Capriccio in "F"〜不二子をめぐる綺想曲

ジグラット 作
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2.次元編

 そのパーティ会場には、きらびやかではあるがどこか醒めた空気がそこはかとなくただよっていた。贅を尽くした装飾に料理、一見すべてが満ち溢れているように見えるが、なんだか人の心を根源的に揺り動かすような活気には欠けていた。
 しかしそんな中、ある一角では輝くような華やかさと静かな熱気がにわかに湧きたっていた。
 その熱気の中心に立つのは一人のまだ若い女性だった。その若さにもかかわらず、彼女はまさしく大輪の花のようなオーラを放射してまわりを照らしているように見えた。
 非の打ち所のない美しく整った容貌、スラリと伸びた足、肉感的なヒップ、これ以上ないほど引き締まったウエスト…。どれも他に例えようもないほど一級品だったが、それでもまわりの人の目は、どうしてもある一点にのみ注がれてしまっていた。
 ――すごい…。
 ――あんなに見事な胸、見たことがない…。
 ――まるで、マッターホルンをふたつ抱え込んでいるようだ…。
 そう。男性はもちろん、女性をも彼女の胸に注視せずにはいられなかった。
 女性の名は峰不二子。まさしくいるだけでその場の主役になってしまうだけの圧倒的な求心力を持っていた。
 不二子はパーティにふさわしく、真紅のワンピースのドレスを着込んでいたが、素肌にぴったりと張り付くその服は、彼女の身体の線をいやおうなく浮き上がらせていた。そして、スレンダーな体型の中でただひとつ、その胸だけがとてつもなく大きく盛り上がり、巨大な山のようにそびえ立っていた。
「マドモワゼル、お飲み物は」
「ありがとう、いただくわ」
 給仕が差し出すトレイの上から、一番手近のグラスを優雅に取り上げる。そのグラスを片手に持ったまま飲むでもなく、不二子はさらにパーティの中心部へと歩み寄っていった。
 その様子はそつがないと言えなくもないが、まわりの視線が皆自分の胸に釘付けになっているのをよそに、そんなの気にしてなんかいられないと言わんばかりのどこかそっけなさも感じた。
 それに先ほどから、不二子は自分の胸のあたりをさかんに気にしていた。もちろん皆の視線が刺さるほどに胸に集中していることもあったかもしれないが、そういう事にはもう慣れている。不二子が気にしているのはまた別の理由からだった。
(どうしたんだろう、今日はおっぱいが…なんか妙だわ)
 そう、先ほどから胸がどんどん張り詰めてくるような気がして仕方がなかったのだ。
 不二子はさりげなくドレスの胸をたぐって、少しでも余裕がでるように試みていた。そのドレス自体はつい数週間前にオーダーメイドで作ったばかりのものだったのだが、たっぷりめのサイズで作ったにもかかわらず、今はもう胸の辺りの生地が限界まで伸びきっている。
 不二子のバストは、あれからもさらに急激に大きくなりつつあった。まるで日に日に大きさと重みを増していくようにすら見える。
 あの時――そう、ルパンから「アステカの赤い星」をかすめ取ったのは冬の終わりの頃だった。あれから春を過ぎ、少しづつ夏の気配が近づきつつあるその間に、不二子の胸はもう30センチ以上も膨らんでいた。ついこの間測った際のバストサイズは243センチ――おそらく今測ればさらに数センチ上乗せされているだろう。その上、今朝ほどから妙に胸が張ってきてしょうがなかったのだ。この急激な成長が始まってからの間、彼女のバストは常に張りつめ続けていたようなものだが、この張りぐあいはそれとはまた感じが違っていた。しかもここにきて、刻一刻とその張りつめ方が強くなってくるような気さえする…。

 しかし不二子は表面的にはそのような事はおくびにも出さず、カクテルグラスを手に、出席者の間を縫うように歩いていき、知り合いの顔を見つけると挨拶をし、軽く二言三言会話を楽しんだ。
 不二子がそばによると、誰もがその美しさと迫力に少なからず動転してしまい、まともに応対できる者は少なかった。不二子もその様子を確かめるようにすると、またすぐ立ち去って出席者の中にある顔を捜して目で追った。
(ルパンはどこにいるんだろう…)
 不二子が手に入れた情報によれば、ルパンはこのパーティに来ているはずだった。だが何度見回してもあの忘れようにも忘れられない特徴的な顔は見当たらない。変装してるのかも――だとすると少々やっかいだわ、と不二子は思った。ルパンの変装は完璧で、不二子と言えども見破るのにはいささか骨が折れる。これだけの数の人の顔をそれぞれ丹念にチェックしてくのは――今は時間が惜しすぎる。

「ルパンを探してるのか?」
 今一度全員の顔をひとりひとり眺め回してた不二子の耳に、これまた聞き覚えのある声がいきなり入ってきた。思わず声の方向に顔を向ける。
「次元…」
 意外だった。次元は元々こういう場所に好んで出てくるタイプじゃない。酒を飲むなら部屋でひとりバーボンを空けてるほうが何倍もまし、と常日頃言っているような男なのだ。
 格好もまったくそれらしくない、というかいつも通りのくたびれたボタンダウンのシャツに薄汚れたジャケットを着こみ、シャンデリアの光をこわがるかのように目深に帽子をかぶり、目はほとんどその縁の影に隠れていた。
「どうしたの、次元。珍しいわね。こんな所にきて。で、ルパンはどこにいるの?」
 それを聞いて次元の口元がニヤリと笑った。
「ルパンなら来ないぜ」
「来ないって…そんなはずは――」
「それよりなんでお前がそんな事を知ってるんだい。ルパンが来るって。それともルパンがおととい盗んだ王冠でもかぶってみんなに見せびらかしに来るとでも思ってたのかい?」
 あた…。不二子の美しい口元が一瞬ゆがんだ。次元ったら、知っててじゃましてるのね。
 そう、不二子がこのパーティを訪れたのも、ルパンが2日前に盗んだ、スペインの王家に代々伝わる宝冠をかすめ取るのが目的だった。あの鮮やかな盗みっぷりからしてルパンはきっと上機嫌でこのパーティに現れる。そこに近づいて2人で抜け出し、あとはいつものようにこのおっぱいを使って…という目論見だった。しかし不二子の行動を読んで、次元が先回りしたに違いない。
 正直なところ、不二子はこの次元を少々苦手にしていた。それというのも、彼女の最も得意としている武器、色仕掛けがこの男には通用した例しがないのだ。ご清潔なのかやせ我慢してるのか知らないが、やりにくくってしょうがない。それどころかせっかくルパンをうまく乗せて思い通りにいきそうなところでちょっかいを入れて何度も台無しにされている。

「次元、あなたには用はないわ。わたしはルパンに会いにきたの。ルパンはどこなの?」
 2人の間にしばらく押し問答が続くが一向にらちがあかない。その間にもますます胸が張ってくる。不二子はだんだんじれてきた。
「もう!!」不二子は身体をゆすった。それにつられて、胸から大きくはみださんばかりに突き出した2つの山脈が、上下に大きく揺れ動いた。
 その時、次元が今までとは違った反応を示した。今まで帽子の縁に隠れていた目が大きく見開いて表情がちらりと見えただけでなく、不二子の胸の動きに合わせて、まるでそれを受け止めようとするかのように手を伸ばしかけたのだ。
(あれ?…今のは――)
 ほんの一瞬の出来事だったが、不二子の目は逃さない。不二子はその、今まで思ってもみない反応に内心驚きつつ改めて次元を観察した。当の本人は、今しがたついとってしまった行動に自分で気がついてかなり動揺しているようだった。必死でなんてことないように見せかけようとしているが、不二子は誤魔化されなかった。
(ひょっとして…)
 次元はさらに目を隠すかのように帽子を一層深くかぶりなおした。だが、目は落ち着きなくあちこち動き回っているらしく、帽子の縁が小刻みに揺れている。
 不二子はかすかにほくそ笑むと、一段と胸を張ってより一層自分のバストを強調し、さらに一歩近づいてみせた。中身がパンパンに詰まっているドレスの胸の生地が、今にもはちきれんばかりに押し広がり、あともうちょっとで次元の体に触れそうになる。
 反応はただちに現れた。今まで落ち着かずにあちこち漂っていた視線が、急に不二子のバストに向かってそのまま釘付けられたように動かなくなったのだ。
(は、はーん、そうなの。やっぱり次元も、オ・ト・コだったのね)
 不二子の頭の中で、一瞬にしてすべてのピースがあるべき所にはまった。間違いない。
「ねえ次元、こんな所じゃなんだから、あっちの部屋で2人っきりで話さない?」
 そう言うと不二子はくるりと次元に背を向けてひとりすたすたと歩きだした。次元は――一瞬ためらっていたが、結局少し遅れて後についていった。

「ねえ次元、ちょっと暗くない? こんな時ぐらい帽子取ったら?」
 部屋に入ると不二子は次元にそう言った。確かにパーティ会場と違い、間接照明で満たされたその部屋は若干薄暗かった。
「いや、いい。それよりなんなんだ?俺はもう話すことなんかねえぞ」
 次元の口調は相変わらずぶっきらぼうだ。しかし…それが彼一流の照れ隠しであることは、不二子にはもう手に取るように分かってしまっていた。
「実はね…さっきからずっと我慢してたんだけど――おっぱいが張っちゃって苦しくてしょうがないの」
 嘘ではない。実際の所胸の張りは先ほどから痛みすら覚えるほどになっている。しかしその一方で、それを今の次元に利用しようと狡猾にも考えていた。
「それで、恥ずかしいんだけど…お願い、胸をさすってほしいの」
 そう言った時の次元の顔といったらなかった。帽子で顔の上半分は隠しているものの、鼻や口元の表情から、急激に興奮の度合いが上がっているのは明らかだった。
 しかし次元もさるもの、なんとかとりつくろい、斜にかまえるとさらに減らず口をたたいてみせた。
「けっ。お前はしょせんバストだけの女だからな。けどな、いくらなんでもデカすぎるぜ。おおかたその胸も、服の下に風船でも詰め込んでんだろうよ」
 これには不二子の方がいささかカチンときた。
(わたしのおっぱいをニセもの呼ばわりするだなんて、許せない)

 しかし不二子は表面上は冷静なままで、大胆な行動に出た。
「ああ、もう、胸がきつくて…服なんか着てられないわ…」
 そう言って両手をドレスの首の辺りにまわし、留め金をパチンとはずした。そして手を離すと、それまで胸を覆っていた布がするすると滑り落ちていき、そのまま一気に胸全体があらわになった。
「!!!!!!!!!!!」
 次元の目が帽子の縁をはみ出して大きく見開かれ、一気に息を飲んだまま呼吸が止まるほどびっくりしている様子が不二子にも伝わってきた。
 服の下からは――今まで布地の伸張率ギリギリまで押し込まれていた、2つの大きな大きな乳房が文字通りあふれ出てきた。それまでよっぽど無理矢理つめ込められていたのか、開放されたそれは先ほどよりいっそう大きくなったように感じられた。
「ふぅっ…。やっと楽になった」
 実際、不二子も胸への外からの圧迫感がなくなってちょっと一息つけた。
 外気にじかにさらされたその2つのふくらみは、それでもなお重力に逆らうかのように力強く上を向いていた。不二子の細身の身体からほとんどはみ出さんばかりに、信じられないほど大きく熟した2つの巨大な果実が、さあもいでくださいと言わんばかりに突き出されていた。その大きさたるや――不二子の小ぶりな顔が10個ぐらい収まってしまいそうだった。

 次元は今や自分をつくろうのも忘れてじっと不二子の双球を見つめていた。
「桃だ…」次元は相手に聞こえないぐらいの小さな声で人知れずつぶやいた。そう、そのつんと先がとがったすべらかな曲線、みずみずしい果汁をたっぷりとふくんだ果肉のような乳房は、どこかよく熟れた桃を思わせた。ただしその大きさたるや、それぞれに桃太郎がひとりづつ入っていても充分あまるほど大きかったが。そしてその桃の実の先には、まわりよりわずかにほんのりと色づいただけの乳首が、そこだけは妙にかわいらしく突き出していた。

「どう?これでも風船?」
 不二子は自信たっぷりに胸を張ってみせた。2つの大きな桃はより一層ぐぐっとせり出し、細かい身体の動きに合わせてふるふると揺れ動く。
 次元は何も言わずじっと不二子の胸を見つめ続ける。
「ブラジャーは、しないのか」
 妙に現実的な事を言い出す。慣れない状況に陥って何を口走っているのか自分でもわからないのかもしれない。よほど緊張していたのだろう。おそらく口の中はからからになっているに違いない。妙なところで言葉が途切れがちになっている。
「いつもはしてるわよ。でもね…作っても作ってもすぐに小さくなっちゃうから、時々追いつかなくなるの。今日なんかもそう。このドレスだってついこの前新調したばかりだってのに――。着れるのはこれが最後ね。もう胸がきつくなっちゃって入りそうにない…」
「どうして…」
「さあ、どうしてでしょうね。でも、今すごい勢いでどんどん大きくなってるの」不二子は、その成長っぷりが楽しみでしょうがないといった風にニコッと笑ってみせた。
「ブラのカップサイズなんてもう見当もつかない。Zカップなんてとっくの昔に通り越しちゃったから」

 今、次元と不二子の間は目線では1メートルほども離れていた。しかし、大きく突き出した不二子のバストの先は、ほとんど次元の目の前にまで迫っている。
 じっと不二子のバストの先を見詰めていた次元は、衝動的に思いもよらない行動に出た。
 素早く左手を伸ばすと、不二子の右のバストをぎゅっと握りしめたのだ。
「キャッ」
 思わず不二子が声を上げる。握りしめたとはいえ、次元がいくら手のひらを大きく広げても、不二子のバストのほんの先っぽあたりがやっとつかめたにすぎないのだが…。
 しかしその握り方は力任せで乱暴だった。それでも次元は胸の感触に憑かれたかのようにさらに力をこめて握りしめてくる。
「次元…痛い…」不二子は自分の胸をそのように乱暴に扱われることに慣れていなかった。しかし、それ故にかえって、未体験の新たな刺激を覚えていた。
 これをきっかけに、不二子の大きな乳房の内側で何かが起こり始めていた。それまでたまりにたまっていたものがこの刺激を受けてあふれ出し、出口を求めて先端へと集まってきた。
(ああ…何? おっぱいが熱い……ああっ!あふれちゃう!!!!)

 次の瞬間、つかまれた不二子の乳首から、数えきれないほどの白い筋が勢いよく噴き出してきた。その筋は大きな弧を描いて次元の顔にふり注がれる。
(え、何?)
 不二子は自分でもびっくりして目を見開いて次元の顔を見た。次元の髭には白いしずくが無数に点在している。
 びっくりしたのは次元も同じだった。
「不二子…お前、まさか…妊娠、してるのか?」
「え? まさか、そんなはずは…だってわたし…」
 お互い、信じられないといった目で見つめあった。しかしその間にも胸の先からはシュウシュウととどまることなくミルクがあふれ出していた。その刺激を受けて、もう片方の胸からもじくじくとミルクが湧き上がってくる。
 次元はもう気になってしかたないらしい、不二子の顔を見つめつつ、頻繁に視線が胸に注がれている。
 不二子には、次元が何を求めているのか分かりすぎるぐらい分かった。
「いいのよ、飲みたいのなら」
 不二子の言葉を耳にすると、次元はもう一刻も我慢ならんといった風に握っていた乳首にむしゃぶりついた。
 よっぽどあわてているのだろう、ちゅーちゅーと音を立てながら一心不乱に乳首を吸いたてる。
「あ…」
 吸われた乳首から、今までを上回る量のミルクが一気に噴き出してきて次元ののどの奥に流れていった。不二子はこれまで感じたことのない快感を胸に抱き、ついつい声に出してしまった。
(う…あっ……いいっ……感じちゃう…)
 ミルクが噴き出すと共に、今まで痛いほどに張っていた乳房がすーっと楽になっていく。
(も…もっと吸って…次元)
 不二子は、耐え切れずにあふれ出している左の乳房も次元の前に差し出した。次元は名残惜しそうに一旦口を離すと、今度はそちらの乳首にも吸い付き、一心不乱に吸い始めた――。

 それから一時間あまり――。次元は両方の乳房をかわるがわるに飽くことなく吸い続けた。不二子の胸からは尽きることなくいくらでもこんこんとミルクがあふれ出し、とどまる事を知らなかった。
 そして今、すっかり満足して腹がくちくなったのか、なんと不二子の膝枕の上で子供のように眠りこけている次元の姿があった。
「ふうっ」
 不二子の方も、不思議な充足感の中、ひとつため息をついた。あれだけ張り詰めて、まるで無尽蔵の泉のごとくミルクがあふれ続けていたそのバストも、ひとまずは落ち着いたようだ。
 不二子はそっと下を向いた。そこには膝の上で眠る次元の顔が――見えるかと思いきや、視界は一面に広がるそのバストで塞がれ、次元の肩から下しか見えなかった。そのバストは、あれだけ厖大なミルクを出したにもかかわらず一向にしぼんだ様子もなく、相変わらず胸からそびえ立っていた。
(どうして急にミルクが出てきたのかしら…)やはりこの急成長の影響なのだろうか。もし今後も出るようなら、対策を立てる必要があるな、と不二子は考えていた。
(それにしても、おかげで思わぬ収穫があったわ)不二子は、次元を起こさないようにそっとその頭を床に降ろすと、静かに立ち上がった。そしてまたドレスを引き上げて胸をその中にしまった。ミルクを大量に出したおかげか、またドレスの中になんとか胸を押し込むことができた。
(次元が、こんなにおっぱい好きだっだなんてね)次元の寝顔を見下ろしながらそっと頬笑んだ。(どうやらこれで仕事がやりやすくなりそうだわ)今まで苦手にしていた次元の首根っこをようやくつかんだ気がして、思わず笑みがこぼれたのだ。
「ん?」
 寝転んで床に落ちた次元の帽子に何か白いものが見えて不二子は手を伸ばした。今まで気がつかなかったが、帽子の脇に小さなポケットが作られていて、その中にメモが入っていたのだ。
 不二子は走り書きされた文字を見て、今度はにっこりと満身の笑みを浮かべた。そこにはルパンと次元がおち合う場所と時間が記されていたのだ。
(これで、今度こそルパンに会えるわね。そうしたら…フフフ)
 不二子は改めて彼女の最大の武器であるおっぱいを、その重みを確かめるかのように両手で抱え込んでみせた。
(わたしを出し抜こうったって、そうはいかないんだから)
 不二子は紙をそっと帽子に戻すと、足音を殺してその場を立ち去り、部屋の外へと消えていった。

 後には――今だ幸せそうに眠っている次元がひとり残されていた。その髭には、まだ白いものがあちこちにこびりついていた…。