超乳少女 久美子

ジグラット 作
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episode 11 いつの日にか…

 その日の朝、あたりに水音を響かせながら、久美子はひとり風呂場にいた。
 といっても優雅に朝風呂としゃれこんでいた訳ではない。水着姿でバスタブの脇にしゃがみこみ、懸命に手を伸ばして中のものと格闘していたのだ。
 かすかに湯気が立つほどのぬるま湯を張った風呂の中には――ひとつだけでそのバスタブいっぱいになってしまいそうなほどの信じられない大きさのブラジャーが浮かんでいた。久美子は、首から上と手だけを懸命に伸ばして、そのブラジャーを隅々まで丁寧に手洗いしていたのだ。
(なんかいい方法ないかなぁ…)
 そのブラジャーはただ大きいだけではない。分厚いカップや強固なワイヤーでがんじがらめになっていて、手を触れなくてもちょっとぐらいでは形がくずれないほど頑丈にできていた。
 もちろんこんな巨大なもの、洗濯機に入るはずもない。もし無理してこのブラを洗濯機の中に押し込めたとしても、こんなごついもの、動かした途端に洗濯機の方が壊れてしまうのは目に見えていた。それに元々手洗いが必要なほどデリケートなものだったし、結局こんな大きさのものが入る容器と言えば、家の中にバスタブ以外存在しなかった。1日1着、ブラを使い捨てにできたらそんな手間はぶけていいなぁなんて思わないこともないけれど、まさかそんな訳にもいかず(第一そんなことができるような値段のものではないし…)、いつも3着ほどをローテーションしている。たとえ2週間ほどしか使わないものであっても、一度身につけた下着を洗濯もせずにもう一度身につけるのはやっぱり気が引けたし、それにどうしてもブラジャーを他人の手に触れさせるのも抵抗があった。結局2〜3日に1度はこうして風呂場で格闘するしかなかった。
(絶対誰にも見せたくない格好だなぁ、これは…)
 なんでこんな姿勢になってしまうかといえば、バスタブの外側、肩のすぐ下には本物の久美子のおっぱいが、もうバスタブと体の間の空間をすべて埋め尽くしていたからだ。狭いところにぎゅうぎゅうに押し込まれているのが不満そうに、手を動かすたびにはじき返すように暴れまくる。下手すると体のほうが持っていかれそうになってしまう。正直けっこうやりにくい。それに下は冷たいタイルに直に触れてひんやりとして、時間が経つにつれておっぱいから急速に熱を奪っていく。この季節にはちょっとつらいものがあった。

(よし――と) 最初の1着をようやく洗い終えて、久美子はざぶんとブラジャーを水から引き上げた。大量の水をすくい上げそうになり、傾けるとすごい勢いで流れ落ちる。終わってもぽたぽたとあちこちから水滴が流れ落ちてきりがない。
(こうして見ると――すごい大きさだなぁ…)
 さらにシャワーをかけてついた泡をすべて洗い落としていると、目の前にブラジャーがめいっぱい広げられて、久美子の視界を覆ってしまう。その大きさに今さらながら驚いていた。わたしのおっぱい、こんなに大きかったの?とちょっと不思議な気がする。実際のところ、このブラでももうけっこうきつくなってて、つけるのに一苦労してるのだ。頑丈そのものに見えるブラも、よく見るとあちこちがゆがんだりほつれたりしている。久美子の張りつめきったバストを包み込むのは、こんなブラジャーでも想像以上の負荷がかかっているのだろう。まだ3回しか使ってないのに…。
(あと、せいぜい1回ってとこかな)
 それでブラの強度的にも、久美子の胸のサイズ的にも限界がきてしまうことは容易に予想がついた。ブラを新調する、さらに胸が成長する、ブラがきつくなってきてさらに大きなサイズに作り変える…。この2年半ほど、このいたちごっこのような繰り返しが延々と続いていたのだが、それをやらなければ始終ノーブラで過ごさなければならないのだから止める訳にはいかなかった。

 ようやく3つとも洗い終わると、脱衣所に洗いざらしのブラジャーをつるしてスチームを入れた。いくらなんでもこれを外に干す勇気はなかったし、かといって乾燥機にも入る大きさでもない。部屋ごと暖房を利かせて乾かすしかなかった。実際、その目的で脱衣所にスチームを入れたのだ。
 こんな巨大なものを3つも吊るされて、それだけで脱衣所は思いっきり手狭になってしまった。そこからドアに向かうのだけでもちょっと注意が必要だった。限られたスペースを右に左に、突き出た胸をあちこに何度もぶつけながら、ようやく脱衣所から脱出した。

(ふぅ…終わったぁ)
 久美子は思いっきり伸びをした。ずっと不自然な姿勢をしていたから背筋を伸ばすと気持ちいい。しかし身につけてた伸びきっている水着のブラがさらに引き伸ばされて、今にも悲鳴を上げそうだった。
 手持ちの3つのブラジャーをすべて洗ってしまったのだ、当然今の久美子につけるブラはない。洗濯の間身につけてた水着を脱ぐと、素肌に直接長袖シャツを着込み、その上からさらにセーターをかぶった。
 相変わらず、バストは何の支えがなくても挑むように上向き加減に張り出している。かぶっただけではセーターは思いっきり胸のところでひっかかってしまう。なので裾を思いっきり引っぱって引きずり下ろしていった。胸の頂点でずるずると毛糸が音を立ててずり落ちてきてくるのだが、それでもバストはすぐそれに反発するように上を向く。どうにか裾をウエストのところまで下ろし終わったけども、セーターは胸のあたりが思いっきり伸びきって網の目になり、今にも毛糸を突き破ってしまいそうだ。バストの成長速度はますます加速していた。冬の初めに作ったばかりのこのセーターだって、到底冬の終わりまでもちそうにはない。目地がはっきり浮き出るほどに引き伸ばされたセーターを見ながら、久美子はふと思った。
(年明けには――また大台いっちゃいそうだなぁ)
 今年も終わりに近い。この胸、春にはまだ2メートルもなかったのだ。なのに今やもう3メートルを超えようとしている。なんだか自分でも信じられないほどの成長ぶりだった。
(さーて、他の洗濯もしちゃおう)
 留守がちの父親のおかげで、ほとんど一人暮らしのようになっている久美子は、休日はなんだか主婦のような生活になってしまう。それにノーブラでの外出は極力控えるようにしているから、乾くまでは必然的に家の仕事に集中することになってしまうのだ。

 洗濯機に顔を向けかけた時、いきなり玄関のベルが鳴った。
「はーい」
 聞こえるはずないのに、つい反射的に返事をしてしまう。誰だろ、と思ってインターフォンを取り、玄関先のモニターを覗き込むと、そこには年のころは20代半ばといった女性が立っていた。
「もしもし…」その顔には確かに見覚えがあった。
「あーよかった。久美子ちゃんいてくれたぁ」
「え? ひょっとして、ひろ…みさん?」
「そうよ。久しぶりー。ね、開けてくんない?」

 声の主、古川裕美は卓次の正真正銘血のつながった従姉にあたった。3年ほど前に結婚していて、久美子もその式には出席していた。けど――直接会うのはそれ以来になる。
「さっき何回も電話したのに出てくれないからさぁ、けどここまでもう来ちゃってたし、ダメモトで呼び鈴押してみたの。よかったぁ、いてくれて…」
「あ――とりこんでたもので」さっきからブラを洗うのに夢中で、電話なんか気にしてなかった。おそらくその間にベルが鳴ってたのだろう。とにかくドアに向けて駆けていった。

「裕美さん、ごぶさたしてます」
 ドアを開ける。裕美はドア越しに3年ぶりにみる久美子の体が眼に入った途端、その目を丸くした。
「それにしても――ホント大きくなったわねぇ、久美子ちゃん。さすが峰子さんの子っていうべきか――」
 いきなりのご挨拶ではあったけど、卓次同様昔っから知ってる仲なので久美子は気にもしなかった。
「前に、わたしの結婚式に来てくれた時には、まだほんの子供だったのにねぇ。でも、かわいかったよー。もう遠くから見ても浮き上がって見えてくるぐらいとびっきりにね。うちの親戚筋にこんな子がいるのかと嬉しくなっちゃったぐらい」
 部屋に上がってからもこの調子は変わらなかった。無遠慮に久美子のバストを見つめている。
「でもさ、卓次のヤツに聞いてちょっとびっくりしてね」
「え? タクが何か言ったんですか?」
「そうよ。こないだ久しぶりにあいつに会ったらなんか変だったから容赦なくツッコんでやったの。そしたら――久美子ちゃんの胸のこと言ってさ。あいつ、平静装ってたけどずいぶんショックだったみたいよ。(ムリないよね。必死で隠してるけど、あいつ、真性のおっぱい星人なんだから。こんな超乳いきなり見せられちゃね)」
「え? なんか言いました?」
「あ、なんでもない。気にしないで」
「で、今日は突然どうしたんです? まさかわたしの胸を見にきたんじゃ…」
「やぁねえ…。これは近くまで来て思い出したから…。それでね――実はお願いがあるんだけど…」
 裕美はくるっと背中を久美子の方に向けた。それまであんまり静かだったので気にならなかったけれど、背中には、おそらくまだ最初のお誕生日も迎えてない赤ちゃんが丁寧にくくりつけられたまますやすやと眠っていた。
「え、その子、ひょっとして…」
「そ、わたしの子、拓美よ。やっと8ヶ月になったとこなんだけどさ。寝てる間はこう静かなんだけど、目を覚ましたらうるさいわよー。1分だってじっとしてくれないんだから。最近ハイハイ始めたもんでさらに輪をかけちゃって――ほっとくとほんとどこ行っちゃうかわかんないの。やっぱり男の子よね。やんちゃでしょうがないわ。で、ここに来たのは――お願い、夜までこの子預かっててくんない!!」
「え?」
「急に行かなくっちゃならなくってさ…。こんな時に限って旦那は仕事だし、他にあてがないのよ。お願い!」
「で、でも…」
 久美子は即答できなかった。正直言って赤ちゃんを扱ったことなんてない。どうしていいか分からなかったのだ。

 久美子が答えに窮していると、その間に拓美くんが目を覚まし、とたんにぐずり出した。
「なに、もうおっぱいなの? しょうがないわねぇ」
 ためらうことなく、裕美は久美子の前でぺろんと服をめくてみせた。中からよく張りつめたおっぱいが現れる。
「不思議なもんでね、この泣き声聞くと途端におっぱいが張ってくるのよ。もうミルク出したくてしょうがなくなっちゃう。他の子が泣いてても全然平気なのにね…」
 その小さな手が触れた途端、その先からぴゅっと白い筋が勢いよく飛び出して久美子の許まで飛んできた。
「あ、ごめん…。うちの家系ははみんな揃いも揃って貧乳ばっかりでさぁ。わたしだってこんな胸でおっぱい出るのかなぁなんて心配してたのに…。案ずるより生むが易しね。こんなにパンパンにおっぱいが張っちゃって、こんなわたしでも今やEカップよ」一心にちゅぱちゅぱおっぱいを吸うわが子をいとおしそうに眺めながら、ちょっと視線を久美子の胸にやった。「――ね、いずれ久美子ちゃんに子供ができたら、そのおっぱい、どうなっちゃうのかなぁ…。すっごい興味あるわ」
「え…そんなぁ、まだまだ先だよ」
「どうかなぁ、久美子ちゃんはけっこう早いんじゃないかって気がするんだけど。峰子さんが久美子ちゃん生んだのだって、たしかまだ大学在学中だったんでしょ。だからあともうほんの3〜4年もしたら…」
「えーっ、どうかなぁ…」
 久美子は正直なところ全然実感が湧かなかった。なんとなくまだまだずーっと先のような気がしていたのだ。でも、自分の母親のことを聞かされると、なんだか言い返せない気がした。
 お腹いっぱい飲んで満足したのか、拓美くんはまた静かになった。裕美さんが抱きかかえて背中をぽんぽんと叩くと口から小さなげっぷが漏れる。もう何百回繰り返したか分からない手馴れた動きだった。
「ねえ、これ一体、何センチあるの?」
 腕の中でまたとろとろとし始めた拓美くんを抱えたまま、裕美はまた興味津々な眼で久美子の胸を見つめた。
 きのう学校に行って測った時を思い出していた。正月はさすがに学校に入れないからと、使える最終日にであるきのう、今年最後の計測をしてきたばかりだったのだ。
「298センチ…」口に出してみて自分でもなんか信じられなかった。16になったあの日から数えて9ヶ月で、もうぴったり1メートル大きくなってるだなんて…。
「にひゃ――」裕美もその数値を聞いて言葉を失い、信じられないような目でまじまじと久美子のバストを見つめ返すだけだった。

「ま、おっぱいはミルクが出てなんぼよ。母親になるとつくづくそう思うわ」まるでショックを振り払うかのように、裕美は誇らしげに自分の胸をなでた。再び拓美を寝かしつけると、今度はコップをもらうと自分の胸のそばに置いた。
「わたし、母乳の出だけはいいんだから」にこやかに頬笑むと、まだたっぷりと張りつめいる自分のEカップの胸を揉みしだいた。最後にきゅっと乳首を搾りあげると、勢いよくミルクが噴き出てコップの中に溜まっていく。
「ほうらね」
 間もなく一杯になったコップの上にラップをすると、冷蔵庫の中に入れた。「これ、ミルク欲しがったら飲ませてね。じゃあ行ってくるから」
「え、裕美さん! まだ…」
 しかし裕美はもう聞いちゃいない。わが子がまだすやすや寝ていることを確認すると、裕美はチュッと拓美くんのほっぺにキスをして、なにやら嬉しそうに立ち上がった。
「それじゃお願いね、なるべく早く帰るから」
 一刻の猶予もない、と言わんばかりにさっとドアから姿を消してしまった。

「行っちゃった…」
 残されたのは拓美くんと久美子の2人っきりだ。仕方がない。まだ目を覚まさない拓美くんをじっと観察した。自分の家なのになんとなく落ち着かない。拓美くんはお腹がくちくなってまた寝てしまったが、いつまた起き出すか分からないのだ。
(でも、かわいいなぁ)
 言い古された言葉だけど、その顔はほんとうに天使みたいにかわいらしかった。少なくとも寝ている間は。久美子はついついじっといつまでも見つめていたかった。
(こんなちっちゃいのに――指の先までちゃんとひとそろいあるんだもんね)
 実際、その体は久美子のおっぱい片方よりもはるかに小さかった。なのに一人分の肉体としてちゃんとしてるのが、あたりまえのことなのに――なんだか不思議な気がした。

 しかしそんな時間は長くは続かなかった。いきなりぱちっとその目が開くと、きょろきょろとあたりを見回し始めたのだ。見慣れぬあたりの景色にとまどっているらしい。泣くかな?とちょっと身構えたけども、意外と平気そうに誰それ?って目で久美子を見つめていた。
「おはよ〜。久美子おねえちゃんですよー」
 そんなつぶらな瞳で見つめられたら、ついつい赤ちゃんことばになってしまう。自分でもちょっと背中がむずかゆかったけれども、不思議といやではなかった。
 しかし裕美の言ってたことは嘘ではない、と5分後には実感していた。ひとしきりあたりを観察し終わったと思ったら、いきなり両手足を懸命に動かし始め、1分どころか1秒たりともじっとしていなかった。見慣れない部屋に興味を惹かれたのか、縦横無尽に這いずり回る。
 ほんとうに手当たりしだい、なんにでもぶち当たっていくように突進する。大人にはなんでもない、ちょっとした窪みや出っ張りですら、面白くってしょうがないらしかった。ちょっと目を離した隙にとんでもない所まで行っていて、ほんとうに気を抜けない。
「ほらほら、そっちは危ないわよ」
 その度に久美子は駆け寄って手で制したりする。
 スタミナには絶対の自信があった久美子だけど、さすがに本物の子供にはかなわない。いちいちその動きにつき合っていたら、慣れないこともあってだんだんくたびれてきた。
「ちょ、ちょっとたんま。待ってよー」
 久美子が腰を下ろしてほっとひと息つくと、その時事件は起こった。気づかず通り抜けようとした部屋の隅の出っ張りに、思いっきり頭を打ちつけたのだ。ごつんと頭蓋骨に響きわたるような音が聞こえてきた。
 ハッとして久美子がそちらを見ると、一瞬きょとんとしていた顔がみるみるゆがんでいき、雷のように泣き出した。
「あぁぁ、やっちゃった。ごめんごめん…」
 駆け寄って抱きかかえようと両手を伸ばした時、ハッと気がついた。いくら手を伸ばしたってその間には自分のおっぱいがぎっしりと占有していて、抱きかかえる余地などあるはずなかった。
(これじゃ――無理ね)
 しょうがないので左手だけをのばしてひょいと腰からすくうように抱え上げる。手と胸の間に挟まれるように、その小さな体が抱きかかえられた。
「ほーら痛くない痛くない。もう大丈夫だからねぇ」
 内心どうしていいかわからずパニクりながらも、自分の胸越しに右手で今ぶつけた頭をなでまわしながら、なんとかしてあやそうとする。不安が表に出て手に力がぎゅっと入り、ついついその体をおっぱいに圧しつけるようにしてしまう。しかしどうしたことだろう。おっぱいの感触に安心したのか、次第に泣き声は小さくなり、いつしかご機嫌になっていくようだった。今はもうきゃっきゃっと両手を伸ばしておっぱいに掴みかかろうとしている。
(ああ、よかったぁ)
 久美子は深く考えるでもなく、なんとか困難が去った安堵感でほっとしていた。

 しばらくして完全に落ち着いたのを見計らって、そっとまた畳の上に戻す。それから少しの間はなんだかきょときょととしていたが、次第にまた不機嫌になってきて、とうとう泣き出してしまった。
 久美子はまた大慌てで様子を見る。
(おむつ――ではないみたいね。じゃあお腹すいたのかな)
 冷蔵庫の中にはさっき裕美さんがしぼっておいた母乳が入っている。それをあっためて哺乳瓶に詰め、人肌まで冷めるのをじっと待っていた。ようやく飲み頃になって飲ませようとしたが、拓美くんはどうしたことか哺乳瓶には目もくれず、なぜか久美子のおっぱいばっかりさわろうとする。
「ほぉらぁ、そっちじゃあないって――。裕美さん、いつも母乳だからかなぁ。こっちだと思っちゃってるんじゃ…」
 左手でまたひょいと抱きかかえる。胸に抱えようとすると、自分の巨大なおっぱいがじゃまになって哺乳瓶を与えられないので、しかたなく胸の上に乗っけるようにして哺乳瓶をくわえさせた。久美子のおっぱいは、ノーブラであっても、赤ちゃんひとりぐらいの重さではびくともしなかった。
「ほらおいしいでしょ。ママが拓美くんのためにしぼっといたミルクだよ」
 拓美くんも久美子のおっぱいの上が気に入ったらしい、おとなしくこくこくと哺乳瓶からミルクを飲んでいた。
「えと、飲み終わったげっぷさせるんだよね」
 哺乳瓶を離すと、拓美くんをまたおっぱいの脇に抱えるようにする。手の高さに注意しないと、小さな体がすぐにおっぱいの中に埋もれてしまいそうになってしまい気が気でない。
(そっか、おっぱい大きいと、両手で胸に抱きかかえるってことできないんだな…)
 そんなことを考えながら、どうにか器用に、二の腕に腰を乗っけた状態で、その掌でとんとんと背中をたたいてみる。
(こんなんでいいのかな?)
 しかしなかなかげっぷしてくれない。不安になってきてちょっと手に力をこめたら、げっぷしたのはいいけども勢いあまったらしくさっき飲んだミルクを少し吐き出してしまった。
 ミルクが久美子の胸の谷間に落ちる。
「わっ」
 あわててあやうく手を離してしまいそうになった。ミルクが胸に入ったのももちろんだけど、それより拓美くんは大丈夫だろうかと様子をみた。しかしもうけろりとして元気そうだ。ミルクに満足したのか、またとろとろと眠ってしまいそうだった。
(よかったぁ…) 久美子はタオルを出してきてを胸を拭き取ろうとしたが、もうミルクが胸の谷間の奥に染み入ってしまって、服を着たままではとりきれなかった。
(うー、お風呂入りたいよー)

(とはいえ…) 今、拓美くんを放り出してひとりお風呂に入る訳にもいかない。どうやら寝入ってくれたとはいえ、いつまた暴れ出すか分からないのだ。
 それに、ひとつ心配になってしょうがないことがあった。
(おむつ、替えたことないんだよね)
 さっきはそうではなかったが、そのうちきっとやることになるのだろう。正直まったく自信がない。
(今のうち――練習しといたほうがいいのかな)
 拓美くんが完全に眠りに落ちるのを待って、それからおそるおそる、その腰につけたおむつをはずしにかかった。この時も自分のおっぱいに遮られてほとんど手探りだったが、さわってみるとその体はぐにぐにとやわらかく、精密な細工物を扱うように慎重になった。
(あは、かわいい)
 どうにかはずし終わると、その下からちょこんとした突起が現れる。男慣れしてない久美子でも、赤ちゃんの股間のものは素直に受け入れられた。
 しかしいくらかわいらしくてもそれはとんでもない飛び道具である事をうっかり忘れていた。いきなりむきだしにされたのが呼び水になったのか、ちょっと体をぶるっと震わせると、小さなホースの先から、いきなり勢いよく放水されたのだ。
「わっ」
 かぶさるようにすぐそばに寄っていた久美子の胸にそれは直撃してしまった。思いっきり的が広いから、それは着ていたセーターに1滴残らず吸収されてしまったのだ。
(わー、もう)
 思いっきりおしっこを吸い込んだ胸のあたりがびしょびしょで気持ち悪い。
(もう、お風呂入らなきゃ。でも…) 急に下半身がすーすーしたせいだろう。拓美くんは目を覚ましかけていた。この子から少しでも目を離すわけにはいかない。裕美さんがあんなに必死に頼んだのもよくわかる。
 拓美くんは自分が何をしたかも分からない風で笑っている。久美子はその純真な笑顔を見て、仕方なさそうに笑った。
「しょうがないなぁ、一緒に入る?」

 さっそくバスタブにお湯を張りに行く。けど脱衣所にはまだ朝洗ったブラが吊るされたままになっていた。(うーん、まだちょっと生乾きかな) ひとつを手にとって乾き具合を確かめる。しかしいつまでもこうしてても邪魔なだけなので、スチームを切ってブラを取り込むと、とりあえず重ねて脇の脱衣かごに置いた。お湯がたまったところでひょいと拓美くんを抱え込んで脱衣所に入った。いつものように服を脱ごうとすると――すぐそばでじーっとこちらを覗う視線を感じた。思わず振り向くと――拓美くんが、つぶらな瞳で久美子の胸を喰い入るように見つめていた。右手の人さし指をもの欲しそうにくわえてちゅぱちゅぱ言わせながら、まばたきひとつしていなかった。
(もう…。これはママのおっぱいじゃないんだからね)
 一刻も早く脱いじゃいたいのに…。構わず胸から服を引き抜くと、中からぶるんとまた一段と大きくなったバストが顔を出した。拓美くんの目がびっくりしたようにひとしきり大きくなる。

「さ、入りましょう」
 拓美くんをまた片手で抱えあげて風呂場に向かう。どうしてもその体がおっぱいに密着してしまう。拓美くんは自分の体よりはるかに大きなおっぱいに直接触れて興奮したのか、小さな手をめいっぱいに伸ばしてあちこちにわにわとさわりまくっていた。
「やだっ、拓美くん、くすぐったい」
 久美子も、その予期せぬ攻撃にちょっと意識してしまった。
(あ、そういえばわたし、生まれて初めて男の子と一緒にお風呂入ってるんだ)
 妙なことを考えてしまった。何言ってるの。相手はまだゼロ歳の子供なのよ。ママのおっぱいが恋しいだけじゃない。
 しかし拓美はなにやらきゃっきゃとすごい嬉しそうに久美子のおっぱいをいじりまわしていた。
「やめなさいって。これはおもちゃじゃないんだからぁ」そんな事を言ったって通じっこないのに、言わずにはいられなかった。

 久美子が湯船に体を浸けると、水面に巨大な島が2つぽっかりと浮かびあがった。それはもうなんとか手で押し沈めようとしても徒労に終わるほど強力な浮力を持っていた。
 しかし拓美はそれを見て、ますます嬉しそうにはしゃぎまわっている。目の前に、久美子の超特大のバストが湯船にぷっかりと浮かんでいるのだ。その大きさたるや、片方だけで拓美の体の何倍もありそうだった。
 湯船の中で、まるで必死になっておっぱいにしがみつこうとするんだが、そのちっちゃな両手をどんなに拡げてもぜんぜんつかみきれなくって、しかも濡れた素肌はつるつるとすべりやすくなっている。
 そしたら今度はなんとおっぱいの上に自力で乗り上がろうとした。湯船にたゆたう2つの浮島は、拓美ひとりの体重を乗せてもびくともしない。しかしつるんと張りつめた久美子のバストは平らではない、すべすべとした球面に足を取られ、バランスをくずして湯の中に落ち込みそうになった。
「あぶない!」
 久美子は手を伸ばそうとするが、胸が邪魔で届かない。だぶん。大きな水音とともに小さな体が沈みかかった。
「大丈夫?」あわてて水中でキャッチして水面まですくい上げると、案外大物なのか、新しい遊びのようにけらけらと笑っていた。
「よかった」ほんと、この子といると気の休まる暇がない。でも、その笑顔はそれでも何にも換えがたい貴重なものに見えた。
 しかし気を抜くのは早かった。偶然目の前に来た久美子の乳首に、拓美は目を輝かせた。
「きゃっ」久美子の声が途端に1オクターブも跳ね上がる。拓美が久美子の左の乳首にいきなりむしゃぶりついたのだ。今までにない感触だった。拓美くんも喰らいついたら二度と離してなるものかとばかりに死にものぐるいでちゅーちゅーおっぱいを吸おうとする。
「だ、だめだったら…」
(だめ…あ、やめてったら、そ、そこは…は…あ――だめっ!)
 なんだか胸の奥から、何かとんでもないものを揺り起こされるような気がして、あわてて胸を大きくゆさぶってしまった。バスタブの中でいきなり激しい嵐が吹き荒れる。拓美の小さな体はなすすべもなく振り払われてしまった。
 こつん。音を立てて頭をバスタブに当てたと思ったら、前触れもなく火がついたように泣き出した。
「あ、ご、ごめん!」あわててまた自分の胸の脇に拓美くんを押し抱えた。
「でもね、だめよ、もう…。いくら吸ったってまだミルクなんか出ないだから、このおっぱいは」
 仕方ないのでまたおっぱいの上に乗せて頭をなでてやると、不思議なもんでまた機嫌がみるみるよくなっていくようだった。
(間違いない。この子、おっぱいが大好きなんだ)

「あったまったねー」
 お風呂から上がると、久美子は手早くTシャツとGパンだけを身につけて拓美くんを抱きかかえた。じっくりブラジャーをつけている時間なんてない。素早く拓美くんが湯冷めしないようにと、敷いたタオルの上に寝かせつけておむつつけに挑戦した。しかし、やっぱり手を伸ばすとまた自分のおっぱいでその小さな体を押し潰してしまいそうになってしまう。なにせ自分の胸が邪魔で、手元がまるっきり見えないのだ。慣れてない上に手探りでの作業に思いもかけない時間がかかった。
「あん、ちょっとじっとしててね、拓美くん」
 拓美はその間も少しも一瞬も休み泣く手をばたつかせていた。久美子からは見えなかったが、目の前でゆらゆらと揺れるノーブラの胸に、拓美くんは大喜びだったのだ。あともうちょっと自分の手が長かったら思いっきりそのおっぱいにさわれるのに――と思ったかどうかは知らないが、とにかく大興奮だった。
 なんとかおむつを穿かせ終わると、今度は肌着だ。久美子はまたひょいと胸の上に拓美くんを乗せると、自分の胸の上で着せ始めた。いろいろやってみたけど、なんだかんだ言ってこの方法が自分にとっては一番やりやすい方法だと痛感したのだ。
(それにおっぱい触ってる間は拓美くんもおとなしいしね。やっぱり赤ちゃんっておっぱいがなにより好きなのかな)

 着替えの終わった拓美くんがすうすうと寝息を立てている。久美子はその上から折り重ねたタオルケットをかけてやり、そのすぐそばで横になりながら、じっとその様子を観察していた。大人しくしてると、その顔はやっぱり天使のようだった。
(ふふ、かわいい…。わたしも、いつかはこんな風に子供を生むんだろうな…)
 いきなりの疑似体験だったけども、いつか自分も…と考えると貴重な経験だったかもしれない。その時になったらどうすればいいのか、ちょっとだけだけど分かった気もする。
 おだやかな気持ちになっていると、ふと先ほど裕美さんが言った言葉が思い出されてきた。
 ――いずれ久美子ちゃんに子供ができたら、そのおっぱい、どうなっちゃうのかなぁ…。
 気にならないと言えば嘘になる。ただでさえ今もなおすごい勢いで大きくなり続けているのだ。結婚して子供を生む頃には、この胸、どこまで大きくなってるのだろう。そしてこのおっぱいからミルクがあふれ出してきた日には…。
(――すっごいことになるんだろうな)
 この夏、母から聞いた話を思い出していた。
(このおっぱいが、いきなり倍以上の大きさになったりして――って赤ちゃん抱けないよー)
 久美子は、自分の目の前がおっぱいでいっぱいになってしまい、前にいる自分の子供ですら見えなくなってしまう姿を想像して、ちょっと暗い気持ちになってしまった。
(こんなわたしが、お母さんになんかなれるのかなぁ…)
 ま、いつになるか分からない事を心配してもしょうがない、と暗い考えを振り払い、気疲れから目を閉じると、いつしか、拓美のすぐ横で久美子もうとうとと眠りに落ちていった――。

「ふがーっ、ふがーっ」
 何やら下の方でなにかが懸命に蠢いている気がして目を覚ました。(何よ、もう…) しかし目を開くと、いつの間にか自分のおっぱいの下に拓美が完全に覆われ、下敷きになっているのに気づいた。
(た、大変…)
「ご、ごめんねぇ」窒息しかけたのではないだろうか、と慌てて体を起こしてみると、拓美くんの小さな体はものの見事に胸の谷間にすっぽりと埋もれていた。あわてて引き出すと――体中を真っ赤にしながらうめいていた。
 息が苦しい、というよりなにやら思いっきり興奮しちゃったらしく、息を止めんばかりの勢いで懸命に手足をばたつかせて、いつまでも止まらなかった。
「どうしたのー、ね、こわくありませんよー、ほらほら」
 また胸の上に抱え上げて、高い高いとかしてあやしてみるのだが、一向に納まる気配はない。どうしようかと本当にパニックを起こしかけたところで、ドアのベルが鳴った。
「ごめんねー、遅くなっちゃった。拓美のやつ、元気してるー?」
 インターフォンから裕美さんの声が響く。久美子は体中の力が抜けていくような気がした。

 やはり母親は偉大と言うべきか、裕美さんの手にかかると、拓美くんも間もなく落ち着きを取り戻してきた。
「やっぱり長居はできないね〜。おっぱいがどんどん張ってきちゃってさぁ」と胸を出すと、またお腹がすいていたのか拓美くんはまた必死でへばりついておっぱいを吸い始めた。張りつめたおっぱいの中に溜まりまくった母乳を吸われて、裕美さんもなんだか気持ちよさそうだった。久美子はその様子を、自分にはないものを見るように見つめていた。飲み終わると、拓美くんはまたすやすやとおだやかに眠り始めた。
「ごめんなさい…」
 久美子は申し訳なさそうに謝る。あやうく拓美くんを窒息させてしまうところだった。できることなら目の前から消えてしまいたい…。
「あ、気にしないで。この子、時々興奮してああなっちゃうことあるのよ。小児科の先生にも訊いたけど、ま、大したことなかろうってことだから」
「すいません…」
「こっちこそごめんなさいね。思ったより時間がかかっちゃって。でも久美子ちゃん、初めてって言ってた割にはうまくできたんじゃない。ミルクやっておむつかえてお風呂にも入れてくれて――なかなかいきなりそうはいかないものよ」
「いえ、ほんとあわててばっかりで――全然」
 裕美さんはおだやかに眠る子供をじっと見つめていた。そして、ちょっといたずらっぽく笑うと久美子にこう話しかけた。
「ねえ久美子ちゃん、こいつに襲われなかった?」
「え? べ、別に…」
「いやーこいつなんでか知らないけど女の子のおっぱいが好きでね。近くに若い子がいるとその胸をやたらさわりたがるのよ。母親がそばにいてもそっちのけでね。――わが子ながら将来が思いやられるわ」
「え――」
「で、さっき言った時々なる興奮状態ってさ、決まってそういう風におっぱいさわりまくった後に起こるのよ。まったく誰に似たんだか…」
 なんだぁ。なんかふっと気が楽になるような気がした。
「で、おかげでさ。見てよ、この成果。大漁よ!」
 久美子の目の前にどさっと戦利品を置いてみた。
「あの、裕美さん――急用って、ひょっとして…」
「そ。デパートの歳末大バーゲン。しかも最終日の今日は全品さらに半額の大出血価格だったのよ。これを見逃さない手はないでしょう!」
 本日の成果を得意げに見せてまわる裕美を前に、力が抜けるとともに、その嬉々とした様子に文句を言う気も失せていた。
(やっぱり大変だもんなぁ。どんなに可愛くても…子育てからたまに開放されるって、すごい嬉しいんだろうなぁ)

 そのスリムな体のどこにそんな力があるのか、と思うほど、山のような買い物品と拓美くんを一度に抱えあげると、裕美さんはひょいと立ち上がった。
「じゃあほんと、今日はありがとね」
「いやこちらこそほんと、勉強になりました。こちらこそお礼したいぐらいです」
「ほんとにそう思ってくれる?」裕美さんは再び荷物を置くと、意味深な笑顔を浮かべた。「それじゃお言葉に甘えて…あのさ久美子ちゃん――やっぱりさ――ひとつお願いがあるんだけど」
「え、ええ…なんでしょう」
「ね、一度、一度だけ、服の上からでいいからさ…。その胸、さわらせてくれない? どーしても信じられなくてさ、そのふくらみの中に、おっぱいが全部詰まってるのかって…」
「え――!? は、はい…」
 裕美さんは一旦拓美くんも下ろして身軽になると、おそるおそる手を伸ばして久美子の胸に掌を押し当てた。
(うわ、何これ…すごい。やわらかいのに…手が押し返されてくる…うわ、ほんとに全部おっぱいだ。それもこんなにぎゅうぎゅうに――詰まってるぅ!!!)
 手を小刻みに絶え間なく移動させながら久美子のバストを隅々までさわりまくった。その手つきはなんとも言えずねちっこい。
「あの、裕美さん…、もう、いいでしょうか」
「ごめんね、あと、もうちょい、1分だけでも…」
 そう言いながら、その手にはますます力がこめられていく。その感触は、大きさこそ違えなんだかさっきの拓美くんの手つきとよく似ているような気がした。
(拓美くんのおっぱい好きは、実はお母さんの遺伝じゃないのかなぁ)

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「久美子ちゃん、この前はいきなり無理言って悪かったわね。おかげで助かったわ」
 年明け早々、裕美さんから電話がかかってきた。
「いいえ、そんな…」
「でさ――」ひとしきり挨拶を交わした後、何か言いにくそうに言葉をにごした。
「どうかしたんですか?」
「――あの日、拓美のやつ、あんたに何かしなかった?」
「ううん、いい子にしてたわよ。どうして?」
「いや、拓美がさぁ、最近おっぱいやろうとしても時々なんか不機嫌な顔をするのよね。おなか空いてるのは確かなのに、こっちがいくら胸を出してもこんなんじゃやだって言わんばかりでさぁ、全然吸ってくれないの。こっちはミルクがおっぱいに詰まっちゃって苦しいし、母親としてなんだか情けないし――。それがどうもあの日からなのよねぇ。ねえ久美子ぉ、あの日、なんか変なことしなかったぁ?」
(ひょっとして、あの時の事が…?) 妙なトラウマを与えてしまったのかもしれない、とふと思い立った。
「ううん、別に」だからってそんな事言えっこない。
「そう…。ごめんね、変なこと言って」
「ううん。また遊びに来てくださいね、拓美くん連れて」久美子は電話の向こうで相手に気づかれないよう静かに苦笑するしかなかった。