7.五右ェ門編
「ね〜不二子ぉ、お願いだぁ、またパイズリしてくれよ〜」
ルパンの逸物は、なおもこれ以上ないほど天に向かっていきり立っている。今日だけでいったいもう何発目になるだろう。どういうわけか、いくら発射してもまったくきりがない。それどころかますます激しさを増しているようにすら見えた。
「ね、ルパン、かんべんして。おっぱいが――もうパンクしちゃいそうなの」
「そんなぁ、今までだってずーっとやってくれたじゃない。俺もう、がまんできないんだよぉ」
ルパンは目の色を変えて不二子を力づくて押し倒し、張り切った逸物を不二子の胸の谷間にむりやりねじ込んできた。
「そ、そんな…。や、やめて――もう無理よぉ、入らない…」
しかし不二子の胸はそんな事お構いなしにまた勝手にルパンの精をぐんぐん吸い込み始める。それとともに不二子の胸は抱えきれないほどすさまじい勢いで巨大化し、不二子自身を押しつぶさんばかりになる。
「いやぁ、だめぇ、お、おっぱいが――破裂するぅ…」
ふっ――とここで不二子の意識が戻った。
(夢――なの…)
気がつくと体中、寝汗でぐっしょりになっている。起き上がろうと瞼を上げると、暗がりの中、胸の上で何か大きな影がのしかかってくるのが見えた。今度は夢ではない。その証拠にその影にはすさまじい力で胸を押しつけてくる圧迫感すらある。不二子の体に緊張が走った。
「――なあんだ」
その正体に気づいて、不二子はちょっと恥ずかしそうに体の力を抜いた。今、胸の上にのしかかってくる巨大な重圧は確かに夢ではない。寝る時は横を向いていたはずが、眠っているうちにいつの間にか仰向けになっていたらしい。自分の超乳が目の前にうず高く盛り上がり、文字通り山のようにそびえ立っているのだ。これではおっぱいの重量がまともに自分の胸の上に乗っかってしまう。息苦しいのは当たり前だった。
「こんなに大きくなっちゃったんだもんなぁ…」
腰にしっかり重心を置いて、ベッドの上で上半身を起こした。全身鍛え抜いている不二子でなかったら、この胸の重みだけで動けなくなってしまっているかもしれない。それほど自分でも信じがたいほどの重量感だった。
「もう…なんで自分のおっぱいに驚かされなきゃいけないのよ」
ベッドに腰掛けたまま、不二子は改めて自分のバストを見つめた。暗がりの中、闇に慣れてきた目にぼんやりと写る胸は、日中よりますます大きく見える。しみひとつない白い肌がぼーっと闇夜に映え、ゆるやかなカーブを描いて地平線のようにどこまでもどこまでも続いていくようだ。大きいばかりではない。その巨大な乳房の隅々まで中身がみっちりと詰め込まれていて、まわりのものをはじき飛ばさんばかりにみっちりと張りつめている。
あのルパンとの壮絶なバトルの後、ラスプーチンの時をも上回るほどのすさまじい膨乳が不二子のバストを襲っていた。あれから早や10日、ようやくここにきてその急成長もだいぶ落ち着きをみせてきたが、既にその胸はさらに80センチ以上も膨らみ、今では439センチにも達していた。
そっと腕を伸ばし、指を胸の上にはわせてみる。ぷにぷにという感触が心地よく、いつまでもさわっていたくなるほどだ。
「うふ、いい感じ」
つぶやきながら、不二子はベッドから起き上がった。体中からふき出した汗をシャワーで流そうと思ったのだ。
バスルームの電気をつける。突然部屋中にあふれた明かりが鋭く目につき刺さった。それとともに不二子の超乳も白日の元にさらされる。かなりゆったりとしたスペースをとって作られた浴室だったが、不二子が足を踏み入れただけでその空間の半分はバストで占められてしまう。
(なんか手狭になってきたわね)
そんなことを思いながらシャワーを手にとりもう一方の手で蛇口をひねる。勢いよくふき出した水流をコントロールしつつ、蛇口から離した手をその深い胸の谷間にさし込んでたまった汗を洗い流しそうとした。けどぎっしりと実の詰まった両の乳房がぶつかり合ってできる谷間は、それだけで広大なものになり、手をさし入れるだけでもかなりの苦労を強いられた。
ひと通り汗を流すと脱衣所に戻り、身体についた水滴をバスタオルで拭き取る。熱いお湯でほてった肌を冷ます間、不二子はそのまま一糸まとわぬ姿で、備え付けられた姿見で自分の体をチェックした。
そのプロポーションの素晴らしさは今も変わっていない。ただ、その突き出した胸の迫力の前には、その見事なメリハリの効いたボディですら影が薄くなってしまう。それほどまてに不二子の超乳は圧倒的だった。けれども――それでいて不二子の表情にはどこか不満の色があった。
(わたしのおっぱい、まだ大きくなりたがってるのかしら)
不二子は自分の目の下の視界をすべて覆わんばかりに拡がったバストを見つめながら、今もまだ強烈に脳裏に焼きついている先ほどの夢を反芻していた。ここひと月足らずの間に、ラスプーチンと、禁欲したルパンの精を立て続けにこれ以上ないほど吸い取って、その質量は明らかに倍増している。その広大といっていいほどの大きさ、巨大な砲弾のように胸から突き出した形、隅々までむっちりとした張りつめ具合、どれをとっても申し分がなかった。しかし――。
確かに胸が張り裂けんばかりのはげしい膨乳が続いている間は「もうたくさん」と何度思ったことだろう。なのに今――バストの成長がようやく落ち着いてきたばかりだというのに、不二子は胸の奥のどこかに、うずくような物足りなさを感じ始めていた。いや、そんな生易しいものではない。今になるとあの時の事が一層ありありと思い起こされる。ラスプーチンの、そしてルパンのものを挟み込んだ時に感じた、あのぐいぐいと精力を吸い込んでいく快感。あの快感をもっと味わいたい。あの胸がはちきれんばかりの張りも今となってはなつかしい。――その感情は渇望と呼んでもよかった。
(わたし…こんな女じゃなかったはずなんだけどな)
実際、自分でも意外な感情だった。不二子は、日頃の言動から誤解されやすいが、自分では性的なものに関してずっと淡白な方だと思っていた。「男は惚れるものじゃないわ。惚れさせるものよ」それは不二子のポリシー。この言葉通り、今までどんな男に対してだって――ルパンも例外ではない――相手の気を引くだけ引いて自在に翻弄し続けてきたのだ。これまでは。そのためには、自分のそういった欲望は押し殺すことが必須だったし、事実そうしてきた。その結果、男をとっかえひっかえ手玉に取っているようでいて実際には性に関して禁欲と言っていいほど貞淑な自分がいた。それがこのように内側からの欲望につき動かされるなんて――今まで考えられないことだった。
しかし今、この胸の内にたぎってくる欲望の大きさは、不二子を初めて不安にさせた。このままでは、そのうち自分自身でも押さえ切れなくなって、この欲望のままにつき動かされてしまうかもしれない。そうなったら――わたし、どうなってしまうのだろう?もともと不二子の貪欲さには底がなかった。金塊も、宝石も既にこれ以上どうするのか、というほどに貯め込んでいる。実際手に入れた直後は、もうこれで充分と思わないこともない。なのにそれでもなお――しばらくするとどうしてももっと欲しくて欲しくてしょうがなくなるのだ。「所有する」こと自体にそれほど魅力はない。「新たに手に入れる」その快感は不二子にとって他の何者にも換えがたいものだった。これはもう生まれながらの性みたいなものだろう。これについては自分でもよく分かっていた。でももし、この欲望がもし男性の方に向かったら――その際限のない欲求の行き場はどこに向かうのか。自分でも想像がつかなかった。
ふと脳裏にルパンの顔が浮かび上がる。その途端、不二子はおっぱいの奥がじんと熱くなるような衝動が湧きあがった。あの、ルパンの猛り狂ったものをこの胸に挟み込んだときの感触がありありと蘇る。ラスプーチンの時は半ば無理矢理だったけど、ルパンとは――なんだかんだ言って自分から向かっていっていた。不二子の息づかいは自分でも気づかないうちに次第に荒々しいものに変わっていった。
「ルパン…」
その名前をそっとささやいてみる。ただそれだけで胸のうずきがどんどん激しくなっていって、ぴくぴくと痙攣するかのようだ。ルパンに会いたい。会ってまたあの猛々しいものを…。不二子は無意識のうちに乾いた唇をなめまわしていた。
「わたしのおっぱいがこんなになったのも、ルパン、あなたのせいだからね」
誰もいるはずのない鏡の向こうに向かって、不二子は誰という事もなくつぶやく。あの時以来まだルパンに会ってはいないが、彼のことだ、もう今ごろはすっかり回復し、あの時のことなんかどこ吹く風とばかりに迫ってくるに違いない。今度会ったら――ああ、お宝なんて二の次、損得抜きでルパンの猛りきったものを――。
(やだ…わたし――興奮してるの)
夜はまだ明けない。先ほど浴びたシャワーはすっかり冷め切っているのに、胸だけは熱くほてり続けていてなかなか服を身につける気にもならない。まだ時間は早いがどうしてもまた眠る気にならず、もう今日は起きてしまおうと立ち上がった。
その時、いきなり静寂を破って電話のベルが部屋に響きわたる。
「ルパン!?」不二子は声のトーンが1オクターヴ上がった。ここの電話番号を知っているのはルパンぐらいしかいない。かといって、自分がそんなはしゃいだ声を出したことがちょっと気恥ずかしくなった。
「もしもし!?」なるべく声のトーンを落として普通を装い電話に出る。
「不二子殿か――」
しかし意に反して電話口から低く落ち着いた声が響く。予想外な人物に不二子の方が驚いた。
「五右ェ門じゃない。珍しいわね」
「今、ルパンの第24アジトからかけているんだが――ちょっとこちらに来ていただけぬか」
「どういうことなの?五右ェ門のほうからそんなこと言ってくるなんて。ルパンは?」
「いやその――」奥歯に物が詰ったような煮え切らない様子で言葉を濁す。「その、ルパンなんだが――いることはいるのだが、様子がおかしいのだ」
「おかしいって、どうしたの?ひょっとして病気?」
「いや、病気…という訳ではないと思うのだが――とにかく変なのだ。おそらくお主が来てくれれば、なにか分かると思うのだが…」
「――とにかくルパンと代わって!」らちがあかない、とイラついた不二子の声のトーンが上がった。
「いや、今電話に出れそうもない。とにかく――来てくれぬか」明らかに困惑している様子が声からも伝わってくる。あのいつもは憎たらしいほど落ち着きはらった男がこんなに感情をさらけ出すとは珍しい。何かが起こっている――不二子は胸騒ぎを覚えた。
どういうことだろう。不二子は電話を切るとさっそく新調したばかりのレザースーツに身を包んだ。あれだけ大きく作ったのにやはり胸の辺りが締めつけられるようにきついがそれを気にしている時間はない。着替え終わるとすぐ愛用のハーレーにまたがり、エンジンがかかる間ももどかしく何度も足を踏み下ろした。(ルパン、どうしたんだろう…)大きくなりすぎた胸がバイクのハンドルの上を完全に覆い隠してしまっているが、そんなことはお構いなしとばかりに、かかったばかりのエンジンをフル回転させて一直線に24アジトへとバイクを走らせた。
大排気量のハーレーがうなりを上げてアジト前に停車する。不二子はエンジンを止めるや否やその中へと駆けこんだ。
「ルパンは?」
五右ェ門は入ってすぐの所に所在無く立っていた。不二子の胸を一目見て一瞬ぎくりとしたように見えたが、何も言わずに目で窓際を指し示す。そこには安楽椅子に座ってじっと動かないルパンがいた。
(なんだ、いるじゃない)
安堵感とともに、胸のうずきがさらに激しさを増した。そのまま駆け寄ると有無を言わさず誘いかける。
「ね、ルパぁ〜ン」
不二子は極限まで張りつめた胸をたゆたわせながら、とろけそうな声で呼びかけつつルパンにすり寄った。
「さみしかった〜?ごめんねぇ、今までほっといちゃって」
こんな声でせまったら、ルパンがどんな反応するか手に取るように想像がつく。恥ずかしいぐらいに裏返った声で「ふ、ふ〜じこちゃ〜〜ん」とか言いながら光速の素早さでわたしのおっぱいに手を伸ばしてくるだろう。しかしわたしは紙一重の間合いでするりとその手をかわし、ぴしゃりとはねつける――。あせっちゃだめ。手順はじっくりとね――。しかしどうしたことだろう、予想するような反応はいつまで経ってもルパンから返ってこなかった。
「ルパン?」
思惑がはずれて不二子は訝った。おかしい。何か新しい手を考えているのでは――と身構えるが、そんなそぶりもない。見ると、ルパンの目はうつろなままどこかあらぬ所をさまよっていた。
(え?)
不二子の顔に不安が走る。なおも挑発するように、ルパンの顔の前でぐっとおっぱいをせまらせてみせる。さらに両腕で胸をはさみこむようにしてぎゅっと谷間を一層深くしてみた。
それでもルパンは指一本動かさない。息をしてるんだろうかと不安になるほどに無反応なのだ。まるで生気が感じられない。
いいかげん心配になった頃、ようやくかすかにルパンの口が動いた。
「あ、ああ、不二子ちゃんか…。ひさしぶり…」
それだけ言うのもおっくうなように、そのまままた口を閉じた。
(どういうこと…?)
不安そうに振り向いた不二子に、五右ェ門は重い口を開いた。
「10日ほど前からずっとこの調子なのだ。医者には診せたのだが、体に特に異常はないとの見立てだった。ただ、疲れが出たのであろう、とそれだけ…。なのにそれから1週間以上経ってもこのありさまだ。あのタフなルパンが…。信じられん」
「そんな…」10日前というと、あの日思いっきりやっちゃってから、そのまま…。不二子の脳裏に不安がよぎった。そんな…。ルパン、あなただけはわたしがどんなに絞り取ったってすぐ回復してくれたじゃない。あなただけは他の男とは違う、特別な人、そう信じてたのに…。そりゃあの時はいつもよりずい分思いっきり吸い取っちゃったとは思うけどさ、けどあの時はあなただって…。
「ねぇルパン、わたしよ、不二子よ。わたしが来てあげたっていうのに、ひどいんじゃない?ねぇ…どうしたのよぉ、ルパン…」
不二子はもうなりふり構わずその巨大な胸をルパンに押しつける。なのにルパンはまるでさっきの一言だけで全ての力を使い果たしたかのように無反応だった。不二子は先ほどの胸騒ぎが急速に現実感を持ってせまってくるのを感じていた。
そんな…。不二子はもちろんルパンが心配ではあったが、それ以上に期待が外れた事に大きい失望を感じていた。ルパンに会えば、また思いっきりパイズリしてもらえると思ったのに…。期待が大きかった分、それまでなんとか抑えてきた胸の奥のうずきがむくむくと鎌首をもたげてくるのを感じた。あ、だめ…。その欲望の大きさが別の不安を掻き立てる。こんな大きな欲望、わたし、抑えきれない…。
――不二子の目に妖しい光が宿った。
「ところで呼び出したのは他でもない。おぬしに訊きたい事があるのだが」
先ほどからずっとタイミングを計っていたかのように、五右ェ門が声をかけてきた。なに?とばかりに不二子が首をちょっと上げると、さらに先を続ける。
「ルパンがこうなったちょうど前の晩、どうやらルパンはおぬしと2人だけで仕事に行っていたようだな。拙者も次元も抜きで2人きりで。それで尋ねるのだが、この時、ルパンになにか変わったことはなかったか?」
不二子は何も答えない。五右ェ門はしばらく間を置いて不二子の様子を探ったが、いつまでも反応がないのを見てとるとさらに踏み込んできた。
「近頃妙な事が続いていたのを知ってるか?ルパンが最近、ほとんど口もきけぬほどぐったりと朝帰りする事が何度もあったのだ。しかもどうやら、その前の日には決まって不二子、おぬしと2人で仕事をしていたらしいとな。そんな時はいつもお宝は持って帰らず、しかもルパンは疲れきっていて何も言わずに眠ってしまう。それでも今まではしばらく休めば回復して元に戻っていたのだが、今回はどうにも――」
五右ェ門の語気が鋭くなってくる。ルパンの前をいつまでも動かない不二子に徐々に苛立ちを募らせてきているようだった。長年の修行で研ぎ澄まされた精神の持ち主だ。五右ェ門自身、ルパンがこうなった原因に不二子が関係していることを感じ取っていたのかもしれない。
「お主、ルパンにいったい何をした」
遂にはきっぱりと詰問口調になる。もう一歩も後には引かない気構えにあふれていた。
(なによ、わたしのせいだっていうの?)不二子は顔だけ五右ェ門の方に向けると、ようやく口を開いた。
「別に。いつもの通りよ。2人で愛し合っただけ…」
「愛…」
何を想像したのか、五右ェ門の顔にみるみると赤みがす。これに不二子は思わず苦笑いを浮かべた。(ほんと堅物ねぇ。まったく、いい歳して女に免疫がなさすぎるんだから)これでは不二子の敵ではなかった。
「何、気になる?ルパンとわたしがどう愛し合った、か」
不二子はすっとルパンの前から立ち上がり、身体を五右ェ門に向けると一歩踏み出した。それだけの動きで巨大な胸が大きくたわむ。
「よ、寄るな…」
不二子のまわりの空気が変わる。五右ェ門はいち早くその変化を感じ取り、思わず身構えた。警戒の気配が五右ェ門からただよってくる。
「よかったら、五右ェ門ともしてあげても、いいわよ」
不二子にそんな制止の声は通じはしない。その体にぴったりと貼りついた黒いレザースーツいっぱいに押し広げられた胸をくゆらせながら、じわりと五右ェ門ににじり寄っていった。
「つれないのね、わたしのこと、ガールフレンドだって言ってくれたこともあったじゃない」不二子はさらに一歩近づいていく。その顔にはうっすらと頬笑みすら浮かべながら。
この女は危険だ!五右ェ門はその研ぎ澄まされた神経でそう察知していた。これまでも時には仲間として、時には敵として仕事を共にしてきた仲であることはもちろんだが、それでいてこの日、いつもの不二子とは何かが明らかに違っていた。
何が違うのか…。五右ェ門自身それがなんであるのかまでははっきりと掴みがたかった。今までだって何度もその裏切りに会い、そのうさんくささは重々承知、決して信用している訳ではなかった。しかし――いつもの彼女にはそれ故に一種計算高い冷静さが常にどこかつきまとっていた。なのに今日の不二子にはそれが微塵もない。まるで何かに飢えた獣のように一瞬の隙もなく虎視眈々と獲物を狙っているように思えた。
五右ェ門は体中の皮膚に粟粒のようなものが浮き出るのを感じた。いつしか腰に差した斬鉄剣に手を伸ばし、そっとあてがっていた。
そうしてる間にも不二子から目が離せない。(この女…動きに全く無駄がない…)不二子のそのしなやかな動きに、ふと、日本にいるはずのないある野獣の姿を思い起こした。
豹だ。それも最高に腹を空かせた黒い女豹。ほんの一瞬でも気を緩めたらこちらに飛びかかってきそうで、一時も目が離せない。しかしその動きのたびに大きく揺れ動く乳房の動きを見つめるうちに、なんだか五右ェ門は体中にしびれるようなものを覚えた。
「あらなに五右ェ門、まさかわたしを切ろうっていうの?」
五右ェ門はじっと不二子を見た。そのシャープな顔つき、エッジの効いたボディライン――いやなにより、その胸から巨大な砲弾のように形よく突き出して、まるで五右ェ門の目に突き刺さらんばかりにツンと上を向いた超特大バストがその眼の中で小刻みに揺れていた。いつもだったら、斬鉄剣のひとふりでその体をまったく傷つけることなく、着ている服一枚だけを切り捨てて相手をひるますことなど造作もない事のはずだった。しかし今は――手にした柄を毛ひとすじほども動かせない自分がいる。抜こうにも、どこにもつけ入る隙を見い出せないのだ。(こんなはずは…)いつしか掌にじっとりと汗が流れる。その目は胸から一瞬たりとも離さず――いや離せずにいた。まるで集中力がすべてその胸に吸い寄せられてしまうかのようだ。
「だめねぇ、そんなものでおいたしちゃ」
不二子はまた一歩五右ェ門の方に足を出す。一歩踏み出すたびにすさまじい重量感を持った胸がたゆん、たゆんと音を立てんばかりに激しく揺れ動いた。その振動をまともに受けたレザースーツは悲鳴をあげ、かろうじて胸を覆っていたジッパーがその内圧に耐え切れずにジジジ、ジジジとひとりでに下りていく。それとともに厖大な量の乳肉がみっちりとつまっている中身が徐々に姿を現していった。実につややかで、どこまでも続いていきそうな広大さだった。(これは…)五右ェ門には、その中に甘い蜜がどっさりと詰めこまれているかのように思えた。動いて揺れるたび、中に詰まった蜜の匂いが強烈にふりまかれ、辺りに飛散していく。そのえもいわれぬ芳香に鼻腔をくすぐられると、次第に体の芯が熱くなってくるようだった。
次第々々に柄を握る手の力が抜けていく。不二子が一歩近づくたびに、その甘い匂いはますます強くなっていった。五右ェ門はいつしか腰の力が抜けていき、床の上にへなへなと崩れ落ちそうになるのをこらえるのがやっとだった。
不二子がさらにもう一歩踏み出す。いつしか胸の先は五右ェ門の体に当たってしまうほど近づいていた。不二子はふと軽く頬笑むとそのまま胸を五右ェ門の身体にぴったり密着させた。レザー一枚の向こうの感触がそのまま肌に伝わってくる。そのやわらかくも巨大に張りつめたものに、五右ェ門は緊張とは別の興奮が沸き立っていくのを押さえようがなかった。
「なに…を」胸をはずそうとするのだが足が硬直したかのように動かない。いや、動きたくないのだ。この感触を、もっとずっと味わっていたい…。五右ェ門の体からすべての力が消え去っていった。
不二子はその間合いを見計らっていたかのように、密着させた胸で相手をつんと軽く突き上げる。ただそれだけで、五右ェ門はふらふらと力なくベッドの上に押し倒された。すさまじい弾力だった。
「ふふ、ご自慢の修行の成果はどうしたのかしら…」
その上に、不二子は文字通り豹のように四つんばいになって乗りあげていった。そのバストが五右ェ門の目の前に覆いかぶさるように迫っていき、視界いっぱいに拡がる。なんという大きさだろう。不二子は両手をいっぱいに伸ばし、ようやく指先だけが五右ェ門の肩口に触れているだけの状態なのに、バストは2人の間の空間全てを埋め尽くし、その先端は五右ェ門の厚い胸板に突き刺さんばかりになっていた。
「こんなの着けてちゃやぼよね」
不二子は右手を五右ェ門の肩からはずすと、先ほど途中まで下りかかった胸のジッパーに手をかけてさらに下ろし始めた。かみ合った金具が右と左に分かれていくにつれて、今にも破裂せんばかりの乳房の白さがますますあらわになっていく。五右ェ門はいつしか目を見開いたまま、その動きを食い入らんばかりに見つめていた。しかし間もなく手の動きが止まる。どうして…。一刻も早くその先が見たい!いつしか五右ェ門の心は不二子の一挙手一投足すべてに奪われていた。
「ああ、もう手が届かないわ」上のほうから不二子の声が漏れる。見ると、右手はもうめいっぱい伸びきっているのに、それでもまだ胸の先までだいぶあり、これ以上は伸ばせないようだった。
「ねえ、お願い。五右ェ門…。こっから先は、あなたが…」
思わせぶりに視線を投げかける。続きは自分に下ろさせようというのだ。不意に我に返る。今さらながら自分が不二子の術中に完全に嵌っていることを思い知らされた。なんたる未熟!今まで何年も修行を続け、精神を練り上げ続けていたというのに、たかがひとりの女の色仕掛けひとつにこうも惑わされてしまうとは…。情けない…。しかし、どんなに自分を叱咤しつつも、五右ェ門の目はなおも不二子の胸の谷間から離れてくれようとはしなかった。
前のめりになって重心が下に向かったせいだろう、レザースーツにすさまじいまでの重量がぐんとかかって一層押し広がった。堅牢に見える革が今にもはちきれんばかりに張りつめ、その隙間から乳肉がみちみちと今にもあふれ出しそうにもがいている。見るからに苦しそうだった。
「ねぇ、早くぅ…。おっぱい、きつくってしょうがないの。お願い、早くこっから出して…」
不二子は一層甘い声でささやき続ける。いかん。この言葉に惑わされたら、拙者の何年もの修行が水泡に帰す。しかし…。目の前に拡がる厖大な乳房はなおのことこちらを誘なうようにふるふるとふるえている。中途半端に下げられたジッパーの奥から、今にも飛び出したいのに飛び出せないで苦しげにこまねているように見えてならない。違う!これは悪魔のささやきだ!!そう何度も己に言い聞かせているのに、のどが渇いてしょうがない。自分でも気づかぬうちにぐびぐびと何度も生唾を飲み込んだ。
「ねえっ、もう…我慢できない…」
とどめのように、不二子の悩ましげな声が響く。とうとう五右ェ門は斬鉄剣から手を離すと、不二子の胸元にその手を伸ばした。
しかしあまりに大きすぎて距離感がつかめない。目測を誤り、金具を持とうとしたその手が露出した胸にめり込んでしまう。拳がまるごと埋まって一瞬見えなくなる。途端にその内で例えようのないやわらかな感触に包まれた。「あぅん」不二子の口からかすかな声が漏れる。しかし次の瞬間、すさまじい弾力で圧し戻されてしまった。「んもう、乱暴ねぇ。女の子のおっぱいはとってもデリケートなものなの。もっとやさしくして…」不二子が最高にとろけるような声でささやく。次の瞬間、五右ェ門の頭の中で何かがはじけ飛んだ。
構うもんか。渾身の力を込めてジッパーをひきずり下ろそうとする。しかし中がぱんぱんに詰まったスーツに引き伸ばされた金具はがっちりとかみ合ったままぎちぎちときしむばかりで、がっ、がっ、と2〜3度短く下ろされたもののなかなかうまく下りてくれない。
「あ、も、もっとそっと…やさしくして…」
悩ましげな声がさらに耳元で響く。その声に導かれるように、ジッパーの中心にのみ力を込めてすっと下に動かす――すると、あれほど堅かったジッパーが嘘のようにすーっと下に下りていった。
途端だった。中にめいっぱい詰め込まれていた乳肉が一気に開放されて、ぶわっと五右ェ門の目の前にまっしろな世界が拡がった。一面の黒から白への劇的な転換。先ほどから感じていた芳香はその瞬間何倍もの強さに跳ね上がり、五右ェ門は頭の芯がしびれたようにぼーっとなっていく。
「ありがと。五右ェ門。ずっと楽になったわ」
よかった…。そう思った瞬間、さらなる恐怖が五右ェ門を襲いかかった。開放されてより一層巨大になったかのような恐るべき量の乳肉が、五右ェ門の目の前に拡がり、一気にその身体の上にのしかかってきた。それはまるで、五右ェ門の体を丸ごと包み込んでしまうかと思えるくらい厖大だった。
「ありがとう、五右ェ門。お礼に――」不二子は自分の胸の中でもがく五右ェ門の様子を眺めながら、なおもなまめかしい表情でせまってくる。
「おっぱいの海でおぼれさせてあげる」
不二子がちょっと指を折り曲げる。ただそれだけで、五右ェ門の胸に、顔に、ありとあらゆる部分に不二子の乳肉がむっちりとあふれかえった。
口も鼻も塞がれて息が出来ない。なんとか胸の谷間にわずかな隙間を見いだして息を吸い込むと、むせ返るような蜜の匂いが再び肺一杯に拡がっていき、さらに五右ェ門の身体の芯を熱くした。
いかん。五右ェ門の頭の片隅で警戒警報がはげしく鳴る。しかしそれとは関係なく、その匂いに股間が反応し始めた。
不二子は、足元で堅いものがむくむくと立ち上がっていく感触をたのしむように、ほくそ笑んだ。
(なんということだ。拙者はこんなにも情けない人間だったのか…)
本人の忸怩たる思いとは裏腹に、まるで下半身が別の人格を持っているように、その逸物は五右ェ門の意思を無視してどんどん堅くなっていく。ええい、治まれ、といくら頭で命じても一向に言うことをきいてくれない。
「ね、五右ェ門。そんな堅くならないで…。あなたの、その熱く猛り狂ったものが欲しいの」
不二子はそう言いながら一旦体を離すと、ジッパーを最後まで下ろしきり、自分でスーツを左右に押し開いた。ぶぉん。それまで押し込められていた戒めからすべて解き放たれて、バストがさらにあふれ出す。今やその全容をあらわにされた超乳は更なる重量感をもって迫ってきた。ちょっと収まりが気になったのか胸をぶるんと勢いよくゆさぶる。それだけですべて収まるべきところに収まったように安定した。不二子は自分の胸の動きが落ち着いたのを確認すると、五右ェ門の腰に手を伸ばし、帯を解いていった。そして次には袴を…。抵抗したいのに、五右ェ門はまるで催眠術にかかったかのように指一本動かせない。脱がされていく間にも、不二子の厖大な乳肉が無造作に五右ェ門の体に覆いかぶさっていく。その感触に襲われるたびに、体がどんどんしびれたようになって自由が利かないのだ。それなのに股間の一点だけは苦しいほどにますます屹立していく。
なすすべもなくすべての衣服を剥ぎ取られ、股間からは一本ぴーんと突き上がったものが隠しようもなくそびえ立っている。(み、見ないでくれっ!)男としての尊厳をすべて打ち砕かれたかのような情けなさで目をぎゅっと閉じて顔をそらす。しかし今まで長年禁欲してきたつけが一気にふき出したかのように血流が一点に流れ込んでいくのをどうにも止められなかった。
(ふふ…さすがにルパンほどじゃないけど、精がすごくたまってそう。やっぱり並の男じゃないわね、五右ェ門も)不二子は歓喜の表情を浮かべたいのをじっと抑えた。獲物を前にして、胸の内からさらなる渇望がわき上がっていくのを感じる。五右ェ門のすべての精力が今やこの一点に集中していき、今にもあふれ出しそうになっているのだ。後はこれを一気に搾り上げるだけ。
「すごいわ、五右ェ門。――すてきよ」
自分でも興奮して息があがっていくのがわかる。もう我慢できない。不二子は思いっきり両手を伸ばすとあふれんばかりになっている自分の胸を難なく抱えあげ、五右ェ門の股間にかぶさるように体を預けた。
「うぉっ!」
五右ェ門の口から思わず声が漏れる。まるで首から下すべてが厖大な乳肉にすっぽり覆われてしまったようだ。なんという気持ちよさだろう。まるで自分の身体が別の世界にすっかり持っていかれてしまったみたいに…。
次の瞬間、すさまじい勢いで巨大な乳房全体が扇動し、股間が吸い上げられていく。いや、体ごと持っていかれそうだ。
(や、やめろ…)
しかしその勢いはいや増すばかりで止まる所を知らない。自分の逸物がおっぱいの中にぐいぐい吸い込まれていく。たまらず最初の一発を発射した。しかしそれで開放された訳ではない。それどころか、ますます勢いを得たように動きが激しくなっていく。いったい何度発射したろう。その度にすべての精力をどんどん吸い取られていくのを感じた――。
(こ、これか…)
「ねえ五右ェ門…。五右ェ門ったらぁ、まさか、もう終わり?」
不二子がぐったりと動かなくなった五右ェ門の上にかぶさったまま激しくその体をゆさぶっている。意外と言うよりもなんだか拍子抜けしたような顔だった。これほどまでやって、まだまだ全然物足りない様子がありありと浮かび上がっていた。しかしいくら動かしても五右ェ門に反応はない。ついにあきらめたように不二子は体を起こした。
「おい五右ェ門、どうだ?ルパンの様子は」
その時、アジトのドアが開いてひとりの男が入ってくる。
次元だ。不二子はその存在を認めると、新たな獲物を見つけたようにその目がキラリと光った。
「おかえり、次元」
不二子ははだけた胸を隠そうともせず、五右ェ門から離れるとその胸先をまっすぐ次元に向けた。
「不二子…」
次元はただならぬ雰囲気を察してハッとする。無理もない、そこにはむき出しの超乳を揺らしてこちらに近づいてくる不二子の姿があったのだから。
「待ってたわ、次元」
ヤバイ。状況が分からないまでも次元も一瞬で身の危険を察知していた。しかし動けない。目は既に不二子の胸に釘付けになっていた。
(フフ…。次元がわたしのおっぱいのとりこなのは先刻ご承知よ)
不二子はなぶるような目つきでじりじりと次元に近づいていった――。
(はっ、わたし、何を…)
次に不二子が我に返った時、自分の胸の下で次元が、近くのベッドの上で五右ェ門が、まるで全精力を抜き取られたようにぐったりとしたままぴくりとも動こうとしない様が目に入った。
(わたし…、やっちゃったの?)
次元まで…。五右ェ門はまだおぼろげながら記憶が残っているが、次元は無我夢中でまるで憶えていない。不二子の頭に激しい後悔の念が湧き出た。しかしそれとはお構いなしに、2人の精を受けてもさして大きさが変わっていない胸は、これっぱかしじゃ全然足りないとばかりに満足した様子もなく、ますます精を求めて激しくうずいた。もっと、もっとと際限なく欲しがっているように――。
(だめっ!!)不二子は自分の胸を無理矢理ぎゅーっと羽交い絞めにしようとした。しかし不二子の細腕の間からは到底抱えられない量の乳肉が何度手を入れ換えても後から後からあふれ出してくる。それでもどうにか押さえ込もうと不二子はあきらめずに手を動かし続けた。(これじゃほんとうにきりがない。このままじゃわたし、どうなっちゃうの?)
「ねえルパン、わたし、どうしよう…」
顔を上げた不二子の目に、先ほどから動かずに座ったままのルパンの姿が目に入る。不二子はなにかに惹きつけられるかのようにその椅子の許に歩み寄った。ルパンは先ほどよりもさらに衰弱した様子で、今や息こそしているがまるで眠ってるかのように動かない。ゆすっても目覚める気配はなかった。
「ねえルパン、助けて――。わたし、このままじゃ大変なことになっちゃう」精を求めて見境なく手当たり次第にその胸に男をくわえ込む自分の姿がリアルに想像でき、ぞっとした。
でも不思議だった。なんとなく、ルパンの顔を見ているとなんか落ち着いてくるのだ。まったく動かないにも関わらず、任しとけとばかりにたよりになりそうな気がする。
不二子は飽くことなくルパンを見つめ続けた。ひょっとして…。不二子の脳裏に、先日のシーンが蘇る。
「ねえルパン、そういえばあなたからは搾り取ってばかりで、まともにおっぱいをさわらせてあげたこともなかったわね」あの時、おっぱいを思いっきり押し付けたらルパンが覚醒した事を思い出していた。「ね、ルパン…。あなたになら、わたしの――あげてもいい。だから、目を覚まして!」
そして左の乳房をそっと持ち上げると、ルパンの口にあてがい、なんとか含ませようとした。
「ルパン、ほら、あんなに吸いたがってたわたしのおっぱいが、今あなたの口元にあるのよ。ね、いくらでも好きなだけ吸っていいのよ――ルパン」
しかしいくら待っても反応は返ってこない。やはり――と肩を落としかけた時、いきなり胸の先に衝撃が走った。
ぺろっ。
ルパンの舌が押しつけられた不二子の乳首を舐めた――ように感じた。不二子の巨大な胸の根本まで一気に電撃が走り抜け、びくっと背中が反り返った。胸がぶるんと大きく揺れる。
「ルパン、気がついたの!」
不二子は思わず動かぬ体に駆け寄った。巨大な胸が2人の間に割って入って大きくたわむのも構わずに。しかし――それっきりだった。その様子には先ほどとの違いは微塵もない。
「ルパぁン…」
先ほどの衝撃、気のせいとはとても思えない。胸の先にはその感触が今もこれ以上ないほどありありと残っているのに――。それだけをたよりに、不二子はもう一度、より一層激しく自分の乳房をルパンの口に押し付けた。(ルパン…ルパンが帰ってきてくれるなら、もうおっぱいなんていらない!だからぁ…)しかし――その反応は二度と返ってこなかった。
(もう、だめなの…)
不二子の心に例えようのない喪失感が走る。今さらながら、失ってしまったものの大きさを思い知らされた気がした。
「ねえルパン、やっぱりわたし、あなたじゃなきゃだめなの。早く、元のあの元気なルパンに戻って。お願い――ルパン…好き…」
聞こえてないのは承知で、いやだからこそ初めて、不二子は抑えきれない胸の内を吐き出していた。ひょっとして――そう思うとどうしてもルパンの許を離れられない。いつしか、不二子はそのままの姿勢でルパンの枕元で静かな寝息をたてていた。
(うー、不二子ちゃんのおっぱい、やっぱおいしいな…)
まさにこの時、ルパンの身体の内で、先ほどのことをきっかけに深い眠りから徐々に覚めようとしていたことに、不二子はまだ気づいていなかった。