ミルクジャンキー その15

ジグラット 作
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 次の日、学校は大騒ぎになった。なにしろ生徒が一人、授業時間中に忽然と姿を消したまま家にも帰らず行方不明になってしまったのだ。警察に届けようかという話も出てくる中、学校側は責任をかけて一旦それを押し止め、職員を総動員してくまなく探しにかかった。利佳子を知っている人、見かけたという情報をいろいろな人に話を聞いた結果、月曜日の4時間目が始まる前に、保健室に行くと言って教室を出たところまでは確認できたのだが、それ以降の足どりはまるで煙のように消えてしまっていた。当然のごとく保健担当の橋本先生にも話はまわってきたのだが、そのような生徒は来なかったの一点張りだった。さらにちょうどその頃、給食用の牛乳がすべて中身だけ消滅した――すなわちすべて飲み干され空のパックだけが散乱していた、という不可解な事件が起こっており、さらに謎を倍化させていた。結局何も分からないまま、1週間あまりの時が無為に過ぎていった――。
 そしてその間に、もうひとつ気になる変化が学内で起こりつつあった。ここにきていきなり、とてつもない超乳になって姿を現す生徒がひとり、またひとりと増えてきたのだ。しかもその数は日を追うごとに増加していく――。
 しかもこれは誰にも知られていないことだが、その超乳になった生徒は放課後になるとひとり残らずどこかに消えていき、しばらくして戻ってきた時には、胸がかなり小さくなっていた。そんな時、生徒達は皆、まるで心ここにあらずといった様子でまるで何かにとりつかれているようにふらふらとしていた。
 それとともに、学校内では、今だふくらんでこない胸を持つ女生徒の間で、どこからともなくこんな噂が流れていた。
「保健の橋本先生にお願いすればね、胸を大きくしてくれるんだって――」

「またかよ。いったいどういうことなんだ!!」
 マルハチスーパーの店主、原口は運ばれてきた大量の1リットルパックの牛乳の山に唖然としていた。ここ1週間ほど前から、本部の指示だかなんだかしらないが、今までの何倍、いや何十倍もの量の牛乳が連日店に搬入されてくるのだ。それは店内をすべて牛乳売り場にしたって置ききれないほどの膨大な量だった。
 普段なら現場を無視したこんなむちゃくちゃな仕入れ、きっぱり拒絶すべきなのだろう。しかし今回ばかりはそうもいかなかった。それというのも――この店のキャパをはるかに凌駕した量の牛乳が、店に置くやいなやかたっぱしから売り切れてしまうのだ。もはや棚に並べるのもまどろっこしくなるほど次から次へと飛ぶように売れていく。この業界に入って30年にもなる原口といえどもまったく常識はずれの売れかただった。
(いったい、この町で何が起こってるんだ?)
 この売れ方も異常だが、それを素早く察知して大量の牛乳を勝手に送りつけてくる本部も不可解だ。運び込まれる牛乳の量はさらに日を追うごとにどんどん増えていく。しかもそれが争うように売れていき、時には足りなくなることだってあるのだ。どう考えてもこの町の人口でこれだけの牛乳を消費できるはずはないのだが――。
 確かにこの牛乳効果のおかげでスーパーは前月とは比べ物にならない空前の売り上げを記録していた。しかし訳の分からない急上昇はかえって原口の不安を駆り立てていた。
(不思議だ。こんなに大量の牛乳が、いったいどこに消えていくのだろう――)

 その膨大な量の牛乳のほとんど全部が、まだ15歳のひとりの少女の胸の中にすべて吸い込まれているという事を、いったい誰が想像しえただろうか。
 しかしそれは事実だった。あの衝撃の告白から1週間、その間に利佳子はあの部屋に居ながらにして、明美たちが毎日胸に抱え込んできた大量のミルクを次々と飲み干していっていた。
 最初の日、明美と智子のミルクを楽々と飲み干してしまった利佳子は、次の日にはもう2人の分だけでは到底足りなかった。橋本先生はちゃんと計算して、もう一人、利佳子のミルクを大量に投与した女の子を増やしていた。その後も毎日、日を追うごとにひとり、時には2人と女の子の数は増えていく。誰も皆、2〜3メートルはあろうかというとてつもない超乳の中にミルクをめいっぱい詰め込んでやって来るのだ。それを利佳子は次々と、いともあっさりと吸い尽くしてしまう。全員分のミルクをすべてたいらげて、ようやく利佳子は一応の満足を感じる。しかし正直な気持ちを言えば、もう一人分ぐらい飲めちゃいそうな物足りなさを常に感じていた。底なし――というか、感覚としては飲むそばからミルクはその莫大な乳房の中のどこかに消えていってしまい、いくら飲んでも飲んだ気がしないのだった。
 その乳房の大きさは、利佳子自身でももはや把握しきれなかった。今や、利佳子の前方の視界はその大半を自分の乳房で覆われてしまってた。自分の胸から巨大な砲弾のように突き出したバストは、上は利佳子の身長よりも高く、下は既に床に接触してしまっている。そしてその高さのよりもはるかに長く前に突き出ている。実は、彼女が今いる部屋の空間のほぼ半分は既に彼女の乳房で占められてしまっていた。

(本当にすごい。まったくわたしの予想をはるかに上回る成長っぷりだわ) その様子を、ひとり橋本先生だけがほくそ笑んで見つめていた。
(現在、ひとりひとりの胸の中には、片方だけでだいたい1トンのミルクが詰っているわ。それが今日は10人だから全部で大体20トンね。これだけの量を飲んでまだ足りないって言うんだから…ほんとうに空恐ろしい)しかしその顔はまったく恐ろしがってなかった。むしろわくわくしてしょうがない、という風ににしか見えない。(とにかく明日は、一気に2人増やしましょう)
 ちなみに増えていったのは数だけではない、女の子ひとりひとりの胸の大きさも拡大化の一途をたどっていた。最初のうちは2メートルがせいぜいだった子も、日が経つに連れて、3メートル、4メートルとより大きくなっていった。たくさんミルクをためておけば、それだけ利佳子に長く吸ってもらえる。もっともっと気持ちよくなりたい、というひとつの表れだった。
 実際うまくいきすぎて怖いほどだった。利佳子にミルクジャンキーを投与して以来、実は橋本先生の理論をも上回る成果を上げていて、自分でとまどうほどだった。
(いろいろ興味深い事象が出てきて調査項目が目白押しだわ。まず、あの娘たちは両胸に計2トンものミルクを抱えてどうして動けるのか。普通ならまあ一歩も歩けないわね。あの中のミルクがぎゅうぎゅうに圧縮されていることまでは分かっているけども、ひょっとしたらその極度に圧搾された質量ゆえに、乳房自体に重力が発生し、それで自重を軽減しているのかも――)

 10人がすべてミルクを飲ませ終わると、ようやく一応満足した利佳子が自分の胸を皆の前にさし出した。すると、10人の少女が先を争って2つしかない利佳子の乳首に群がった。
「あっ――!!」最初の一人が乳首をくわえた途端、利佳子は快感にとらわれて小さな声を上げた。それとともに乳首から膨大な量のミルクがあふれ出す。少女達は代わる代わるそのミルクをむさぼるように飲み下していく――。
 またたく間に、平らだった10人全員の胸が大きく盛り上がる。皆ミルクで胸を苦しいほどぱんぱんにふくらませていた。しかしこれは第一段階にすぎない。利佳子のミルクを大量に摂取した少女たちは擬似ミルクジャンキー状態に陥り、しばらく後にまた狂ったように牛乳を買い求めるのだった。
 しかし10人の少女の胸をパンパンにふくらませながら、利佳子の胸自体はまったくと言っていいほど変化がなかった。これぐらいのミルク、利佳子にとってはほんのちょびっとにしかすぎなかったのだ。それほどまでに両者の間にはまさしく天と地ほどの差があった。そしてその差は明日、彼女達がもたらすミルクによってさらに広がっていくのだった――。
 その様子を先ほどから喰い入るように見つめ続ける4つの目があった。噂を聞いて「胸が大きくなりたい」と思いつめて橋本先生に相談しに来た2人の生徒だった。どちらもやせっぽちで胸はお世辞にも大きいとはいえない。少し前から橋本先生に連れられて、利佳子が皆にミルクを与える所を見せられていたのだ。
「どう、あなたも、あなたも、あの胸からミルクを飲めば、胸が大きくなれるのよ」ゆっくりと、聞く者の心に刻み込ませるように先生は2人に語りかけていた。部屋いっぱいに甘いミルクのにおいがただよい、うっとりと2人を誘い込む。
 最初は利佳子のあまりの胸の大きさにショックを受けていた2人だが、やがてふらふらと利佳子の乳房に近づいていった。
「あの、飲んでも…いいですか?」乳房の陰に隠れてほとんど見えない利佳子に向かって、ひとりが話しかけた。
「どうぞ。たくさん飲んでね」利佳子は自然ににっこりした。明日はまたこの2人が、わたしのためにミルクを持ってきてくれるのね、と思うと喜ばずにはいられないのだ。
 じっと利佳子の乳首を見詰めていたが、ひとりが思い切ってその乳首をくわえた。その巨大な乳房にもかかわらず、乳首は女の子の口にもぴったりと納まるぐらいの小さなサイズのままだった。
 くわえると同時にすさまじい勢いでミルクが口の中いっぱいにあふれ出てきた。普通だったら抑えきれず吹きだしてしまうところだったろう。しかし利佳子のミルクはのど越しがすっとよく、その量にもかかわらずぐいぐいと勝手にのどの奥に入っていくようだった。
(ああ、胸が熱い――)初めての感覚にとまどい、身体をよじらせながらも乳首を口から離さず、しっかりとくわえ続けていた。少女の胸がしっかりと盛り上がり始めた。勇気が持てずそれを見つめてだけいたもうひとりの少女も、それを見て意を決してもうひとつの乳首に吸いついた――。
 しかし先ほどの10人の中でも、ただ一人、中でも一番大きくなった胸を抱えながらも、その様子を見ながらじっと考えこんでいる少女がいた。また今日も誘惑に負けて利佳子のミルクを吸ってしまった。しかし――。
(なんとかこの輪を断ち切らなきゃ。このままじゃ――いけない…!)

 次の日、他の11人は智子の胸を見て驚いた。なんと優に5メートルはあろうかというほどまでミルクをためこんできたのだ。
「うわっ、智子!」明美は驚いていた。「がんばったわね」
「うん。まあね」
「いいなぁ。だって吸われるミルクの量が多ければ多いほど、きもちよさもひとしおだもんね」
 元来能天気な所のある明美は、この状況にもはやどっぷり浸かって抜け出そうという気もないようだった。
「ええ…」しかしそう生返事をする智子の表情は見るからにきつそうだった。限界を超えて飲んでしまったミルクが胸の中でもう既に暴れまくっており、いつまでもつか自分でも不安だった。
 それなのに智子は「自分は最後でいいから」と踏みとどまった。明美たちがひとりひとり、利佳子の長大な乳房の谷間の間に、自分の大きな胸を抱え上げながらずぶずぶと入っていく。利佳子の元にたどり着く頃には、こちらからは巨大な乳肉にうずもれてほとんど見えなくなってしまう。しかしその向こうから、利佳子が一心にちゅうちゅうとミルクを吸う音、そして「あっ…!」と快感にとらえられて思わず漏らす少女達のあえぎ声がかすかに聞こえてくるのだ。そして吸われるうちに、利佳子の乳房は少しづつ、少しづつ、ますます巨大化していく――。
 11人の中には、きのう初めて利佳子のミルクを吸った2人も含まれた。加減が分からずのどの渇きにつき動かされるように牛乳を飲みまくった結果、今は本当に苦しそうにしている。しかしそれが利佳子の前に来てミルクを吸われた途端、至高の快楽を得たようなすがすがしい笑顔に変わっていた。
 利佳子にミルクを吸われる音が聞こえてくる度に、智子の胸はたまらずきゅんとなった。(早く…ミルク吸われたい…)。しかしそれをまるで自分に架せられた罰でもあるかのように、智子はストイックなまでにそれに耐え続けた。少女達が次々とミルクを吸われ、快感を一心に浴びている様をじっと見据えながら、その巨大な胸をぐいと前に突き出したまま不動の姿勢で最後まで立ち尽くしていた。

 他の女の子がすべて吸われ尽くしたのを確認した後、遂に智子は動き出した。(がまん…今はがまんよ) 一足踏み出すたびにその振動でミルクがあふれそうになるのを必死でこらえながら、智子はまるで洞窟のように奥深くなった利佳子の谷間へと足を踏み入れた。前進が困難になるほど両側から乳房に締めつけながらも、智子はじっと前を見据えて進んでいった。(利佳子のおっぱい、きのうとも比べ物にならないぐらい張りつめているわ。いったいこの中に何リットルのミルクが入ってるんだろう。考えただけで空恐ろしい――)
「ああよかった。今日智ちゃんどうしたのかって心配してたの」
 前の方から声が聞こえる。当のその胸の持ち主である利佳子はいたって幸せそうに智子にほほえみかけた。
「利佳子――」その笑顔を見ると、智子は相反する2つの感情が湧き出てきた。ひとつは、ああ、これで利佳子にミルクを吸ってもらえるという喜び、そしてもうひとつは――利佳子をこの状態から救い出してやりたい、という友達を思う心…。
(こんな薄暗い部屋から一歩も出れず、ただただ毎日ミルクを飲み続けるなんて絶対おかしいわ。みんな、橋本先生にマインドコントロールされてるのよ!)
 しかし智子自身、その無限ループの中に組み込まれてどうにも逃れられずにいた。
「智ちゃん、どうしたの?」利佳子が心配そうに顔を覗き込む。そういうところは以前とまったく変わっていない。ただ、ミルクのために歯車が狂ってしまっているだけなのだ――。
「ううん、なんでも」しかし今は変なそぶりをするわけにいかない。「ね、利佳ちゃん、早く吸って」智子は利佳子の乳房に挟まれたまま、自分のおっぱいを利佳子の口元に差し出した。
「うん。智ちゃん今日はすごい大きいね。まるでわたしが初めてこの部屋に来た時ぐらいありそう――。うれしい…。正直、11人のミルク飲んでもまだもの足りなかったの。きのうみたいに10人しかいなかったら、きっとわたし我慢できなかったと思う。じゃ、いただきます」
 利佳子がその乳首をぱくっとくわえる。智子のおっぱいから、中にぎゅうぎゅうに押し込まれていたミルクがびゅうびゅうと勢いよくあふれ出してきた。
「あああっ!!!」智子は胸全体に響き渡る快感におぼれそうになりながらも、懸命に自分の意識を止めようと必死になっていた。
(だめ、これで我を忘れちゃ…。なんとか自分を保つのよ)

 どれぐらい時間が経ったのだろう。結局智子は今日も絶え間なく押し寄せる快楽の渦に巻き込まれて我を忘れてしまった。利佳子が智子の胸から口をふっと離した時に初めて気がついた。いつものように、智子の胸は、元々の巨乳レベルに戻っていた。
「ああ、もう出ないのかなぁ、これ」
 利佳子はまだ物足りなさそうに智子の胸を見つめた。ミルクを出しつくしてもGカップある智子の胸が納得できない風だった。
「利佳ちゃん、まだ足りないの?」智子はちょっと不安になった。
「あ、ううん、そんなことない。ようやく人心地がついた」とはいえまだまだもの欲しそうな顔つきがありありと出ていた。「これなら明日まで我慢できそう」
 智子は利佳子の底なしっぷりにいささかあきれつつも、そっと耳元に近寄っていき、ささやいた。自分の胸が小さくなった今しかこんなに近づくことはできない。これからしゃべることは、橋本先生に聞かれてはならないのだ。
「ね、おかわりほしくない?」

 それから2時間後、あたりが暗闇に閉ざされる頃に、智子は例の部屋に戻ってきた。先ほどと勝るとも劣らないほどの超乳になって。
「おかわりをお持ちしました」
 智子は、部屋に利佳子以外誰もいないことを確かめてから声をかけた。橋本先生の行動はチェックしている。当分ここには戻ってこないはずだ。
「智ちゃん…どうしたの?」
 学校のすぐそばに家がある智子は、きのうのうちに予め、自分の部屋がいっぱいになるほどの量の牛乳をあらかじめ用意してあったのだ。そして先ほど利佳子のミルクをたっぷりと飲むと、あわてて帰ってその牛乳を2時間ひたすら飲み続けていた。促成で大きくしたバストはいつも以上にきつかったが、智子は気丈にそれに堪えていた。
「だって、利佳ちゃんまだ飲み足りなさそうだったから」
 利佳子の顔にぱーっと嬉しさがにじみ出ていた。そしてさっそく差し出された智子のおっぱいを口にくわえると、前にも増した勢いでちゅうちゅうと吸い始めた。よっぽど飲みたかったのだろう。
(ああっ、利佳ちゃん、これが――最後のミルクにしてあげるから…。よっく味わって飲んでね)
 利佳子はさもおいしそうに智子のミルクを吸い続ける。
(ああ、久しぶりに、おっぱいがじんじんきたぁ)
 驚くべきことに、利佳子はあれだけ大量のミルクを毎日飲み続けていながら、いつも満足しきれていなかった。あのおっぱい全体が張りつめてじんじんとくる感覚、それを智子のおかわりでようやく久しぶりに味わっていた。
(え、なにこれ…) またもや襲い来る快感の波に抗いながら、智子も利佳子のおっぱいの微妙な変化に気がついていた。なにしろ彼女は今、利佳子のおっぱいの谷間に体ごとすっぽりとはさまれているのだ。信じられないほど莫大なミルクが納められた利佳子のおっぱいが、まるで波打つように揺れ動き、じわじわとさらに智子の身体を締め付けてきた。おっぱいが今まで以上に張りつめていくのを、智子は肌で感じ取った。
(すごい――まったく想像を絶するわ)
 智子のミルクを吸い尽くした時、利佳子のおっぱいは智子の体を苦しいぐらいに締めつけていた。胸からはじけんばかりに湧き出る快感にぼーっとなりそうになるのを必死に振り払いながら、智子は利佳子をじっと見つめた。
「利佳ちゃん、満足?」
「うん、智ちゃん、すっごくよかった。こんなにおっぱいがいっぱいになったの、久しぶり。ありがとう、ほんとうにありがとう。ほら、おっぱいがもうぱんぱんよ。嬉しい…」利佳子がちょっと胸をゆすると、智子の身体は今以上に締め付けられ、そのまま埋まってしまいそうになった。
「ちょ、利佳ちゃ――苦しいよ」
「あ、ごめん智ちゃん。大丈夫?」
 智子はなんとかあふれんばかりのおっぱいの山から顔を出し、一息ついた。
「うん、なんとか。――それでね、ちょっと話があるんだけど…」
 利佳子はなんだろう、と興味深い顔をした。
「なあに。智ちゃんの話ならなんでも聞いてあげる。その前になんだから、ミルク飲んでいってよ。今ならとびっきり濃いのがたっぷり出そうよ」
「ううん。わたし、もう利佳ちゃんのミルクは飲まない。明日もここには来ない。もう――こんなことはこれで終わりにしたいの」
 利佳子は一瞬きょとんとした。智子の言ってることがあまりに思いもかけないことだったので意味が分からなかったのだ。しかし徐々になんとも哀しそうな表情が顔中に広がった。
「智ちゃん…どういうこと? 終わりにしたいって――。そんな、智ちゃんがいなくなるなんて、わたし――」
「違うの! 誤解しないで。利佳ちゃん、わたしだけじゃない、明美も、他の女の子達も、そしてなにより利佳ちゃんに、こんなことは終わりにしてほしいの!!」
「わたしに…?」
「そうよ、利佳ちゃん、利佳ちゃんはこんな状況、ほんとうに満足してるの? こんな外も見えない部屋から一歩も出られず、来る日も来る日もミルクを飲み続けるだけの日なんて――。その片棒担いでいるわたしが言うセリフじゃないけども、本当に――それでいいの?」
「智ちゃん――」
「わたしはいや。なんとかこのくびきから脱したいの。けど――利佳ちゃんのミルクを飲めば牛乳を飲まずにいられないし、胸が大きくなれば利佳ちゃんにミルクを吸われずにはいられない。吸われればまた明日も吸われたくてついつい利佳ちゃんのミルク飲まずにいられないし…。でも、どこかで断ち切らなければ、何も変わらないのよ。だから、わたし、もう利佳ちゃんのミルク飲まない!!」
「そんな、智ちゃんがそんなこと考えているなんて…。ほら、わたしのミルクとってもおいしいわよ。飲んでよ、お願い!!」
「利佳ちゃん!! まだ分からないの? わたしたち全員、あの橋本先生のマインドコントロールにかかっているのよ。先生の開発した薬の実験だかなんだか知らないけど、みんな自分の生活のすべてをそれにつぎ込まれちゃってる。利佳ちゃんは自分の意思でミルクを飲んでいると思っているかもしれないけど、それは絶対違う、みんなあの先生に飲まされた薬の作用なの。いい、利佳ちゃんはミルクを飲んでいるんじゃない。ミルクに支配されているのよ!!!」
「智ちゃん…」
 利佳子の表情からふっと力が抜けたように思った。何かから開放された、智子にはそう見て取れた。
「ね、利佳ちゃん。利佳ちゃんがいきなりいなくなっちゃって、みんな心配してるよ。わたしだって――できることなら利佳ちゃんが無事だって大声で伝えたいよ。けど――こんな体になった利佳ちゃん、誰が信用してくれる? ね、利佳ちゃん、戻ろ、みんなの所に」
 利佳子がうつむいた。その顔はクラスの友達の顔を思い出しているのだろうか。流れがこちらに来た、と智子は確信した。
「――わかったわ。智ちゃんは行っていい。でも、わたしは…」
「利佳子!!」
「だって…。そりゃ智ちゃんは今ここから出て行けばそのくびきから逃れられるんでしょ。でも、わたしは違うわ。ミルクジャンキーを直接投与されたわたしは、一生たくさんのミルクを飲みこまないではいられない。智ちゃんとは違うわ。ミルクに支配されてるっていうならそれでも構わない。わたし、それはそれで幸せだから」
 智子は唇をかんだ。それは分かってる。分かってるけど――なんとかしたいのよ、友達として!
 しかたない、と智子は切り札を出した。
「そう、それじゃあこのまま、一生高畑くんと会えなくってもいいのね」
 反応があった。利佳子の顔はもちろん、大きな胸全体がびくりとするほど跳ね上がった。智子は思わず足をすくわれそうになる。
「な…なに…? 高畑くんがどうかしたっていうの?」必死で平静を装おうとするが、どうしても声が上ずってしまう。
「そうよね。あんなやつ、別にかっこよくもないし、どうでもいいか」
「高畑くんはかっこよくないなんてことない!!」
 思わず言ってしまってから利佳子はハッとした。ついムキになってしまったのが自分でも分かったのだ。
「ほら、もうばれた。利佳子、顔が赤いわよ。もう――分からないとでも思ってた? いったい何年友達やってると思ってるのよ。あんた元々嘘のつけない性格なんだし、隠してたってあんたの気持ちぐらい見え見えよ」
 流れがこっちに変わってきたことを感じ取って、智子は俄然強気に出た。利佳子の知りえない情報を披露しはじめる。
「高畑くん、利佳ちゃんのことすっごく気にしてるよ。何かあったの? いなくなったのは自分のせいじゃないかって端から見てても気の毒なぐらい心配しちゃってさぁ。この1週間あまり、ひとりであちこち探し回ってるんだから」
「高畑くん…」利佳子は自分の顔がぽっぽと赤くなるのを止めようがなかった。智子にばれているのも気恥ずかしかったが、それ以上に高畑くんがそんなにも自分を気にしてくれているということがとてつもなく嬉しくてしょうがないのだ。
 高畑くんに会いたい…。利佳子は強い衝動につき動かされていた。
 よし、もう一息だと智子はたたみかけた。
「ね、高畑くんにも会って、ちゃんと想いを伝えなきゃ、きっと一生後悔するよ。ね、ここから出れば、きっと何かいい方法が見つかるよ」
「いい方法って?」
「ほら、胸を小さくする方法とか…」言ってしまってからハッとした。利佳子の顔がみるみるこわばっていく。
「わたしはいやよ!!」声のトーンが数段上がった。「せっかくこんなに大きなおっぱいになれたのに、それを小さくするだなんて…」
 しまった、と思った。
 利佳子の貧乳に対するコンプレックスは、元々巨乳だった智子には思いもよらないほど根深いものがあった。胸を少しでも小さくするということは、今の利佳子には耐え難いことだったのだと。
 どうしよう――次の手を考えあぐねていると、いきなり思いもしない方向から声がした。
「はい、それまでよ」
 智子はハッとして声の方に振り返ろうとした。しかし利佳子のおっぱいの肉が邪魔してうまく動けない。
「まったくとんでもない事を考えるわね。おとなしく出てらっしゃい」
 橋本先生の声に間違いなかった。どうしてこんな時間に――。
 しかし逃げることすらできない。智子はしかたなくUターンして、利佳子のむちむちと襲いかかるおっぱいの谷間を、相当に長い時間をかけて通りすぎ、外に出た。
 そこには橋本先生が、他に女の子を3人ひきつれて立っていた。
 胸をはだけたままになっている智子の襟をつかむと、そのまま引き上げんばかりの勢いで引き摺った。
「里見さんにさらにミルクを持ってきたことはほめてあげるわ。でも、ここから抜け出そうだなんて考えないことね。ほら、明日はさらに3人増やそうと連れて来たのよ。協力してね」
 そして声高に、「いいわね、里見さんも」と声をかける。しばらく黙っていたけども、結局「はい」と短い返事が返ってきた。
「ほら、明日のためにたっぷり吸いなさい」そのまま智子を利佳子の乳房の先まで引き摺っていくと、口をこじ開けてその乳首に押し当てた。張りつめた乳首から、それだけでぷーんとミルクのにおいがただよってくる。智子はそのにおいだけでたまらずについ利佳子の乳首をちゅーちゅー吸ってしまった。たちまちその奥から、利佳子のいった通り、ことのほか濃くて味のよいミルクが噴き出してくる。智子は本能につき動かされるかのようにそのミルクをむさぼり飲んだ。
「ほら、なんだかんだ言って、飲まずにはいられないでしょう。あしたもこのミルクが飲みたかったら、ちゃんと来るのよ」
 飲みながらも智子の目から涙が一筋落ちていった。なによりミルクを飲まずにはいられない自分がくやしかったのだ。(なによ、いろいろ言ったって、これじゃまるで女王蜂にせっせとミルクを運んでくるただの働き蜂じゃない――。けど、この悪循環を抜け出すためにはわたしひとりじゃだめ。絶対、利佳子自身をまきこまないと――) 智子は誓いを新たにしていた。

 その日の夜、うちひしがれたようになって落ち込んでいる男がひとりいた。高畑だった。もう八方手を尽くして手がかりを探した。この1週間、帰りは毎日深夜だった。しかし――それほどまでしても何の情報も得られない。さすがに万策尽きた無力感にとらわれていた。
(あの日、昼休みに会う約束をしてたのに――一体どこに行ってしまったんだい?)
 ふと、今もかすかに手に残るあの胸の感触を思い出してちょっと照れた。なんとかして今一度里見さんに会いたい、そして――あの胸にさわりたい。最近学校内に急に超乳の女の子が増えていったようだが、里見さんの胸とはどこか違うような気がした。誰一人、彼女のあの存在感には適わないような気がしてしょうがなかった。
 その時、家の電話が鳴り響いた。
「はい」
 出ると、まるで息も絶え絶えになったようなか細い女の声が聞こえてきた。よく聞き取れなくて誰だか分かるまで時間がかかったが――智子だった。(なんで今頃――) 不審に思った。利佳子がいなくなってから、親友である智子には何度も話を聞こうとした。しかし今まで知らない、分からないの一点張りで埒があかなかったのだ。
 しかし今は違った。か細いながらも声に切迫感があり、ただならない雰囲気が電話を通しても伝わってきた。
「お願い――利佳子を助けて…」
「利佳子って…里見さんのことかい? 里見さんのこと、何か知ってるのかい!?」
 しかし智子はまるで高畑の声が聞こえないかのように続けた。「利佳子、高畑くんならきっと助けられる。高畑くんしかいないの」
「いったいどういうことなんだ! 里見さんはどこにいる!!」
「ほとんど知られてないけど、学校の最上階、屋上の出入り口の真向かいに、忘れられた空き室のドアがあるの。お願い、明日夕方5時ごろ、そこに来て…。そしたら、利佳子を助け出せるかもしれない…。高畑くんが最後の頼みの綱なの。遅すぎても早すぎてもだめ。お願い、明日、その時間に必ず来て。最後のチャンスなの――」
「おい、そこに行ったらどうなるんだ、おい――」
 しかしもう電話は切れていた。

 その日の放課後、いつものように超乳を抱え込んだ女の子が利佳子の元へと集まり、1人、また1人と利佳子にミルクを吸い尽くされていった。人数は、きのうよりもさらに3人多い、15人に増えていた。しかしそんな事はおかまいなしといった風に利佳子は次々とミルクを飲み干していく。最後、15人目は智子の番だった。時計の針はあと15分ほどで5時になる。いよいよだわ――。
 その時、いつものように様子を脇でじっと観察していた橋本先生の携帯がけたたましく鳴り響いた。
「はい、もしもし――。え? 今から緊急職員会議? 聞いてませんよ、そんなの!」
 予想外の事態に先生の口調がややとんがっていた。来た!と智子がほくそ笑んだ。利佳子の行方不明の件で急遽職員会議が開かれるのはきのう決まっていたのだが、その連絡を、保健委員である智子が巧妙に隠してしまっていたのだ。橋本先生にとっては寝耳に水のはずだ。
「はい――。わかりました。すぐに伺います」聞いていなかったで済まされることではない。苦々しげに電話を切った。
「それじゃあわたし、ちょっと出てくるけど、すぐ戻るからね。ちゃんとしてるんだよ!」
 ほとんど威嚇にも近い口調で全員に言葉を投げると、先生は大急ぎでドアを閉め、立ち去っていった。
 女の子達は全員、その声にビクリとするように反応した。ただ一人、マインドコントロールが解けた智子だけがひとり冷静に聞き流していた。
(先生、そこのドアは老朽化しててね、そんな風にたたきつけるとちゃんと閉まらないんだよ)
 智子は、歯車がしだいに狂い始めているのを感じていた。

 利佳子のバストは、きのうより既に3割増しぐらいの大きさに成長していた。谷間のトンネルも日に日に長くなっていくし、両側から締め付ける圧力もどんどん強くなっている。このまま行っても、もう何日もしないうちにどうにも通れなくなってしまうだろう。いやそれよりも、早晩この部屋は利佳子のおっぱいでいっぱいに埋まってしまうに違いない。
(いずれにしろ、この実験はもうすぐ終わってしまうものだったのよ)
 智子は利佳子の元にたどりついた。利佳子はいつになく上機嫌だった。
「ああ智ちゃん、まだ智ちゃんがいたのね」嬉しそうににこっと笑った。極上の笑顔だった。「やっぱり一度に3人増えると違うわぁ。もうおっぱいがぱんぱんなの。この上まだ智ちゃんのミルクが飲めるなんて、しあわせ…」
 利佳子は相変わらずミルクを飲める快感にひたっていた。そんな所に水を差すのはちょっとかわいそうな気がしたけども、(でも、利佳子のためでもあるのよ)と頭を振った。
 利佳子に乳首をくわえられると、途端にいつものように恐ろしいまでの快感の波が智子を襲った。心までさらわれそうになるのを必死でこらえながら、智子はこれからの事を考えていた。(ああっ――。だめ、耐えなきゃ…。今、わたしがミルクをすべて出してしまえば、ここにいる女の子全員、胸の中がからっぽになる。ここのくびきから開放される一瞬よ。そこに高畑くんが現れる。橋本先生はまだしばらく戻らない。そこで高畑くんと一緒に利佳子を説得すれば――)
 こらえにこらえて自分を見失わないようにしているうちに、ふっと利佳子の口が智子から離れた。すべてのミルクを吸い終わったのだ。終わってもなお、智子の胸にはじわーんと快感の余韻が声高く鳴り響いている。これだけでも我を忘れてうっとりとしてしまいそうになるほど強烈だった。この快感とも今日でお別れか、と思うとちょっとせつなくなった。
 利佳子は本心に満足そうな顔をしている。
「利佳子、満足?」きのうと同じように訊いた。
「うん。今、ほんとうに久しぶりにおっぱいがミルクで満ち満ちてる気がするの。もう満パイで一滴も入らないって感じ」
 その感覚は智子にも伝わってきた。両側から利佳子のおっぱいがぎゅうぎゅうに迫ってきて、息が苦しいほどだった。
「そう――。よかったわね、利佳子…」
「うん。明日もよろしくね、智ちゃん!」
「ごめん、明日はもうないの」
 え…、と利佳子が暗い顔をした。きのうの智子の話を思い出したのだ。
「智ちゃん…本気?」
「ええ、今日、そのために特別ゲストも呼んであるのよ」

 高畑はひとり屋上の入り口付近をうろうろしていた。今日、智子に会ってきのうの電話のことを確かめようとしたのだが、今日は彼女学校に来なかったし――。半信半疑だったが、どうにも気になってしょうがない。それに里見さんに関する唯一の手がかりでもあったし――という訳で、放課後も残って夕方を待っていたのだ。
 屋上の入り口――。この学校の屋上は危険という理由でもうだいぶ前から立ち入り禁止になっていたし、そのためここまで来る生徒自体ほとんどいなかった。ましてその向かいとなると――そんな所に部屋があること自体、誰も知らないのではないだろうか?
「こっち側かな――。あ、これか…?」
 そこには、汚れてほとんど壁と区別がつかないぐらいだったが、確かにドアらしきものがあった。しかし通常だったらたとえ情報を得てても自分から入ろうとは思わなかったろう。しかし――なんだか完全にはしまっておらず、かすかに中の光が漏れているようだった。
「中に――誰かいるのか?」
 不安に駆られながらも、高畑は一歩一歩そのドアに近づいていった。耳を澄ますと中に人の気配もする――。
 くじけそうになる勇気を振り絞って、高畑はドアを開けて中に足を踏み入れた。思いのほか明るい光が高畑の目を刺す。
 部外者の突然の登場に、中に居た数人の女生徒がざわっとどよめいた。無理もない。なぜかは知らないが誰もが上半身裸で胸をあらわにしていたのだから。あわてて高畑は目をそちらからそらした。そらしたその先には――というかそちらの方が圧倒的に目立っていたのだが、床から天井までびっしりと覆うように白くて巨大なものが部屋の半分以上の空間を占有していた。あまりの大きさに、高畑は最初なんだか分からなかった。光に目が慣れるに従い、徐々にその全貌があらわになってくる。大きいだけでなくとてつもなくやわらかそうだ。そして2つに分かれていて、それぞれの先にはぽっちりと小さな目のようなものがある。そして遠くすぎてはっきり判らないが、その先に人の形のようなものがつながっていた――。
 その時、その遠くの人らしきものが小声で彼の名前を呼んだ。
「高畑――くん?」
 それを耳にした途端、高畑は一気にパニックを起こした。あまりに大きすぎるそれは、あまりに常識からかけ離れていたために探し続けていた利佳子のバストであることを認識できなかったのだ。なんだか分からないがとてつもなく大きくてぶよぶよしたものが自分にせまってくる。名前を呼ばれた途端、その大きなものが自分を圧しつぶそうとしているように錯覚したのだ。
「うわわわわわわわわわわわわ〜〜〜っ!!!!!!!!」
 高畑は完全に自分を見失い、ただただ後方に駆け出していった。怖くて後ろを振り向くことさえできない。たった今入ってきたドアをも駆け抜け、一心不乱に階段を駆け下りていった。

 その行動は智子にも予想外だった。せっかくこれだけ準備して、説得の切り札として呼んだのにいきなり逃げ帰ってしまうとは――。「待って、高畑くん!」利佳子のバストに挟まれたまま、智子はあわてて呼び止めたが、高畑の耳には届きそうにない。利佳子の胸の谷間を縫うようにしてやっと脱出した時には、その姿はどこにもなかった。
 どうしよう――。智子は呆然とした。高畑くんが最後の賭けだった。先生ももうすぐ戻ってくる頃だし、万策尽きた――。
 そう思ってうなだれた時、後ろでただならぬ気配を感じ、智子は振り向いた。

(高畑くん――) 利佳子は智子以上に呆然としていた。自分の許に高畑くんがわざわざ来てくれた。それだけでももう胸が一杯になるほど嬉しかった。なのに――自分が声をかけた途端、高畑くんは振り返りもせずに一目散に逃げてしまった。まるで化け物でも見るような目でわたしを見て――。
 そんな…高畑くん、わたしのおっぱいを気に入ってくれたんじゃなかったの? こんなに大きく立派に成長したのよ。高畑くんに見て欲しい、そして立派だとほめて欲しいのに――。見た途端、逃げ出しちゃった…。
 わたしのこの胸のせいなの? わたしのおっぱい、そんなに変? こんなに大きくて立派なのに――けどそれもわたしの勘違いなの? ねえ、高畑くん、答えて! ねえ、ねえ、ねえ!!!
 その時、利佳子の胸がまるでぎゅーんと締め付けられるような衝撃が走った。それが始まりだった。もともと利佳子のバストの中には限界いっぱいいっぱいまでミルクが詰め込まれ、しかもまったく搾られていない状態だったのだ。それが今、中にそれまでおとなしく納められていたミルクが、いきなり一斉に暴れ出したかのようだった。
(え、何? わたしのおっぱい、どうしちゃったの?)
 利佳子はまだ気づいていなかった。自分が今、初めて自分の大きな胸を強烈に否定していたことを。利佳子は今、生まれて初めて自分の胸を小さくしたいと思った。ミルクジャンキーによって極度の膨乳を繰り返していた利佳子の胸は、その強烈な思いとともに一瞬収縮しようとしたのだ。
 ここまで大量のミルクを飲みこんでいなければそれほどの衝撃ではなかったかもしれない。しかし今まさに限界を超えてパンパンに張りつめていた利佳子の胸にとってはその一石は大きな衝撃となり、中で共鳴を繰り返してますます増幅し、大きな乳房の隅々まで波紋がみるみる広がっていった。
 今まで安定したバランスを保っていた中のミルクもその衝撃を受けて津波のように荒れまくり、利佳子の乳房へのダメージをはるかに広げていった。 利佳子の胸の中で今、ミルクが強力な台風のように暴れまくり、それは閉じた空間の中で際限なく響き渡ってどんどん激しさを増していった。
(ああっ、おっぱいが――おっぱいが――はじけちゃう!!)

 利佳子が苦しんでいる様子は、智子からもはっきりと見て取れた。しかし端から見ているといったい利佳子に何が起こったのか見当がつかない。ただ、部屋の大半のスペースを閉めている利佳子のおっぱいが、利佳子の意思と無関係に跳ね、のたうちまわり、蠢いているのはびんびん伝わってくる。
 本能的に危機を察知しているのだが、どうしても逃げる気にはならなかった。
「利佳子、利佳子、どうしたの?」
「智――助けて――。おっぱいが、破裂しちゃう…」
「利佳子! しっかりして!!」

 その時、部屋にあわててとびこんできた者があった。橋本先生だった。急いで職員会議を終わらせて戻ってみれば、状況は思いもよらない方向に行っていた。
「いったい――これはどういうことなの!?」
「わかりません。利佳子、いきなり苦しみ出して――」
 何もないはずはない、と直感したが、それを問いただしている暇はなかった。一旦狂い始めたバランスはもう元には戻りそうにない。一目見ただけで、一刻の猶予もならないことは明らかだった。
「わかったわ」橋本先生は声を落として静かに言った。「ここはわたしに任せて、後はみんな避難しなさい」
「でも、利佳子が!」
「早く!!」
 智子は、あの一件以来初めて先生が先生らしくふるまったのを見たような気がした。智子たちをむりやり押し出すように部屋から出すと、振り返った。
「わたしの実験は、こんなところで終わるわけにはいかないのよ!」
 大声を出して自らを鼓舞する。とはいえ、本人も、どうしていいのか分かっている訳ではなかった。もがき苦しんでいる部屋いっぱいの乳房を前にして、どうしていいか考えあぐねていた。
(とにかく、何が起こったのか判断して――対策を講じないと…)
「先生、おっぱいが苦しい――助けて…」
「がんばるのよ、里見さん!」
 しかし巨大な乳房の内側から、何やら鳴動のようなものが聞こえてきて、それは床や天井を通して振動となって物理的に先生を襲った。今や、胸の中にたまりにたまったミルクがまるで地中のマグマのように恐ろしいほどの迫力で蠢きだし、今にも地表へとあふれ出そうとしていた。
(あ、乳首が――) ふと利佳子の小ぶりな乳首が目に入った。それはこの胸の中で動き出したミルクの奔流をせき止めるには、あまりに非力に見えた。そう、まるで嵐に巻き込まれた小船のように、今にも我慢の限界を突破してミルクがあふれ出しそうに、細かく震えていた。
(大変、なんとかせき止めないと――) しかし自身パニックに陥りかけていた先生にいつもの冷静はなく、正確な判断力を見失っていた。こともあろうか、まるでわが身を持ってその流れを押し止めようとするかのように、乳首に身体を強く押し付けたのだ。
「はギっ!!」
 利佳子が短く叫ぶ。先生が乳首に与えた刺激は、利佳子にこれ以上ないほどの強烈な快感を走らせた。大きな胸の隅々にまで激痛に似た快感がめぐりわたる。その快感に耐える力は、もう利佳子に残されてはいなかった。
(あ、もうだめ…。がまんできない――イ…っちゃう――)
 乳房の奥底から、どどど、どどど、と今までと比較にならないほどの大きな鳴動が、橋本先生の身体全体にダイレクトに伝わってきた。(え? 何? まさか…) 橋本先生は何かを予感したが、それを自覚する暇はなかった。

 次の瞬間、利佳子の2つの乳房はまさに"噴火"した。文字通り山のようにふくれあがったバストの中に信じられないほどの量が詰め込めるだけ詰め込まれていたミルクが、2つの乳首から巨大な溶岩流のように真っ白な奔流となって爆発的に噴きあがり、鉄砲水となってすべてのものを押し流していった。利佳子の乳首にぴったり張り付いていた先生とて例外ではない。まっ先にミルクの奔流の直撃を腹に受け、何が起こったか認識する暇もなくどこまでも押し流されていった。その時、橋本先生の口が何かを叫ぶように動いたが、それはミルクの音にかき消され、利佳子の耳には届かなかった。ミルクはたちまち部屋に満ちあふれ、老朽化したドアを蹴破って外へとどんどん流れ出ていった。
(あああああっ、気持ち――いい…)
 当の利佳子は、たまりまくったミルクが一気にあふれ出す快感をその小さな体に一身に受け、まさしくこれ以上ないほどの幸福感に満ちあふれていた。ほとんど意識が吹っ飛びそうな状態に何度も陥ったが、その度にさらに強烈な快感が利佳子を襲い、神経を呼び覚ました。気絶もできないほどの強力な快感に身体中を支配され、いつ果てるか見当がつかないほどとめどなく噴き出し続けるミルクの渦の中、利佳子は気が狂わんばかりによがり、いつまでももだえ続けていた。
(さいっ…こう――)