねてるわよ。スペシャルゲストをお呼びしましょう」
 たったひとつのドアの向こうに、入ってきていいわよ、と大きな声をかけると、ドアが開き、2人の少女が1人づつ入ってきた。なぜ1人づつかというと、どちらもドアを全開にしてもひっかかりそうなほど巨大なバストを抱え込んでいたからだった。そしてその2人の顔を見て、利佳子は思わず声を上げた。
「明美! そして…智ちゃんまで――」

 どちらも利佳子には及ばないものの、それでもとてつもない大きさには変わりなかった。明美など、土曜日に保健室に現れた時よりも明らかに大きかったし、智子も――明美よりさらにひとまわりほど大きかった。
「2人とも――どうして…」
 利佳子は訳が分からなかった。あれから自分はミルク出した憶えないのに…。
 しかし橋本先生はフフ…と不敵な笑みを浮かべ続けていた。
「憶えていないかもしれないけどもね、里見さん、2人ともあなたの出したミルクを飲んでもらったのよ。それはもうたっぷりとね」
「え…?」
「ほら、おととい、あなたが気絶している間にね――。ほんとすごかったわよ、あの時のあなたの胸。もう限界をとっくに超えてるのにそれでもなお最後まで飲み干そうとしてるんですもの。わたしもあの時点であんな莫大な量をさらに飲み干せるだなんてとても信じられなかった。実際破裂するんじゃないかって心配になったわ。しかしあなたは見事に一滴残らず飲み尽くしてしまった。おかげで乳房がはちきれる寸前までいってたけどね。
 しかしこのまま放置することは危険だったから、予防策をとったの。ね、この2人にちょっとミルクを吸ってもらったのよ。気を失ったままでね。そしたらどう、ちょっと乳首を口にふくんだだけなのに大量のミルクが一気にあふれ出してきたのよ。あまりの勢いにあわてたわ。結局1回の刺激だけで2人がかりでも飲みきるのがやっと、ってぐらいの量のミルクが噴き出してきたわ。でもそれだけでもあなたもずいぶん楽になったでしょう」
 そう、あの時、本当に気絶してしまうほどおっぱいがパンパンで苦しかったのに、気がついた時には嘘みたいに楽になっていて…。そういうことだったの――。
「でも、このミルクこそわたしの最も予想していなかったことだったわ。なにしろ、あなたときたらいかなミルクジャンキーといえども胸の成長スピードが追いつけないほど大量のミルクを欲望に任せてめちゃくちゃ飲みまくっちゃうんですものね。まあそれだからこそ、胸の成長が余剰分に追いつくまではミルクを飲みたいという欲求が抑えられるんだけどね。けどその間、抱えきれない分は、ほんのちょっとの刺激であふれ出ちゃうのよ。
 しかも、そのミルクの中にも微量のミルクジャンキーが溶け込んでいた。そのため第3者がそのミルクを飲むと、ミルクジャンキーの影響を受けてほぼ同様の効果が出ちゃうなんてね。まったく計算外よ。
 実際、この2人の胸がふくらみ始めた時は心底慌てたわ。いったい何が起こってるのか正確に把握するのに時間がかかったし、おかげでわたしは計画の変更を余儀なくされた。しかし――よく考えてみると、これを応用すれば却って一層効率よく計画を遂行できることに気がついた!
 この擬似ミルクジャンキーの効果はあくまでも一時的なこと。当初は本家を上回るほどの勢いでミルクを摂取して膨乳を引き起こす。その膨乳の度合いも摂取したミルクの量に比例することも分かってきたわ。しかしあくまで本人に薬自体は染み入らず、次第に摂取したミルクそのものを保持しきれなくなってくる。遂には耐え切れず乳房の中にためこまれたミルクをすべてはき出さずにはいられなくなるのよ。その結果どういう事が起こったか。里見さんが出したミルクは、この子、白石明美さんを通って、何百倍にもなってまた還ってきたのよ。2度にわたってね。
 もともとこの白石さんはね、里見さん、あなたがいなければ間違いなく被験者に選んでいたに違いないってほどの適性の持ち主なの。だからこそ擬似ミルクジャンキーの効果も抜群だった。なによりも、薬の影響を受けた者が出したミルクは元の牛乳よりもさらに膨乳効果が高まっていることも分かってきたしね。そしてそれらを統合して考え直していくうちに、わたしの中に新しい、より効率的なプランが生まれてきたの。
 里見さん、あなたのミルクを白石さんをはじめ何人かの人に与えれば、その人たちが勝手にどんどんミルクをその胸の中にためこんできてくれるのよ。そして最終的にはそのミルクはどうなると思う? 里見さん、すべてあなたの元に再び集まってくるの。だってあなたしか、そんなに大量のミルクを飲み干せる人なんていないんだもの。みんな喜んであなたにミルクを吸わせてくれるわ。だってためにためこんだミルクを放出する時、この世のものとは思えないぐらいの快感が伴うんですもの。1度体験したら忘れられない、病みつきにならざるを得ないほどの快感がね」
 先生が今一度明美を見た。明美はもういてもたってもいられない、といった感じで体を絶えず揺り動かしている。もう胸の中のミルクが中で暴れまくって限界! という所まで来ているのだろう。
「ほら、白石さんはもうあなたに吸われたくってしょうがないって顔をしているわ。そしてあなたもミルクが飲みたくってしょうがない。みんなが幸せになれる、すばらしい方法だと思わない?」
「利佳子ぉ」今まで黙っていた明美が初めて口を開いた。「もう…我慢できないの。お願い、吸って、わたしのミルク、ありったけ吸い尽くして欲しいの」
「明美…」利佳子もそのミルクへの欲求と戦い続けることにほとほと疲れ果てていた。むりやり実験にまきこまれた怒りよりも、先生の言葉がなんだか本当にすばらしいことのように思えてきた。みんながわたしのためにミルクを持ってきてくれる。わたしはそれを次々と飲み干していけばいい。うん、理想的かもしれない。悪魔のささやきかもしれないこの甘言に対し、利佳子は正常な判断力を失いつつあった。
「明美、来て…」利佳子は呼びかけた。明美はその細い体に不釣合いなほどの巨大な乳房を両手を一杯に広げてなんとか抱えあげて、利佳子に近づいてきた。しかし2人の間にはまだ利佳子の超特大の乳房がある。明美は利佳子の胸の谷間にその身体を無理矢理押し込んでいき、なんとか自分の乳房の先を利佳子の口元まで差し出した。
「明美、よく来てくれたわ、嬉しい…」
「利佳子、吸って、吸って、もうあふれちゃう」
 利佳子はもう我慢することはなかった。明美の、今にもミルクが噴き出さんばかりにぷっくりとふくらんだ乳首がすぐ目の前にあるのだから。もう矢も盾もたまらずそれにむしゃぶりついた。その途端、口の中にまた、ほおばりきれないほどのミルクがごうごうとあふれ出してきた。利佳子はただ無心にそのミルクを息もつかせずぐいぐいと飲み込んでいく。飲み込まれたミルクがすぐさまじんわりとその巨大な乳房の中に流れ込んできた――。

 その様を、智子はすぐそばに立ったままじっと立ちつくしていた。その、明美をも上回るほどに巨大化した乳房の中には今か今かと噴き出さんばかりに圧し込まれた莫大な量のミルクが今まさに暴れまくっており、今ちょっとでも刺激を受けたらたまらずに大量のミルクがあふれ出してしまったろう。しかし智子はただじっと佇んで必死でそれに耐えていた。
 利佳子に吸われて今や恍惚の表情を浮かべている明美を見るにつけ、ああ、自分も同じように吸われたらどんなに気持ちいいんだろう、とつき動かせられんばかりの衝動に何度もとらわれていた。しかし、智子はまだその衝動に身を任せて本当にいいのかどうか、踏み込んでいくのにいまいち躊躇せずにはいられなかった――。

 ―――――――――――― 

 ――そう、実は、智子がこのような場面を目にするのはこれが2度目だった。おととい、保健室にさらしを忘れたことに気づいた智子は、授業をそっと抜け出して取りにもどっていたのだ。そして中に入ろうと扉をすこし開けて覗き込んだ時、目に飛び込んできたものは…。
 親友2人による際限なく続く搾乳シーンだった。そして明美の巨大な胸がやがて吸い尽くされ、利佳子の胸がさらにさらにふくらんでいく様を目のあたりにして、心の奥底から強烈な衝動が湧き上がってくるのを止めようがなかった。
(わたしも、あんな風にミルクが飲みたい――)
 それはここ数日彼女が何度か感じてきた欲求と比べても何十倍、何百倍も激しいものだった。利佳子のミルクの影響で徐々に目覚めかかっていたものが、この視覚刺激で一気に活性化したのだろう。胸の内から欲望が刻一刻とどんどんふくらんではじけそうになるのを必死で抑え、なんとか我慢してきたが、遂に利佳子が明美のおっぱいを吸い尽くし、お互い次々と気を失うところまで見て、耐え切れずにふっと立ちくらみのようになって倒れかかった。
 その智子の身体を、後ろからそっと支える手があった。今までそこには自分ひとりだと思い込んでいた智子はハッとして後ろを振り向いた。
「先生…」
 そこには、日ごろお世話になっている橋本先生がやさしく立っていた。気がつかないうちに、今まで智子のすぐ後ろで中の様子を見つめていたらしい。智子が何か言おうとすると、先生はやさしく頬笑んで口元に1本人差し指を当て、そのままそっと耳元でささやいた。
「何も言わなくてもいいの。わかってる。あなたもこんな風に胸が大きくなりたいのね」
 まるで催眠術のように、智子はその言葉にとりこまれてしまっていた。

 先生が先に保健室に入り、一通り様子を確認すると智子を呼んだ。そして失神していた明美を起こすと、まだ気がつかない利佳子の元に二人を立たせた。
「危険な状態ね…」
 え?と2人が不審な顔をする。
「里見さんよ。本当に今、破裂しかねないほど限界を超えてミルクを飲み込んでしまったの。ね、友達なら助けてくれない?」
「助けるって…?」
「2人でそれぞれ、両方の乳房から余分なミルクを吸って欲しいの」
(え? 利佳子の――ミルクを?)
 とまどっていると、明美がくったくのない口調でしゃべった。
「利佳子のミルク飲むと、胸が大きくなるんだよ」
(え?)
 さらに訳が分からずにきょとんとした智子に、先生が補足する。
「そう、この前里見さんの所で飲んだ牛乳、あれは実は、彼女がその胸から出したミルクだったのよ」
(え…!!)
「本当よ。あなた、あの時ほんのちょっとしか飲まなかったでしょう。もっとたくさん飲めば、白石さんみたいに胸が大きくなれたのに」
(明美みたいに――)
「あなた、もっともっと胸が大きくなりたいんでしょ。里見さんや白石さんよりも、もっと大きく…。このミルクを飲めば、なれるわよ」
 まるで言葉の魔術にかかったかのように智子は利佳子の胸から目が離せなくなった。これを飲めば、また学校一の巨乳に返り咲ける…。ミルクへの欲求がいや増して息が荒くなっていく中、迷いは吹き飛んでいった。
 智子は利佳子の元に跪き、左の乳房に手を伸ばそうとした。
「ちょっと待って、左右一緒にね」先生は明美を右の乳房の元に誘い、準備ができた事を確認すると、合図を送った。
 智子は明美と同時に利佳子の乳首に吸い付いた。その瞬間、気を失っているはずの利佳子の乳房から怒涛のようにミルクがあふれ出してきた。口の中にそこはかとない甘いにおいがいっぱいに広がる。なんて量! 智子は驚いたが、不思議とぐいぐいとそのミルクがストレスなくどんどんのどの奥に流れ込んでいった。飲めるだけではない。それにつれてなんだか胸の辺りが熱くなっていって、大きめのブラウスの布地をぐいぐい押し上げていっているのを感じていた。
(ああ、このミルク、なんておいしいの。とりこになりそう――)

 ―――――――――――― 

 それから2日間、智子はまるでとりつかれたように牛乳を飲み続けていた。飲んでも飲んでも身体が牛乳を欲しがっているみたいで、いくら飲んでも満足できなかった。それに明美が言ったことは本当だった。飲めば飲むほど胸がどんどん大きくなっていくのだ。それが嬉しくてしょうがない。2つの意味で、智子はひたすら牛乳を飲み続けた。
(明美より、利佳子より大きくなってやる!)
 しかし――ここに来て、ぱったりと牛乳を飲む気がうせて来た。そればかりか、はちきれんばかりに大きくなったおっぱいの中でミルクがやたら張ってくるような感じで苦しくてしょうがない。最初はそれほどでもなかたが、次第にミルクが中で暴れまくってくる感じでだんだん我慢できなくなってきた。どうしたのだろう、心配になって先生に電話すると、すぐこちらに来るようにと言われた。そして学校に着くと部屋で明美と出くわした。明美も同様にとてつもなく胸が大きくなっていたが、見比べても明らかに自分の方が大きいことに智子は嬉しさを隠せなかった。しかし胸の張りはいよいよにっちもさっちもいかない所まで追い詰められ、胸が破裂するのではないかという心配すら感じ始めていた。
 そんな時に2人は利佳子の前に呼ばれた。利佳子と比べると自分の胸がまだまだ小さいのを思い知らされショックを感じたが、もう痛みはそれを気にする余裕すらないほどになっていた。先生がなにやらしゃべっているけどもそれすらあんまり頭に入ってこない。そうするうちに明美が利佳子のそばに寄り、また胸を吸われ始めた。明美の恍惚としか言いようのない表情を見るにつけ、智子はたまらない気持ちになった。
(ああ、明美ちゃん、きもちよさそう…。わたしも今あんな風におっぱいを吸われたら、どんなに気持ちいいだろう) ふらりと利佳子の所に進みたくなるが、一方でそれを押し止める気持ちもあった。(でも…これで吸われたら、またおっぱいが小さくなっちゃう。それは――いや!!)
 そうするうちにも胸はますます張りつめてきて、一刻の猶予もなくなってきた。ただ立っているだけでも、体が自然にぶるぶると震えてくる。(ああっ、でも…。吸われたい!!!)
 智子は2つの相反する気持ちの中で必死に戦っていたが、やがて目の前で明美の胸が吸い尽くされ、本当に幸せ一杯のような表情をして利佳子の元を離れていった。
(明美、うれしそう…) 智子はその顔を見て、なんだか我慢しているのが馬鹿らしいような、そんな気持ちに傾いた。その時、利佳子が呼びかけてきた。
「ねえ智ちゃん、智ちゃんのミルクも吸わせて。お願い。明美のだけじゃ、まだ、足りないの。ねえ、お願い!」
 智子の足がびくんと痙攣する。気持ちが大きく揺らぎ始めたのだ。
 橋本先生が、智子の耳元でさらに追い打ちをかける。
「ねえ、終わったら、また里見さんのミルクを飲ませてあげるわよ」
 利佳子のミルク! 智子の舌に、2日前に飲んだ時のあのなんとも言えない甘い香りが蘇ってきた。
 あれをまた飲めるのならば――。智子は決意を固め、利佳子の元へと1歩1歩と足を踏みしめていった。利佳子は期待を込めた目でそれを見つめ返している――。

(これですべてうまくいったわ) 橋本先生がただ一人、少し離れた所で会心の笑みを浮かべていた――。